NOBILES Days
Jump to navigationThe Mass of The Iron
技術文書執筆者となって3ヶ月。
紙っぺら一枚のものはあったが、ちゃんとしたマニュアル1冊をようやく校了した。やっと一人前の入り口に立ったくらいだろうか。
さあ、バンバンやってくぞ。そして、単なるライターで終わるのではなく、もう一つ上を目指して、自分なりの何かを探そう。
LOP the 9thでも、もちろん必殺技を繰り出した（がんも氏撮影）
(OlympusE-510, Olympus14-42mmF3.5-5.6(14.0mm), ApertureValueMode, 1/13sec, F3.5, ISO1600)
さて、もう一週間前になるが、先週の水曜はマニュアルを担当している機械を開発および量産を行っている事業所へ取材に行って来た。
都会を遠く離れた郊外にあるので、普段でもかなりかかっている通勤時間よりさらに1時間以上遠い。だが、案内役の方が集合時間を遅くしてくれたので、全然楽勝な時間で出発し、ガラ空きのローカル鉄道の旅の末、駅で他のメンバーと待ち合わせた。
そこは、俺が就職直後に勤めた前職の事業所と同じ県だ。だが、県内でももっと北の外れで、駅の周りもびっくりするくらい寂しい感じだった。
そこから送迎バスに乗って10分程度で事業所へ着く。
やはり同じ県にある生産拠点ということでなんとなく前職の最初の事業所を思い起こさせて懐かしい気持ちになった。
だが、中に入ってみると少し印象が変わる。かなり整頓されているのだ。
俺がかつていたところは本当に雑然として、言ってみれば牧歌的だった。それは多分組織に染み付いたもので、新しい事業所に移ってもあまり印象は変わらなかった。建物新しい分かなりマシにはなったけどね。でもいらないパソコンを棚に雑然と置いたりしてたし。
そう言えば、前職の会社の中でも、万年赤字体質な俺がいた事業所ではなく、かつては大きな黒字をもって会社を支え不況の今でも屋台骨であるもう一つの事業所は整理整頓が徹底していて雰囲気が似ていた。
それはともかく、さあ取材だ。まあ俺はどちらかと言うと研修的な目的だけどさ。いよいよ担当製品の実物とご対面だ。
前職は基本的に、作っているのがコンシューマー製品だったから、どんなにでかくても人が数人いれば運べるものしか作っていなかった。特に俺が担当していた製品なんて、片手でひょいっと持てるようなモノだった。ところが今度は産業機械だ。一台で数十トン、数十億円という化け物だ。もはや製造というより建造のレベルだ。何しろ、設置準備ガイドなんていうマニュアルまで存在する。こういう感じで工場建設してね、的な。
この、鉄道のような巨大な機械だが、クリーンルーム、つまり無塵室の中になければ意味を為さないシロモノだ。だから、コイツを製造するこの事業所にも、超巨大なクリーンルームが存在する。今回はその中に入るわけだ。
クリーンルームでは何が嫌がられるかと言えば、人間が発する垢やフケなどだ。これらはどんなに綺麗に風呂で洗っても次々に発生するモノだ。だから、クリーンスーツと呼ばれる、モジモジくんみたいな専用の作業着で全身を包んでから入室しなければならない。
初めてのクリーンスーツに戸惑いながらも、先輩に教わりながら装着した。
さらに、入室時には小さな部屋のようなところの壁から吹き出すブロワーでゴミを弾き飛ばし、やっと入室できる。
入室してすぐのフロアに、いきなりその製品が鎮座していた。ちょっと、絶句に近い状態に陥る。鎮座というよりもはや壁である。ほぼ天井一杯の高さ、横幅も数メートルある。
しかも、これだけではない。本体内部の温度を、場所によっては1/1000℃単位でコントロールする機械や、クリーンルーム以上に徹底的にゴミや化学物質をを排除した空気を送る機械、電気ユニットなどを収めたラックなどが10近くその周りを固める。もはや正気の沙汰ではない。
まずは、今回の主目的である、先輩が担当する、あるバーツの取材だ。
なんてことの無いバーツなのだが、これがいちいち、一人では持てないくらい重くてでかかったりするのだ。そんなバーツに、モジモジくん達が群がって真剣に写真を撮ったり、動作を確認している光景は、若干滑稽ではあった。
この取材が終わった後、本体などの見学をした。外観だけではなく、技術者達が扉を開けて作業をしているので、中の様子もよく見えた。とにかく巨大な機械なのにもかかわらず、中身は猛烈な密度で部品が詰まっていてただただ圧倒されるばかりだった。
中にはかなり解体されて、特許案件だらけの基幹部品が露になっている機体もあった。案内してくれた技術の方もラッキーですね、と言っていた。
ああ、この案内してくれた人についてだが。会う前は、親会社のこの最先端機器の開発に関わる人なんて、どれだけ尖った人なんだろう、と思っていたが、童顔で、北の地方の訛りもチャーミングな男性だった。分子レベルに迫ろうとしているこの精密機器も、当たり前のことだが、同じ生身の人間が開発していることを実感できた。
やっぱりモノづくりに関わっている以上、その製品に思い入れがなければいい仕事はできない。今回の俺の取材なんて遊びみたいなモンだったが、製品に直接触れられただけでも十分すぎるくらい有意義だった。
紙っぺら一枚のものはあったが、ちゃんとしたマニュアル1冊をようやく校了した。やっと一人前の入り口に立ったくらいだろうか。
さあ、バンバンやってくぞ。そして、単なるライターで終わるのではなく、もう一つ上を目指して、自分なりの何かを探そう。
LOP the 9thでも、もちろん必殺技を繰り出した（がんも氏撮影）
(OlympusE-510, Olympus14-42mmF3.5-5.6(14.0mm), ApertureValueMode, 1/13sec, F3.5, ISO1600)
さて、もう一週間前になるが、先週の水曜はマニュアルを担当している機械を開発および量産を行っている事業所へ取材に行って来た。
都会を遠く離れた郊外にあるので、普段でもかなりかかっている通勤時間よりさらに1時間以上遠い。だが、案内役の方が集合時間を遅くしてくれたので、全然楽勝な時間で出発し、ガラ空きのローカル鉄道の旅の末、駅で他のメンバーと待ち合わせた。
そこは、俺が就職直後に勤めた前職の事業所と同じ県だ。だが、県内でももっと北の外れで、駅の周りもびっくりするくらい寂しい感じだった。
そこから送迎バスに乗って10分程度で事業所へ着く。
やはり同じ県にある生産拠点ということでなんとなく前職の最初の事業所を思い起こさせて懐かしい気持ちになった。
だが、中に入ってみると少し印象が変わる。かなり整頓されているのだ。
俺がかつていたところは本当に雑然として、言ってみれば牧歌的だった。それは多分組織に染み付いたもので、新しい事業所に移ってもあまり印象は変わらなかった。建物新しい分かなりマシにはなったけどね。でもいらないパソコンを棚に雑然と置いたりしてたし。
そう言えば、前職の会社の中でも、万年赤字体質な俺がいた事業所ではなく、かつては大きな黒字をもって会社を支え不況の今でも屋台骨であるもう一つの事業所は整理整頓が徹底していて雰囲気が似ていた。
それはともかく、さあ取材だ。まあ俺はどちらかと言うと研修的な目的だけどさ。いよいよ担当製品の実物とご対面だ。
前職は基本的に、作っているのがコンシューマー製品だったから、どんなにでかくても人が数人いれば運べるものしか作っていなかった。特に俺が担当していた製品なんて、片手でひょいっと持てるようなモノだった。ところが今度は産業機械だ。一台で数十トン、数十億円という化け物だ。もはや製造というより建造のレベルだ。何しろ、設置準備ガイドなんていうマニュアルまで存在する。こういう感じで工場建設してね、的な。
この、鉄道のような巨大な機械だが、クリーンルーム、つまり無塵室の中になければ意味を為さないシロモノだ。だから、コイツを製造するこの事業所にも、超巨大なクリーンルームが存在する。今回はその中に入るわけだ。
クリーンルームでは何が嫌がられるかと言えば、人間が発する垢やフケなどだ。これらはどんなに綺麗に風呂で洗っても次々に発生するモノだ。だから、クリーンスーツと呼ばれる、モジモジくんみたいな専用の作業着で全身を包んでから入室しなければならない。
初めてのクリーンスーツに戸惑いながらも、先輩に教わりながら装着した。
さらに、入室時には小さな部屋のようなところの壁から吹き出すブロワーでゴミを弾き飛ばし、やっと入室できる。
入室してすぐのフロアに、いきなりその製品が鎮座していた。ちょっと、絶句に近い状態に陥る。鎮座というよりもはや壁である。ほぼ天井一杯の高さ、横幅も数メートルある。
しかも、これだけではない。本体内部の温度を、場所によっては1/1000℃単位でコントロールする機械や、クリーンルーム以上に徹底的にゴミや化学物質をを排除した空気を送る機械、電気ユニットなどを収めたラックなどが10近くその周りを固める。もはや正気の沙汰ではない。
まずは、今回の主目的である、先輩が担当する、あるバーツの取材だ。
なんてことの無いバーツなのだが、これがいちいち、一人では持てないくらい重くてでかかったりするのだ。そんなバーツに、モジモジくん達が群がって真剣に写真を撮ったり、動作を確認している光景は、若干滑稽ではあった。
この取材が終わった後、本体などの見学をした。外観だけではなく、技術者達が扉を開けて作業をしているので、中の様子もよく見えた。とにかく巨大な機械なのにもかかわらず、中身は猛烈な密度で部品が詰まっていてただただ圧倒されるばかりだった。
中にはかなり解体されて、特許案件だらけの基幹部品が露になっている機体もあった。案内してくれた技術の方もラッキーですね、と言っていた。
ああ、この案内してくれた人についてだが。会う前は、親会社のこの最先端機器の開発に関わる人なんて、どれだけ尖った人なんだろう、と思っていたが、童顔で、北の地方の訛りもチャーミングな男性だった。分子レベルに迫ろうとしているこの精密機器も、当たり前のことだが、同じ生身の人間が開発していることを実感できた。
やっぱりモノづくりに関わっている以上、その製品に思い入れがなければいい仕事はできない。今回の俺の取材なんて遊びみたいなモンだったが、製品に直接触れられただけでも十分すぎるくらい有意義だった。
nobilesの投稿(23:39:27-2010-07-13) -
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