NOBILES Days
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会社帰りの電車は、都心に向かう側なのでラッシュとは反対方向になり、割と簡単に座れてしまう。果てしなく長時間なので、本だとか、教養系のDSソフトなどを用意してひたすら暇を潰している。ああ、こうしてblog執筆をしている場合もあるけど。
そんな先日、都心を超えて混み合ってきた電車でDSのソフトを入れ替えようと目を上げると、俺の前に立った若めの女性のカバンに、見覚えのあるキーホルダーがぶら下がっているのが目に留まった。
嫁さんも一時期ぶら下げていたそのキーホルダーは、妊婦さんであることを示すものだ。頻度は決して高くなかったが、嫁さんも何度かそれをキッカケに席を譲ってもらったことがあったし、それを見て見ぬフリをして座り続ける乗客に憤慨したこともあった。
だから、迷わず俺は席を立った。気づかないでゴメンなさい、と言いながら。
しばらく気づいてあげられなかったせいで彼女が座れたのは20分にも満たなかったかもしれない。でも、俺の2駅手前で降りた彼女の笑顔に心癒された。
読者諸兄もこのキーホルダー（マタニティマークと言うらしい）に気づいたら恥ずかしがらずに席を譲ることをお奨めする。彼女は我々の宝を体に宿して守ってくれてるのだから。
松葉杖
(PentaxK-7, PentaxDA15mmLimitedF4, ProgramMode, 1/50sec, F5.6, ISO800)
君は、俺が失った片翼の代わりとなり、
物理的にはもちろん、時に精神的にも大きな支えとなってくれた。
だけど今再び俺は自ら飛び立つ力を得た。
4ヶ月近くに及ぶ君の役割は遂に終焉を迎えたのだ。
今日、松葉杖を転院前の病院へと返却してきた。
9/17に救急診療を受けた帰りに受け取ってから、まさに俺を支え続けてくれた恩人である。その恩人との別れは感慨深いものがあった。
思い返せば、怪我をしてから入院するまでの2回の通院は実にタフだった。
サイズも調整されておらず、使い方も2、3言聞いただけの状態で、健康なら5分もかからない距離を汗だくになりながら2〜3倍の時間をかけて歩いた。パットと当たってスレた背中はまるで擦り傷のように出血してしまった。
そんな惨状を見かねて、両親が三角巾を買ってきてパットに巻いてくれた。当たりが少し柔らかくなった。それ以上に親の愛情というものを感じたものだ。
入院・手術してからも、右脚に体重をかけられない以上、それはまさに俺の足の代わりであり続けた。理学療法士によってサイズを調整してもらってからは、ずっと一体感が出て楽に歩くことができるようになった。
退院し、引っ越しして転院しても、返却するわけにはいかなかった。それがなければ生活ができなかったからだ。転院先で借りることもできたが、そうすると、松葉杖を4本持って返しに行かなくてはならない。だったら、ずっと2本を借りている方が合理的だった。
右脚に体重をかけられるようになり、膝を曲げ始めてからは、少しずつその役割は変化しはじめる。右脚が歩行に関与しはじめたからだ。
ここに至って俺は松葉杖の片方だけを使用するようになった。右脚が十分に曲がらないことによって左右にふらつく歩行の姿勢制御と、蹴る力と歩幅の不足を補う推進力としてだ。
自宅での療養から、外へ出かけ始めたのもこの頃だ。
この巨大な道具は、持っているだけでも効果覿面で、電車に乗っていれば8割以上の確率で席を譲ってもらえた。もっとも、当初は膝が曲がらなかったので、せっかく譲ってもらっても座れないということも多かったのだが。
それから膝がどんどん曲がるようになって、蹴る力も強くなっていくのに伴い、松葉杖への依存度は漸次的に減少していった。気付けばむしろその置き場に困るほどになっていた。
そして年が明けるとともに、俺は独り立ちを決意した。
お世話になった恩人二人を、もう彼らに体重を預ける必要はないから小脇に抱え、彼らの本来の家である場所へ送り届けた。先日行った時には会えなかった理学療法士...まさに松葉杖の調整をしてくれた方だ...にも会うことができた。一番酷かった時期を知っている方に、こうやって普通に歩けるようになった姿を見せられたことはとても嬉しく感じた。
その帰り、背中を擦り切らせながら死ぬ思いで歩いた病院から駅への道を、自分の足で踏みしめて歩くことができたのは、まさに過去への決別のようだった。
家へと戻った恩人はまたしばらくすると、また不幸な誰かのために働くことになるのだろう。
そして、俺だ。
歩行では独り立ちを果たすことができた。しかし、歩行以外でも独りで力を試さなければならないステージが訪れようとしている。いよいよ勝負の時だ。
今回の経験は、絶対に俺にとってマイナスじゃなかったはずだ。あの状態からこうして独り立ちできることが分かったじゃないか。
絶対にモノにしてやる。今年の目標であり、決意は、例年とは比べ物にならないほど強いものになった。
そんな先日、都心を超えて混み合ってきた電車でDSのソフトを入れ替えようと目を上げると、俺の前に立った若めの女性のカバンに、見覚えのあるキーホルダーがぶら下がっているのが目に留まった。
嫁さんも一時期ぶら下げていたそのキーホルダーは、妊婦さんであることを示すものだ。頻度は決して高くなかったが、嫁さんも何度かそれをキッカケに席を譲ってもらったことがあったし、それを見て見ぬフリをして座り続ける乗客に憤慨したこともあった。
だから、迷わず俺は席を立った。気づかないでゴメンなさい、と言いながら。
しばらく気づいてあげられなかったせいで彼女が座れたのは20分にも満たなかったかもしれない。でも、俺の2駅手前で降りた彼女の笑顔に心癒された。
読者諸兄もこのキーホルダー（マタニティマークと言うらしい）に気づいたら恥ずかしがらずに席を譲ることをお奨めする。彼女は我々の宝を体に宿して守ってくれてるのだから。
松葉杖
(PentaxK-7, PentaxDA15mmLimitedF4, ProgramMode, 1/50sec, F5.6, ISO800)
君は、俺が失った片翼の代わりとなり、
物理的にはもちろん、時に精神的にも大きな支えとなってくれた。
だけど今再び俺は自ら飛び立つ力を得た。
4ヶ月近くに及ぶ君の役割は遂に終焉を迎えたのだ。
今日、松葉杖を転院前の病院へと返却してきた。
9/17に救急診療を受けた帰りに受け取ってから、まさに俺を支え続けてくれた恩人である。その恩人との別れは感慨深いものがあった。
思い返せば、怪我をしてから入院するまでの2回の通院は実にタフだった。
サイズも調整されておらず、使い方も2、3言聞いただけの状態で、健康なら5分もかからない距離を汗だくになりながら2〜3倍の時間をかけて歩いた。パットと当たってスレた背中はまるで擦り傷のように出血してしまった。
そんな惨状を見かねて、両親が三角巾を買ってきてパットに巻いてくれた。当たりが少し柔らかくなった。それ以上に親の愛情というものを感じたものだ。
入院・手術してからも、右脚に体重をかけられない以上、それはまさに俺の足の代わりであり続けた。理学療法士によってサイズを調整してもらってからは、ずっと一体感が出て楽に歩くことができるようになった。
退院し、引っ越しして転院しても、返却するわけにはいかなかった。それがなければ生活ができなかったからだ。転院先で借りることもできたが、そうすると、松葉杖を4本持って返しに行かなくてはならない。だったら、ずっと2本を借りている方が合理的だった。
右脚に体重をかけられるようになり、膝を曲げ始めてからは、少しずつその役割は変化しはじめる。右脚が歩行に関与しはじめたからだ。
ここに至って俺は松葉杖の片方だけを使用するようになった。右脚が十分に曲がらないことによって左右にふらつく歩行の姿勢制御と、蹴る力と歩幅の不足を補う推進力としてだ。
自宅での療養から、外へ出かけ始めたのもこの頃だ。
この巨大な道具は、持っているだけでも効果覿面で、電車に乗っていれば8割以上の確率で席を譲ってもらえた。もっとも、当初は膝が曲がらなかったので、せっかく譲ってもらっても座れないということも多かったのだが。
それから膝がどんどん曲がるようになって、蹴る力も強くなっていくのに伴い、松葉杖への依存度は漸次的に減少していった。気付けばむしろその置き場に困るほどになっていた。
そして年が明けるとともに、俺は独り立ちを決意した。
お世話になった恩人二人を、もう彼らに体重を預ける必要はないから小脇に抱え、彼らの本来の家である場所へ送り届けた。先日行った時には会えなかった理学療法士...まさに松葉杖の調整をしてくれた方だ...にも会うことができた。一番酷かった時期を知っている方に、こうやって普通に歩けるようになった姿を見せられたことはとても嬉しく感じた。
その帰り、背中を擦り切らせながら死ぬ思いで歩いた病院から駅への道を、自分の足で踏みしめて歩くことができたのは、まさに過去への決別のようだった。
家へと戻った恩人はまたしばらくすると、また不幸な誰かのために働くことになるのだろう。
そして、俺だ。
歩行では独り立ちを果たすことができた。しかし、歩行以外でも独りで力を試さなければならないステージが訪れようとしている。いよいよ勝負の時だ。
今回の経験は、絶対に俺にとってマイナスじゃなかったはずだ。あの状態からこうして独り立ちできることが分かったじゃないか。
絶対にモノにしてやる。今年の目標であり、決意は、例年とは比べ物にならないほど強いものになった。
nobilesの投稿(22:11:16-2010-01-07) -
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コメント
果汁３％ wrote:
2010-01-07 23:16:52
nobiles wrote:
あけおめちゃん。
回復つっても、正座できないし、まだちょっとビッコだし、走れないけどね。
まあ苦難つっても、家でボーーーッとしてただけなんだけど (-∀-)。
でもまあ先が見えなくて、「一体俺どうなんねん」って膝小僧抱えてたかな。
いや、右膝は曲がらないから抱えられなかったんだった (^_^;。
いずれにしても2009年9月と10月は俺史上に残る暗黒の日々だったよ。
ちなみに「始め」→「初め」な。
回復つっても、正座できないし、まだちょっとビッコだし、走れないけどね。
まあ苦難つっても、家でボーーーッとしてただけなんだけど (-∀-)。
でもまあ先が見えなくて、「一体俺どうなんねん」って膝小僧抱えてたかな。
いや、右膝は曲がらないから抱えられなかったんだった (^_^;。
いずれにしても2009年9月と10月は俺史上に残る暗黒の日々だったよ。
ちなみに「始め」→「初め」な。
2010-01-08 00:11:44
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始め聞いたときはウケたけど、苦難の日々だったんですね･･･。
今年はNOBILESさんにとってよい年でありますように。
マタニティーマーク知らなかったんで勉強になりました。
（そもそも栃木で電車は乗らない）
あ、明けましておめでとうございました。（遅