NOBILES Days
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昨日冒頭で触れた出勤日の件だが、「事情に応じて週1回出勤も許容する」という方針が出た。良く決めてくれた！ありがたい！
もちろん俺は週4在宅勤務を申請した。満員電車自体のストレスと、（天文学的だろうけど）感染リスクを抱えて通勤するなんて馬鹿げてる。まして、家で仕事する方が効率がいいことが分かっちゃったんだから。
でも、かなり上層部には未だに在宅勤務に懐疑的な老害が控えているらしい。そこから待ったがかかる可能性もあるなんて言っていた。
マジでとっとと御隠居願いたい。
家だろうとなんだろうと、自分にあった場所でちゃんと成果を上げる人が欲しいんですか？それとも、成果なんかどうでも良くて一律に同じ場所に集まってくれる奴隷のような人が欲しいんですか？って話だよね。
さて、4年前から乗っているクロスバイクPeugeot PS02のアップグレードの話、第2回。
Peugeot PS02（買ったばかりの頃）
(PentaxK-3, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/200sec, F2.5, ISO200)
えーと、キョーミのない人にとっては全く意味の分からない互換性の話を延々とするけど、画像多めにして多少は深遠なるチャリワールドが分かるよう配慮してるので、良かったらお付き合いくださいな (^_^;。
Shimanoにおけるロード向けコンポーネントのグレードは、先述のように7階層ある。
105以上がいわゆるスポーツや競技向け、それ以下は街乗り向けという主張だ。2020年現在、105以上はリヤが11速、Tiagra10速、Sora9速、ClarisとTourney Aが8速、というように大変分かりやすい差別化がされているw。
シマノのロード向けコンポーネントのピラミッド
PS02（MTB向けのTourney TX）はリヤ8速だ。どうせ替えるのだったら、今より増やしたい。それに、同じ2016年モデルの（実際に日本で出回ったのか不明なのだが）PS01という、同じフレームを使った上位モデルが、MTB向けコンポーネントであるAcera/Altusの9速仕様だったので、それも超えたかった。その時点で「替えるならTiagra以上！」という妄想が広がった。実際、クロスバイクでも他社の10万円を超えるような上位モデル（RaleighのRadford7とか）はTiagraを搭載していた。
「...では、11速で統一された上位モデルは何が違うんだろう？」という単純な疑問が生まれた。あー、これがアカンやつだよ (^_^;。
もうカタログ上で目に見えて違うスペックがあった。軽さだ。俺がBB交換の際、Tourney TXの重さに落胆してしまったクランクが特に顕著だった。105やTiagraは大差なく900g台にも関わらず、Ultegra（アルテグラ）は700g台だった。上位モデルは、素材はもちろん、細かくコストをかけて軽量化が施されているのだ。
クランクだけでジュース1本分軽いの！？これはちょっと衝撃だった。だから「基本はTiagra」と思いながらも、「Ultegraいいなあ...」という漠然とした願望は消えなかった。
ロードのコンポをインストールする妄想が先走る俺だったが、その作業は想像以上にオオゴトであることも分かってきた。
ホローテックII向けの、軸が一体化したクランク（ネットで拾った画像）
是非導入したいホローテックIIでは、BBが新しくなる。当然、そこに刺さるクランクは専用のものに替わる。クランクが替わるとフロントのギヤ一式も替わり、その変速機（ディレーラーとシフター、それらを繋ぐケーブル）も、となる。フロントのギヤが替わればチェーンが替わるので必然的にリヤのギヤ一式（スプロケ）が替わり、よってリヤの変速機も...。さらにシフターが替われば、シフターと一体になっているブレーキレバーとケーブルも...。芋づる式である。要は駆動系はほぼ丸々一式総とっかえということになる。
これは、自分でやるとすれば、1日で終わる仕事量ではなさそうだ。
一方さまざまなサイトを見ていると、「軽くするならホイール！」「付属のホイールなんざ鉄下駄！」という意見を散々見かけた。なるほど、ホイールも数100gの単位で軽量化でき、その恩恵を体感しやすいパーツのようだ。
ホイールの交換なら、さすがにタイヤとチューブは一度剥がさなければならないが、駆動系コンポ総取っ替えに比べればはるかにハードルが低い。じゃあまずはホイールから行こうとノリノリで選定に入った。
まあまあの値段のホイールも選んで、通販のカートに入れちまおうかという時になって、俺は衝撃の事実を知る。
「ロードとクロスでは、リヤエンド幅が違う」
リヤエンド幅（Over Locknut Dimension = O.L.D.）とは、リヤタイヤを止めているフレーム最後端の内幅の寸法のことを指す。ここがロードでは130mm、クロスバイクでは135mmだというのだ。だから、基本的に両者のリヤホイールに互換性はないと思っていい。なんだってー！？
クロスバイクの中にも、たとえばGiantなんかだとロードとの互換性を高めるためと思われるが、130mmを採用している場合もあるようだ。が、俺のPS02は135mmだった。...マジかよ。
クロスバイクは比較的デザインに自由度があるMTBよりのフレームに、ロード向けの細いタイヤを付けて軽快に走れることがミソのはずなのに、リヤホイールは互換がなかったのだ！だからもともと、ロードと同じ700Cという大径タイヤ向けでありながら、O.L.D.135mm向けのホイールは、事実上クロスバイク専用の部品に近かったようだ。
ものの見事に135mmだったPS02のO.L.D.
(Panasonic DMC-GM5, Lumix G Vario 12-32mmF3.5-5.6(14.0mm), 1/60sec, F3.7, ISO320)
それでも、PS02に装着可能な、多少は軽い上級クラスのホイールがないかと調べたが、これが皆無に等しい。
これにはブレーキ方式の違いが関わっている。俺のPS02はVブレーキという、ホイールのリムを直接挟み込んで制動するタイプのブレーキを搭載している。
ところがこの数年でスポーツチャリでは、リムブレーキではなく、ホイールの内輪に備えた専用のディスクを挟んで制動するディスクブレーキ方式へ、一気に移行が進んだようなのだ。おそらくこれは、ブレーキングによってリムが傷んだらホイールごと交換する必要があったものが、ディスクだけ交換すれば良くなるからではないかと推測している。
左がPS02のVブレーキ、右がネットで拾ったディスクブレーキの画像
だからただでさえレアな700C、O.L.D.135mmのホイールで、なおかつ「リムブレーキ対応」の程度の良いものは存在しなかった orz。
よって俺はホイールの交換は諦めた。
中には、O.L.D.130mmのホイールにスペーサーをかまして装着している強者もネットにはいたが、やはり変速系などにしわ寄せがいくようで、変則的な運用を強いられるようだ。
リヤホイールが交換できないので、一気にカスタマイズ幅が減るなあ、と残念に思っていた。この時点で、今のホイール（のフリーと呼ばれるスプロケットを収めるパーツ）には9速までしか入らないと思っていたからだ。
ところがそうではなかった。
10速化の際にメーカーは、1段あたりをそれまでと同じ幅のまま増やしたら幅が広くなりすぎるので、チェーンを含めて薄型化したそうだ。結果、10速のリヤスプロケットは、8、9速のそれより幅が狭く、1mmのスペーサーを使用して8速用のホイールにも嵌ることが分かった。
逆に11速は10速から単純に1速分増やしただけなので、8、9速より幅が広く、ホイールは11速専用を必要とするそうだ。
おお！じゃあ今のホイールのまま10速化はやっぱり可能じゃないか！またやる気と妄想が復活した。
テンションが戻ってきたところで、またあの欲求が首をもたげてくる。競技向けの上級グレード、Ultegraにしたい。軽いやつにしたい。でも、新品で一式揃えると10万に迫る金額になるし、そもそも11速だから俺のホイールには対応していない。
いや待てよ。Ultegraにも10速の時代があったんじゃないか？
そう、現行から2世代遡ると、Ultegraも10速だった。しかも、中古をあたれば現行型の半分程度の金額で揃えられそうだ。もうこれでいくしかない。Ultegraの6700シリーズだ！妄想が広がっていった。
Ultegra6700で行くのはいいが、同じ2x10速でも、そのギヤ組み合わせにはバリエーションがある。
ちなみに題名の「スプロケ」とはスプロケットの略で、歯車、つまりギヤのことだ。自転車で「スプロケ」と言えば、複数のギヤを組み合わせた一塊りのことを指すように思われる。
クランクがあるフロントの方はかなりシンプルだ。通常仕様は高速側が52歯／低速が39歯の2枚だが、より低速寄りの50-34という「コンパクトクランク」、ギヤ3枚の52-39-30という仕様もあるようだ。
先述したように、Tourney TXの3枚ギヤのクランクの重さに驚いてアップグレードを決意した俺としては、3枚仕様というのは最初からなかった。と言って、42-34-24構成のクロスバイクからいきなり52-39で行けるのか不安もあったので、ショートクランクにしよう、と決めた。
また、クランクの長さ自体にも170mmを中心にして、165、172.5、175mmといったバリエーションがあるようだ。身長のほか、足首の柔軟性が高ければ長いクランクを使った方が脚力を生かせるようだ。こちらは、PS02オリジナルと同じ、170mmにしておくか。
一方、リヤの方は複雑だ。Ultegra6700シリーズには、歯数の幅で11-28、12-25、12-32など数多くのバリエーションがあるようだ。
フロントと逆でリヤは、歯数が少ない方がより高速になる。また12-25のように、ギヤ比が近いセットの方が細かくギヤを切り替えて、一番効率良い段を選択しやすくなる（クロスレシオ）が、かなり高速寄りのギヤに偏っていて、登り坂は辛くなりそうだ。
また、チェーンを付け替えて変速する働きのあるディレイラーにも種類がある。小さくて素早い変速ができるのがショートケージというタイプだが、一定以上歯数が大きい低速ギヤには対応できない制限がある。その場合はロングケージを装着することになる。ショートケージは歯数28まで対応できるようだ（計算式があるのだが、ここでは割愛する）。
左がショートケージ、右がロングケージ。ショートの方がかっこよくない？俺だけ？
俺の通勤路にはそれなりに登り坂もある。高速寄りのクロスレシオ仕様でいけるのかどうか不安があった。
でも...ショートケージは「いかにもロード」という感じでカッコいい。もはや見栄以外のなにものでもないが、最初からショートケージしか選択肢はなかった。
なので、ショートケージに対応した最大ギヤのある11-28を選ぶことにした。
俄然、旧型Ultegra10速化の熱が上がってきた俺。ますます具体的な妄想を深めていく。
でも、ハンドルはどうするんだ？
PS02はクロスバイクなので、ハンドルは横1直線のフラットバーだ。
一方、ロードバイクは、強い前傾姿勢をとれるよう、いわゆるドロップハンドル（ドロハン）という、グリップ部分がより低くなるよう湾曲したハンドルを搭載している。ママチャリなどは、ドロハンとは逆にグリップ側が高くなる湾曲ハンドルを搭載して、身体を起こして楽に乗れるようになっているが、速く走るにはプランクでもするように前傾してペダルを踏み下ろす脚にしっかり重心が乗るようにするべきだ。
左がPS02のフラットバーハンドル、右がネットで拾ったドロップハンドルの画像
コンポーネントをロードのものにするなら、ハンドルもロードと同じドロハンに替えるのか。
技術的には可能だ。各種レバーやケーブルも対応したものに交換が必要でそれなりにオオゴトにはなりそうだが、どうせコンポ総取っ替えなら同じことだ。
だが、PS02はあくまでクロスバイクだ。フラットバーを前提に設計されたフレームだ。一般に、フラットバーはドロハンよりもサドルからの距離を長く取られているそうだ。
無理にドロハンにしても厳しいライドポジションになるだけだ。フラットバーのままにしよう。ここは譲りたくなかった（じゃあ分相応のコンポにしとけよ？？）。
ハンドルはフラットバーのまま、と決めた。
だがそうすると、ギヤチェンジを手元で行うシフターに困る。
かつてはUltegraグレードのフラットバー向けのシフターのラインナップもあったようだが、今では入手が難しい。現行Tiagraに10速対応のものがあったので、これで行けそうだと踏んだ。ブレーキレバーも同じTiagraで統一できそうだ。
だがしばらくして、また俺は衝撃の事実を目にする。
「Shimanoの旧10速と現行の10速（Tiagra4700やMTB系）に互換性はない」
えっ？どういうこと？
端的に言えば、俺が買おうと思っていたTiagraグレードのシフターでは、Ultegraの旧仕様10速のリアディレイラーを引けないというのだ。
ホイールの項で、10速のリヤスプロケは8、9速より1mm幅が狭いと述べた。だがこれはいわゆる「旧仕様」の話だ。現行の10速Tiagra4700のリヤスプロケは8、9速と同じ幅だというのだ。ギヤの横幅が違うので、そこにチェーンをかけるディレイラーの可動域も異なるし、それを引くシフターの引き量も異なる、というわけだ。また芋づる式だ！
恐らく、旧10速でギヤやチェーンを大幅に薄型化したが、それではコスト的にリーズナブルではなかったのだろう。それで現行Tiagraでは新しい金型を起こしてでも厚くした方が安くできたんだろう。
うああ、じゃあギヤとディレイラーはUltegraで、シフターだけTiagraというのは無理なのか...？
だが！
Tiagraの前の世代は幅の狭い旧10速仕様だった。Tiagra SL-4600なら、6700のディレイラーを引ける！しかも、探せばそこそこ中古のタマが出回っているようだ。ブレーキレバーの方は4700でも問題なさそうだと分かった。
いやあ、それにしてもワナだらけだ。針の穴を通すような互換性だ。まあ、クロスバイクにロードのコンポを突っ込もうということ自体がいろいろ無茶なんだけど。
誰かが「パソコンを自作する時の互換性を調べるのに似ている」なんて言っていた。
ドライブトレインは機構系Ultegra6700、操作系Tiagra4600という形で固まってきた。
じゃあ制動系は？
制動系はこれまたクロスバイクとロードでは形式が違う。少なくとも俺のPS02の世代では。
先述したようにPS02はVブレーキという、ホイールのリムをシューで挟み込む形式だ。テコの原理で強力に挟み込み、高い制動力を誇る。「止める」ことに秀でたブレーキだ。かつてはロードでも採用例はあったようだ。
一方ロードではキャリパーブレーキが一般的だ。これもリムをシューで挟み込むものだが、制動力はVブレーキほど高くはない。そのかわり、速度調節がしやすいのだそうだ。
またこれも先述したように、クロスバイク、ロード、MTB問わず、リムブレーキから、ディスクブレーキへの移行が急速に進んでいる。キャリパーはまだ多いが、Vブレーキは急速に数が減っている。
ここで重要なことは、ブレーキ方式は基本的にフレームに依存する、ということだ。
いずれも、タイヤに対してブレーキを取り付ける位置が異なっている。だからもしPS02にVブレーキ以外を付けようとすれば、フレームの改造が必要になる。これは避けたい。
ホイールと比べると、Vブレーキはまだそれなりに新品の選択肢はないこともない。今回の刷新には含めなくて良いかな、という気になった。
さて、ここまで書いてきたこと。実は全て実体を伴っていなかった！すなわち、ネットなどで情報を収集しているだけで、何も買ってないし、実体のチャリは何も変えていなかった。
もし少しずつでも替えていけるなら、やりようもあったが、先述のように、クランク交換を伴う駆動系は一気にやる必要があったからだ。
それにここまで書いてきたように互換性は針の穴を通すような細かいものだったので、果たして調査した通りに実物でできるのかという不安もあった。
だが、2019年の8月だったろうか、ついうっかりヤフオクでUltegraのフロントディレイラーFD-6700を落札してしまった。
もう実物を一部でも買ってしまったので、ここからは止まってはならなくなった。
旧型で程度の良い中古をヤフオクや通販で探し漁った。うーん、妄想時とやることは大して変わっていないが、少なくとも、後戻りはどんどんしづらくなっていったことは間違いない。
今回最大の大物にして主目的であるクランクも、程度の良いものが14000円弱で手に入った。
しかし、当初あまり意識に入っていなかった大事なものの調査が済んでいないことに、秋になってようやく気づくのである。
つづく。
もちろん俺は週4在宅勤務を申請した。満員電車自体のストレスと、（天文学的だろうけど）感染リスクを抱えて通勤するなんて馬鹿げてる。まして、家で仕事する方が効率がいいことが分かっちゃったんだから。
でも、かなり上層部には未だに在宅勤務に懐疑的な老害が控えているらしい。そこから待ったがかかる可能性もあるなんて言っていた。
マジでとっとと御隠居願いたい。
家だろうとなんだろうと、自分にあった場所でちゃんと成果を上げる人が欲しいんですか？それとも、成果なんかどうでも良くて一律に同じ場所に集まってくれる奴隷のような人が欲しいんですか？って話だよね。
さて、4年前から乗っているクロスバイクPeugeot PS02のアップグレードの話、第2回。
Peugeot PS02（買ったばかりの頃）
(PentaxK-3, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/200sec, F2.5, ISO200)
えーと、キョーミのない人にとっては全く意味の分からない互換性の話を延々とするけど、画像多めにして多少は深遠なるチャリワールドが分かるよう配慮してるので、良かったらお付き合いくださいな (^_^;。
●軽さの観点で見ると、最上位2グレードとそれ以下では歴然たる差がある
Shimanoにおけるロード向けコンポーネントのグレードは、先述のように7階層ある。
105以上がいわゆるスポーツや競技向け、それ以下は街乗り向けという主張だ。2020年現在、105以上はリヤが11速、Tiagra10速、Sora9速、ClarisとTourney Aが8速、というように大変分かりやすい差別化がされているw。
シマノのロード向けコンポーネントのピラミッド
PS02（MTB向けのTourney TX）はリヤ8速だ。どうせ替えるのだったら、今より増やしたい。それに、同じ2016年モデルの（実際に日本で出回ったのか不明なのだが）PS01という、同じフレームを使った上位モデルが、MTB向けコンポーネントであるAcera/Altusの9速仕様だったので、それも超えたかった。その時点で「替えるならTiagra以上！」という妄想が広がった。実際、クロスバイクでも他社の10万円を超えるような上位モデル（RaleighのRadford7とか）はTiagraを搭載していた。
「...では、11速で統一された上位モデルは何が違うんだろう？」という単純な疑問が生まれた。あー、これがアカンやつだよ (^_^;。
もうカタログ上で目に見えて違うスペックがあった。軽さだ。俺がBB交換の際、Tourney TXの重さに落胆してしまったクランクが特に顕著だった。105やTiagraは大差なく900g台にも関わらず、Ultegra（アルテグラ）は700g台だった。上位モデルは、素材はもちろん、細かくコストをかけて軽量化が施されているのだ。
クランクだけでジュース1本分軽いの！？これはちょっと衝撃だった。だから「基本はTiagra」と思いながらも、「Ultegraいいなあ...」という漠然とした願望は消えなかった。
●ホローテックII化はオオゴト
ロードのコンポをインストールする妄想が先走る俺だったが、その作業は想像以上にオオゴトであることも分かってきた。
ホローテックII向けの、軸が一体化したクランク（ネットで拾った画像）
是非導入したいホローテックIIでは、BBが新しくなる。当然、そこに刺さるクランクは専用のものに替わる。クランクが替わるとフロントのギヤ一式も替わり、その変速機（ディレーラーとシフター、それらを繋ぐケーブル）も、となる。フロントのギヤが替わればチェーンが替わるので必然的にリヤのギヤ一式（スプロケ）が替わり、よってリヤの変速機も...。さらにシフターが替われば、シフターと一体になっているブレーキレバーとケーブルも...。芋づる式である。要は駆動系はほぼ丸々一式総とっかえということになる。
これは、自分でやるとすれば、1日で終わる仕事量ではなさそうだ。
●クロスバイク向けのリヤホイールに選択肢なし
一方さまざまなサイトを見ていると、「軽くするならホイール！」「付属のホイールなんざ鉄下駄！」という意見を散々見かけた。なるほど、ホイールも数100gの単位で軽量化でき、その恩恵を体感しやすいパーツのようだ。
ホイールの交換なら、さすがにタイヤとチューブは一度剥がさなければならないが、駆動系コンポ総取っ替えに比べればはるかにハードルが低い。じゃあまずはホイールから行こうとノリノリで選定に入った。
まあまあの値段のホイールも選んで、通販のカートに入れちまおうかという時になって、俺は衝撃の事実を知る。
「ロードとクロスでは、リヤエンド幅が違う」
リヤエンド幅（Over Locknut Dimension = O.L.D.）とは、リヤタイヤを止めているフレーム最後端の内幅の寸法のことを指す。ここがロードでは130mm、クロスバイクでは135mmだというのだ。だから、基本的に両者のリヤホイールに互換性はないと思っていい。なんだってー！？
クロスバイクの中にも、たとえばGiantなんかだとロードとの互換性を高めるためと思われるが、130mmを採用している場合もあるようだ。が、俺のPS02は135mmだった。...マジかよ。
クロスバイクは比較的デザインに自由度があるMTBよりのフレームに、ロード向けの細いタイヤを付けて軽快に走れることがミソのはずなのに、リヤホイールは互換がなかったのだ！だからもともと、ロードと同じ700Cという大径タイヤ向けでありながら、O.L.D.135mm向けのホイールは、事実上クロスバイク専用の部品に近かったようだ。
ものの見事に135mmだったPS02のO.L.D.
(Panasonic DMC-GM5, Lumix G Vario 12-32mmF3.5-5.6(14.0mm), 1/60sec, F3.7, ISO320)
それでも、PS02に装着可能な、多少は軽い上級クラスのホイールがないかと調べたが、これが皆無に等しい。
これにはブレーキ方式の違いが関わっている。俺のPS02はVブレーキという、ホイールのリムを直接挟み込んで制動するタイプのブレーキを搭載している。
ところがこの数年でスポーツチャリでは、リムブレーキではなく、ホイールの内輪に備えた専用のディスクを挟んで制動するディスクブレーキ方式へ、一気に移行が進んだようなのだ。おそらくこれは、ブレーキングによってリムが傷んだらホイールごと交換する必要があったものが、ディスクだけ交換すれば良くなるからではないかと推測している。
左がPS02のVブレーキ、右がネットで拾ったディスクブレーキの画像
だからただでさえレアな700C、O.L.D.135mmのホイールで、なおかつ「リムブレーキ対応」の程度の良いものは存在しなかった orz。
よって俺はホイールの交換は諦めた。
中には、O.L.D.130mmのホイールにスペーサーをかまして装着している強者もネットにはいたが、やはり変速系などにしわ寄せがいくようで、変則的な運用を強いられるようだ。
●8速ホイールに10速のスプロケは装着できる
リヤホイールが交換できないので、一気にカスタマイズ幅が減るなあ、と残念に思っていた。この時点で、今のホイール（のフリーと呼ばれるスプロケットを収めるパーツ）には9速までしか入らないと思っていたからだ。
ところがそうではなかった。
10速化の際にメーカーは、1段あたりをそれまでと同じ幅のまま増やしたら幅が広くなりすぎるので、チェーンを含めて薄型化したそうだ。結果、10速のリヤスプロケットは、8、9速のそれより幅が狭く、1mmのスペーサーを使用して8速用のホイールにも嵌ることが分かった。
逆に11速は10速から単純に1速分増やしただけなので、8、9速より幅が広く、ホイールは11速専用を必要とするそうだ。
おお！じゃあ今のホイールのまま10速化はやっぱり可能じゃないか！またやる気と妄想が復活した。
●Ultegraの旧型10速で組みたい
テンションが戻ってきたところで、またあの欲求が首をもたげてくる。競技向けの上級グレード、Ultegraにしたい。軽いやつにしたい。でも、新品で一式揃えると10万に迫る金額になるし、そもそも11速だから俺のホイールには対応していない。
いや待てよ。Ultegraにも10速の時代があったんじゃないか？
そう、現行から2世代遡ると、Ultegraも10速だった。しかも、中古をあたれば現行型の半分程度の金額で揃えられそうだ。もうこれでいくしかない。Ultegraの6700シリーズだ！妄想が広がっていった。
●どのスプロケにするか
Ultegra6700で行くのはいいが、同じ2x10速でも、そのギヤ組み合わせにはバリエーションがある。
ちなみに題名の「スプロケ」とはスプロケットの略で、歯車、つまりギヤのことだ。自転車で「スプロケ」と言えば、複数のギヤを組み合わせた一塊りのことを指すように思われる。
クランクがあるフロントの方はかなりシンプルだ。通常仕様は高速側が52歯／低速が39歯の2枚だが、より低速寄りの50-34という「コンパクトクランク」、ギヤ3枚の52-39-30という仕様もあるようだ。
先述したように、Tourney TXの3枚ギヤのクランクの重さに驚いてアップグレードを決意した俺としては、3枚仕様というのは最初からなかった。と言って、42-34-24構成のクロスバイクからいきなり52-39で行けるのか不安もあったので、ショートクランクにしよう、と決めた。
また、クランクの長さ自体にも170mmを中心にして、165、172.5、175mmといったバリエーションがあるようだ。身長のほか、足首の柔軟性が高ければ長いクランクを使った方が脚力を生かせるようだ。こちらは、PS02オリジナルと同じ、170mmにしておくか。
一方、リヤの方は複雑だ。Ultegra6700シリーズには、歯数の幅で11-28、12-25、12-32など数多くのバリエーションがあるようだ。
フロントと逆でリヤは、歯数が少ない方がより高速になる。また12-25のように、ギヤ比が近いセットの方が細かくギヤを切り替えて、一番効率良い段を選択しやすくなる（クロスレシオ）が、かなり高速寄りのギヤに偏っていて、登り坂は辛くなりそうだ。
また、チェーンを付け替えて変速する働きのあるディレイラーにも種類がある。小さくて素早い変速ができるのがショートケージというタイプだが、一定以上歯数が大きい低速ギヤには対応できない制限がある。その場合はロングケージを装着することになる。ショートケージは歯数28まで対応できるようだ（計算式があるのだが、ここでは割愛する）。
左がショートケージ、右がロングケージ。ショートの方がかっこよくない？俺だけ？
俺の通勤路にはそれなりに登り坂もある。高速寄りのクロスレシオ仕様でいけるのかどうか不安があった。
でも...ショートケージは「いかにもロード」という感じでカッコいい。もはや見栄以外のなにものでもないが、最初からショートケージしか選択肢はなかった。
なので、ショートケージに対応した最大ギヤのある11-28を選ぶことにした。
●ハンドルどうするんだ問題
俄然、旧型Ultegra10速化の熱が上がってきた俺。ますます具体的な妄想を深めていく。
でも、ハンドルはどうするんだ？
PS02はクロスバイクなので、ハンドルは横1直線のフラットバーだ。
一方、ロードバイクは、強い前傾姿勢をとれるよう、いわゆるドロップハンドル（ドロハン）という、グリップ部分がより低くなるよう湾曲したハンドルを搭載している。ママチャリなどは、ドロハンとは逆にグリップ側が高くなる湾曲ハンドルを搭載して、身体を起こして楽に乗れるようになっているが、速く走るにはプランクでもするように前傾してペダルを踏み下ろす脚にしっかり重心が乗るようにするべきだ。
左がPS02のフラットバーハンドル、右がネットで拾ったドロップハンドルの画像
コンポーネントをロードのものにするなら、ハンドルもロードと同じドロハンに替えるのか。
技術的には可能だ。各種レバーやケーブルも対応したものに交換が必要でそれなりにオオゴトにはなりそうだが、どうせコンポ総取っ替えなら同じことだ。
だが、PS02はあくまでクロスバイクだ。フラットバーを前提に設計されたフレームだ。一般に、フラットバーはドロハンよりもサドルからの距離を長く取られているそうだ。
無理にドロハンにしても厳しいライドポジションになるだけだ。フラットバーのままにしよう。ここは譲りたくなかった（じゃあ分相応のコンポにしとけよ？？）。
●旧10速コンポと現行Tiagra10速に互換性はない
ハンドルはフラットバーのまま、と決めた。
だがそうすると、ギヤチェンジを手元で行うシフターに困る。
かつてはUltegraグレードのフラットバー向けのシフターのラインナップもあったようだが、今では入手が難しい。現行Tiagraに10速対応のものがあったので、これで行けそうだと踏んだ。ブレーキレバーも同じTiagraで統一できそうだ。
だがしばらくして、また俺は衝撃の事実を目にする。
「Shimanoの旧10速と現行の10速（Tiagra4700やMTB系）に互換性はない」
えっ？どういうこと？
端的に言えば、俺が買おうと思っていたTiagraグレードのシフターでは、Ultegraの旧仕様10速のリアディレイラーを引けないというのだ。
ホイールの項で、10速のリヤスプロケは8、9速より1mm幅が狭いと述べた。だがこれはいわゆる「旧仕様」の話だ。現行の10速Tiagra4700のリヤスプロケは8、9速と同じ幅だというのだ。ギヤの横幅が違うので、そこにチェーンをかけるディレイラーの可動域も異なるし、それを引くシフターの引き量も異なる、というわけだ。また芋づる式だ！
恐らく、旧10速でギヤやチェーンを大幅に薄型化したが、それではコスト的にリーズナブルではなかったのだろう。それで現行Tiagraでは新しい金型を起こしてでも厚くした方が安くできたんだろう。
うああ、じゃあギヤとディレイラーはUltegraで、シフターだけTiagraというのは無理なのか...？
だが！
Tiagraの前の世代は幅の狭い旧10速仕様だった。Tiagra SL-4600なら、6700のディレイラーを引ける！しかも、探せばそこそこ中古のタマが出回っているようだ。ブレーキレバーの方は4700でも問題なさそうだと分かった。
いやあ、それにしてもワナだらけだ。針の穴を通すような互換性だ。まあ、クロスバイクにロードのコンポを突っ込もうということ自体がいろいろ無茶なんだけど。
誰かが「パソコンを自作する時の互換性を調べるのに似ている」なんて言っていた。
●ブレーキどうするんだ問題
ドライブトレインは機構系Ultegra6700、操作系Tiagra4600という形で固まってきた。
じゃあ制動系は？
制動系はこれまたクロスバイクとロードでは形式が違う。少なくとも俺のPS02の世代では。
先述したようにPS02はVブレーキという、ホイールのリムをシューで挟み込む形式だ。テコの原理で強力に挟み込み、高い制動力を誇る。「止める」ことに秀でたブレーキだ。かつてはロードでも採用例はあったようだ。
一方ロードではキャリパーブレーキが一般的だ。これもリムをシューで挟み込むものだが、制動力はVブレーキほど高くはない。そのかわり、速度調節がしやすいのだそうだ。
またこれも先述したように、クロスバイク、ロード、MTB問わず、リムブレーキから、ディスクブレーキへの移行が急速に進んでいる。キャリパーはまだ多いが、Vブレーキは急速に数が減っている。
ここで重要なことは、ブレーキ方式は基本的にフレームに依存する、ということだ。
いずれも、タイヤに対してブレーキを取り付ける位置が異なっている。だからもしPS02にVブレーキ以外を付けようとすれば、フレームの改造が必要になる。これは避けたい。
ホイールと比べると、Vブレーキはまだそれなりに新品の選択肢はないこともない。今回の刷新には含めなくて良いかな、という気になった。
●妄想と現実の邂逅点、その端緒はヤフオク
さて、ここまで書いてきたこと。実は全て実体を伴っていなかった！すなわち、ネットなどで情報を収集しているだけで、何も買ってないし、実体のチャリは何も変えていなかった。
もし少しずつでも替えていけるなら、やりようもあったが、先述のように、クランク交換を伴う駆動系は一気にやる必要があったからだ。
それにここまで書いてきたように互換性は針の穴を通すような細かいものだったので、果たして調査した通りに実物でできるのかという不安もあった。
だが、2019年の8月だったろうか、ついうっかりヤフオクでUltegraのフロントディレイラーFD-6700を落札してしまった。
もう実物を一部でも買ってしまったので、ここからは止まってはならなくなった。
旧型で程度の良い中古をヤフオクや通販で探し漁った。うーん、妄想時とやることは大して変わっていないが、少なくとも、後戻りはどんどんしづらくなっていったことは間違いない。
今回最大の大物にして主目的であるクランクも、程度の良いものが14000円弱で手に入った。
しかし、当初あまり意識に入っていなかった大事なものの調査が済んでいないことに、秋になってようやく気づくのである。
つづく。
nobilesの投稿(17:12:44-2020-07-05) -
カテゴリ: Bicycle
コメント
eh wrote:
2020-07-06 07:27:21
nobiles wrote:
あっ、ショートはクランク自体の長さですね。ありがとうございます、修正します！ チャリの話題に食いついてくるehさんは、Pな（だった）E.H.さんで良いのかな？？
2020-07-09 22:36:09
eh wrote:
そうです、予想通りの私です。
クランクの付け替えは数え切れない程やりましたが、それ以外はやったことないです。
強烈な改造だと関心してます。
クランクの付け替えは数え切れない程やりましたが、それ以外はやったことないです。
強烈な改造だと関心してます。
2020-07-10 01:07:56
nobiles wrote:
ああ、あのehさんでw。あー、そんなもんなのかな。乗り鉄と撮り鉄みたいなもので（乗りチャリといじりチャリ？）。
ちょっとやんごとなき理由で、同じ部品をいくつか持ってて付け替えたりしてるうちに、「互換性さえクリアすれば、グレードアップ自分でできんじゃね？」と自信を深めてしまいました。
ちょっとやんごとなき理由で、同じ部品をいくつか持ってて付け替えたりしてるうちに、「互換性さえクリアすれば、グレードアップ自分でできんじゃね？」と自信を深めてしまいました。
2020-07-11 21:47:25
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