NOBILES Days
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大殺界話を引っ張り過ぎたので、先週の週末に遡って日記をつける。
現在Loop On PoolでFunk系鍵盤屋となっているこの俺だが、一応ルーツはクラシックピアノだ。ショパン、モーツァルト、ベートーヴェン、そしてバッハなんて良く弾いていた。
(PentaxK10D, PentaxFA31mmLimited, ProgramMode, 1/40sec, F2.5, ISO320)
だが、実は1600年代を生きたバッハの楽曲にピアノ用の曲は存在しない。ピアノが登場したのは1700年代と言われているからだ。正確には晩年に一度だけ演奏したことがあるらしいが、否定的だったらしい。バッハの時代はチェンバロ（ハープシコード）が主流だったのだ。
前フリが長くなったが、大殺界な先週木曜、金曜で疲れ果てつつも、土曜日は二子玉川にチェンバロコンサートを聴きに行ったのだ。
実はこれ、無料なんである。最近は若干向いている方向が違う感もあるが、仮にも出自がオーディオメーカーであるウチの会社が、社内のオーディオ啓発の一環として、社員向けに無料コンサートを企画したというわけだ。
その第一弾はなんと、あのスタニスラフ・ブーニンのコンサートだったらしいが、開催に気づいた時には前日だったため、行くことは叶わなかった。残念！
その代わりというわけではないのだが、バロックが好きだと言う嫁さんも連れて、このチェンバロの会に申し込んでみた。
というわけで、トビラの写真はチェンバロの弦の部分だ。このように非常に美しい装飾が施されている。真ん中の金色の部分は、チェンバロを作った職人の紋章だということだ。
会場は、ウチの会社の創業者の邸宅を改築した「音楽迎賓館」なる大仰な名前の場所なのだが、そこまでは行かなくとも、高級住宅街の真ん中に立つ、なかなか立派な建物だった。
音楽迎賓館内のシャンデリア
(PentaxK10D, PentaxFA31mmLimited, ManualExposure, 1/25sec, F2.0, ISO320)
ちなみに、大殺界2のトビラ写真の置き時計もこの建物にあったものだ。うーむ。創業者、あなどれんな。
割と時間直前に来てしまったために、ゆっくり見ることも写真を撮ることもできなかったのが残念だった。
さてチェンバロコンサートだが、渡邊温子というチェンバロ奏者の方の、演奏とトークという形のものだった。チェンバロという楽器の楽しさを伝えたいということで、単なる演奏会ではなく、チェンバロの仕組みや楽しさの講義も織り交ぜながら進めるという形式だった。観客は30人程度で30帖（もあるかなぁ？）程度の狭い部屋なので、とても近い距離で楽しむことができた。
一応クラシックピアノをやっていた人間なので、ピアノとは発音方法が違う（ピアノはフェルトハンマーで太い弦を叩く「打弦楽器」であるのに対し、チェンバロは細い弦を極小の爪で弾く「撥弦楽器」）ことくらいは知っていた。まあ、その発音方法の差から、チャンバロは音の強弱を付けにくく、ピアノはその欠点を克服するために発明されたと言われている（ピアノ・フォルテできる鍵盤楽器→略してピアノということらしい）。
だが、2弦、3弦と弦を重ねることで、音色を変化できることなどは知らなかった。ちょうど12弦ギターのように、複雑な倍音を持った不思議な音色になったり、1オクターブ上の音を重ねたりして華やかさを出すことができるわけだ。強弱をつけられないかわりに、こうした工夫が（むしろピアノよりも前の時代から）行われていたというのは面白い。
演奏会は、鍵盤楽器間の違いというのも実際に試すという趣向もあり、同じバッハの曲を、チェンバロ、ピアノ、そしてパイプオルガンで弾き比べもした。そうして聴いてみると、やっぱりバッハの曲はチェンバロのための楽曲なのだな、という気がした。とても繊細でいて、まっすぐ通る音色である。ちょっと怒られるかもしれないが、ファミコンの電子音にも近い感じだろうか。ピアノの音色のようなウィット感がない。実際、音が出ている時間も若干短いようだ。
非常に美しい佇まいのチェンバロ
(PentaxK10D, PentaxFA31mmLimited, ProgramMode, 1/15sec, F1.8, ISO320)
また、王族や貴族をパトロンとして彼らに音楽を披露していたサロン音楽が中心だったバロック時代ゆえ、楽器の装飾もとても美しく仕上げられている。このチェンバロも、深いグリーンを基調として金色の縁取りがされ、内部も赤茶色でとてもゴージャスな感じだし、弦を張る部分にはトビラ写真のような花の模様が描かれている。足の形も特徴的だ。
また、これは作られた国にも依るらしいが、このチェンバロに関して言えば、白鍵と黒鍵の関係が逆になっている（このチェンバロはフランス様式らしい）。
鍵盤も、ハンマーアクションではないので、とても軽く、構造自体もとても華奢に思えた。
なぜ、華奢に思えたのかというと、演奏会が終わった後、なんと、「是非弾いてみて下さい」。そう、弾いちゃったのだ。
でも、残念ながら暗譜で覚えているようなバッハの曲なんてないので、適当に弾いてみただけだったが。それでも、ピアノとは違ってとても軽い打鍵感は新鮮だったし、とても繊細な音色は優しく、なにか芯に響くものがあった。
で、調子に乗ってベーゼンドルファーのグランドピアノやパイプオルガンまで試奏させてもらってしまった。
ちょうど、田舎に帰った時、中部地方限定の結婚式場のCMで、式場を見にきたカップルが「パイプオルガンなんて弾くの初めてー」とか言ってるシーンがあって「ああ、そういや俺も弾いたことねーな」と思っていただけに、ちょっと感動した。いやはや、すごいパワーのある楽器だった。
散々楽しんだ挙げ句、帰りは二子玉川の高島屋の裏辺りで適当に店に入って晩飯を食う。適当に選んだ割にはなかなか美味いイタリアンで、ワインまでいただいてしまった。まあ、値段もそれなりだったが。
それにしても、こうしてとても充実した内容のコンサートを期間限定とは言え社員に無料で提供するなんて、うちの会社って懐深いなと思った。今、若干ちぐはぐなところもあるけど、もともとは音楽を文化としてしっかり伝えようという崇高な意識を持った会社だったんだ。
今は仕事自体は音響関係とはかなり遠い位置にはあるが、音響メーカーに入りたいと言って（まあ入社時の話にはいろいろオチもあるが (^_^;）入社した時の意気込みを思い出して新鮮な気持ちになった。
ってか、また行きたいな、音楽迎賓館。
現在Loop On PoolでFunk系鍵盤屋となっているこの俺だが、一応ルーツはクラシックピアノだ。ショパン、モーツァルト、ベートーヴェン、そしてバッハなんて良く弾いていた。
(PentaxK10D, PentaxFA31mmLimited, ProgramMode, 1/40sec, F2.5, ISO320)
だが、実は1600年代を生きたバッハの楽曲にピアノ用の曲は存在しない。ピアノが登場したのは1700年代と言われているからだ。正確には晩年に一度だけ演奏したことがあるらしいが、否定的だったらしい。バッハの時代はチェンバロ（ハープシコード）が主流だったのだ。
前フリが長くなったが、大殺界な先週木曜、金曜で疲れ果てつつも、土曜日は二子玉川にチェンバロコンサートを聴きに行ったのだ。
実はこれ、無料なんである。最近は若干向いている方向が違う感もあるが、仮にも出自がオーディオメーカーであるウチの会社が、社内のオーディオ啓発の一環として、社員向けに無料コンサートを企画したというわけだ。
その第一弾はなんと、あのスタニスラフ・ブーニンのコンサートだったらしいが、開催に気づいた時には前日だったため、行くことは叶わなかった。残念！
その代わりというわけではないのだが、バロックが好きだと言う嫁さんも連れて、このチェンバロの会に申し込んでみた。
というわけで、トビラの写真はチェンバロの弦の部分だ。このように非常に美しい装飾が施されている。真ん中の金色の部分は、チェンバロを作った職人の紋章だということだ。
会場は、ウチの会社の創業者の邸宅を改築した「音楽迎賓館」なる大仰な名前の場所なのだが、そこまでは行かなくとも、高級住宅街の真ん中に立つ、なかなか立派な建物だった。
音楽迎賓館内のシャンデリア
(PentaxK10D, PentaxFA31mmLimited, ManualExposure, 1/25sec, F2.0, ISO320)
ちなみに、大殺界2のトビラ写真の置き時計もこの建物にあったものだ。うーむ。創業者、あなどれんな。
割と時間直前に来てしまったために、ゆっくり見ることも写真を撮ることもできなかったのが残念だった。
さてチェンバロコンサートだが、渡邊温子というチェンバロ奏者の方の、演奏とトークという形のものだった。チェンバロという楽器の楽しさを伝えたいということで、単なる演奏会ではなく、チェンバロの仕組みや楽しさの講義も織り交ぜながら進めるという形式だった。観客は30人程度で30帖（もあるかなぁ？）程度の狭い部屋なので、とても近い距離で楽しむことができた。
一応クラシックピアノをやっていた人間なので、ピアノとは発音方法が違う（ピアノはフェルトハンマーで太い弦を叩く「打弦楽器」であるのに対し、チェンバロは細い弦を極小の爪で弾く「撥弦楽器」）ことくらいは知っていた。まあ、その発音方法の差から、チャンバロは音の強弱を付けにくく、ピアノはその欠点を克服するために発明されたと言われている（ピアノ・フォルテできる鍵盤楽器→略してピアノということらしい）。
だが、2弦、3弦と弦を重ねることで、音色を変化できることなどは知らなかった。ちょうど12弦ギターのように、複雑な倍音を持った不思議な音色になったり、1オクターブ上の音を重ねたりして華やかさを出すことができるわけだ。強弱をつけられないかわりに、こうした工夫が（むしろピアノよりも前の時代から）行われていたというのは面白い。
演奏会は、鍵盤楽器間の違いというのも実際に試すという趣向もあり、同じバッハの曲を、チェンバロ、ピアノ、そしてパイプオルガンで弾き比べもした。そうして聴いてみると、やっぱりバッハの曲はチェンバロのための楽曲なのだな、という気がした。とても繊細でいて、まっすぐ通る音色である。ちょっと怒られるかもしれないが、ファミコンの電子音にも近い感じだろうか。ピアノの音色のようなウィット感がない。実際、音が出ている時間も若干短いようだ。
非常に美しい佇まいのチェンバロ
(PentaxK10D, PentaxFA31mmLimited, ProgramMode, 1/15sec, F1.8, ISO320)
また、王族や貴族をパトロンとして彼らに音楽を披露していたサロン音楽が中心だったバロック時代ゆえ、楽器の装飾もとても美しく仕上げられている。このチェンバロも、深いグリーンを基調として金色の縁取りがされ、内部も赤茶色でとてもゴージャスな感じだし、弦を張る部分にはトビラ写真のような花の模様が描かれている。足の形も特徴的だ。
また、これは作られた国にも依るらしいが、このチェンバロに関して言えば、白鍵と黒鍵の関係が逆になっている（このチェンバロはフランス様式らしい）。
鍵盤も、ハンマーアクションではないので、とても軽く、構造自体もとても華奢に思えた。
なぜ、華奢に思えたのかというと、演奏会が終わった後、なんと、「是非弾いてみて下さい」。そう、弾いちゃったのだ。
でも、残念ながら暗譜で覚えているようなバッハの曲なんてないので、適当に弾いてみただけだったが。それでも、ピアノとは違ってとても軽い打鍵感は新鮮だったし、とても繊細な音色は優しく、なにか芯に響くものがあった。
で、調子に乗ってベーゼンドルファーのグランドピアノやパイプオルガンまで試奏させてもらってしまった。
ちょうど、田舎に帰った時、中部地方限定の結婚式場のCMで、式場を見にきたカップルが「パイプオルガンなんて弾くの初めてー」とか言ってるシーンがあって「ああ、そういや俺も弾いたことねーな」と思っていただけに、ちょっと感動した。いやはや、すごいパワーのある楽器だった。
散々楽しんだ挙げ句、帰りは二子玉川の高島屋の裏辺りで適当に店に入って晩飯を食う。適当に選んだ割にはなかなか美味いイタリアンで、ワインまでいただいてしまった。まあ、値段もそれなりだったが。
それにしても、こうしてとても充実した内容のコンサートを期間限定とは言え社員に無料で提供するなんて、うちの会社って懐深いなと思った。今、若干ちぐはぐなところもあるけど、もともとは音楽を文化としてしっかり伝えようという崇高な意識を持った会社だったんだ。
今は仕事自体は音響関係とはかなり遠い位置にはあるが、音響メーカーに入りたいと言って（まあ入社時の話にはいろいろオチもあるが (^_^;）入社した時の意気込みを思い出して新鮮な気持ちになった。
ってか、また行きたいな、音楽迎賓館。
nobilesの投稿(14:54:13-2007-09-02) -
カテゴリ: Music
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