NOBILES Days
Jump to navigationCatastrophe Vol.6
月曜から、会社の勤務時間が45分早くなった。言うまでもなく、電力のピークとなる夕刻を避けるためだ。自主サマータイムといったところか。残業も基本的に禁止でそれで追いつかない場合は早出しろという。まあ、このご時世だから仕方がない。
この件に関し、同僚は俺がエラい遠くから来てると思っているようで、お達しが出た時は「来週から大丈夫？」なんて口々に聞いてきたが、元のオフィスに通ってた頃の時間と変わらないので、そう大したことはない。それで帰る時間も早くなるんだし。
一方前職の会社は、停電があるので、定時時間やフレックスを撤廃し、停電があってもできる限り働け、ということらしい。
でもこれって結局、停電以外では人がいる限りずーっとダラダラ電気は消費し続けるってことだよね？それはさすがに節電の意図に反するんじゃないか？できる限り計画通りの成果を出さねばならない会社としては、こうせざるを得ないというのも分かるが。
きっと一番効率がいいのはクリティカルな時間に停電がある場合は休みにして土日に振り替え操業することだろう。実際、現職の系列事業所は先々週それを実行したという。
そうは言っても、自分がその従業員だったら困る。バンド練出れなくなるもんね。
節電と経済活動を両立させる何かいいアイディアはないものか。
Burning Sky
(PentaxK-7, TamronA14(200.0mm), 1/250sec, F11.0, ISO800)
翌日、目が覚めるとまだ午前7時過ぎだった。前日なんだかんだ2時頃寝たのだが、やはり神経が昂ぶっていたのだろうか。
ケータイをチェックしているうちに、家主も起きてきた。
「ベリーシリアスだね」
いきなり彼が言った。...いや、確かにシリアスなのだが、極めて日本語的発音で発せられたその言葉に吹き出しそうになり、若干だけまた事実を和らいで受け止められた。
その受けとめるべき事実。
俺もその記事を読んだところだった。原子力発電所が制御不能になっているという情報だった。
地震によって緊急停止（スクラムというらしい）は行われた。だが、その後の津波により電源を失い、燃料の冷却系統が失われ、炉心溶融の可能性があるというのだ。実際には前日にも既に報道はあったのだが、より深刻に報じられ始めたのは翌日からだったように記憶している。
それがどうだ。あれから半月経ってまだ事故は収束どころか、まだメドも立っていない。むしろ、想定を超える被害がまだまだ次々に明らかになっている。こんな原子力などという人徳を超えた存在に電気需要の3割近くを頼っていたというのは、極めて危うい状態なのだと感じた。
さて...会社に泊まった嫁さんはどうしたのかとメールを送ると、身重ということで医務室のベッドを貸してもらえたらしい。でも、さすがに簡易ベッドだし、余震などもあるせいでろくに寝れたなかったらしい。電車が7時から動くということだったので、同じ方向に帰る同期の友人とともに早速向かったらしい。ところが、地下駅には人が溢れて入ることすらかなわなかったという。
その後、地下鉄も考えたがやはり無理で、一駅歩いて始発駅に並んだのだそうだ。30分かかってようやくホームに入り、グリーン券を買ったらしい。
いずれにしても、電車はかなりまだ混乱している。嫁さんの入ったターミナル駅から向こうは動いているようだが、その路線が直通している、俺の利用駅側の電車は動いてすらいなかった。
今日は「帰ること」だけがミッションだな、と思えた。少なくとも午前中は居候させてもらうことにした。
幸い、娘は珍しい嫁さんの実家での宿泊を、ご機嫌で過ごし、ダダをこねたりはしなかったようだ。
またまたありがたいことに、彼の家には、奥さんが、不在時用にと冷凍してくれていたソースがあったので、朝食として彼がパスタを作ってくれた。
テレビをつければ、もちろん震災関連のニュースしかやっていない。一夜明けさらに衝撃的な津波の映像が次々に流される。人々が見ている目の前で、彼らの家が黒い渦に飲み込まれ、単なる瓦礫へと姿を変えていく。ただただ、圧倒されるばかりだ。
そうこうしているうちに、数十分待った末に嫁さんは無事電車に乗れ、グリーン車で座れたと連絡が来た。ホッとした。
会社に泊まった人達はどうしただろう？
グループリーダーにメールを送ってみた。退出は部で最後になってしまったらしい。なぜなら先述の通り、会社の最寄り駅の電車は動いてなかったからだ。
しかも、遠回りして出たターミナル駅でも1時間足止めを喰らった末、あきらめて私鉄で大回りすることにしたという。
そのターミナル駅は、居候している家からの帰りに俺も通る。これはまだダメだ。
結局、家主の奥さんの冷凍ストックシリーズ第2弾のハヤシライスまで昼食でご馳走になってしまった！
その奥さんは、本来この日に、2歳の息子さんとともに帰省先の島根から羽田へ帰ってくる予定だったという。
こりゃ延期だねー、などと言っていたのだが、何やら彼が奥さんと電話で話している。どうやら強行突破をするつもりらしい。
奥さんとも何度か遊ばせてもらっているが、たしかに大らかなマイペースな女性だ。でも、小さな子どももいるのだから、と彼が説得をしている。どうやら飛行機は飛んでもいるようだが、飛行機が飛んでも、その後の地上の交通手段が全く読めないからだ。
が、初心貫徹型の奥さんは聞かず、最後は彼が折れて、「じゃあ気をつけて帰って来なさい」。
前日から、家主はノートPCを開いて、メールやfacebookなどで、俺を含めたこちらの安全を伝えるとともに、友人達の安否の確認を行っていた。
その中に、彼が前職時代に付き合いがあり、実は俺の家にも遊びに来たことのあるスウェーデン人もいた。
「あいつと、前にこんな話をしたことあるんだよ」
おもむろに家主の彼が話してくれた。
「なんでお前らはスウェーデンなんて寒くてたまらん国に暮らしてんだ？」
「地震がある国よりマシだよ」
当時は笑い話のようだったと言うが、今、彼が言ったことが現実になった。二人して、背中に寒いものが走った。あきらかに、阪神大震災を超える大惨事となるのは間違いない。ただでさえ瀕死の台所事情だった日本は大丈夫なのか。
地震のマグニチュードも、当初の報道では7.6だったが、8.3に修正され、この日の午前だったと思うが8.8まで引き上げられた。最終的には、世界でも最悪クラスとなる9.0になるわけであるが、途方もなさすぎて見当がつかなかった。
そうやってテレビばかり見ていてもこの日のミッションは達成できない。
既に嫁さんは自宅についたようで掃除を始めたという。幸い、タンスの上に積んであった服が落ちたのと、食器が2〜3枚割れた程度で済んだようだ。
午後2時を迎え、お世話になった友人の家を発ち、俺も帰路についた。が、駅に向かう途中の商店街は思いのほか賑やかな日常だった。
すわ、本数を絞っているという電車は...と思ったら、これまた拍子抜けなくらい普通だ。親子連れやらお年寄りも乗っているし、アホな若者はやっぱり足投げ出して組んでケータイをいじっていてウザいままだ。ただ、聞こえてくる会話の大半は前日の地震のことだというだけだ。それだって、ごく自然なことと言えばそうだ。
結局、俺がいつも使っている会社最寄りの路線は復旧していなかったので、グループリーダーが1時間足止めを喰らったというターミナル駅は通過し、嫁さんがグリーン車に乗った、自宅方面への列車の始発駅まで行って乗り換えた。
こっちも至って平和だ。単に俺の会社側方面の復旧を諦めてホームが暗くしてあるだけで、自宅方面の電車はそれなりに動いていて、問題なく座れた。
チャリを置いてあるターミナル駅まで無事帰り着いた。後はチャリだけだ、とホッとして改札を出ると、バス停が大変なことになっていた。その駅から奥のローカル線は復旧していなかったので、バスに人が殺到したのだ。なるほど、それらのローカル線は、まだ津波警報が発令されている方面への列車だった。
チャリで帰れることを神に感謝しつつ、自宅に向かった。概ね平静なのだが、やはり臨時休業となっている店はポツポツとあった。
自宅に着いた。
「おかえり。」
ドラマチックなことに一切興味のない嫁さんがごく普通に迎えた。
自宅の中は嫁さんが片付けて既にいつも通りになっていた。高さ1mの防湿庫の上に置いていて、落下していないか心配だったカメラもちゃんとその位置に留まっていた！
...はっ！
娘、最愛の娘がいない。
「あー、掃除の邪魔だったから実家にいるよ」
またしてもいつも通りの嫁さんの応対に、安心するやら拍子抜けするやらだ。
「もう終わったから、あっち行こうか。食事、一緒に食べに行こうかって。」
歩いて2分程度の嫁さんの実家に向かう。娘には、たったの30時間程度会ってないだけだが、その間にいろいろあり過ぎた。俺は抑えきれなくなって、嫁さんを追い抜いて家へ駆け込んだ。
娘は廊下で遊んでいた。
「キーちゃん！帰って来たよ！」
「これ、これぇ。」
...娘はじぃじにオモチャを渡すのに首ったけで、俺には目もむけなかった (′Д`;。一体誰に似たんだ。
それでも、駆け寄って
「じしん、こわくなかったか？」
と抱きしめると、ちょっと照れたようにはにかんだ。
それから、お義父さんの運転で、みんなで食事に行った。家族で食卓を囲んでいただく食事の幸せさを噛み締めた。
あ、ちなみに彼の奥さんと子どもも、問題なくタクシーに乗ってスムースに自宅に帰れたらしい。奥さんの判断は結果的には間違っていなかったというわけだ。
ともかく、あれからもう3週間が経つ。地震の前と同じに戻ったこともあるが、原発をはじめ、いろいろなことがまだまだ異常状態が続いている。
いったい、あの天災は何だったんだろう。...なんて考えること自体が人間ごときにとって大それたことなんだろうか。
家族。街。電気。暮らし。悲劇。奇跡。
いろいろ考えさせられることばかりだ。
というわけで、俺のつまらない震災当日から翌日までのドキュメンタリーはこれで終了する。
この件に関し、同僚は俺がエラい遠くから来てると思っているようで、お達しが出た時は「来週から大丈夫？」なんて口々に聞いてきたが、元のオフィスに通ってた頃の時間と変わらないので、そう大したことはない。それで帰る時間も早くなるんだし。
一方前職の会社は、停電があるので、定時時間やフレックスを撤廃し、停電があってもできる限り働け、ということらしい。
でもこれって結局、停電以外では人がいる限りずーっとダラダラ電気は消費し続けるってことだよね？それはさすがに節電の意図に反するんじゃないか？できる限り計画通りの成果を出さねばならない会社としては、こうせざるを得ないというのも分かるが。
きっと一番効率がいいのはクリティカルな時間に停電がある場合は休みにして土日に振り替え操業することだろう。実際、現職の系列事業所は先々週それを実行したという。
そうは言っても、自分がその従業員だったら困る。バンド練出れなくなるもんね。
節電と経済活動を両立させる何かいいアイディアはないものか。
Burning Sky
(PentaxK-7, TamronA14(200.0mm), 1/250sec, F11.0, ISO800)
翌日、目が覚めるとまだ午前7時過ぎだった。前日なんだかんだ2時頃寝たのだが、やはり神経が昂ぶっていたのだろうか。
ケータイをチェックしているうちに、家主も起きてきた。
「ベリーシリアスだね」
いきなり彼が言った。...いや、確かにシリアスなのだが、極めて日本語的発音で発せられたその言葉に吹き出しそうになり、若干だけまた事実を和らいで受け止められた。
その受けとめるべき事実。
俺もその記事を読んだところだった。原子力発電所が制御不能になっているという情報だった。
地震によって緊急停止（スクラムというらしい）は行われた。だが、その後の津波により電源を失い、燃料の冷却系統が失われ、炉心溶融の可能性があるというのだ。実際には前日にも既に報道はあったのだが、より深刻に報じられ始めたのは翌日からだったように記憶している。
それがどうだ。あれから半月経ってまだ事故は収束どころか、まだメドも立っていない。むしろ、想定を超える被害がまだまだ次々に明らかになっている。こんな原子力などという人徳を超えた存在に電気需要の3割近くを頼っていたというのは、極めて危うい状態なのだと感じた。
さて...会社に泊まった嫁さんはどうしたのかとメールを送ると、身重ということで医務室のベッドを貸してもらえたらしい。でも、さすがに簡易ベッドだし、余震などもあるせいでろくに寝れたなかったらしい。電車が7時から動くということだったので、同じ方向に帰る同期の友人とともに早速向かったらしい。ところが、地下駅には人が溢れて入ることすらかなわなかったという。
その後、地下鉄も考えたがやはり無理で、一駅歩いて始発駅に並んだのだそうだ。30分かかってようやくホームに入り、グリーン券を買ったらしい。
いずれにしても、電車はかなりまだ混乱している。嫁さんの入ったターミナル駅から向こうは動いているようだが、その路線が直通している、俺の利用駅側の電車は動いてすらいなかった。
今日は「帰ること」だけがミッションだな、と思えた。少なくとも午前中は居候させてもらうことにした。
幸い、娘は珍しい嫁さんの実家での宿泊を、ご機嫌で過ごし、ダダをこねたりはしなかったようだ。
またまたありがたいことに、彼の家には、奥さんが、不在時用にと冷凍してくれていたソースがあったので、朝食として彼がパスタを作ってくれた。
テレビをつければ、もちろん震災関連のニュースしかやっていない。一夜明けさらに衝撃的な津波の映像が次々に流される。人々が見ている目の前で、彼らの家が黒い渦に飲み込まれ、単なる瓦礫へと姿を変えていく。ただただ、圧倒されるばかりだ。
そうこうしているうちに、数十分待った末に嫁さんは無事電車に乗れ、グリーン車で座れたと連絡が来た。ホッとした。
会社に泊まった人達はどうしただろう？
グループリーダーにメールを送ってみた。退出は部で最後になってしまったらしい。なぜなら先述の通り、会社の最寄り駅の電車は動いてなかったからだ。
しかも、遠回りして出たターミナル駅でも1時間足止めを喰らった末、あきらめて私鉄で大回りすることにしたという。
そのターミナル駅は、居候している家からの帰りに俺も通る。これはまだダメだ。
結局、家主の奥さんの冷凍ストックシリーズ第2弾のハヤシライスまで昼食でご馳走になってしまった！
その奥さんは、本来この日に、2歳の息子さんとともに帰省先の島根から羽田へ帰ってくる予定だったという。
こりゃ延期だねー、などと言っていたのだが、何やら彼が奥さんと電話で話している。どうやら強行突破をするつもりらしい。
奥さんとも何度か遊ばせてもらっているが、たしかに大らかなマイペースな女性だ。でも、小さな子どももいるのだから、と彼が説得をしている。どうやら飛行機は飛んでもいるようだが、飛行機が飛んでも、その後の地上の交通手段が全く読めないからだ。
が、初心貫徹型の奥さんは聞かず、最後は彼が折れて、「じゃあ気をつけて帰って来なさい」。
前日から、家主はノートPCを開いて、メールやfacebookなどで、俺を含めたこちらの安全を伝えるとともに、友人達の安否の確認を行っていた。
その中に、彼が前職時代に付き合いがあり、実は俺の家にも遊びに来たことのあるスウェーデン人もいた。
「あいつと、前にこんな話をしたことあるんだよ」
おもむろに家主の彼が話してくれた。
「なんでお前らはスウェーデンなんて寒くてたまらん国に暮らしてんだ？」
「地震がある国よりマシだよ」
当時は笑い話のようだったと言うが、今、彼が言ったことが現実になった。二人して、背中に寒いものが走った。あきらかに、阪神大震災を超える大惨事となるのは間違いない。ただでさえ瀕死の台所事情だった日本は大丈夫なのか。
地震のマグニチュードも、当初の報道では7.6だったが、8.3に修正され、この日の午前だったと思うが8.8まで引き上げられた。最終的には、世界でも最悪クラスとなる9.0になるわけであるが、途方もなさすぎて見当がつかなかった。
そうやってテレビばかり見ていてもこの日のミッションは達成できない。
既に嫁さんは自宅についたようで掃除を始めたという。幸い、タンスの上に積んであった服が落ちたのと、食器が2〜3枚割れた程度で済んだようだ。
午後2時を迎え、お世話になった友人の家を発ち、俺も帰路についた。が、駅に向かう途中の商店街は思いのほか賑やかな日常だった。
すわ、本数を絞っているという電車は...と思ったら、これまた拍子抜けなくらい普通だ。親子連れやらお年寄りも乗っているし、アホな若者はやっぱり足投げ出して組んでケータイをいじっていてウザいままだ。ただ、聞こえてくる会話の大半は前日の地震のことだというだけだ。それだって、ごく自然なことと言えばそうだ。
結局、俺がいつも使っている会社最寄りの路線は復旧していなかったので、グループリーダーが1時間足止めを喰らったというターミナル駅は通過し、嫁さんがグリーン車に乗った、自宅方面への列車の始発駅まで行って乗り換えた。
こっちも至って平和だ。単に俺の会社側方面の復旧を諦めてホームが暗くしてあるだけで、自宅方面の電車はそれなりに動いていて、問題なく座れた。
チャリを置いてあるターミナル駅まで無事帰り着いた。後はチャリだけだ、とホッとして改札を出ると、バス停が大変なことになっていた。その駅から奥のローカル線は復旧していなかったので、バスに人が殺到したのだ。なるほど、それらのローカル線は、まだ津波警報が発令されている方面への列車だった。
チャリで帰れることを神に感謝しつつ、自宅に向かった。概ね平静なのだが、やはり臨時休業となっている店はポツポツとあった。
自宅に着いた。
「おかえり。」
ドラマチックなことに一切興味のない嫁さんがごく普通に迎えた。
自宅の中は嫁さんが片付けて既にいつも通りになっていた。高さ1mの防湿庫の上に置いていて、落下していないか心配だったカメラもちゃんとその位置に留まっていた！
...はっ！
娘、最愛の娘がいない。
「あー、掃除の邪魔だったから実家にいるよ」
またしてもいつも通りの嫁さんの応対に、安心するやら拍子抜けするやらだ。
「もう終わったから、あっち行こうか。食事、一緒に食べに行こうかって。」
歩いて2分程度の嫁さんの実家に向かう。娘には、たったの30時間程度会ってないだけだが、その間にいろいろあり過ぎた。俺は抑えきれなくなって、嫁さんを追い抜いて家へ駆け込んだ。
娘は廊下で遊んでいた。
「キーちゃん！帰って来たよ！」
「これ、これぇ。」
...娘はじぃじにオモチャを渡すのに首ったけで、俺には目もむけなかった (′Д`;。一体誰に似たんだ。
それでも、駆け寄って
「じしん、こわくなかったか？」
と抱きしめると、ちょっと照れたようにはにかんだ。
それから、お義父さんの運転で、みんなで食事に行った。家族で食卓を囲んでいただく食事の幸せさを噛み締めた。
あ、ちなみに彼の奥さんと子どもも、問題なくタクシーに乗ってスムースに自宅に帰れたらしい。奥さんの判断は結果的には間違っていなかったというわけだ。
ともかく、あれからもう3週間が経つ。地震の前と同じに戻ったこともあるが、原発をはじめ、いろいろなことがまだまだ異常状態が続いている。
いったい、あの天災は何だったんだろう。...なんて考えること自体が人間ごときにとって大それたことなんだろうか。
家族。街。電気。暮らし。悲劇。奇跡。
いろいろ考えさせられることばかりだ。
というわけで、俺のつまらない震災当日から翌日までのドキュメンタリーはこれで終了する。
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