NOBILES Days
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またしばらくサボっていたけど、まだ別にブログをやめたつもりもない。気が向いた時にしつこくアップしていく。
さて、世の中は武漢肺炎蔓延もひと段落して、経済活動を再開していこうという段階だが...勤務先も、7月からは「原則元通りの勤務体制」という方針が打ち出された。
これにははっきり言ってがっかりした。今回の事態の前に会社は散々「多様な働き方を推進」うんぬんと綺麗事を言っていた。それが強制在宅になった結果、多くの人が在宅勤務を経験し、職種によっては生産性を落とすどころか、むしろ集中して良い成果を上げることも可能、ライフワークバランスも大幅に向上した例も多かった。
それなのに、元通りの勤務体制に戻すとはどういうことだろう。まったく「多様な働き方」なんて掛け声だけではないか、と訝ってしまう。
ただ、その発表にはエクスキューズがあった。「職場ごとに週当たりの在宅勤務回数の緩和を認める」というものだ。これは合理的かもしれない。
うちのヨメさんも強制在宅勤務をしていたが、正直、在宅ではやることが少なすぎた。やっぱり職場にいかなければ成立しない仕事は存在する。だから、職場ごとに判断を委ねるのは、まさに多様な働き方の推進と言えるかもしれない。
でもその判断はまだ出ていない。おそらく今週中には出てくるだろうけど。職場長たちの決断に期待したい。
自転車Peugeot PS02を買って4年が過ぎた。すっかり気に入ってしまって、2週間に1回は洗車し、しっかりメンテナンスを行ってきたことは、過去ログでも某SNSでもお馴染みになっているところだ。
だがその中で、もう2〜3年くらい前からモヤモヤとした願望があった。
「グレードアップしたい…」
まあ、自転車に限らずよくあることだけどさ (^_^;。今回から数回に分けて、この話をしていこうと思う。
Peugeot PS02（買ったばかりの頃）
(PentaxK-3, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/200sec, F2.5, ISO200)
このPS02。電動アシストチャリと同じような値段だったので、自転車を趣味にしない人たちにとっては高級車ということになるのだろう。
だがちょっと自転車を知ってくると、このチャリはそもそも、ロードバイクとマウンテンバイク（MTB）の合いの子として生まれた「クロスバイク」と言われる中途半端な製品にカテゴライズされ、しかもそのエントリークラスに相当する製品であることが分かってきた。競技に使うような自転車は、平気で中古の軽自動車が買えるような値段がする。
自転車の値段を決める要素にはいろいろとある。もちろん、フレーム自体の設計や材質なども重要だが、最も簡単にその自転車のグレードを表すのは、使用されているギヤやブレーキなどの「コンポーネント」だ。たとえば、世界でも高いシェアを誇るShimanoの「このグレードの部品を積んでいるチャリ」と伝えれば、分かる人は大体「ああ、そのクラスのチャリね」と判断できる。
PS02はShimanoのTourney TXシリーズというグレードのコンポーネントで構成されている。これはいわゆるモトクロスタイプ（MTB）向けであるが、その中では、はっきり言ってエントリーもエントリーである。最下層と言っていい。かろうじて「『なーんちゃって』ではない」と言えるレベルだろうか（ホームセンターなどで2万円くらいで叩き売られている「なーんちゃってクロスバイク」はさらにグレードの低いTourney TYとかTZが使われているようだ。だいぶ強度が劣るらしい）。
でも俺はそれが分かっても、所詮は通勤の足として、片道7.4kmを快速・快適に走れればそれでいい、と当初は思っていた。以前に乗っていたMTBタイプ（これは明確に「なーんちゃって」だろうな）と比べると平均時速で2〜3割は速くなったし。
以前乗っていたMTBタイプ＝Harley Davidson Neo Racing2
しかし、PS02に乗り始めて1年くらい経った頃、どうにも漕ぐ時に回転の軸がブレる気がして、点検がてら自転車屋に診てもらった。ペダルを漕ぐことによって回転する部分をクランクというが、その軸である「ボトムブラケット」という部品が劣化しているという。
その場では直してもらわずに持ち帰り、後日、自分で交換作業をした。取り出したボトムブラケット（以下BB）は、粉チーズのパッケージのミニサイズ程度の円筒状の部品で、そこからクランクに接続する四角柱が飛び出ていた。ペダリングしてクランクが回ると、四角柱も回り、これを筒の中のベアリングが滑らかに受け止めることでスムースな回転を実現するわけだ。このBBは、四角柱でクランクと接続するので「スクエアテーパード」という。
スクエアテーパードBBの新品と、ヘタったもの
で、この筒の部分からグリスが溶け出てボールベアリングのボールが劣化し、がたつきが発生したようだった。まるで泥に汚れたようだが、泥ではなく、劣化したグリスだ。
BBの交換作業を通して、2つがっかりしてしまった。
まず、BB自体がこうもあっさり（3000km強）劣化して、驚くほど乗り味が悪くなってしまったこと。
もうひとつが、BBの交換作業で外したクランクがビックリするくらい重かったことだ。
ボトムブラケットを交換するためにクランクを外す作業。スクエアテーパードの場合、コッタレス抜きという専用工具が必要だ。
調べてみるとBBは、この10年くらいで大きく進化した部品のようで、高いグレードのBBはTourneyのそれとは大きく異なる構造をしていることが分かった。
Tourneyのスクエアテーパードだって、カートリッジ式になっていて取り出せるという点では、いわゆるママチャリよりはるかに本格的な構造ではある。
ところが、現在高いグレードで採用されている構造では、BBは空洞の筒でしかない。その代わり軸は、フロント側のギヤとともに右側のクランクに直付けされている。スクエアテーパードとは比べ物にならないほど軸は太い。この軸を空洞なBBに通し、左側のクランクを、無数の溝が切られた断面どうしでがっちりと固定する。
フレームに対してはねじ込みになっていて、スクエアテーパードと互換性を保ちながら、ベアリング部をその外側に配置することで、はるかに太い軸を許容できるようになった。これによって、高い剛性とメンテナンスフリー、なにより滑らかな回転を実現した。これが、世界のShimanoが開発した「ホローテックII」だ。
また、「ホローテック」のホローというのは中空の意味だ。これはクランク軸が中空で、高剛性と大幅な軽量化を実現するものだという。
なんだってー！ホローテックIIにすれば、俺が抱いた2つの大きな不満は一網打尽じゃないか。
「ホローテックIIにしたい...」
これが俺のチャリ・アップデート欲求の原点だ。
さてここまでBBについて述べたが、自転車を構成するコンポーネントのグレードによる違いは、もちろんBBだけに止まらない。
また同じ自転車であっても、舗装路を速く走ることが目的のロードバイクと、オフロードも走るMTBとでは求められる性能も大きく異なる。だから、ロード用とMTB用ごとに、ある程度の互換性も保ちながらも、明確に分かれたグレードのピラミッドが構築されている。
2020年現在のシマノコンポーネントのグレード（左がロード向け、右がMTB向け）
あ、こうやってみるとTourney TXも最下層とまでは言えないねw。MTB向けの、下から4番目か。
たとえば変速機一つとっても、ロードでは、いかに人間のペダリングを無駄なくスピードに繋げるかが肝要なので、リヤ側のギヤは小さめのものが多段搭載されている一方、フロント側に大きめのギヤが2枚、というのが一般的だ。つまり、1周漕ぐだけでタイヤが数回転するという高回転仕様だ。
逆に、悪路や障害物が多いところをパワフルに走り抜けるMTBは、大きめのギヤをリヤに装備する一方、フロント側は小さめのギヤが装備されている。つまり回転数ではなく、トルク優先というわけだ。
一方、クロスバイク（海外ではハイブリッドバイクというらしいが）は、ロードとMTBの合いの子として生まれたと先述した。まあ車でいうところのSUVの流行に近いものがあるだろう。競技向けはないが、ママチャリよりは速くてスポーティ。街乗りに「ちょうど良い」ということが美点であると言ってもいいだろう。だから、クロスバイクは必然的に広いギヤ比をカバーする必要があり、変速機については、どちらかというとMTB系のコンポーネントを採用する場合が多いようだ。俺のPS02に付いていたTourney TXも、フロント3段だった。エントリーモデルは肉抜きなど軽量化もされていないのに、重いギヤを3枚も重ねているのだから、それはもう重くなるわけである。
だが俺は、PS02に乗って以来、一番大きい高速側の「3段」以外のギヤを使った記憶がない。その3段が破損して緊急避難的に「2段」を使ったことがあるくらいだ。俺の走り方は完全に高速寄りなのだ。…フロントに3速もいらない。ロードのように2速で十分じゃないか？
多分、クロスバイクをアップデートする上では、MTB系のより高級コンポーネントに変える方が楽だっただろう。だが、自分の走り方を鑑みたときに、高速なロードバイク系のコンポーネントに交換したい、という欲求が勝ってしまった。
それからしばらく、毎晩のようにコンポーネントに関する記事や、実際に交換している人のブログなどを読み漁るようになった。特に参考になったのが、実際にクロスバイクにロード系のコンポをインストールしている人のブログだ。いろいろ読んでいると、もやもやと妄想が広がると同時に、クロスバイクのロードバイク的アップデートが思ったより複雑で難しいことも分かってきたのである。
つづく。
さて、世の中は武漢肺炎蔓延もひと段落して、経済活動を再開していこうという段階だが...勤務先も、7月からは「原則元通りの勤務体制」という方針が打ち出された。
これにははっきり言ってがっかりした。今回の事態の前に会社は散々「多様な働き方を推進」うんぬんと綺麗事を言っていた。それが強制在宅になった結果、多くの人が在宅勤務を経験し、職種によっては生産性を落とすどころか、むしろ集中して良い成果を上げることも可能、ライフワークバランスも大幅に向上した例も多かった。
それなのに、元通りの勤務体制に戻すとはどういうことだろう。まったく「多様な働き方」なんて掛け声だけではないか、と訝ってしまう。
ただ、その発表にはエクスキューズがあった。「職場ごとに週当たりの在宅勤務回数の緩和を認める」というものだ。これは合理的かもしれない。
うちのヨメさんも強制在宅勤務をしていたが、正直、在宅ではやることが少なすぎた。やっぱり職場にいかなければ成立しない仕事は存在する。だから、職場ごとに判断を委ねるのは、まさに多様な働き方の推進と言えるかもしれない。
でもその判断はまだ出ていない。おそらく今週中には出てくるだろうけど。職場長たちの決断に期待したい。
自転車Peugeot PS02を買って4年が過ぎた。すっかり気に入ってしまって、2週間に1回は洗車し、しっかりメンテナンスを行ってきたことは、過去ログでも某SNSでもお馴染みになっているところだ。
だがその中で、もう2〜3年くらい前からモヤモヤとした願望があった。
「グレードアップしたい…」
まあ、自転車に限らずよくあることだけどさ (^_^;。今回から数回に分けて、この話をしていこうと思う。
Peugeot PS02（買ったばかりの頃）
(PentaxK-3, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/200sec, F2.5, ISO200)
●PS02アップグレード願望
このPS02。電動アシストチャリと同じような値段だったので、自転車を趣味にしない人たちにとっては高級車ということになるのだろう。
だがちょっと自転車を知ってくると、このチャリはそもそも、ロードバイクとマウンテンバイク（MTB）の合いの子として生まれた「クロスバイク」と言われる中途半端な製品にカテゴライズされ、しかもそのエントリークラスに相当する製品であることが分かってきた。競技に使うような自転車は、平気で中古の軽自動車が買えるような値段がする。
自転車の値段を決める要素にはいろいろとある。もちろん、フレーム自体の設計や材質なども重要だが、最も簡単にその自転車のグレードを表すのは、使用されているギヤやブレーキなどの「コンポーネント」だ。たとえば、世界でも高いシェアを誇るShimanoの「このグレードの部品を積んでいるチャリ」と伝えれば、分かる人は大体「ああ、そのクラスのチャリね」と判断できる。
PS02はShimanoのTourney TXシリーズというグレードのコンポーネントで構成されている。これはいわゆるモトクロスタイプ（MTB）向けであるが、その中では、はっきり言ってエントリーもエントリーである。最下層と言っていい。かろうじて「『なーんちゃって』ではない」と言えるレベルだろうか（ホームセンターなどで2万円くらいで叩き売られている「なーんちゃってクロスバイク」はさらにグレードの低いTourney TYとかTZが使われているようだ。だいぶ強度が劣るらしい）。
でも俺はそれが分かっても、所詮は通勤の足として、片道7.4kmを快速・快適に走れればそれでいい、と当初は思っていた。以前に乗っていたMTBタイプ（これは明確に「なーんちゃって」だろうな）と比べると平均時速で2〜3割は速くなったし。
以前乗っていたMTBタイプ＝Harley Davidson Neo Racing2
しかし、PS02に乗り始めて1年くらい経った頃、どうにも漕ぐ時に回転の軸がブレる気がして、点検がてら自転車屋に診てもらった。ペダルを漕ぐことによって回転する部分をクランクというが、その軸である「ボトムブラケット」という部品が劣化しているという。
その場では直してもらわずに持ち帰り、後日、自分で交換作業をした。取り出したボトムブラケット（以下BB）は、粉チーズのパッケージのミニサイズ程度の円筒状の部品で、そこからクランクに接続する四角柱が飛び出ていた。ペダリングしてクランクが回ると、四角柱も回り、これを筒の中のベアリングが滑らかに受け止めることでスムースな回転を実現するわけだ。このBBは、四角柱でクランクと接続するので「スクエアテーパード」という。
スクエアテーパードBBの新品と、ヘタったもの
で、この筒の部分からグリスが溶け出てボールベアリングのボールが劣化し、がたつきが発生したようだった。まるで泥に汚れたようだが、泥ではなく、劣化したグリスだ。
BBの交換作業を通して、2つがっかりしてしまった。
まず、BB自体がこうもあっさり（3000km強）劣化して、驚くほど乗り味が悪くなってしまったこと。
もうひとつが、BBの交換作業で外したクランクがビックリするくらい重かったことだ。
ボトムブラケットを交換するためにクランクを外す作業。スクエアテーパードの場合、コッタレス抜きという専用工具が必要だ。
●夢のホローテックII
調べてみるとBBは、この10年くらいで大きく進化した部品のようで、高いグレードのBBはTourneyのそれとは大きく異なる構造をしていることが分かった。
Tourneyのスクエアテーパードだって、カートリッジ式になっていて取り出せるという点では、いわゆるママチャリよりはるかに本格的な構造ではある。
ところが、現在高いグレードで採用されている構造では、BBは空洞の筒でしかない。その代わり軸は、フロント側のギヤとともに右側のクランクに直付けされている。スクエアテーパードとは比べ物にならないほど軸は太い。この軸を空洞なBBに通し、左側のクランクを、無数の溝が切られた断面どうしでがっちりと固定する。
フレームに対してはねじ込みになっていて、スクエアテーパードと互換性を保ちながら、ベアリング部をその外側に配置することで、はるかに太い軸を許容できるようになった。これによって、高い剛性とメンテナンスフリー、なにより滑らかな回転を実現した。これが、世界のShimanoが開発した「ホローテックII」だ。
また、「ホローテック」のホローというのは中空の意味だ。これはクランク軸が中空で、高剛性と大幅な軽量化を実現するものだという。
なんだってー！ホローテックIIにすれば、俺が抱いた2つの大きな不満は一網打尽じゃないか。
「ホローテックIIにしたい...」
これが俺のチャリ・アップデート欲求の原点だ。
さてここまでBBについて述べたが、自転車を構成するコンポーネントのグレードによる違いは、もちろんBBだけに止まらない。
また同じ自転車であっても、舗装路を速く走ることが目的のロードバイクと、オフロードも走るMTBとでは求められる性能も大きく異なる。だから、ロード用とMTB用ごとに、ある程度の互換性も保ちながらも、明確に分かれたグレードのピラミッドが構築されている。
2020年現在のシマノコンポーネントのグレード（左がロード向け、右がMTB向け）
あ、こうやってみるとTourney TXも最下層とまでは言えないねw。MTB向けの、下から4番目か。
たとえば変速機一つとっても、ロードでは、いかに人間のペダリングを無駄なくスピードに繋げるかが肝要なので、リヤ側のギヤは小さめのものが多段搭載されている一方、フロント側に大きめのギヤが2枚、というのが一般的だ。つまり、1周漕ぐだけでタイヤが数回転するという高回転仕様だ。
逆に、悪路や障害物が多いところをパワフルに走り抜けるMTBは、大きめのギヤをリヤに装備する一方、フロント側は小さめのギヤが装備されている。つまり回転数ではなく、トルク優先というわけだ。
一方、クロスバイク（海外ではハイブリッドバイクというらしいが）は、ロードとMTBの合いの子として生まれたと先述した。まあ車でいうところのSUVの流行に近いものがあるだろう。競技向けはないが、ママチャリよりは速くてスポーティ。街乗りに「ちょうど良い」ということが美点であると言ってもいいだろう。だから、クロスバイクは必然的に広いギヤ比をカバーする必要があり、変速機については、どちらかというとMTB系のコンポーネントを採用する場合が多いようだ。俺のPS02に付いていたTourney TXも、フロント3段だった。エントリーモデルは肉抜きなど軽量化もされていないのに、重いギヤを3枚も重ねているのだから、それはもう重くなるわけである。
だが俺は、PS02に乗って以来、一番大きい高速側の「3段」以外のギヤを使った記憶がない。その3段が破損して緊急避難的に「2段」を使ったことがあるくらいだ。俺の走り方は完全に高速寄りなのだ。…フロントに3速もいらない。ロードのように2速で十分じゃないか？
多分、クロスバイクをアップデートする上では、MTB系のより高級コンポーネントに変える方が楽だっただろう。だが、自分の走り方を鑑みたときに、高速なロードバイク系のコンポーネントに交換したい、という欲求が勝ってしまった。
それからしばらく、毎晩のようにコンポーネントに関する記事や、実際に交換している人のブログなどを読み漁るようになった。特に参考になったのが、実際にクロスバイクにロード系のコンポをインストールしている人のブログだ。いろいろ読んでいると、もやもやと妄想が広がると同時に、クロスバイクのロードバイク的アップデートが思ったより複雑で難しいことも分かってきたのである。
つづく。
nobilesの投稿(01:24:29-2020-06-30) -
カテゴリ: Bicycle
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