NOBILES Days
Jump to navigationMy wife, her breast cancer and her family(2) - a lump
先日触れた若手クンだが、今日、当時一緒に仕事していた女性にたまたま会った。「彼、退職されるの知ってました？」と話しかけた。
「ええ？大丈夫なんですか？お子さん生まれたばっかりですよね？おまんま食い上げちゃったらどうするんですかね！？」
...おおおぅ。なんて正直な。
いやまあ、俺も同じようなことは思いましたよ、たしかに。でも、プロジェクトが一番泥沼だったときに、俺たちがそれでもなんとかしようと地道に頑張っているときに早々にサジを投げて、すべて他人のせいにして勝手にキレてたのは、アナタではありませんでしたっけ？
悪い人ではないんだけどなぁ。仕事のことは客観視できない、自分中心な人なんだよなぁ。
曼珠沙華
(Panasonic DMC-GM5, Lumix G Vario 35-100mmF4.0-5.6(62.0mm), 1/160sec, F5.3, ISO250)
さて、ヨメさんの乳がん闘病回顧録の本編をスタートする。
2015年。
長女が小学校に入学し、保育園に通う次女も「年少さん」相当になった。子どもが1人でできることがどんどん増えて成長を実感できた。だから我が家にはポジティブな気持ちが溢れていて、俺とヨメさんも前向きに日々を暮らしていた。
7月に入って、沖縄旅行に行った。家族4人で飛行機に乗って旅行するのはこれが初めてだった。2泊だけとはいえ、のんびり楽しく過ごした。
その旅行から帰って間もなくのことだ。
ヨメさんが何気なく俺に話しかけてきた。
「私、明日病院予約してるんだ。」
「ん？どっか悪いの？」
「乳腺。」
「にゅーせん？」
「胸だよ。なんか胸にしこりがある気がして。」
「あーそうー。」
こんな、あっさりしたやり取りをした。俺はもちろん、ヨメさん自身も、大したことはないと思い込んでいたからだ。
ヨメさんが会社を中断して、会社近くの乳腺外来へ検査をしに行ったのが、その会話の翌日、7/16だった。
検査ではまず、マンモグラフィーを撮った。
するとその画像を見た医師が、「石灰化しているところがあって、気になるので細胞を摂取したい」と言い出した。
細胞は、医師がエコー画像を見ながら、麻酔もなく「気になるところ」に注射針を刺すことで摂取される。当然、相応に痛いそうだ。摂取した細胞の解析には1週間かかると言われ、この日の診察は終わったそうだ。
このことは、俺たち夫婦の間で会話になったかどうかすら記憶が定かではない。もともとヨメさんは以前、検診で疑義が生じて詳細に検査したものの、結局陰性だった、という経験もあった。だからお互い、深刻な結果が出るなんて思っていなかった。
その翌週は、海の日および、小学校の夏休みの始まりだった。
小学校だけではない。実は俺も夏休みだった。俺が勤務する会社は盆休みが短い代わりに、「海の日」に合わせて1週間休みになるカレンダーなのだ。残念ながらヨメさんの会社は通常のカレンダーなので休みではない。逆に、俺が子どもを連れ出せば、普段子どもの世話を多くしているヨメさんにとっては「羽根を伸ばせるチャンス」になる。
そんなわけで、この夏休みを利用して、娘2人と俺で、俺の実家に2泊3日で遊びに行った。俺の妹家族も加わって動物園に行ったり、子ども達で布団並べて寝たり、充実した3日間を過ごした。
ヨメさんにとっても、録り溜まった連続ドラマを観たり、1人ゆっくり風呂に浸かったりと、大いに「羽根を伸ばした」ようだ。
だが。
その最終日である7/23金曜日は、乳腺外来での検査結果を知らされる日だった。
この日、俺の実家から遅い時間に帰ってきて、バタバタと風呂に入って子ども達を寝かせたため、その結果について夫婦間で話をする時間はなかった。と、いうより俺に至っては検査をしたこと自体、忘れていた。
翌朝、起き抜けにヨメさんがおもむろに切り出した。
「例の検査の結果だけどさ、悪性だって言うんだよ」
「...？なにがアクセイだって？」
脳がろくに回っていなくて、情報の整理ができない。
「胸のシコリだよ。検査に行くって言ったじゃない、乳腺外来に。でね、そこじゃ手術できないから、あそこのがんセンターに紹介状書いてくれたのよ」
...手術？
...がんセンター？？
まったく予想しなかった単語にギョッとした。
「わたし、乳がんなのかな？」
「ええ？？そう言われたの？」
「うーん、言われてないけど、腫瘍が悪性で、手術が必要で、がんセンターに紹介状書かれたってことは...」
さすがに俺も動揺したが、情報源がヨメさんが話した内容だけなので、それだけを信じ過ぎてもいけないと思い、まずは調べてみることにした。
胸の悪性腫瘍には、がん以外にもいくつかあった。ヨメさんには、がんと決めつけるのは早いんじゃないか？という話をした。
でも、どうやら手術は必要なようだ。しかしそれにしたって、俺やヨメさんは胸のごく一部を切除して済むような簡単なものを思い浮かべていた。
なぜなら、ヨメさんは毎年乳がん検診を欠かさずに受診していたからだ。このたった10ヶ月前に受診して陰性だった。だからたとえ何らかの腫瘍があったとして、酷い状態にはなっていないと思っていたのだ。
がんセンターの予約は翌週、7/29だった。それには、俺も休みを取って付き添うことにした。
つづく。
「ええ？大丈夫なんですか？お子さん生まれたばっかりですよね？おまんま食い上げちゃったらどうするんですかね！？」
...おおおぅ。なんて正直な。
いやまあ、俺も同じようなことは思いましたよ、たしかに。でも、プロジェクトが一番泥沼だったときに、俺たちがそれでもなんとかしようと地道に頑張っているときに早々にサジを投げて、すべて他人のせいにして勝手にキレてたのは、アナタではありませんでしたっけ？
悪い人ではないんだけどなぁ。仕事のことは客観視できない、自分中心な人なんだよなぁ。
曼珠沙華
(Panasonic DMC-GM5, Lumix G Vario 35-100mmF4.0-5.6(62.0mm), 1/160sec, F5.3, ISO250)
さて、ヨメさんの乳がん闘病回顧録の本編をスタートする。
2015年。
長女が小学校に入学し、保育園に通う次女も「年少さん」相当になった。子どもが1人でできることがどんどん増えて成長を実感できた。だから我が家にはポジティブな気持ちが溢れていて、俺とヨメさんも前向きに日々を暮らしていた。
7月に入って、沖縄旅行に行った。家族4人で飛行機に乗って旅行するのはこれが初めてだった。2泊だけとはいえ、のんびり楽しく過ごした。
その旅行から帰って間もなくのことだ。
ヨメさんが何気なく俺に話しかけてきた。
「私、明日病院予約してるんだ。」
「ん？どっか悪いの？」
「乳腺。」
「にゅーせん？」
「胸だよ。なんか胸にしこりがある気がして。」
「あーそうー。」
こんな、あっさりしたやり取りをした。俺はもちろん、ヨメさん自身も、大したことはないと思い込んでいたからだ。
ヨメさんが会社を中断して、会社近くの乳腺外来へ検査をしに行ったのが、その会話の翌日、7/16だった。
検査ではまず、マンモグラフィーを撮った。
するとその画像を見た医師が、「石灰化しているところがあって、気になるので細胞を摂取したい」と言い出した。
細胞は、医師がエコー画像を見ながら、麻酔もなく「気になるところ」に注射針を刺すことで摂取される。当然、相応に痛いそうだ。摂取した細胞の解析には1週間かかると言われ、この日の診察は終わったそうだ。
このことは、俺たち夫婦の間で会話になったかどうかすら記憶が定かではない。もともとヨメさんは以前、検診で疑義が生じて詳細に検査したものの、結局陰性だった、という経験もあった。だからお互い、深刻な結果が出るなんて思っていなかった。
その翌週は、海の日および、小学校の夏休みの始まりだった。
小学校だけではない。実は俺も夏休みだった。俺が勤務する会社は盆休みが短い代わりに、「海の日」に合わせて1週間休みになるカレンダーなのだ。残念ながらヨメさんの会社は通常のカレンダーなので休みではない。逆に、俺が子どもを連れ出せば、普段子どもの世話を多くしているヨメさんにとっては「羽根を伸ばせるチャンス」になる。
そんなわけで、この夏休みを利用して、娘2人と俺で、俺の実家に2泊3日で遊びに行った。俺の妹家族も加わって動物園に行ったり、子ども達で布団並べて寝たり、充実した3日間を過ごした。
ヨメさんにとっても、録り溜まった連続ドラマを観たり、1人ゆっくり風呂に浸かったりと、大いに「羽根を伸ばした」ようだ。
だが。
その最終日である7/23金曜日は、乳腺外来での検査結果を知らされる日だった。
この日、俺の実家から遅い時間に帰ってきて、バタバタと風呂に入って子ども達を寝かせたため、その結果について夫婦間で話をする時間はなかった。と、いうより俺に至っては検査をしたこと自体、忘れていた。
翌朝、起き抜けにヨメさんがおもむろに切り出した。
「例の検査の結果だけどさ、悪性だって言うんだよ」
「...？なにがアクセイだって？」
脳がろくに回っていなくて、情報の整理ができない。
「胸のシコリだよ。検査に行くって言ったじゃない、乳腺外来に。でね、そこじゃ手術できないから、あそこのがんセンターに紹介状書いてくれたのよ」
...手術？
...がんセンター？？
まったく予想しなかった単語にギョッとした。
「わたし、乳がんなのかな？」
「ええ？？そう言われたの？」
「うーん、言われてないけど、腫瘍が悪性で、手術が必要で、がんセンターに紹介状書かれたってことは...」
さすがに俺も動揺したが、情報源がヨメさんが話した内容だけなので、それだけを信じ過ぎてもいけないと思い、まずは調べてみることにした。
胸の悪性腫瘍には、がん以外にもいくつかあった。ヨメさんには、がんと決めつけるのは早いんじゃないか？という話をした。
でも、どうやら手術は必要なようだ。しかしそれにしたって、俺やヨメさんは胸のごく一部を切除して済むような簡単なものを思い浮かべていた。
なぜなら、ヨメさんは毎年乳がん検診を欠かさずに受診していたからだ。このたった10ヶ月前に受診して陰性だった。だからたとえ何らかの腫瘍があったとして、酷い状態にはなっていないと思っていたのだ。
がんセンターの予約は翌週、7/29だった。それには、俺も休みを取って付き添うことにした。
つづく。
nobilesの投稿(23:52:34-2017-09-21) -
カテゴリ: Breast Cancer
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