NOBILES Days
Jump to navigationF-1 Machine Trend 2009(2)
今日は麻布十番に用事があったのだが（遊びではない、念のため）、割と電車の乗り換えが面倒なので...乗り換えの必要の無い品川から3.3km歩いた。なんだその論理は (′Д`;。
そんなこんなで今日は18000歩を超えた。育休中はなかなか歩き回らず身体が鈍っていたので、いい運動になった。
ああ、今話題の京品ホテルも横目に見た。確かに、ベニヤ板が貼られていた。
さて、F-1マシン2009トレンド。徐々に目を後方へと移していこう。
FerrariF60
相変わらずポンツーンの下側は深く彫り込まれていることが分かる
これまでディフレクター（バージボード）が百花繚乱であったフロントタイヤ後方、サイドポンツーン前方のエリアは、基本的にボディワークが禁止された。そのためほとんど全車が、規定範囲内となるモノコック底部の脇とポンツーン前端の脇に小型の整流板を装着しているのみで、まさに規定どおり、近年では稀にみるシンプルな外観となった。
また、今季よりエンジンの最高回転数が18000rpmに制限されることにより、冷却に要する空気が減ることにより、ラジエターインレットのデザインはさらに自由度を増すことになった。
ここ最近のラジエターインレットを高い位置に設定する手法や、サイドポンツーンのスキャロップド（扇型）は、ハイノーズによってもたらされた流速の速いエネルギーを持った空気の流れを、スムースにマシンのサイドへと導き、コークボトルを通じてディフューザ上面へ流し、ダウンフォースへと寄与させる狙いから生まれた。一応今の流行の起源は、2003年のフェラーリF2003GAが作ったと言えるのだが、実はこの思想自体はハイノーズが発生した（’88年のマーチ881〜’90年のティレル019）直後から何度も生まれては消えて来たという歴史がある。
最近の空力トレンドの始祖と言えるFerrariF2003GA (2003年)
何と言っても’92年のフェラーリF92Aである。ハイノーズのティレル019を生み出したジャン・クロード・ミジョーによって生み出され、ダブルデッカーと言われたこのマシンは紛れも無く、こうした思想の元に生まれた究極の形である。しかし、F92AはV12エンジンを冷やす巨大なラジエターを15cmも高い位置に設置したために重心が上昇し大失敗作となった。
ダブルデッカーFerrariF92A (1992年)
より現実的な形でスキャロップドポンツーンを導入したマシンが、実は同年登場していた。この年を以て撤退する弱小チームフォンドメタルである。セルジオ・リンランドによるGR02はポンツーンの下部をくびれさせて空気の流路を設定していた。GR02の全体的なデザインは一部で高い評価を得たが、残念ながらチーム力の衰退には勝てず、大きな成果を上げること無く消えることとなった。
FondmetalGR02 (1992年)
ポンツーンの下側がくびれているのが分かるだろうか？
’94年にもまた動きがあった。
一つは、またしてもフェラーリ。今度はジョン・バーナードによる412T1だ。実はバーナードは’83年のマクラーレンMP4でコークボトルを、’88年フェラーリ639で空力コンシャスの極めて長いポンツーンを導入するなど、サイドの空気の流れに非常に強いこだわりを持っていた。この412T1はラジエターインレットがかなり高いところにあり、その下にはサイドへと空気を導く流路を確保している一方、ポンツーンの後端は極めて低められており、空力のコンセプトとしては7,8年後の流行を先取りしていたと言って良い。
Ferrari412T1 (1994年)
ところが、その頃フェラーリの搭載していたのは3.5リッターV12エンジンだった。極めて重く、燃費も悪い。さらには出力でもトップクラスのV10ルノーRS5に劣っていたとさえ言われる。結局412T1はシーズン途中でグスタフ・ブルナーによって凡庸な412T1Bへと改造されてしまった。
もう一つの動きはスクーデリア・イタリアと統合したミナルディであった。アルド・コスタによるM194はまさにハイインレットに、ポンツーン前部から後部まで続くスキャロップを持つ現代的コンセプトを持つマシンであった。しかし、悲しいかな弱小チームのミナルディ。やはり目を見張る活躍をできるほどの力は無く、このコンセプトも一年で消えてしまった。
興味深いことに、アルド・コスタは今フェラーリのテクニカルにディレクターに収まっている。
MinardiM194 (1994年)
これもポンツーン下側がくびれている。
一方、バーナードは’95年は超コンサバな412T2をデザインしたものの、新しいV10とミヒャエル・シューマッハーを手にした’96年にも再び新しいコンセプトを試している。F310である。これはF92Aのようなモノコックから離れた独立インレットを持つ一方、後半部は一般のポンツーンとなっていて、ラジエターは低い位置に置かれていた。
FerrariF310 (1996年)
だが、それ以外の空力コンセプトは極めてコンサバとなってしまった（他車全てがつり下げウィングに移行していた中ノーズ直づけウィングにこだわったり、規則を厳格に解釈した巨大なドライバープロテクターを装備したり）ことと、新V10エンジンの熟成不足から、ミヒャエルの超人的ドライビングによる3勝のみに終わると同時に、’94年と同じく、またしてもグスタフ・ブルナーによるBタイプのシーズン中の投入という事態になってしまったのである。
2001年には、ホンダエンジンを搭載したジョーダンがEJ11で、かなり現代的アプローチに近いハイインレット＋スキャロップドを試しているが、これもピーキーな性格なマシンとなってしまい、翌年にはやはりこのコンセプトを破棄している。
JordanEJ11 (2001年)
つまり、このコンセプトは既に20年近く前から存在していたにもかかわらず、ラジエターの熱量が非常に大きかったり、空力の性能がピーキーになってしまった（つまり空気をコントロールしきれていなかった）り、チームの力が足りなかったために主流足り得なかった。F2003GAでさえ、ピーキーな性格に苦しめられシューマッハがチャンピオンを最終戦で辛くも獲得したという事実もある。まあ、その他にも、スキャロップ部分の有機的な曲線を、強度を保ちつつ製造する技術も不十分であったと考えられる。
ともかくも、早くから存在しながら、主流となるのにこれほど時間のかかった空力コンセプトを、俺は他には知らない。
...って、アレ？？？ポンツーンの空力談義でどれだけ脱線しただろうか。
全然本題入ってないけど、続く。
そんなこんなで今日は18000歩を超えた。育休中はなかなか歩き回らず身体が鈍っていたので、いい運動になった。
ああ、今話題の京品ホテルも横目に見た。確かに、ベニヤ板が貼られていた。
さて、F-1マシン2009トレンド。徐々に目を後方へと移していこう。
FerrariF60
相変わらずポンツーンの下側は深く彫り込まれていることが分かる
これまでディフレクター（バージボード）が百花繚乱であったフロントタイヤ後方、サイドポンツーン前方のエリアは、基本的にボディワークが禁止された。そのためほとんど全車が、規定範囲内となるモノコック底部の脇とポンツーン前端の脇に小型の整流板を装着しているのみで、まさに規定どおり、近年では稀にみるシンプルな外観となった。
また、今季よりエンジンの最高回転数が18000rpmに制限されることにより、冷却に要する空気が減ることにより、ラジエターインレットのデザインはさらに自由度を増すことになった。
ここ最近のラジエターインレットを高い位置に設定する手法や、サイドポンツーンのスキャロップド（扇型）は、ハイノーズによってもたらされた流速の速いエネルギーを持った空気の流れを、スムースにマシンのサイドへと導き、コークボトルを通じてディフューザ上面へ流し、ダウンフォースへと寄与させる狙いから生まれた。一応今の流行の起源は、2003年のフェラーリF2003GAが作ったと言えるのだが、実はこの思想自体はハイノーズが発生した（’88年のマーチ881〜’90年のティレル019）直後から何度も生まれては消えて来たという歴史がある。
最近の空力トレンドの始祖と言えるFerrariF2003GA (2003年)
何と言っても’92年のフェラーリF92Aである。ハイノーズのティレル019を生み出したジャン・クロード・ミジョーによって生み出され、ダブルデッカーと言われたこのマシンは紛れも無く、こうした思想の元に生まれた究極の形である。しかし、F92AはV12エンジンを冷やす巨大なラジエターを15cmも高い位置に設置したために重心が上昇し大失敗作となった。
ダブルデッカーFerrariF92A (1992年)
より現実的な形でスキャロップドポンツーンを導入したマシンが、実は同年登場していた。この年を以て撤退する弱小チームフォンドメタルである。セルジオ・リンランドによるGR02はポンツーンの下部をくびれさせて空気の流路を設定していた。GR02の全体的なデザインは一部で高い評価を得たが、残念ながらチーム力の衰退には勝てず、大きな成果を上げること無く消えることとなった。
FondmetalGR02 (1992年)
ポンツーンの下側がくびれているのが分かるだろうか？
’94年にもまた動きがあった。
一つは、またしてもフェラーリ。今度はジョン・バーナードによる412T1だ。実はバーナードは’83年のマクラーレンMP4でコークボトルを、’88年フェラーリ639で空力コンシャスの極めて長いポンツーンを導入するなど、サイドの空気の流れに非常に強いこだわりを持っていた。この412T1はラジエターインレットがかなり高いところにあり、その下にはサイドへと空気を導く流路を確保している一方、ポンツーンの後端は極めて低められており、空力のコンセプトとしては7,8年後の流行を先取りしていたと言って良い。
Ferrari412T1 (1994年)
ところが、その頃フェラーリの搭載していたのは3.5リッターV12エンジンだった。極めて重く、燃費も悪い。さらには出力でもトップクラスのV10ルノーRS5に劣っていたとさえ言われる。結局412T1はシーズン途中でグスタフ・ブルナーによって凡庸な412T1Bへと改造されてしまった。
もう一つの動きはスクーデリア・イタリアと統合したミナルディであった。アルド・コスタによるM194はまさにハイインレットに、ポンツーン前部から後部まで続くスキャロップを持つ現代的コンセプトを持つマシンであった。しかし、悲しいかな弱小チームのミナルディ。やはり目を見張る活躍をできるほどの力は無く、このコンセプトも一年で消えてしまった。
興味深いことに、アルド・コスタは今フェラーリのテクニカルにディレクターに収まっている。
MinardiM194 (1994年)
これもポンツーン下側がくびれている。
一方、バーナードは’95年は超コンサバな412T2をデザインしたものの、新しいV10とミヒャエル・シューマッハーを手にした’96年にも再び新しいコンセプトを試している。F310である。これはF92Aのようなモノコックから離れた独立インレットを持つ一方、後半部は一般のポンツーンとなっていて、ラジエターは低い位置に置かれていた。
FerrariF310 (1996年)
だが、それ以外の空力コンセプトは極めてコンサバとなってしまった（他車全てがつり下げウィングに移行していた中ノーズ直づけウィングにこだわったり、規則を厳格に解釈した巨大なドライバープロテクターを装備したり）ことと、新V10エンジンの熟成不足から、ミヒャエルの超人的ドライビングによる3勝のみに終わると同時に、’94年と同じく、またしてもグスタフ・ブルナーによるBタイプのシーズン中の投入という事態になってしまったのである。
2001年には、ホンダエンジンを搭載したジョーダンがEJ11で、かなり現代的アプローチに近いハイインレット＋スキャロップドを試しているが、これもピーキーな性格なマシンとなってしまい、翌年にはやはりこのコンセプトを破棄している。
JordanEJ11 (2001年)
つまり、このコンセプトは既に20年近く前から存在していたにもかかわらず、ラジエターの熱量が非常に大きかったり、空力の性能がピーキーになってしまった（つまり空気をコントロールしきれていなかった）り、チームの力が足りなかったために主流足り得なかった。F2003GAでさえ、ピーキーな性格に苦しめられシューマッハがチャンピオンを最終戦で辛くも獲得したという事実もある。まあ、その他にも、スキャロップ部分の有機的な曲線を、強度を保ちつつ製造する技術も不十分であったと考えられる。
ともかくも、早くから存在しながら、主流となるのにこれほど時間のかかった空力コンセプトを、俺は他には知らない。
...って、アレ？？？ポンツーンの空力談義でどれだけ脱線しただろうか。
全然本題入ってないけど、続く。
nobilesの投稿(23:26:40-2009-01-27) -
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