NOBILES Days
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あー、そういえばブログでは告知してなかったな。半年ぶりに所属バンドLoopのライブを今週末に行う。今回は新中野弁天だ。
LOP the 13th
さて。
もう大分前のことなので、個人の特定も難しいだろう。だから、その時のことを書かせてもらう。多分、彼がここを見ることもないだろうしね。
その日、俺はある友人からの電話を受けた。曰く、俺が今勤務する企業グループの中核会社から、採用の内定をもらったという。それで、グループの内部の様子を知りたくて俺に電話をしてきたらしい。
彼とは近い趣味もあったし、直接関わることはなくても、同じ企業グループで働けるというのは、俺にとって嬉しいことだった。
とは言っても、ビジネスはそんな私的な感情とは無関係だと思ったので、個人的には歓迎するとは伝えつつも、社内の様子はなるべく客観的に述べた。
それから数日して彼は、内定を受諾したと連絡してきた。俺のいる事業所に顔を出すこともあるだろうから、その時はメシでも食おう、と歓迎した。また、彼が所属することになる部門は、これまで俺がまったく関わりのない部門だったので、そこに人脈ができることも楽しみに感じていた。
それから2週くらい経った頃だったろうか。俺はまた彼からの電話を受けた。
俺がいる部門のような末端組織ではなく、中核の花形職への転職を決めたのだ。さぞや前途洋々なのかと思いきや、声が上ずって、いかにもテンパっている様子だ。そしてびっくりするような言葉が飛び出してきたのだった。
「いや、ほんと、自分が情けなくてさあ。」
「ああん？」
彼は既に、もとの職場の上司や人事部にも退職の意向を伝え、退職届の用紙も上司に提出したというのだが、新しい会社から提示された給与で家計の計算してみたら、赤字になってしまったのだという。いや、俺、こないだの電話で、住宅手当ないし、配偶者や子どもに対する手当も少ないこと言ったよね？多分、給与下がるけど、会社が倒れるリスクは小さいよ、とかそんな話までしたよね？
「今の上司もさあ、俺が残りたいなら、まだ手元に退職届あるから止められるって言うんだよ。」
「ええ？？」
「だから俺、やっぱり残ることにした。」
ぶっ飛んだ。
内定が出たところでそれを受諾しないのはビジネス上、なんの問題もない。だが彼は内定を受諾したばかりか、既に、もとの社内で退職の手続きまで開始していた。そこで怖気づいた。
彼が内定を受諾した時点で、募集していた企業は採用の募集を停止する。どういう手続きになってるか分からないが、募集の手配は出し直しになるだろう。そこにはまた費用が発生すると思われる。それに、一旦退職の意思まで伝えた上司の元でまたシレッとした顔で仕事を続けるというのもびっくりだ。
相談を受けた俺の気持ちもどうなる？俺は「アンタのいるとこじゃ俺は生活できないからさ！」と言われたようなもんだ。
空き巣に土足で踏み込まれて、「なんだ、盗るようなもんねーや」と何も盗まれずに去られたような気分だ。ひょっとしたら同じ仕事を作り上げるチャンスもあるかも、というワクワク感を返してもらえんか。
かようにして彼はすべて自分本位だった。あれからだいぶ経つが、それ以降彼からは全く連絡がない。気を使ってるのか、単に何もないだけなのか。多分後者だとは思うけど。
まあね、足怪我して長いこと休んだ挙句に、復帰早々「転職しまーす！」ってやらかした俺には、そのときの報いなんだとは思うよ。江戸の仇長崎で、という気もするけど。
でも...差をつけるつもりもないけど、俺は「このままここにいたら、会社からお金をもらうだけの廃人になってしまう」という強迫観念があった。「なんとしても今転職しなければならない」という覚悟があった。きっと彼は「面白そうだからいっちょ面接行ってみるか」という程度だったんだろうし、実際そういう意味の言葉も俺との電話で漏らしていた。彼には転職ということの本当の意味が分かってなかったんじゃないだろうか。そして今回、表面上何も失わずに元通りになった彼は、多分今なおそれを理解できていないことだろう。
しかしだ。元通りと言っても、実際には彼は、わずかな数ではあるが勤務先の人々に「一度は退職届を出した」という深い深いレッテルを刻み込んでしまった。このことも、彼は認識していないだろう。
俺としては、嫌な思いをさせられたからといって、彼が痛い目をみればいいとは思わないし、まだ友達だと思っている。でも、この先彼が派手にスッ転びやしないか、とは心配している。
そうそう、この件があった頃のことだ。仕事でこの「中核企業」の多くの人と関わる案件をしていた。なんと、彼と同姓同名の人と仕事をした。厳密に言えば苗字の読み方が違うが、漢字は完全に一致する。なんの因果かとヒトリゴチたものだ。
LOP the 13th
さて。
もう大分前のことなので、個人の特定も難しいだろう。だから、その時のことを書かせてもらう。多分、彼がここを見ることもないだろうしね。
その日、俺はある友人からの電話を受けた。曰く、俺が今勤務する企業グループの中核会社から、採用の内定をもらったという。それで、グループの内部の様子を知りたくて俺に電話をしてきたらしい。
彼とは近い趣味もあったし、直接関わることはなくても、同じ企業グループで働けるというのは、俺にとって嬉しいことだった。
とは言っても、ビジネスはそんな私的な感情とは無関係だと思ったので、個人的には歓迎するとは伝えつつも、社内の様子はなるべく客観的に述べた。
それから数日して彼は、内定を受諾したと連絡してきた。俺のいる事業所に顔を出すこともあるだろうから、その時はメシでも食おう、と歓迎した。また、彼が所属することになる部門は、これまで俺がまったく関わりのない部門だったので、そこに人脈ができることも楽しみに感じていた。
それから2週くらい経った頃だったろうか。俺はまた彼からの電話を受けた。
俺がいる部門のような末端組織ではなく、中核の花形職への転職を決めたのだ。さぞや前途洋々なのかと思いきや、声が上ずって、いかにもテンパっている様子だ。そしてびっくりするような言葉が飛び出してきたのだった。
「いや、ほんと、自分が情けなくてさあ。」
「ああん？」
彼は既に、もとの職場の上司や人事部にも退職の意向を伝え、退職届の用紙も上司に提出したというのだが、新しい会社から提示された給与で家計の計算してみたら、赤字になってしまったのだという。いや、俺、こないだの電話で、住宅手当ないし、配偶者や子どもに対する手当も少ないこと言ったよね？多分、給与下がるけど、会社が倒れるリスクは小さいよ、とかそんな話までしたよね？
「今の上司もさあ、俺が残りたいなら、まだ手元に退職届あるから止められるって言うんだよ。」
「ええ？？」
「だから俺、やっぱり残ることにした。」
ぶっ飛んだ。
内定が出たところでそれを受諾しないのはビジネス上、なんの問題もない。だが彼は内定を受諾したばかりか、既に、もとの社内で退職の手続きまで開始していた。そこで怖気づいた。
彼が内定を受諾した時点で、募集していた企業は採用の募集を停止する。どういう手続きになってるか分からないが、募集の手配は出し直しになるだろう。そこにはまた費用が発生すると思われる。それに、一旦退職の意思まで伝えた上司の元でまたシレッとした顔で仕事を続けるというのもびっくりだ。
相談を受けた俺の気持ちもどうなる？俺は「アンタのいるとこじゃ俺は生活できないからさ！」と言われたようなもんだ。
空き巣に土足で踏み込まれて、「なんだ、盗るようなもんねーや」と何も盗まれずに去られたような気分だ。ひょっとしたら同じ仕事を作り上げるチャンスもあるかも、というワクワク感を返してもらえんか。
かようにして彼はすべて自分本位だった。あれからだいぶ経つが、それ以降彼からは全く連絡がない。気を使ってるのか、単に何もないだけなのか。多分後者だとは思うけど。
まあね、足怪我して長いこと休んだ挙句に、復帰早々「転職しまーす！」ってやらかした俺には、そのときの報いなんだとは思うよ。江戸の仇長崎で、という気もするけど。
でも...差をつけるつもりもないけど、俺は「このままここにいたら、会社からお金をもらうだけの廃人になってしまう」という強迫観念があった。「なんとしても今転職しなければならない」という覚悟があった。きっと彼は「面白そうだからいっちょ面接行ってみるか」という程度だったんだろうし、実際そういう意味の言葉も俺との電話で漏らしていた。彼には転職ということの本当の意味が分かってなかったんじゃないだろうか。そして今回、表面上何も失わずに元通りになった彼は、多分今なおそれを理解できていないことだろう。
しかしだ。元通りと言っても、実際には彼は、わずかな数ではあるが勤務先の人々に「一度は退職届を出した」という深い深いレッテルを刻み込んでしまった。このことも、彼は認識していないだろう。
俺としては、嫌な思いをさせられたからといって、彼が痛い目をみればいいとは思わないし、まだ友達だと思っている。でも、この先彼が派手にスッ転びやしないか、とは心配している。
そうそう、この件があった頃のことだ。仕事でこの「中核企業」の多くの人と関わる案件をしていた。なんと、彼と同姓同名の人と仕事をした。厳密に言えば苗字の読み方が違うが、漢字は完全に一致する。なんの因果かとヒトリゴチたものだ。
nobilesの投稿(23:49:36-2013-03-25) -
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