NOBILES Days
Jump to navigationHeadphone Junkie Part.3
拝啓
ヘッドフォンジャンキーの皆さん、お久しぶりです。
曼珠沙華の花も美しいこのお彼岸、いかがお過ごしですか。
さて、以前ご紹介さし上げた私のメインヘッドフォンであるShureE4Cですが、丸々3年以上もの酷使の末、とうとうお亡くなりになったようです。
左チャンネルがおかしくなったらしく、音が出にくいだけでなく、音量を上げるとノイズが混じるようになってしまいました。
ああ、無情。
Shure SE530(拡大はなし)
(PentaxK10D, PentaxFA43mmLimitedF1.9, ManualExposure, 3.0sec, F11.0, ISO100)
...って、オイ...。
バカと呼んでくれ。
Shureのヘッドフォンの中でもプレステージと言えるSE530である。
阿呆だ。阿呆すぎる。
いや、でも、前々からE4Cが潰れたらこれ以外には行くまいと思っていた。E4Cを買ってから1年と経たないうちにこのSE530などの新しい世代が登場して苦々しく思っていたのだ。
そんなわけで、必殺500円玉貯金投入である。あ、いや、まだ地道にやってるんで (^_^;。
宅配便のおっちゃんから荷物を受け取り、段ボールを開ける。
相変わらずアメリカーンなポリカーボネートの10cm四方ばかりのパッケージが現れる。さすが、パッケージは安っぽいぜ...と思ったら大間違いだった。そのポリカボのケースを開けた中には、なんと、まさかの金属のケースが現れたのだった。
なんと、金属ケースに納められていたSE530(拡大はなし)
(PentaxK10D, PentaxFA43mmLimitedF1.9, ApertureValueMode, 2.0sec, F11.0, ISO100)
うぉー、これはテンションが上がる。もともとはプロ用のマイクなどを生業としていたShureであるが、Eシリーズのブレーク後、コンシューマオーディオの顧客満足に付いて学習したに違いない。見た目の美しさもこれらのカテゴリーではとても重要だ。
玉手箱を開けるようにして、中から現れたSE530本体(拡大はなし)
(PentaxK10D, PentaxFA31mmLimitedF1.8, ProgramMode, 1/25sec, F2.5, ISO250)
早速耳に装着してみる。...新しいパッドがとてもいい。
E4Cにも、柔らかめのゴム、堅めのゴム（結局コレを使っていた）、耳栓のようなフォーム状のもの、そしてトリプルフリンジという4種のパッド（さらに大きさのバリエーションもある）が付属していたが、SE530ではゴムと耳栓の良いとこ取りのような新しいパッドになっていた。
E4Cの耳栓フォームはまさに黄色い耳栓に穴をあけたような無骨な外観で格好悪かったし、本当に耳栓のように一度指で潰してから耳に挿入せねばならず、面倒だし寿命も短かった。
だが、この新しいパッドは簡単に耳に挿入できる上に、耳の中で少し膨らんでキュッと遮音してくれる。負担も少ないし、これはとても疲れなさそうだ。
さあ、肝心の音を聴いてみよう。いつもこういう時に使うSmappiesIIをかける。
うぉぉぉぉぉ。
トランペットが艶やかにいななく。しかも、一本一本を忠実に描き分けている。だが、この辺はE4Cでもそうだった。E4Cと比べてすごいのは、やはり低音だ。
実はSE530では、ドライバを3つ搭載している。
E4CもSE530も、最近の高級カナル(耳栓)型ヘッドフォンの代名詞であるバランスドアーマチュアユニットを採用している。これは、一般的なスピーカーの形式であるダイナミック型ではなく、補聴器などで使われている形式であるが、再生忠実度が非常に高く、特に中音〜高音の艶やかな音が特徴的だ。ダイナミック型の小型ヘッドフォンでは絶対不可能なトランペットのいななきは、だからこそ実現できているのだ。
だが、バランスドアーマチュアは低音のボリューム感に弱点がある。そこで、E4Cでは全域で1本だったユニットを、SE530では潤沢にも、中高音用に一本、低音用にはなんと二本も使用しているのだ。
この低音のどっしり感が素晴らしい。大編成のストリングスの場を支配する音場をしっかりと再現してくれている。
だから、音としては元気はつらつ、という感じではない。その点ではE4Cの方が「楽しい」ヘッドフォンであったように思う。むしろ、バランスドアーマチュアらしからぬ、落ち着いた大人の音であるように感じた。
我が家のレファレンスヘッドフォンであるオーバーヘッドのSony MDR-CD3000と比べると（うーん、価格帯的にSE530はむしろ高いくらいになってしまったが）その思いをさらに強くする。CD3000は振動板にバイオセルロースを使用していて、かなり特徴的な高音が出る。時にはサ行音が耳につくことすらある。
だが、音の開放感、それからコロコロとしたピアノの音の軽やかさなどの再現はCD3000の方が上だ。また、絶対的なキャビネット容量の大きさから、音場の奥深さ、立体感に関してもCD3000の方が一枚上手だ。
だからといって、SE530は高音が出ていないわけではない。むしろ、耳に痛い高音を抑えめにして、実にイージーリスニングをもたらしてくれる。ゆったりと心地よい大人の音楽に浸りたいなら、ではなくSE530を選ぶだろう。
役目を終えたE4CとニューカマーSE530(拡大はなし)
(PentaxK10D, PentaxFA77mmLimitedF1.8, ManualExposure, 1.6sec, F11.0, ISO100)
というわけで、また音楽を聴くのが楽しみになってしまった。いいヘッドフォンで聴くと、これまで聴き慣れていたはずの音源にも、いくつもの発見があったりするからだ。
だから、ここでもう一度言いたい。音楽を愛しているなら、やっぱり付属ヘッドフォンで聴かずに、ちょっと高めのヘッドフォンを買って聴いて欲しい。
まあ、ジャンキーである俺のようなアホヘッドフォンをいきなり買えとは言わない。でも、最低でも諭吉さんくらいのヘッドフォンをお勧めしたいところだ。
って、おっと、手紙形式だったっけ？
というわけで、季節は大分寒い時分と移りゆくようです。ヘッドフォンジャンキーの皆さまにおかれましては、体調など崩されぬようお過ごしくださいませ。
敬具。
ヘッドフォンジャンキーの皆さん、お久しぶりです。
曼珠沙華の花も美しいこのお彼岸、いかがお過ごしですか。
さて、以前ご紹介さし上げた私のメインヘッドフォンであるShureE4Cですが、丸々3年以上もの酷使の末、とうとうお亡くなりになったようです。
左チャンネルがおかしくなったらしく、音が出にくいだけでなく、音量を上げるとノイズが混じるようになってしまいました。
ああ、無情。
Shure SE530(拡大はなし)
(PentaxK10D, PentaxFA43mmLimitedF1.9, ManualExposure, 3.0sec, F11.0, ISO100)
...って、オイ...。
バカと呼んでくれ。
Shureのヘッドフォンの中でもプレステージと言えるSE530である。
阿呆だ。阿呆すぎる。
いや、でも、前々からE4Cが潰れたらこれ以外には行くまいと思っていた。E4Cを買ってから1年と経たないうちにこのSE530などの新しい世代が登場して苦々しく思っていたのだ。
そんなわけで、必殺500円玉貯金投入である。あ、いや、まだ地道にやってるんで (^_^;。
宅配便のおっちゃんから荷物を受け取り、段ボールを開ける。
相変わらずアメリカーンなポリカーボネートの10cm四方ばかりのパッケージが現れる。さすが、パッケージは安っぽいぜ...と思ったら大間違いだった。そのポリカボのケースを開けた中には、なんと、まさかの金属のケースが現れたのだった。
なんと、金属ケースに納められていたSE530(拡大はなし)
(PentaxK10D, PentaxFA43mmLimitedF1.9, ApertureValueMode, 2.0sec, F11.0, ISO100)
うぉー、これはテンションが上がる。もともとはプロ用のマイクなどを生業としていたShureであるが、Eシリーズのブレーク後、コンシューマオーディオの顧客満足に付いて学習したに違いない。見た目の美しさもこれらのカテゴリーではとても重要だ。
玉手箱を開けるようにして、中から現れたSE530本体(拡大はなし)
(PentaxK10D, PentaxFA31mmLimitedF1.8, ProgramMode, 1/25sec, F2.5, ISO250)
早速耳に装着してみる。...新しいパッドがとてもいい。
E4Cにも、柔らかめのゴム、堅めのゴム（結局コレを使っていた）、耳栓のようなフォーム状のもの、そしてトリプルフリンジという4種のパッド（さらに大きさのバリエーションもある）が付属していたが、SE530ではゴムと耳栓の良いとこ取りのような新しいパッドになっていた。
E4Cの耳栓フォームはまさに黄色い耳栓に穴をあけたような無骨な外観で格好悪かったし、本当に耳栓のように一度指で潰してから耳に挿入せねばならず、面倒だし寿命も短かった。
だが、この新しいパッドは簡単に耳に挿入できる上に、耳の中で少し膨らんでキュッと遮音してくれる。負担も少ないし、これはとても疲れなさそうだ。
さあ、肝心の音を聴いてみよう。いつもこういう時に使うSmappiesIIをかける。
うぉぉぉぉぉ。
トランペットが艶やかにいななく。しかも、一本一本を忠実に描き分けている。だが、この辺はE4Cでもそうだった。E4Cと比べてすごいのは、やはり低音だ。
実はSE530では、ドライバを3つ搭載している。
E4CもSE530も、最近の高級カナル(耳栓)型ヘッドフォンの代名詞であるバランスドアーマチュアユニットを採用している。これは、一般的なスピーカーの形式であるダイナミック型ではなく、補聴器などで使われている形式であるが、再生忠実度が非常に高く、特に中音〜高音の艶やかな音が特徴的だ。ダイナミック型の小型ヘッドフォンでは絶対不可能なトランペットのいななきは、だからこそ実現できているのだ。
だが、バランスドアーマチュアは低音のボリューム感に弱点がある。そこで、E4Cでは全域で1本だったユニットを、SE530では潤沢にも、中高音用に一本、低音用にはなんと二本も使用しているのだ。
この低音のどっしり感が素晴らしい。大編成のストリングスの場を支配する音場をしっかりと再現してくれている。
だから、音としては元気はつらつ、という感じではない。その点ではE4Cの方が「楽しい」ヘッドフォンであったように思う。むしろ、バランスドアーマチュアらしからぬ、落ち着いた大人の音であるように感じた。
我が家のレファレンスヘッドフォンであるオーバーヘッドのSony MDR-CD3000と比べると（うーん、価格帯的にSE530はむしろ高いくらいになってしまったが）その思いをさらに強くする。CD3000は振動板にバイオセルロースを使用していて、かなり特徴的な高音が出る。時にはサ行音が耳につくことすらある。
だが、音の開放感、それからコロコロとしたピアノの音の軽やかさなどの再現はCD3000の方が上だ。また、絶対的なキャビネット容量の大きさから、音場の奥深さ、立体感に関してもCD3000の方が一枚上手だ。
だからといって、SE530は高音が出ていないわけではない。むしろ、耳に痛い高音を抑えめにして、実にイージーリスニングをもたらしてくれる。ゆったりと心地よい大人の音楽に浸りたいなら、ではなくSE530を選ぶだろう。
役目を終えたE4CとニューカマーSE530(拡大はなし)
(PentaxK10D, PentaxFA77mmLimitedF1.8, ManualExposure, 1.6sec, F11.0, ISO100)
というわけで、また音楽を聴くのが楽しみになってしまった。いいヘッドフォンで聴くと、これまで聴き慣れていたはずの音源にも、いくつもの発見があったりするからだ。
だから、ここでもう一度言いたい。音楽を愛しているなら、やっぱり付属ヘッドフォンで聴かずに、ちょっと高めのヘッドフォンを買って聴いて欲しい。
まあ、ジャンキーである俺のようなアホヘッドフォンをいきなり買えとは言わない。でも、最低でも諭吉さんくらいのヘッドフォンをお勧めしたいところだ。
って、おっと、手紙形式だったっけ？
というわけで、季節は大分寒い時分と移りゆくようです。ヘッドフォンジャンキーの皆さまにおかれましては、体調など崩されぬようお過ごしくださいませ。
敬具。
nobilesの投稿(14:59:37-2008-09-27) -
カテゴリ: Music
コメント
たかぎ wrote:
2008-09-30 23:23:03
nobiles wrote:
なんか、来るとこ来ちゃったんだよねぇ (^_^;。
音のバランスが悪いと言われていたE5Cの時代は、敢えてE4C行くのもアリだったけど、なんかもう、SE530は有無を言わさない感じだったんで。
SE110良いじゃない。E2Cと同じ価格帯にしてバランスドアーマチュア。音の緻密さが違うよね。
CD900STはまた違う感じだもんなぁ。モニタとしてはプロ定番じゃないか。
音のバランスが悪いと言われていたE5Cの時代は、敢えてE4C行くのもアリだったけど、なんかもう、SE530は有無を言わさない感じだったんで。
SE110良いじゃない。E2Cと同じ価格帯にしてバランスドアーマチュア。音の緻密さが違うよね。
CD900STはまた違う感じだもんなぁ。モニタとしてはプロ定番じゃないか。
2008-10-01 00:57:41
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