NOBILES Days
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存亡の危機に瀕したその場所で、人々は非常に混乱していた。多くの仲間がそこを離れた。
「先に行ってくれ。俺は、ここに旗を立てる」
そう言って、彼は残る決断をした。そして、荒波の中で大きな成長を遂げた。
しかし、最後にはついに、彼もそこを離れることを決意した。
悩んだだろう。あの時、そこを守ることが自分の使命だと誓ったのだから。
だが、国や組織は人にとって絶対ではない。家族ではない。時とともに、あるいは世界の変容とともに姿を変えていかなければならない。対応できなければ淘汰されるまでだ。
彼が去ることは少なくとも、あの場所にとっては変容であろう。この変容を受けいれて変われたなら、存続できるだろうし、ダメなら滅亡に近づく。
俺はもうそれを評論も予測もできる立場にはないから、これ以上何も述べない。
しかし、少なくともその結末に彼の責任はない。彼にとっての絶対的存在は他にあるからだ。
決断を下した以上、彼も当然気づいているだろう。これからは、彼にとって「絶対的存在」のために力を使ってほしい。
それでも多分、彼の立てた旗はなんらかの形でそこに残るだろう。彼は、間違いなく、そこで何かを為した。
おつかれさま。
立場が立場になってしまったので (^_^;、俺のカメラを見て、友人は決まって「なんで？」と聞く。
「しょうがないじゃん、この立場になると思ってなかったんだから」
そうやって答えることにしているが、それは質問に対して半分も答えていない。いや、ちゃんと答えるとクソ長くなるからね。
そんな中、Pentaxのカメラ事業が、HOYAからRICOHへ売却されることになった。
こんなタイミングだから、あえてここにすべて書こう。
「なぜ、俺はPentaxの一眼レフカメラを使っているのか。」
Pentax K-7 and K10D
(Panasonic DMC-FZ10(56.7mm=equiv340mm), 1/10sec, F2.8, ISO100)
では、Pentaxについて熱く語る前にまず、現在の、主に一眼レフカメラ市況について言及したい。
・ディジタル一眼レフのシェア
ディジタル一眼レフカメラを現在も製造しているのは、Canon、Nikon、SONY、Olympus、Sigma、そしてPentaxということになる。Panasonicはミラーレスだけになったし、Leicaはレンジファインダーだから一眼レフじゃないね。
このうち（ミラーレスを除く）一眼レフの現在のシェアについては、恐らく8割近くがCanonとNikonで占められていると思われる。
マジョリティというのは強力だ。いわゆるサードパーティがレンズやフラッシュなどを新たに発売する際はC社とN社用からリリースされる。今や数%と言われるシェアのマイノリティPentaxに至っては、遅くなるどころか発売そのものが見送られる場合もある。
なぜこういうことが起こるかと言うと、一眼レフシステムはレンズの互換性を示す「マウント」という規格でユーザーが縛られるのだ。CanonはEFマウント、NikonはFマウント、PentaxはKマウントという規格だ。当然、規格が違うレンズは基本的にはカメラに装着できない。だから、カメラのボディを買い換える場合、レンズをそのまま使いたいなら同じマウント＝同じ会社のカメラを買うしかない。まして、ディジタル時代になってますます、ボディの陳腐化が早くなり、レンズの寿命の方がはるかに長い状態になっている。ユーザーは（銀塩時代を含めて）持っているレンズで次のカメラを決める傾向が強い。
2強には、長い間積み上げてきたものがあった。もともと、フィルム時代もこの2社は、とりわけプロ向け市場が強かった。
Canonは、AFセンサーの積極的な開発で圧倒的に速いフォーカスを実現した。さらにそこで養ったCMOSの技術がディジタル時代に花開き、他社を圧倒する高感度時の低ノイズを誇る撮像素子を作り上げた。さらなる決め手となったのは、極めてシンプルな操作性と小型ボディ、高い性能を併せ持ったKissDigitalというディジタル一眼レフの入門機をいち早く導入したことだろう。
Nikonについては、銀塩時代から世界に誇るカメラメーカーとしてシェアを誇っていた。さらに、中級機クラスだが、普及価格帯となるD70を早期に投入したことが大きかった。
こうしてディジタル時代においても早々にシェアを握った2社は、ほぼそのまま2社だけでシェア争いを続けている。
SONYの一眼レフカメラ事業の前身であるKonica Minoltaも、Pentaxも、もともと事業規模が若干小さかったためにディジタル化が遅れた。銀塩一眼レフも撤退していたOlympusに至っては周回遅れと言ってもいい。その間に築かれたシェアの差は大きかった。
・メーカーによるカメラの性能差は存在するのか
でも、じゃあ2社のカメラに未だにそれほどアドヴァンテージがあるのだろうか？
実は、特に入門機から中級機にかけては、そう顕著な差はないと俺は思っている。
確かに、発色に優れる自社製CMOS撮像素子を独占使用してきたCanonの高感度特性は、他社のCCD素子に対し、長年大きなアドヴァンテージを誇ってきた。
しかし、SONYが2007年に投入したCMOS素子、「exmor」が状況を変えた。SONY自社のみならず、NikonとPentaxの一眼レフに搭載されることになるこの素子は、画素の列ごとにA/D変換機を備えるカラムA/D変換を採用していた。これにより、最もノイズが混入しやすいアナログ経路を短縮し、大幅な高感度特性の改善を果たしたのだ。
これで一気にCanonとそれ以外のメーカーの高感度特性における差がなくなった。信号処理の研究も各社で進んでいる。
K20DとK-7で、Samsung素子の高感度特性に苦しんだPentaxは、exmor搭載となったK-5では一転、中級機ではトップの高感度特性を実現していると思う。
一方で、オートフォーカスの性能については、やはり2強に一日の長がある。
長年、報道の最前線でシャッターチャンスを絶対に逃せないシーンを支えてきた2社だけに、速度や暗部での粘り、動体追尾などの機能において他社を圧倒する。
超望遠の世界も2強の独占域だろう。300mmF2.8、あるいはそれ以上といった超望遠の大口径レンズを現在もコンスタントに開発しているのは2社だけだ。
とは言っても、これらは一式で100万円超、重さで10kgといったハイエンドシステムでの話だ。中級機以下は結局廉価版のAF素子が搭載されていて、機能も（名前は継承していても）大幅な簡略版であったりする。
だから結局、中級機以下においてそのAF性能は、2強とそれ以外では、現時点で顕著な差があるとは考えていない。
超望遠システムについては、プロか、よほどのハイアマチュアだけが必要とするものであって、少なくとも俺は今は要らない。
・フルサイズディジタル一眼レフ時代は訪れるのか
中級機についてはメーカー間でひとつ大きな差がある。フルサイズ機の有無である。
一般的なディジタル一眼レフが積むAPS-Cの2倍近い面積を誇る撮像素子を持つフルサイズ機は、ボケ味や、信号の特性面でもAPS-Cを圧倒する。
もともと、撮像素子という巨大な半導体の製造コストとサイズが天秤にかけられ、APS-Cという妥協的なサイズに落ち着いた経緯もあり、素子の値段の下落とともに、いずれは全てのディジタル一眼レフが銀塩フィルムと同じサイズであるフルサイズに落ち着く、というのが数年前までの常識であった。
現在、フルサイズ機の中でも特にCanonの5DmarkIIは、高品位な動画を求めるプロの存在もあり、注目を集め続ける存在だ。
動画と言うと意外かもしれないが、いわゆるフルサイズ、銀塩フィルムと同サイズの巨大な撮像素子を持つビデオカメラは、プロ機器においても極めて稀である。ところが、数百〜千万の機材もプロの映像機器では珍しくないのに、先代5Dは本体価格「わずか」30万そこそこで買える。その登場は、まさに革命的な出来事だった。
だからCanonも、5DIIはプロの動画映像記録用としても積極的に開発した。
皮肉にも、ディジタル一眼レフの最終的な到達点と思われていたフルサイズ機は、動画記録用としてブレイクすることになったのだ。
この点についてはNikonも出遅れている。フルサイズの中級機であるD700の登場は既にちょうど3年前となり、動画記録機能も搭載していない。
SONYも、不可能と言われた世界唯一のフルサイズのボディ内手ブレ補正を持つα900があるが、これも動画機能はなく、後継機の登場も微妙な情勢だ。Pentax、Olympusについては、レンズラインナップや規格などの状況から考えて、今後もフルサイズ機の登場はないだろう。
このように、フルサイズ機、とりわけ中級機クラスについては今、Canonが他を圧倒していると言っていい。
しかしながら、結局ディジタル一眼レフカメラが全てフルサイズに置き換えられる気配はない。私見では、恐らく未来永劫ないのではないかと思う。
ディジタル一眼レフの黎明期に当初考えられたように、フルサイズ素子の値段は問題だ。だが、数さえ出れば量産効果で値段は下がる。
しかしフルサイズの普及を妨げる問題はむしろ、その性能に見合ったレンズにあると思う。
単にフルサイズのイメージサークルに対応したレンズならば、銀塩フィルム時代のレンズを持ってくれば良い。
だが、ディジタル時代になって状況は変わった。PCによって画素が見えるサイズまで拡大が可能となった。その解像度を満たすフルサイズレンズの価格は、APS-Cのそれの数倍を要することになったし、サイズ、重量も、とても気楽に持ち歩けるものではなくなった。カメラ本体も入門機の倍近い重さがあるのに加えて、同じく倍ではきかない重さのレンズが装着されるのだ。想像しただけで肩が凝る。
別に画質にこだわらなければ銀塩フィルム時代の古いレンズでも良かろう。しかし、5Dmk2などという高価なカメラと、そんな解像度の低いレンズを組み合わせて撮るくらいなら、廉価版でも最新の技術で作られたAPS-Cのディジタル一眼レフとレンズの組み合わせの方がはるかに満足の行く結果を得られるだろう。
また、ディジタルならではの問題として、撮像素子自身の反射光によって画質が劣化する現象が起きた。そこで、ディジタル時代の新しいレンズには素子からの反射光を再び素子側に反射しないコーティングがされている。
だから、銀塩時代の、少なくとも廉価版のレンズをディジタルで使うのは愚かな行為だと言わざるを得ない。
あああ、話があさってに行きかけてるけどつまりは、フルサイズのディジタル一眼レフは、よほどの目的意識と覚悟（と財力）がなければ買う必要がないものだ。
また、以前にも書いたが、電気屋の店員なんかが
「Canonには上位機種があって、ステップアップした場合もレンズを使い回せるから安心ですよ」
なんて言ってるのは、完全に誤りとは言えないが、説明不足もいいところだ。
たしかに、同じEFマウントだから物理的にレンズはフルサイズのカメラに装着できる。しかし、入門機に付属しているようなAPS-C専用レンズはフルサイズのイメージサークルをカバーしていないから、画面の端の方が黒く潰れた画像が撮影されるのだ。それどころか、レンズによってはフルサイズのミラーに当たって破損するものまである（さすがに今はソフトウェア側ではじくかな？）。
そもそも、カメラのクラスが上がれば求められるレンズの性能も上がる。中級機では、入門機に付属していたレンズキットの性能には満足いかないだろう。かと言って、入門機を使う時から高級レンズやフルサイズレンズを使うのも、小型で気楽という入門機の長所をスポイルする愚かな行為だ。
何年先になるか、そもそも、始めたばかりで熱中するかも分からないビギナーに、ステップアップのことを考えて今買うカメラを勧めるなんてナンセンスなのだ。
えーと、何が言いたかったんだっけ (^_^;？
まとめよう。
まとめ
・確かにマジョリティの力は強く、サードパーティ製品が多く使えるのはCanonとNikonの2社のカメラだ。
・かつては会社によって大きく差が出ていた高感度特性は、今ではほとんど差がない。っていうか中級機ではPentaxが最強とさえ思う。
・オートフォーカス性能は確かに2強が強い。しかし、それは高価な素子が奢られたハイエンドカメラの話で、中級機以下で顕著な差はなくなりつつある。
・超望遠は2強の独壇場。だが、万人が必要とする世界ではない。
・フルサイズはほぼCanonの5DmkII寡占状態。だが、本体自体でかい。それ以上にレンズが巨大で、とてもハンドリングが悪い。持つ者の目的、覚悟、財力を選ぶ。
・本文で触れてないが、一眼動画の機能は確かにCanonが優れている。しかし一般のビデオカメラの手軽さには程遠い。よほど目的意識がない限り動画機能の差で一眼レフカメラを選ぶ理由にはならない。
・安定感を考えれば、2強が撤退することは、この10年の単位ではないだろうから、安心ではあるだろうね。
というわけで、マスメディアや電気店の店員が言う「一眼レフカメラを選ぶポイント」は、さして意味がないことを示した。
だが、これは「Pentaxを選ぶネガは少ない」ことを示したに過ぎず、俺が積極的に選ぶ理由にはなっていない。
むしろ、ここからが本題だな (^_^;。
つづく。
「先に行ってくれ。俺は、ここに旗を立てる」
そう言って、彼は残る決断をした。そして、荒波の中で大きな成長を遂げた。
しかし、最後にはついに、彼もそこを離れることを決意した。
悩んだだろう。あの時、そこを守ることが自分の使命だと誓ったのだから。
だが、国や組織は人にとって絶対ではない。家族ではない。時とともに、あるいは世界の変容とともに姿を変えていかなければならない。対応できなければ淘汰されるまでだ。
彼が去ることは少なくとも、あの場所にとっては変容であろう。この変容を受けいれて変われたなら、存続できるだろうし、ダメなら滅亡に近づく。
俺はもうそれを評論も予測もできる立場にはないから、これ以上何も述べない。
しかし、少なくともその結末に彼の責任はない。彼にとっての絶対的存在は他にあるからだ。
決断を下した以上、彼も当然気づいているだろう。これからは、彼にとって「絶対的存在」のために力を使ってほしい。
それでも多分、彼の立てた旗はなんらかの形でそこに残るだろう。彼は、間違いなく、そこで何かを為した。
おつかれさま。
立場が立場になってしまったので (^_^;、俺のカメラを見て、友人は決まって「なんで？」と聞く。
「しょうがないじゃん、この立場になると思ってなかったんだから」
そうやって答えることにしているが、それは質問に対して半分も答えていない。いや、ちゃんと答えるとクソ長くなるからね。
そんな中、Pentaxのカメラ事業が、HOYAからRICOHへ売却されることになった。
こんなタイミングだから、あえてここにすべて書こう。
「なぜ、俺はPentaxの一眼レフカメラを使っているのか。」
Pentax K-7 and K10D
(Panasonic DMC-FZ10(56.7mm=equiv340mm), 1/10sec, F2.8, ISO100)
では、Pentaxについて熱く語る前にまず、現在の、主に一眼レフカメラ市況について言及したい。
・ディジタル一眼レフのシェア
ディジタル一眼レフカメラを現在も製造しているのは、Canon、Nikon、SONY、Olympus、Sigma、そしてPentaxということになる。Panasonicはミラーレスだけになったし、Leicaはレンジファインダーだから一眼レフじゃないね。
このうち（ミラーレスを除く）一眼レフの現在のシェアについては、恐らく8割近くがCanonとNikonで占められていると思われる。
マジョリティというのは強力だ。いわゆるサードパーティがレンズやフラッシュなどを新たに発売する際はC社とN社用からリリースされる。今や数%と言われるシェアのマイノリティPentaxに至っては、遅くなるどころか発売そのものが見送られる場合もある。
なぜこういうことが起こるかと言うと、一眼レフシステムはレンズの互換性を示す「マウント」という規格でユーザーが縛られるのだ。CanonはEFマウント、NikonはFマウント、PentaxはKマウントという規格だ。当然、規格が違うレンズは基本的にはカメラに装着できない。だから、カメラのボディを買い換える場合、レンズをそのまま使いたいなら同じマウント＝同じ会社のカメラを買うしかない。まして、ディジタル時代になってますます、ボディの陳腐化が早くなり、レンズの寿命の方がはるかに長い状態になっている。ユーザーは（銀塩時代を含めて）持っているレンズで次のカメラを決める傾向が強い。
2強には、長い間積み上げてきたものがあった。もともと、フィルム時代もこの2社は、とりわけプロ向け市場が強かった。
Canonは、AFセンサーの積極的な開発で圧倒的に速いフォーカスを実現した。さらにそこで養ったCMOSの技術がディジタル時代に花開き、他社を圧倒する高感度時の低ノイズを誇る撮像素子を作り上げた。さらなる決め手となったのは、極めてシンプルな操作性と小型ボディ、高い性能を併せ持ったKissDigitalというディジタル一眼レフの入門機をいち早く導入したことだろう。
Nikonについては、銀塩時代から世界に誇るカメラメーカーとしてシェアを誇っていた。さらに、中級機クラスだが、普及価格帯となるD70を早期に投入したことが大きかった。
こうしてディジタル時代においても早々にシェアを握った2社は、ほぼそのまま2社だけでシェア争いを続けている。
SONYの一眼レフカメラ事業の前身であるKonica Minoltaも、Pentaxも、もともと事業規模が若干小さかったためにディジタル化が遅れた。銀塩一眼レフも撤退していたOlympusに至っては周回遅れと言ってもいい。その間に築かれたシェアの差は大きかった。
・メーカーによるカメラの性能差は存在するのか
でも、じゃあ2社のカメラに未だにそれほどアドヴァンテージがあるのだろうか？
実は、特に入門機から中級機にかけては、そう顕著な差はないと俺は思っている。
確かに、発色に優れる自社製CMOS撮像素子を独占使用してきたCanonの高感度特性は、他社のCCD素子に対し、長年大きなアドヴァンテージを誇ってきた。
しかし、SONYが2007年に投入したCMOS素子、「exmor」が状況を変えた。SONY自社のみならず、NikonとPentaxの一眼レフに搭載されることになるこの素子は、画素の列ごとにA/D変換機を備えるカラムA/D変換を採用していた。これにより、最もノイズが混入しやすいアナログ経路を短縮し、大幅な高感度特性の改善を果たしたのだ。
これで一気にCanonとそれ以外のメーカーの高感度特性における差がなくなった。信号処理の研究も各社で進んでいる。
K20DとK-7で、Samsung素子の高感度特性に苦しんだPentaxは、exmor搭載となったK-5では一転、中級機ではトップの高感度特性を実現していると思う。
一方で、オートフォーカスの性能については、やはり2強に一日の長がある。
長年、報道の最前線でシャッターチャンスを絶対に逃せないシーンを支えてきた2社だけに、速度や暗部での粘り、動体追尾などの機能において他社を圧倒する。
超望遠の世界も2強の独占域だろう。300mmF2.8、あるいはそれ以上といった超望遠の大口径レンズを現在もコンスタントに開発しているのは2社だけだ。
とは言っても、これらは一式で100万円超、重さで10kgといったハイエンドシステムでの話だ。中級機以下は結局廉価版のAF素子が搭載されていて、機能も（名前は継承していても）大幅な簡略版であったりする。
だから結局、中級機以下においてそのAF性能は、2強とそれ以外では、現時点で顕著な差があるとは考えていない。
超望遠システムについては、プロか、よほどのハイアマチュアだけが必要とするものであって、少なくとも俺は今は要らない。
・フルサイズディジタル一眼レフ時代は訪れるのか
中級機についてはメーカー間でひとつ大きな差がある。フルサイズ機の有無である。
一般的なディジタル一眼レフが積むAPS-Cの2倍近い面積を誇る撮像素子を持つフルサイズ機は、ボケ味や、信号の特性面でもAPS-Cを圧倒する。
もともと、撮像素子という巨大な半導体の製造コストとサイズが天秤にかけられ、APS-Cという妥協的なサイズに落ち着いた経緯もあり、素子の値段の下落とともに、いずれは全てのディジタル一眼レフが銀塩フィルムと同じサイズであるフルサイズに落ち着く、というのが数年前までの常識であった。
現在、フルサイズ機の中でも特にCanonの5DmarkIIは、高品位な動画を求めるプロの存在もあり、注目を集め続ける存在だ。
動画と言うと意外かもしれないが、いわゆるフルサイズ、銀塩フィルムと同サイズの巨大な撮像素子を持つビデオカメラは、プロ機器においても極めて稀である。ところが、数百〜千万の機材もプロの映像機器では珍しくないのに、先代5Dは本体価格「わずか」30万そこそこで買える。その登場は、まさに革命的な出来事だった。
だからCanonも、5DIIはプロの動画映像記録用としても積極的に開発した。
皮肉にも、ディジタル一眼レフの最終的な到達点と思われていたフルサイズ機は、動画記録用としてブレイクすることになったのだ。
この点についてはNikonも出遅れている。フルサイズの中級機であるD700の登場は既にちょうど3年前となり、動画記録機能も搭載していない。
SONYも、不可能と言われた世界唯一のフルサイズのボディ内手ブレ補正を持つα900があるが、これも動画機能はなく、後継機の登場も微妙な情勢だ。Pentax、Olympusについては、レンズラインナップや規格などの状況から考えて、今後もフルサイズ機の登場はないだろう。
このように、フルサイズ機、とりわけ中級機クラスについては今、Canonが他を圧倒していると言っていい。
しかしながら、結局ディジタル一眼レフカメラが全てフルサイズに置き換えられる気配はない。私見では、恐らく未来永劫ないのではないかと思う。
ディジタル一眼レフの黎明期に当初考えられたように、フルサイズ素子の値段は問題だ。だが、数さえ出れば量産効果で値段は下がる。
しかしフルサイズの普及を妨げる問題はむしろ、その性能に見合ったレンズにあると思う。
単にフルサイズのイメージサークルに対応したレンズならば、銀塩フィルム時代のレンズを持ってくれば良い。
だが、ディジタル時代になって状況は変わった。PCによって画素が見えるサイズまで拡大が可能となった。その解像度を満たすフルサイズレンズの価格は、APS-Cのそれの数倍を要することになったし、サイズ、重量も、とても気楽に持ち歩けるものではなくなった。カメラ本体も入門機の倍近い重さがあるのに加えて、同じく倍ではきかない重さのレンズが装着されるのだ。想像しただけで肩が凝る。
別に画質にこだわらなければ銀塩フィルム時代の古いレンズでも良かろう。しかし、5Dmk2などという高価なカメラと、そんな解像度の低いレンズを組み合わせて撮るくらいなら、廉価版でも最新の技術で作られたAPS-Cのディジタル一眼レフとレンズの組み合わせの方がはるかに満足の行く結果を得られるだろう。
また、ディジタルならではの問題として、撮像素子自身の反射光によって画質が劣化する現象が起きた。そこで、ディジタル時代の新しいレンズには素子からの反射光を再び素子側に反射しないコーティングがされている。
だから、銀塩時代の、少なくとも廉価版のレンズをディジタルで使うのは愚かな行為だと言わざるを得ない。
あああ、話があさってに行きかけてるけどつまりは、フルサイズのディジタル一眼レフは、よほどの目的意識と覚悟（と財力）がなければ買う必要がないものだ。
また、以前にも書いたが、電気屋の店員なんかが
「Canonには上位機種があって、ステップアップした場合もレンズを使い回せるから安心ですよ」
なんて言ってるのは、完全に誤りとは言えないが、説明不足もいいところだ。
たしかに、同じEFマウントだから物理的にレンズはフルサイズのカメラに装着できる。しかし、入門機に付属しているようなAPS-C専用レンズはフルサイズのイメージサークルをカバーしていないから、画面の端の方が黒く潰れた画像が撮影されるのだ。それどころか、レンズによってはフルサイズのミラーに当たって破損するものまである（さすがに今はソフトウェア側ではじくかな？）。
そもそも、カメラのクラスが上がれば求められるレンズの性能も上がる。中級機では、入門機に付属していたレンズキットの性能には満足いかないだろう。かと言って、入門機を使う時から高級レンズやフルサイズレンズを使うのも、小型で気楽という入門機の長所をスポイルする愚かな行為だ。
何年先になるか、そもそも、始めたばかりで熱中するかも分からないビギナーに、ステップアップのことを考えて今買うカメラを勧めるなんてナンセンスなのだ。
えーと、何が言いたかったんだっけ (^_^;？
まとめよう。
まとめ
・確かにマジョリティの力は強く、サードパーティ製品が多く使えるのはCanonとNikonの2社のカメラだ。
・かつては会社によって大きく差が出ていた高感度特性は、今ではほとんど差がない。っていうか中級機ではPentaxが最強とさえ思う。
・オートフォーカス性能は確かに2強が強い。しかし、それは高価な素子が奢られたハイエンドカメラの話で、中級機以下で顕著な差はなくなりつつある。
・超望遠は2強の独壇場。だが、万人が必要とする世界ではない。
・フルサイズはほぼCanonの5DmkII寡占状態。だが、本体自体でかい。それ以上にレンズが巨大で、とてもハンドリングが悪い。持つ者の目的、覚悟、財力を選ぶ。
・本文で触れてないが、一眼動画の機能は確かにCanonが優れている。しかし一般のビデオカメラの手軽さには程遠い。よほど目的意識がない限り動画機能の差で一眼レフカメラを選ぶ理由にはならない。
・安定感を考えれば、2強が撤退することは、この10年の単位ではないだろうから、安心ではあるだろうね。
というわけで、マスメディアや電気店の店員が言う「一眼レフカメラを選ぶポイント」は、さして意味がないことを示した。
だが、これは「Pentaxを選ぶネガは少ない」ことを示したに過ぎず、俺が積極的に選ぶ理由にはなっていない。
むしろ、ここからが本題だな (^_^;。
つづく。
nobilesの投稿(23:52:00-2011-07-11) -
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