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まだまだ右足にはギプスをはめたまま。当然、右膝は曲げることが出来ないし、まだ体重をかけることもできない。
それでも、少しでも日常生活に戻れる方向でのリハビリは進みつつあり、昨日は松葉杖を使って3階まで階段で昇り、降りる練習をした。
1週間のベッド生活で体力も大分落ちているのか、たったそれだけでもかなりへとへとになった。
松葉杖での階段は、昇りの方が体力を使うように思えるかもしれないが、実は昇りの方が楽だ。踏み出したい段の一段下に杖を突き、健康な左足をスッと載せるだけ。いざという時には前に倒れればそれで済む。下りの方がはるかに怖い。踏み出す段に先に杖を突いて、そこに全体重を載せて下に向かって左足を踏み出さねばならない。もし杖をついたところが濡れていたりすると滑る危険がある。バランス崩して前に倒れれば落ちるし、後ろも見えないからどう落ちるか分からない。極力勘弁願いたいと思う。
来週半ばには抜糸とギプスの巻き直しが行われる予定だ。とりあえずの退院に向けてのプログラムは進行している。日常生活への復帰はまだまだかかりそうだ。
さて、時計を少し戻して手術翌日の入院日記に戻ろう。
曼珠沙華
(PentaxK10D, PentaxDA55-300mmF4-5.8(260mm), ApertureValueMode, 1/200sec, F7.1, ISO100)
そろそろ曼珠沙華＝彼岸花の季節も終わりだろうか。
これは昨年撮ったもの。今年は撮影にも行けなかった (′Д`;。
さて、手術翌日はあっという間に過ぎたと言ったが、そういえば最初のリハビリも行った。
確か午後2時過ぎだったと思うが、理学療法士さんがベッドにやってきた。なんだか、お笑い芸人に似た人がいたように思えるが、思い出せない。ちょっと天然パーマ系の短めの髪、細い目に黒ぶち眼鏡、色白でちょっと大柄な男性だった。
ひとしきり挨拶の後、「リハビリルームに行きますか、今日はここでやりますか？」と言う。既に述べたように当日はとにかく余裕がなかったので、情けなくも「ここで」と言った (′Д`;。
リハビリと言っても、ギプスをしている間にやれることは限られる。患部である右膝は固定されて動かないからだ。だからギプスを解くまでのメインは、動かせる部分の可動域を確保することと、右足を使えない身体を支える筋力、具体的には特に左足筋力アップが目的となる。
まずは患部右足の足首をほぐすことから始める。この時までは積極的に動かして良いのかどうかも分からないのでほとんど動かしていなかったのだが、こうして動かしてみると、膝の痕が若干引っ張られる気もするが、特に痛みもなく足首は動かせることに気づいた。歩くのに足首の柔軟性は重要だ。それ以降意識が及ぶ度に足首は積極的に動かすようになった。
次に寝たままの俺の患部右足を療法士さんが抱え、股関節を起点に上下運動をさせ始めた。が、これが結構痕が引っ張られて痛みにも近い感触が襲う。俺が顔を歪めたので、療法士さんも「痛いならやる必要はないです」と10回もやらないうちに止めて、今度は股を開く方向、つまりベッドに沿って右足を扇状に開いたり閉じたりする運動へ切り替えた。こちらの方が痕への刺激も少なく、20回ほど行った。
説明によれば、大腿筋の役割には二つあって、膝を曲げることと、股関節を開いたり閉じたりすることだという。膝は曲げられないから、股関節を使うことで少しでも筋力を衰えさせない、ということのようだ（間違ってないよね？）。
最後は健康な左足の筋力強化だ。寝た状態で左膝を曲げ、そこから左足の筋肉を使ってお尻を上げる。これを20回ほど繰り返した。
こうして初日のリハビリは終了した。翌日には松葉杖を持ってリハビリセンターに来る旨を伝え、天パー療法士さんは帰って行った。
ああそうそう、まだこの時点で松葉杖の使用許可は下りていなかった。それ以前に、左足で立ち上がって右足自体の重さを右足にかけることが怖く、移動は車椅子で、右足はクッションなどに載せていた。車椅子に移る際もわざわざナースコールで右足を持ってもらわなければならなかった。トイレも付き添ってもらい、身障者用トイレに入らなければならない始末だった。幸い、服は自分で脱げたので用を足すのは一人で出来たのだが。
トイレに座って困ったのは、ギプスが脚の付け根近くまで伸びているものだから、便座に乗ってしまうのだ。だから左右で高さが違う。幸い男性なので (^_^;、尿の時は問題ないのだが大便の時には左手で少し身体を持ち上げてバランスをとる必要があるのだ。もっとも、手術直後は40時間の断食の影響でしばらく大便は出なかった。汚い話すんまそん。
オグシオナースの話を昨日したが、そういえば時系列を間違っていた。寝る前にもう一つ、大切なイベントがあったのだった。
まだ看護士さんの手を借りなければトイレにも行けない俺は、オグシオさんではない看護士さんに車椅子を押してもらって就寝前のトイレへと向かった。ついでに、歯磨きや洗顔セットなども持って帰りに流しに寄ってもらった。ずっと付き添っているわけにもいかないので、看護士さんは立ち去り、俺は一人流しに向かった。
流しには4つの蛇口があり、そのうちの2つはシャワータイプになっており、その気になれば髪を洗うことも可能になっていた。ちなみに俺は右足にギプスをしているため、シャワーも浴びることができない。身体は週二回のタオル拭きと、自主的なオードリー春日ティッシュ拭きだけとなる。
さすがにこの日はまだ車椅子だったし、頭がじっとりしている気もしたが、すぐに松葉杖許可も下りると思い、洗顔程度で済ますつもりだった。洗顔をしていると、オグシオさん(違)が、初老の婦人を車椅子に載せ、流しにやってきた。
この整形外科、以前にも述べたように、病人というより怪我人の集団だ。でも、やはり年齢を重ねてバランスを崩して骨折、という方が多いようで老人率が非常に高い。共同テレビに群がってる人たちはほとんど白髪だ。そんな中にあって、その婦人の首あたりまでのパーマのかかった髪は真っ黒だし、ああ、きっとこの人はばっちり化粧をしたらかなり綺麗なんだろうな、と思わせる雰囲気のある方だった。
「あら、若い方。こんばんはー。いつ手術したの？じゃあ私と一緒じゃない！同期ね。」
ハスキーな声は桃井かおり風か。滑らかに会話が紡がれるのも、かなり頭の良さが感じられる。その方も足をやったようだが、俺のような膝ではなく、足首だということだった。不幸にも両足ともダメージを受けているようだ。
オグシオさんも交え、世間話を続ける。ご婦人はどうやら俺の母と同い年のようだ。しかも、翌日が誕生日だという（だから厳密には学年一個上）。還暦の誕生日を病院で迎えるなんて、（引っ越し直前の俺の事情も話しつつ）お互い不運だねーなどと話していた。比較的遅くに子供が出来たと言い、一番下のお子さんはまだ高校生だという。それで気持ちも若いのかな、なんて思ってみたりもする。
「ね、どうせ顔そんな風にして洗ってるんだったら、髪も洗っちゃえば？」ご婦人がふと俺に言った。
「病院にもシャンプーあるよ、洗っちゃおうか。」オグシオさんがささっとタオルを持って来て俺の首にかける。
「ほら、洗ってあげるよ」
オウ、マイエンジェル。まるであなたは天使だぜ。（英語を和訳すると変だよね。頭痛が痛いみたいだよね？）
「そうだよ、洗ってもらっちゃいな。この人、優しくてホント私大好きー。」
ありがとう、ご婦人。あなたの提案のおかげだ。
しかも、頭を洗ってくれるその手の優しいこと。あー超幸せ。
「あら、パジャマの肩にたくさんこぼれちゃったね、ごめん、乾かすね。」
ドライヤーでわざわざ乾かしてくれるオグシオさん。やっぱりあなたは天使だぜ。
翌日、翌々日は週末で、見舞いもたくさん来ることになっていたので、髪がさっぱりしたのは本当に良かった。それ以上に、気持ちがとても軽やかになったというものだ。
それから1週間病院にいて、ここの看護士さんが親切に患者にあたってくれているのを見ているが、ここまで親切にしてくれるのは、やはりオグシオさんだけだ。
ぐっすり眠れたその夜が明けると、先述のご婦人の誕生日だ。
また朝のトイレにナースコールをするとオグシオさんだった。
「ほら、誕生日だから祝福しましょうか。」
トイレに行く途中のご婦人の部屋にすっと入った。
「お誕生日おめでとうございます！」
「ま、ありがとう〜。」
こうして、入院したからこその数奇の出会いがなんとなく心地よくすら感じ始めていた。
その夕方、せめてもの気持ちと思って、見舞いにもらったスイーツをご婦人に差し上げに行った。ますます喜んで下さった。
このブログをくまなく読んでらっしゃる酔狂な...失礼 (^_^;、賢明な読者の方ならお気づきであろうが、このご婦人こそ、娘の誕生日にわざわざ誕生日プレゼントを下さった方だ。
ちなみに"Lucky Hit"＝「怪我の功名」である。
それでも、少しでも日常生活に戻れる方向でのリハビリは進みつつあり、昨日は松葉杖を使って3階まで階段で昇り、降りる練習をした。
1週間のベッド生活で体力も大分落ちているのか、たったそれだけでもかなりへとへとになった。
松葉杖での階段は、昇りの方が体力を使うように思えるかもしれないが、実は昇りの方が楽だ。踏み出したい段の一段下に杖を突き、健康な左足をスッと載せるだけ。いざという時には前に倒れればそれで済む。下りの方がはるかに怖い。踏み出す段に先に杖を突いて、そこに全体重を載せて下に向かって左足を踏み出さねばならない。もし杖をついたところが濡れていたりすると滑る危険がある。バランス崩して前に倒れれば落ちるし、後ろも見えないからどう落ちるか分からない。極力勘弁願いたいと思う。
来週半ばには抜糸とギプスの巻き直しが行われる予定だ。とりあえずの退院に向けてのプログラムは進行している。日常生活への復帰はまだまだかかりそうだ。
さて、時計を少し戻して手術翌日の入院日記に戻ろう。
曼珠沙華
(PentaxK10D, PentaxDA55-300mmF4-5.8(260mm), ApertureValueMode, 1/200sec, F7.1, ISO100)
そろそろ曼珠沙華＝彼岸花の季節も終わりだろうか。
これは昨年撮ったもの。今年は撮影にも行けなかった (′Д`;。
さて、手術翌日はあっという間に過ぎたと言ったが、そういえば最初のリハビリも行った。
確か午後2時過ぎだったと思うが、理学療法士さんがベッドにやってきた。なんだか、お笑い芸人に似た人がいたように思えるが、思い出せない。ちょっと天然パーマ系の短めの髪、細い目に黒ぶち眼鏡、色白でちょっと大柄な男性だった。
ひとしきり挨拶の後、「リハビリルームに行きますか、今日はここでやりますか？」と言う。既に述べたように当日はとにかく余裕がなかったので、情けなくも「ここで」と言った (′Д`;。
リハビリと言っても、ギプスをしている間にやれることは限られる。患部である右膝は固定されて動かないからだ。だからギプスを解くまでのメインは、動かせる部分の可動域を確保することと、右足を使えない身体を支える筋力、具体的には特に左足筋力アップが目的となる。
まずは患部右足の足首をほぐすことから始める。この時までは積極的に動かして良いのかどうかも分からないのでほとんど動かしていなかったのだが、こうして動かしてみると、膝の痕が若干引っ張られる気もするが、特に痛みもなく足首は動かせることに気づいた。歩くのに足首の柔軟性は重要だ。それ以降意識が及ぶ度に足首は積極的に動かすようになった。
次に寝たままの俺の患部右足を療法士さんが抱え、股関節を起点に上下運動をさせ始めた。が、これが結構痕が引っ張られて痛みにも近い感触が襲う。俺が顔を歪めたので、療法士さんも「痛いならやる必要はないです」と10回もやらないうちに止めて、今度は股を開く方向、つまりベッドに沿って右足を扇状に開いたり閉じたりする運動へ切り替えた。こちらの方が痕への刺激も少なく、20回ほど行った。
説明によれば、大腿筋の役割には二つあって、膝を曲げることと、股関節を開いたり閉じたりすることだという。膝は曲げられないから、股関節を使うことで少しでも筋力を衰えさせない、ということのようだ（間違ってないよね？）。
最後は健康な左足の筋力強化だ。寝た状態で左膝を曲げ、そこから左足の筋肉を使ってお尻を上げる。これを20回ほど繰り返した。
こうして初日のリハビリは終了した。翌日には松葉杖を持ってリハビリセンターに来る旨を伝え、天パー療法士さんは帰って行った。
ああそうそう、まだこの時点で松葉杖の使用許可は下りていなかった。それ以前に、左足で立ち上がって右足自体の重さを右足にかけることが怖く、移動は車椅子で、右足はクッションなどに載せていた。車椅子に移る際もわざわざナースコールで右足を持ってもらわなければならなかった。トイレも付き添ってもらい、身障者用トイレに入らなければならない始末だった。幸い、服は自分で脱げたので用を足すのは一人で出来たのだが。
トイレに座って困ったのは、ギプスが脚の付け根近くまで伸びているものだから、便座に乗ってしまうのだ。だから左右で高さが違う。幸い男性なので (^_^;、尿の時は問題ないのだが大便の時には左手で少し身体を持ち上げてバランスをとる必要があるのだ。もっとも、手術直後は40時間の断食の影響でしばらく大便は出なかった。汚い話すんまそん。
オグシオナースの話を昨日したが、そういえば時系列を間違っていた。寝る前にもう一つ、大切なイベントがあったのだった。
まだ看護士さんの手を借りなければトイレにも行けない俺は、オグシオさんではない看護士さんに車椅子を押してもらって就寝前のトイレへと向かった。ついでに、歯磨きや洗顔セットなども持って帰りに流しに寄ってもらった。ずっと付き添っているわけにもいかないので、看護士さんは立ち去り、俺は一人流しに向かった。
流しには4つの蛇口があり、そのうちの2つはシャワータイプになっており、その気になれば髪を洗うことも可能になっていた。ちなみに俺は右足にギプスをしているため、シャワーも浴びることができない。身体は週二回のタオル拭きと、自主的なオードリー春日ティッシュ拭きだけとなる。
さすがにこの日はまだ車椅子だったし、頭がじっとりしている気もしたが、すぐに松葉杖許可も下りると思い、洗顔程度で済ますつもりだった。洗顔をしていると、オグシオさん(違)が、初老の婦人を車椅子に載せ、流しにやってきた。
この整形外科、以前にも述べたように、病人というより怪我人の集団だ。でも、やはり年齢を重ねてバランスを崩して骨折、という方が多いようで老人率が非常に高い。共同テレビに群がってる人たちはほとんど白髪だ。そんな中にあって、その婦人の首あたりまでのパーマのかかった髪は真っ黒だし、ああ、きっとこの人はばっちり化粧をしたらかなり綺麗なんだろうな、と思わせる雰囲気のある方だった。
「あら、若い方。こんばんはー。いつ手術したの？じゃあ私と一緒じゃない！同期ね。」
ハスキーな声は桃井かおり風か。滑らかに会話が紡がれるのも、かなり頭の良さが感じられる。その方も足をやったようだが、俺のような膝ではなく、足首だということだった。不幸にも両足ともダメージを受けているようだ。
オグシオさんも交え、世間話を続ける。ご婦人はどうやら俺の母と同い年のようだ。しかも、翌日が誕生日だという（だから厳密には学年一個上）。還暦の誕生日を病院で迎えるなんて、（引っ越し直前の俺の事情も話しつつ）お互い不運だねーなどと話していた。比較的遅くに子供が出来たと言い、一番下のお子さんはまだ高校生だという。それで気持ちも若いのかな、なんて思ってみたりもする。
「ね、どうせ顔そんな風にして洗ってるんだったら、髪も洗っちゃえば？」ご婦人がふと俺に言った。
「病院にもシャンプーあるよ、洗っちゃおうか。」オグシオさんがささっとタオルを持って来て俺の首にかける。
「ほら、洗ってあげるよ」
オウ、マイエンジェル。まるであなたは天使だぜ。（英語を和訳すると変だよね。頭痛が痛いみたいだよね？）
「そうだよ、洗ってもらっちゃいな。この人、優しくてホント私大好きー。」
ありがとう、ご婦人。あなたの提案のおかげだ。
しかも、頭を洗ってくれるその手の優しいこと。あー超幸せ。
「あら、パジャマの肩にたくさんこぼれちゃったね、ごめん、乾かすね。」
ドライヤーでわざわざ乾かしてくれるオグシオさん。やっぱりあなたは天使だぜ。
翌日、翌々日は週末で、見舞いもたくさん来ることになっていたので、髪がさっぱりしたのは本当に良かった。それ以上に、気持ちがとても軽やかになったというものだ。
それから1週間病院にいて、ここの看護士さんが親切に患者にあたってくれているのを見ているが、ここまで親切にしてくれるのは、やはりオグシオさんだけだ。
ぐっすり眠れたその夜が明けると、先述のご婦人の誕生日だ。
また朝のトイレにナースコールをするとオグシオさんだった。
「ほら、誕生日だから祝福しましょうか。」
トイレに行く途中のご婦人の部屋にすっと入った。
「お誕生日おめでとうございます！」
「ま、ありがとう〜。」
こうして、入院したからこその数奇の出会いがなんとなく心地よくすら感じ始めていた。
その夕方、せめてもの気持ちと思って、見舞いにもらったスイーツをご婦人に差し上げに行った。ますます喜んで下さった。
このブログをくまなく読んでらっしゃる酔狂な...失礼 (^_^;、賢明な読者の方ならお気づきであろうが、このご婦人こそ、娘の誕生日にわざわざ誕生日プレゼントを下さった方だ。
ちなみに"Lucky Hit"＝「怪我の功名」である。
nobilesの投稿(20:00:40-2009-10-03) -
カテゴリ: Main
コメント
カル呂素 wrote:
オグシオさんに是非会いたいものだ！こりゃ、もう1週間入院延長だな笑。
2009-10-03 22:18:11
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