NOBILES Days
Jump to navigationFlirt with the Queen
依然として彼女の正体を訝しむ僕の内心を見透かしたように、彼女は僕の顔を下から覗き込んで悪戯っぽく笑った。
「なに難しい顔してんのよ。ほら、おいでよ」。
誘われるまま彼女と過ごしたその時間に、僕はなんとも不思議な感覚に支配された。
それは極めてボキャブラリーの少ない僕が知っている単純な言葉で表すならば「楽しい」という一言に集約されたと言っていいだろう。そのことに気づいて、僕はまた戸惑った。
そんな僕のこころ模様に気づいたのか、彼女は「クククッ」と嬉しそうに含み笑いをして、また僕を覗き込んで言った。
「ほらね、人のこころなんて、理屈じゃないのよ」。
(PentaxK-7, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/160sec, F2.2, ISO200)
そんなわけで (^_^;？PentaxQの体験イベントに行ってきた。冒頭の茶番劇の「彼女」ことPentaxQ役のモデルは椎名林檎姫ということでヨロシク。
椎名林檎と言えば、最近、次女の目が林檎姫に似てきたと信じて疑わない親◯カですが、なんか文句あっかこのヤロー。
それにしても、「大発見」はいいアルバムだね。
...取り留めないけど、話戻していい？ (^_^;
さてさて、PentaxQだ。
前回、Pentax愛について滔々と語ったわけだが、このQはそのPentaxが、新しいマウントの規格まで起ち上げての力の入った新規カテゴリー製品だ。だが、1/2.3インチという極小素子の採用にガッカリきてしまったことも先述した。
でもこの体験イベントのことはバッチリチェックしていた。やっぱり、カメラなんて触ってナンボのものだしね。
行ってみて思ったこと。
こりゃあ、エラい問題作かもしれん。さりげないけど、バンバン主張が感じられる製品だ。
そもそも、このカメラをいわゆる「ミラーレス一眼」にカテゴライズして、PENやらNEXやらと同列に扱っている報道は大きな間違いだと感じられた。まあ、そこはPentax自身が色気出してそれっぽいこと言ってるからだけどね。製品はそんな嘘をつかず、正直に、雄弁だった。
では、イベントでの体験を時系列に沿って語ってみよう。
会場は、またぞろアキバのイベントスペースだろ、と思いきや、なんと新宿高島屋1Fの前の屋外スペースだと言う。まあ屋外って言っても屋根があるところだとは知っていたが、なかなか思い切ったロケーションだ。
その日は土曜にも関わらず輪番休業のせいで本来は出勤日だった。だが、夕方から原宿で森広隆のライブに久々に行く予定だったので、せっかくだから休みにした。
そのライブ前の時間を使ってイベントへ向かった。
新宿駅に着くと、サザンテラス口ができて、新南口の位置も変わっていた。新南口から出ると、もう高島屋が目の前だった。エスカレーターを降りると、その左側のスペースに、"Q"をあしらった、朱色に近い赤の大きな垂れ幕を飾ったイベント会場があった。
これが、意外にもたくさん人が群がっている。しかも、いかにもペンタオタな人だけでなく、結構ファミリーやカップルがフラッと寄った感じで興味深そうに見ている。だから、思ったほど実機の空きがない。
奥の方で空いているのを見つけ、早速手に持ってみる。そこから、冒頭の茶番劇が始まったわけだ (^_^;。
当然のことであるが、小さい。正面から見た面積なんか、iPhoneですっぽり隠せる程度しかない。本体の厚みも予想より薄い。さすがにレンズがあるので、撮影可能状態での収納時体積はコンパクトカメラよりかなり大きくなる。
だが、作りは意外にしっかりしている。小癪な近未来的曲線デザインなんて施されていない潔いスタイリングがいい。
操作に対する反応もまあまあだ。Pentaxらしく、GUIの見栄えは相変わらず洗練されていないが、操作性はK-7系に準じてかなり良いように感じられる。
シャッターを切ってみる。Qはパチュ！という軽い音を立てた。
フォーカルプレーンシャッターでなく、レンズシャッターであること、また、ミラーもないためか、それがなんとも軽やかで、心地良く感じられた。
そうだ実機を写真に収めよう、と持参したK-7を取り出すためにQを展示台に置いた俺は、人ごみの向こうから歩いてくる男とバチッと目が合った。
同じくPentaxユーザーのmaruだった。
少し驚いたが、K10Dの時もK20Dの時も、イベント会場でPentaxユーザーの知り合いに遭遇しているので、まああり得るだろうと思い、
「おっ、来てたかー！」
などと声をかけた。が、彼はこのイベントのことはつゆ知らずに普通に新宿に買い物に来たようだ。それでまた驚いた。
ここに、Pentaxの狙いがバッチリはまっていると感じた。
Qは、俺のような、自らイベント会場に出かけてしまうような人種よりむしろ、コンパクトカメラしか知らないような人達に手にとってもらいたい、ということだろう。だから、買い物客が大勢行き交うこのスペースに会場を設営した。
俺がmaruとわずかな時間話している間にも、サイズ比較のためiPhoneと並べて置いたQを、年配の夫婦が興味深そうに手にとろうとした。
「あ、すみません、比較写真撮らせてください」
と言って先に写真を撮らせてもらった。
PentaxQ and iPhone3GS
(PentaxK-7, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/13sec, F14.0, ISO800)
それにしても、皆、見たことのないジャンルのカメラに興味津々のようだった。これだけ世の中にディジタルカメラが溢れた世の中でも、まだ注目を集めることのできる要素ってあるんだね。このうちの何人が購入するか分からんけど。
その後、会場の一番奥に設けられた、Pentax社員による説明コーナーのようなところに行ってまたじっくり触ってみた。
02という標準ズームで何気なくそばの造花を撮ってみる。再生画像とともに表示される数値を見て驚く。ISO1000を超えている。屋外とは言っても屋根があるこのスペースはかなり暗いのだ。
せっかくだからとズンズン拡大してみる。が、最近の1/2.3インチ撮像素子モデルで低感度から現れがちな、ピクセルを無理やり塗りつぶした水彩画のような不自然な描写がなく、鮮明な輪郭を保っているようだ。しかも、色もそこそこ自然で、高感度だからといって転んでいないようだ。所詮本体のモニターで確認したレベルだが、これはかなり意外だった。
「みんな、1/2.3インチの撮像素子の本当の実力なんて知らんでしょ？ちゃんとしたレンズで結像してやって、ちゃんとした画像エンジンで処理してやれば、ちゃんとここまで写るんだよ！」
Qの内なる声が聞こえた気がした。
とは言え、そこは1/2.3インチ。やはり単焦点の01レンズの開放F1.9で撮っても背景はほとんどボケない。やはり立体感などの表現は大撮像素子の真似はできない。
でも、いわゆる「ハイクオリティ」レンズ2本はかなりちゃんと作っている。その辺に転がってる1/2.3インチの10Mピクセルオーバーのコンパクトカメラは、テラッテラのレンズでどんだけ撮像素子本来の実力を無駄にしてんだ？？と思えてくる。
次に、3つ用意された「トイレンズ」を試してみた。これがものすごい割り切ったレンズだ。
一応Webの情報も目を通していたが、撮影しようとするまで忘れていたのは、これらのレンズがマニュアルフォーカスだということ！シャッター半押しまでして、なんの反応もなくてやっと気づいた。
さらには
・絞りは固定。シャッタースピードのみで露出をコントロール
・シャッターは持たず、CMOSの電子シャッターを利用する
・ブラスチックのマウント
現代のレンズでここまで割り切るかー (^_^;。
でも、これがまた意外にも可愛い。
直径が3cm程度で、まるでミニケーキか何かのようだ。トイレンズの名に違わず、ビックリするほど軽い。
これらをカチャカチャと交換して本体に装着する。この動作自体もなんだかオモチャチックで楽しい。もっと重くてホンモノ感の高い一眼レフよりも軽やかだ。
不便だらけのはずのトイレンズだが、なかなかどうして、これまた楽しい。
もちろん、画質はそこそこだ。でも、なんだかホンワカした感じが画像から伝わってくる。
なんかこの感じ、覚えがある。...そうだ、小学校の頃持っていた110フィルム用の小さなカメラだ。
Wink
ピントもズームもないけど、一応フラッシュは付いてて、それでもルービックキューブくらいのサイズしかなかった。
もちろん、子ども向けでオモチャに近いカメラだ。画角がどれくらい正確かも分からないが、でも、枠だけのファインダーを覗き込んでパチパチやるのは単純に子どもごころに楽しかった。
ちょうどその後出てきた某アイドルのファンクラブグッズと思われたら嫌で使わないようになってしまったのだが (^_^;、ひょっとしたら今の写真趣味も、あの頃の影響を引きずっているかもしれない。
Qの軽やかさは、あのカメラを使っていた時の感触と通じるものがあると感じた。
ま、それはともかく、これらトイレンズから伝わってくるのはこういうメッセージだ。
「高画質？一応そういうレンズもあるよ。だけど、カメラの楽しさって、それだけじゃないよね！」
PentaxQ Black and White and Toy Lenses
(PentaxK-7, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/40sec, F5.0, ISO800)
うーーーん。
Qに触れたら、正直、カメラのスペックを語っている自分が滑稽にすら思えてくる。その、伝わってくる主張は、全て昨今の、コンパクトを含めたディジタルカメラへのアンチテーゼにすら感じられる。
・大撮像素子？レンズ含めてでかくなったら意味ねーだろ。
・コンパクトカメラと同じ撮像素子じゃないかって？レンズやら画像エンジンを良くすりゃまだまだいくらでも良くなるっての！
・タッチパネル？んなもん使う前にいくらでもUI改善できるでしょ。
・スペック？カメラなんて楽しくてナンボでしょ。
うん、この最後の「カメラなんて楽しくてナンボ」。ここにQの本質は集約されると俺は感じた。単に持ち運んで味気もない思い出の記録を撮るのではなく、撮影行為自体に楽しさを加味したい意図がかんじられた。Pentax自身、それをカタログなどにほとんど反映できていなくて、群雄割拠のミラーレス一眼市場を戦うカメラのようになっているのがむしろ残念だ。
ところで、一眼レフのマウント名KはKingから来ているらしい。じゃあ、この新マウントQはQueenなんだろうか？
Kでは、詰め込みうる機能はとことん詰め込んでユーザーに選択させることを徹底しているPentaxが、Qではとことん割り切った仕様にしているのは対象的で面白い。
さて、思っていたよりも尖った主張が盛り込まれて、単なるミラーレスのまがい物ではなく、骨太な製品だと分かったQだが、買うかどうかと言われると...俺はまだまだ (^_^;。
やはりディジタルカメラの値段にとって、基幹部品である撮像素子のサイズはインパクトがでかい。本体6万はやっぱり高いよね。下手すりゃAPS-Cのエントリー一眼レンズキット買えちゃうもんね。いくら方向が違ってこだわりポイントが違ったとしても、撮影状態（01レンズキット）だと7〜8万というのは、今回高島屋前を「たまたま通過した」層がポンと買うには若干敷居が高い。その値段なら、俺もK-5の後継機を待つかな。
でもほんと、このQueenの「楽しさ徹底追求」は他のディジタルカメラが忘れていたものだと思う。願わくば、商業的にも成功して欲しいのだが。頼むよ、RICOH！
「なに難しい顔してんのよ。ほら、おいでよ」。
誘われるまま彼女と過ごしたその時間に、僕はなんとも不思議な感覚に支配された。
それは極めてボキャブラリーの少ない僕が知っている単純な言葉で表すならば「楽しい」という一言に集約されたと言っていいだろう。そのことに気づいて、僕はまた戸惑った。
そんな僕のこころ模様に気づいたのか、彼女は「クククッ」と嬉しそうに含み笑いをして、また僕を覗き込んで言った。
「ほらね、人のこころなんて、理屈じゃないのよ」。
(PentaxK-7, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/160sec, F2.2, ISO200)
そんなわけで (^_^;？PentaxQの体験イベントに行ってきた。冒頭の茶番劇の「彼女」ことPentaxQ役のモデルは椎名林檎姫ということでヨロシク。
椎名林檎と言えば、最近、次女の目が林檎姫に似てきたと信じて疑わない親◯カですが、なんか文句あっかこのヤロー。
それにしても、「大発見」はいいアルバムだね。
...取り留めないけど、話戻していい？ (^_^;
さてさて、PentaxQだ。
前回、Pentax愛について滔々と語ったわけだが、このQはそのPentaxが、新しいマウントの規格まで起ち上げての力の入った新規カテゴリー製品だ。だが、1/2.3インチという極小素子の採用にガッカリきてしまったことも先述した。
でもこの体験イベントのことはバッチリチェックしていた。やっぱり、カメラなんて触ってナンボのものだしね。
行ってみて思ったこと。
こりゃあ、エラい問題作かもしれん。さりげないけど、バンバン主張が感じられる製品だ。
そもそも、このカメラをいわゆる「ミラーレス一眼」にカテゴライズして、PENやらNEXやらと同列に扱っている報道は大きな間違いだと感じられた。まあ、そこはPentax自身が色気出してそれっぽいこと言ってるからだけどね。製品はそんな嘘をつかず、正直に、雄弁だった。
では、イベントでの体験を時系列に沿って語ってみよう。
会場は、またぞろアキバのイベントスペースだろ、と思いきや、なんと新宿高島屋1Fの前の屋外スペースだと言う。まあ屋外って言っても屋根があるところだとは知っていたが、なかなか思い切ったロケーションだ。
その日は土曜にも関わらず輪番休業のせいで本来は出勤日だった。だが、夕方から原宿で森広隆のライブに久々に行く予定だったので、せっかくだから休みにした。
そのライブ前の時間を使ってイベントへ向かった。
新宿駅に着くと、サザンテラス口ができて、新南口の位置も変わっていた。新南口から出ると、もう高島屋が目の前だった。エスカレーターを降りると、その左側のスペースに、"Q"をあしらった、朱色に近い赤の大きな垂れ幕を飾ったイベント会場があった。
これが、意外にもたくさん人が群がっている。しかも、いかにもペンタオタな人だけでなく、結構ファミリーやカップルがフラッと寄った感じで興味深そうに見ている。だから、思ったほど実機の空きがない。
奥の方で空いているのを見つけ、早速手に持ってみる。そこから、冒頭の茶番劇が始まったわけだ (^_^;。
当然のことであるが、小さい。正面から見た面積なんか、iPhoneですっぽり隠せる程度しかない。本体の厚みも予想より薄い。さすがにレンズがあるので、撮影可能状態での収納時体積はコンパクトカメラよりかなり大きくなる。
だが、作りは意外にしっかりしている。小癪な近未来的曲線デザインなんて施されていない潔いスタイリングがいい。
操作に対する反応もまあまあだ。Pentaxらしく、GUIの見栄えは相変わらず洗練されていないが、操作性はK-7系に準じてかなり良いように感じられる。
シャッターを切ってみる。Qはパチュ！という軽い音を立てた。
フォーカルプレーンシャッターでなく、レンズシャッターであること、また、ミラーもないためか、それがなんとも軽やかで、心地良く感じられた。
そうだ実機を写真に収めよう、と持参したK-7を取り出すためにQを展示台に置いた俺は、人ごみの向こうから歩いてくる男とバチッと目が合った。
同じくPentaxユーザーのmaruだった。
少し驚いたが、K10Dの時もK20Dの時も、イベント会場でPentaxユーザーの知り合いに遭遇しているので、まああり得るだろうと思い、
「おっ、来てたかー！」
などと声をかけた。が、彼はこのイベントのことはつゆ知らずに普通に新宿に買い物に来たようだ。それでまた驚いた。
ここに、Pentaxの狙いがバッチリはまっていると感じた。
Qは、俺のような、自らイベント会場に出かけてしまうような人種よりむしろ、コンパクトカメラしか知らないような人達に手にとってもらいたい、ということだろう。だから、買い物客が大勢行き交うこのスペースに会場を設営した。
俺がmaruとわずかな時間話している間にも、サイズ比較のためiPhoneと並べて置いたQを、年配の夫婦が興味深そうに手にとろうとした。
「あ、すみません、比較写真撮らせてください」
と言って先に写真を撮らせてもらった。
PentaxQ and iPhone3GS
(PentaxK-7, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/13sec, F14.0, ISO800)
それにしても、皆、見たことのないジャンルのカメラに興味津々のようだった。これだけ世の中にディジタルカメラが溢れた世の中でも、まだ注目を集めることのできる要素ってあるんだね。このうちの何人が購入するか分からんけど。
その後、会場の一番奥に設けられた、Pentax社員による説明コーナーのようなところに行ってまたじっくり触ってみた。
02という標準ズームで何気なくそばの造花を撮ってみる。再生画像とともに表示される数値を見て驚く。ISO1000を超えている。屋外とは言っても屋根があるこのスペースはかなり暗いのだ。
せっかくだからとズンズン拡大してみる。が、最近の1/2.3インチ撮像素子モデルで低感度から現れがちな、ピクセルを無理やり塗りつぶした水彩画のような不自然な描写がなく、鮮明な輪郭を保っているようだ。しかも、色もそこそこ自然で、高感度だからといって転んでいないようだ。所詮本体のモニターで確認したレベルだが、これはかなり意外だった。
「みんな、1/2.3インチの撮像素子の本当の実力なんて知らんでしょ？ちゃんとしたレンズで結像してやって、ちゃんとした画像エンジンで処理してやれば、ちゃんとここまで写るんだよ！」
Qの内なる声が聞こえた気がした。
とは言え、そこは1/2.3インチ。やはり単焦点の01レンズの開放F1.9で撮っても背景はほとんどボケない。やはり立体感などの表現は大撮像素子の真似はできない。
でも、いわゆる「ハイクオリティ」レンズ2本はかなりちゃんと作っている。その辺に転がってる1/2.3インチの10Mピクセルオーバーのコンパクトカメラは、テラッテラのレンズでどんだけ撮像素子本来の実力を無駄にしてんだ？？と思えてくる。
次に、3つ用意された「トイレンズ」を試してみた。これがものすごい割り切ったレンズだ。
一応Webの情報も目を通していたが、撮影しようとするまで忘れていたのは、これらのレンズがマニュアルフォーカスだということ！シャッター半押しまでして、なんの反応もなくてやっと気づいた。
さらには
・絞りは固定。シャッタースピードのみで露出をコントロール
・シャッターは持たず、CMOSの電子シャッターを利用する
・ブラスチックのマウント
現代のレンズでここまで割り切るかー (^_^;。
でも、これがまた意外にも可愛い。
直径が3cm程度で、まるでミニケーキか何かのようだ。トイレンズの名に違わず、ビックリするほど軽い。
これらをカチャカチャと交換して本体に装着する。この動作自体もなんだかオモチャチックで楽しい。もっと重くてホンモノ感の高い一眼レフよりも軽やかだ。
不便だらけのはずのトイレンズだが、なかなかどうして、これまた楽しい。
もちろん、画質はそこそこだ。でも、なんだかホンワカした感じが画像から伝わってくる。
なんかこの感じ、覚えがある。...そうだ、小学校の頃持っていた110フィルム用の小さなカメラだ。
Wink
ピントもズームもないけど、一応フラッシュは付いてて、それでもルービックキューブくらいのサイズしかなかった。
もちろん、子ども向けでオモチャに近いカメラだ。画角がどれくらい正確かも分からないが、でも、枠だけのファインダーを覗き込んでパチパチやるのは単純に子どもごころに楽しかった。
ちょうどその後出てきた某アイドルのファンクラブグッズと思われたら嫌で使わないようになってしまったのだが (^_^;、ひょっとしたら今の写真趣味も、あの頃の影響を引きずっているかもしれない。
Qの軽やかさは、あのカメラを使っていた時の感触と通じるものがあると感じた。
ま、それはともかく、これらトイレンズから伝わってくるのはこういうメッセージだ。
「高画質？一応そういうレンズもあるよ。だけど、カメラの楽しさって、それだけじゃないよね！」
PentaxQ Black and White and Toy Lenses
(PentaxK-7, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/40sec, F5.0, ISO800)
うーーーん。
Qに触れたら、正直、カメラのスペックを語っている自分が滑稽にすら思えてくる。その、伝わってくる主張は、全て昨今の、コンパクトを含めたディジタルカメラへのアンチテーゼにすら感じられる。
・大撮像素子？レンズ含めてでかくなったら意味ねーだろ。
・コンパクトカメラと同じ撮像素子じゃないかって？レンズやら画像エンジンを良くすりゃまだまだいくらでも良くなるっての！
・タッチパネル？んなもん使う前にいくらでもUI改善できるでしょ。
・スペック？カメラなんて楽しくてナンボでしょ。
うん、この最後の「カメラなんて楽しくてナンボ」。ここにQの本質は集約されると俺は感じた。単に持ち運んで味気もない思い出の記録を撮るのではなく、撮影行為自体に楽しさを加味したい意図がかんじられた。Pentax自身、それをカタログなどにほとんど反映できていなくて、群雄割拠のミラーレス一眼市場を戦うカメラのようになっているのがむしろ残念だ。
ところで、一眼レフのマウント名KはKingから来ているらしい。じゃあ、この新マウントQはQueenなんだろうか？
Kでは、詰め込みうる機能はとことん詰め込んでユーザーに選択させることを徹底しているPentaxが、Qではとことん割り切った仕様にしているのは対象的で面白い。
さて、思っていたよりも尖った主張が盛り込まれて、単なるミラーレスのまがい物ではなく、骨太な製品だと分かったQだが、買うかどうかと言われると...俺はまだまだ (^_^;。
やはりディジタルカメラの値段にとって、基幹部品である撮像素子のサイズはインパクトがでかい。本体6万はやっぱり高いよね。下手すりゃAPS-Cのエントリー一眼レンズキット買えちゃうもんね。いくら方向が違ってこだわりポイントが違ったとしても、撮影状態（01レンズキット）だと7〜8万というのは、今回高島屋前を「たまたま通過した」層がポンと買うには若干敷居が高い。その値段なら、俺もK-5の後継機を待つかな。
でもほんと、このQueenの「楽しさ徹底追求」は他のディジタルカメラが忘れていたものだと思う。願わくば、商業的にも成功して欲しいのだが。頼むよ、RICOH！
nobilesの投稿(00:32:28-2011-07-16) -
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