NOBILES Days
Jump to navigationDai-Sak-Kai 4
さあ、コンサートの開始だ。
前日に必死にミュージシャンのプロフィールを調べた原稿をたどたどしく読み上げて、バトンタッチする。せめて、まともな台本作っていてくれればよかったのに。せめて、昨日CDが受け取れていれば説得力のある紹介ができたのに。
ともかくも、演奏が始まる。
ぱれお氏の撮影したコンサートの模様（使わせていただきました (^_^;）。
このように上のテラスからも良く見えたらしい。
滑らかなサックスの音色を中心とした優しいジャズサウンドが吹き抜けの壁に余韻を残しながら夜空に溶け込んでいく。白熱灯の照明に照らされたウッドデッキは（通り雨が降ったこともあって(大汗)）、日中の暑さを忘れさせるかのように涼しげな雰囲気に変化していた。これは想像以上にロマンティックだ。
例年の納涼祭のステージでは、酒が出ることもあってノリ一辺倒で騒ぐ輩が現れるのだが、今回のこの圧倒的な滑らかな演奏にはさすがに引き込まれて皆じっと真剣に聴き入っている。いや、これはさすがだ。
と、曲間にキーボーディストが振り返り、人差し指を上に向けるジェスチャーをしている。もっと大きくして欲しいということらしい。ミキサーに近づき、キーボードの音量を上げる。
俺は一応バンドマンではあるが、正直言って、練習中に自分のキーボードの音が鳴ればいい程度の知識しかない。ライブ本番なんてもちろんライブハウスにお任せだ。そんな俺がプロの演奏のPAをしてしまっている事実に寒気を感じる。...と、音に何か違和感を感じる。
次の曲間で今度はベーシストに呼ばれる。「キーボード音ビビってますよ」...わー、やっぱりぃ。
うまくビビりを消せないでいると、観客として座っていた後輩が来てくれた。どうもDI（＝ダイレクトインジェクションボックス。インピーダンスを変換し、長距離伝送にも強いバランス端子に変換する機器）の設定がまずかったらしい。俺、普段DIなんて使わーねーもん。分かんないって。もしも彼がいなかったら...なんと恐ろしいことだ...。まあ、気を利かせてDIつないだのも彼なんだが (^-^;。
冷や汗かきつつ、せめて静かなバラードを紡ぎ始めた演奏をしっかり楽しもうと思ってまた腰を下ろした瞬間。
「ぎゃははははは」
頭上から爆笑が響き渡る。階上のテラスの喫煙所に人が出てきて、大声で喋っているようなのだ。静かなバラードが台無しである。観客の数人が驚いて立ち上がり、上に向かって必死にジェスチャーをするがそれは届いていないようで、しばらく笑い声は収まらなかった。またしてもミュージシャンに対して失礼の上塗りである。
下で演奏してるんだから静かにするくらい当たり前のマナーだが、ここはお酒も出ているお祭りなのだ。多少歯止めがきかないことだってある。テラスの扉に注意くらい貼っておけば違ったはずだ。
あー、もう心労で困憊だ。
それでも、そんな俺とは無縁に演奏はどんどん冴え渡り、観客もぐいぐい引き込まれていく。そして最後の曲を弾き終わると大喝采がウッドデッキを包んだ。いやはや、さすがプロだ。こんなシロートPAでも人を感動させる演奏をできるというのは本当に素晴らしい。
こんな喝采の中に無粋な言葉で〆に入らなければならない司会者の惨めさ。もう言葉なんていらないでしょ。...なんて思っていると
「アンコール！アンコール！」
なんと予想しえなかったアンコールの大合唱である。
続く。
前日に必死にミュージシャンのプロフィールを調べた原稿をたどたどしく読み上げて、バトンタッチする。せめて、まともな台本作っていてくれればよかったのに。せめて、昨日CDが受け取れていれば説得力のある紹介ができたのに。
ともかくも、演奏が始まる。
ぱれお氏の撮影したコンサートの模様（使わせていただきました (^_^;）。
このように上のテラスからも良く見えたらしい。
滑らかなサックスの音色を中心とした優しいジャズサウンドが吹き抜けの壁に余韻を残しながら夜空に溶け込んでいく。白熱灯の照明に照らされたウッドデッキは（通り雨が降ったこともあって(大汗)）、日中の暑さを忘れさせるかのように涼しげな雰囲気に変化していた。これは想像以上にロマンティックだ。
例年の納涼祭のステージでは、酒が出ることもあってノリ一辺倒で騒ぐ輩が現れるのだが、今回のこの圧倒的な滑らかな演奏にはさすがに引き込まれて皆じっと真剣に聴き入っている。いや、これはさすがだ。
と、曲間にキーボーディストが振り返り、人差し指を上に向けるジェスチャーをしている。もっと大きくして欲しいということらしい。ミキサーに近づき、キーボードの音量を上げる。
俺は一応バンドマンではあるが、正直言って、練習中に自分のキーボードの音が鳴ればいい程度の知識しかない。ライブ本番なんてもちろんライブハウスにお任せだ。そんな俺がプロの演奏のPAをしてしまっている事実に寒気を感じる。...と、音に何か違和感を感じる。
次の曲間で今度はベーシストに呼ばれる。「キーボード音ビビってますよ」...わー、やっぱりぃ。
うまくビビりを消せないでいると、観客として座っていた後輩が来てくれた。どうもDI（＝ダイレクトインジェクションボックス。インピーダンスを変換し、長距離伝送にも強いバランス端子に変換する機器）の設定がまずかったらしい。俺、普段DIなんて使わーねーもん。分かんないって。もしも彼がいなかったら...なんと恐ろしいことだ...。まあ、気を利かせてDIつないだのも彼なんだが (^-^;。
冷や汗かきつつ、せめて静かなバラードを紡ぎ始めた演奏をしっかり楽しもうと思ってまた腰を下ろした瞬間。
「ぎゃははははは」
頭上から爆笑が響き渡る。階上のテラスの喫煙所に人が出てきて、大声で喋っているようなのだ。静かなバラードが台無しである。観客の数人が驚いて立ち上がり、上に向かって必死にジェスチャーをするがそれは届いていないようで、しばらく笑い声は収まらなかった。またしてもミュージシャンに対して失礼の上塗りである。
下で演奏してるんだから静かにするくらい当たり前のマナーだが、ここはお酒も出ているお祭りなのだ。多少歯止めがきかないことだってある。テラスの扉に注意くらい貼っておけば違ったはずだ。
あー、もう心労で困憊だ。
それでも、そんな俺とは無縁に演奏はどんどん冴え渡り、観客もぐいぐい引き込まれていく。そして最後の曲を弾き終わると大喝采がウッドデッキを包んだ。いやはや、さすがプロだ。こんなシロートPAでも人を感動させる演奏をできるというのは本当に素晴らしい。
こんな喝采の中に無粋な言葉で〆に入らなければならない司会者の惨めさ。もう言葉なんていらないでしょ。...なんて思っていると
「アンコール！アンコール！」
なんと予想しえなかったアンコールの大合唱である。
続く。
nobilesの投稿(23:04:00-2007-08-29) -
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