NOBILES Days
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俺の勤める会社は、夏休みが7/20を含む1週間だ。逆に、盆には2日しか休みがない。
子どもの夏休みと重なるが、一般には平日なので行楽は空いているというメリットはある。が、嫁さんは仕事なので、別行動をとるか、休みをとってもらうかしないと家族全員で遊べない。
今年は嫁さんが「たまには子どもと離れてのんびりしたい」などというので、俺が子ども2人を連れて2泊3日俺の実家に行った。子どもたちとしては珍しくママと離れて冒険って感じだったし、嫁さんもそれなりに羽を伸ばせたようだ。
さて、ちょっと間が空いちゃったけど、なかなか強烈なメガネ屋の話第2段。
デスクワーク用の新メガネ
(PentaxK-3, PentaxDA16-45mmF4(45.0mm), 1.3sec, F7.1, ISO100)
一念発起して訪れた、「3ヶ月先まで予約のとれないメガネ屋」で俺は、そこの社長である検査員のおじいちゃんの繰り広げるワールドにぐいぐいと引き込まれていた。
社長の含蓄のある話は、果てしなく広がっていったが、検査の方も、他ではなかなかやらない項目に入っていた。
カギカッコのようなものが四方にあって、両目で見ると横長の長方形に見える画像を見せられる。だが多分偏光を使ってそれぞれ片方の目だけにしか見えないようになっているようだ。このカギカッコの位置関係が綺麗に長方形になるように、しぶとく何度も調整が行われるのだ。
ところが、俺の目ではいつまで経っても左右で長方形の縦の長さが揃わない。
「□□さん、あなた、網膜の大きさが左右で変わっちゃってるよ。これも、無理させてるからです。」
なるほど、光学系をいくら替えたところで、そもそも像を結ぶスクリーンの大きさに、左右で差が出てしまって、大きさの知覚に差が出てしまっているというのだ。実際の検査でこうやって示されると、俄然説得力があるというものだ。
また特徴的なのが、遠近感に重きを置いた調整に時間を割くことだ。
そのうちの一つの検査項目はこうだ。菱形が3つ見える。恐らく偏光具合が異なる補正レンズを検査メガネに入れ、ゆっくりと回していく。すると、菱形同士の遠近感に変化が現れる。
「真ん中の菱形、今は上下2つより奥に見えてますか？これが、他の2つより手前に見えたと思った瞬間に教えてください。」
これも結構粘り強く何度もやった。つまり、これは遠近感の見え方をちゃんと脳みそに正しく知覚させるための調整を行っているというわけだ。
いずれの測定も、両目を使っていることが特徴だ。確かに、普段人は両目で見て知覚しているわけで、両目でなければ距離の認識もできない。片目ごとの視力なんてスペックでしかなく、実効性は薄いというわけだ。
「うん。では、今から検査室の外に出ていただきます。」
検査室を出て、店の外に出るドア付近まで誘導された。他人のブログなんかでは、このタイミングで外の風景を見て感動して泣いた、なんて書いてあったので、少し身構えて外を眺めた。
店の前の街路樹は5月ならではの新緑だ。色鮮やかだが、それ自体は前のメガネと、そう差があるわけではない。
「どうですか？」
正直言うと、「どう？と言われてもなあ」というくらい、この時点では感動というか、前のメガネとの大きな差を感じられたわけではない。だが、答えに窮しかけたその時、ふと気づいた。視界内で重なっている、手前の街路樹と道の真ん中の植え込みの間の「空間」が見えたように感じられたのだ。
「ものの位置関係が楽に感じられませんか？」
まるで俺の気づきを見透かしたように、検査員のおじいちゃんが言った。まさに、それだった。アカの他人がブログで書いていた「3Dみたいです」という間抜けなセリフは、このことを言ってるんだろう。
「あなたは視野が広くて集中力があるから、脳が補正して、これまでもちゃんと位置関係を把握できていたと思います。でも、そこに力を使う量が減るはずです。そうしたら、あなたはその力を他のことに使えるようになります。もっと大きな仕事ができるようになりますよ。」
うはは。スケールのでかい話になってきたな (^_^;。
すると、おじいちゃんは今度は新聞をスッと俺に差し出した。
「こっちの見え方はどうですか？」
いつも見てる新聞と違う新聞なので一瞬では判断できなかったが、文字は明らかに大きいように見えた。
「多分、スッと文字が入ってくると思います。目からの情報を消化するのに力が要らないはずです。」
言われたような実感はまだ薄かったが、文字が大きく見えたのは事実だ。だからと言って、手を伸ばして距離感が異なるというわけではない。それまでのメガネとは確かに見え方が違った。
検査室に戻ると今度は、デスクワーク用のメガネを作るかどうかという選択が待っていた。
「長い時間PCで作業されるんだから、もしどちらかだけというなら、PC用を勧めます。でもまあ、普段使いのものもちょっと古くて正直ズレてきてますし、お金の問題はありますが、できれば両方がいいと思います。」
そりゃ、そうだよねえ、うん。
1本だけでも、その辺の普通のメガネ屋と比べ倍くらいの値段のこの店で2本というのは、なかなかの出費だ。
だが「メガネを使いこなして、大きな決断を下す方に能力を使ってください」とまで言われて、デスクワーク用のメガネだけを作るという選択肢は、この際あり得ない気がした。...完全に話術にやられとるなー。
と、いうわけでもう1本、デスクワーク用のレンズの調整のため、検査を続けた。
こちらはさほど時間はかからなかった。基本は普段使い用のレンズから、ピントが合う距離を50cm程度にするだけだからだ。
調整が終わったところでおもむろに、パソコンを模した型紙や新聞紙が検査台に並べられた。
むう。パソコンの画面、キーボード、新聞の文字が、普段使い用で感じたのと比べてもさらに大きく見える。その代わり、1mほど先にいるおじいちゃんの顔は既にピントが完全には合わない。床もだ。目から50cm付近にだけがっつりピントが合うので、まるでそこだけが浮き上がっているように感じられた。
一通り検査が終わったところで、おもむろにおじいちゃんが話し始めた。
「最後にね、これを是非実践して欲しいんですが。
数年前に賞を獲った論文があるんです。これは、霊長類の瞬きの回数を調べたものなんです。これによると、瞬きの回数が多い方が賢い、つまり知能が高いという結果だったというんです。瞬きすることには、脳のリフレッシュ効果があるらしいんですね。」
ほう、瞬き。
「あの石原慎太郎なんて、瞬きすごいでしょ？なんの後ろ盾もない彼が政界であれだけやれたというのは、そういうことです。」
瞬きという言葉を聞いて思わず浮かんだ顔と一致する名前が出てきたので、つい苦笑する。
「で、これはメガネ屋だから言うんじゃないんですけどね、コンタクトレンズはどうですか。朝、眼球とまぶたの間に入れたら、夜外すまで1回も瞬きできないようなもんです。どんどんアタマの働きが落ちていきますよ。
ハードコンタクトなら小さいですから瞬きはできますが、裸眼よりも目の動きに余計な力がかかりますから、負担をかけてますよね」
ふーむ。まあどうせコンタクトするつもりないから関係ないけど (^_^;、瞬き良くしなよってことね。
後で調べてみたら、やはりメガネにはコンタクトにないメリットが他にもあるらしい。すなわち、瞳から光学補正系（メガネ）までの距離があるため、裸眼よりもピント合わせの力が弱くて済むのだそうだ。つまりこれは、老眼（ピント合わせ力の劣化）を緩和できることになる。
一方コンタクトレンズの場合、瞳からの距離がメガネより断然近くなるため、この緩和効果がかなり薄まるらしい。
これがレイシックになると、完全に裸眼と一緒になるので、ピント合わせの緩和効果はなくなる。レイシックを受けた人が、目が疲れるようになるのはこのせいだそうだ。
はい、閑話休題。
「この2本をぜひ使いこなしていただきたいです。そうすればまだまだあなたの目は回復するし、集中力をもっともっと大事なところで使えるようになる。...それじゃ私はここまでで、あとは表でフレームを選んでください」
検査室を出て、先ほどの上品な女性スタッフがフレーム選びの補助をしてくれた。その際おじいちゃん社長が「お子さんが2人いらっしゃるんで、あまり高くなくて丈夫なものをね」なんて言っていた。
いくつかスタッフのオススメ的なものを紹介してもらったが、バチッと感覚的にハマるものがない。結局、店に陳列してあるものは、引き出しの中のものまで含めて全て目を通した。
で、アームの曲線が特徴的なメタルフレームのもの（前回のトビラ写真）と、かなり太いセルフレームのもの（今回のトビラ写真）を選んだ。PC用のものの方が縦方向のサイズがあった方がいい、と言っていたので、セルフレームをPC用にした。
ここまでで既に2時間以上経過していたが、まだまだ終わらない。今度は、選んだフレームを自分の顔に合わせて調整してもらう。若い細身の男性スタッフがついた。
これも非常に時間がかかる。そりゃそうだ、光学側にあれだけ時間をかけたのに、フレームがグダグダでは意味がない。まずは、メタルフレームのものから合わせていく。
「あれ？お客様、それはApple Watchですか？私も興味があって」
「いやー、実は図らずも手に入れてしまって」
なーんて話しながらも、何度も付けては外し、熱を与えたり、白い手袋をつけた手で整形したりしていく。
「この指を見てください」
人差し指を上に向けて、俺の視線50cmほどのところに構える。これで顔を正面に向けて左右のバランスを見ているのだろうか。
散々地道にメガネの整形を繰り返して、45分くらいすると、スッとセットするだけで、ベストポジションにくるようになった。しかも、ほとんどズレない。最後は、鼻の左右にかかる重さはどうか？なんて微調整まで行った。
...やっと1本目。そう、俺は2本買ったのでまだ調整がある。
この時点で13時だった。そこで、2本目のセルフレームの最初のアタリをつけたところで昼食時間にすることになった。その間にも2本目はせっせと整形されるようだ。
この店には菜食カフェが併設されていると先述した。実は社長の奥さんが菜食メニューを作っているらしい。予約が必要なのだが、せっかくだからメガネの予約の際に昼食も予約しておいた。
菜食ランチ
(Panasonic DMC-GM5, Lumix G Vario 12-32/F3.5-5.6(18.0mm), 1/100sec, F4.2, ISO200)
これがなかなかバラエティ豊かな味を楽しめて、量もそこそこあった。一見するとハンバーグランチのようだが、ちゃんと野菜類だけで作られているのだ。
そのうち、俺の背中合わせの席に小さな子ども連れの夫婦も座って食事を始めた。ちなみに俺がこの店にいる間（数時間）、その夫婦が、俺を入れて3組目か4組目の客だ (^_^;。本当に客の数が少ないのだ。
食事を終えてから2本目の調整に入った。ここからさらに1時間近くかかったが、こちらもバッチリハマるまで追い込めた。
最後に会計をした。うっははは、がっつり大台に乗った。
でも、出来上がりが楽しみになった。何しろ「仕事の質が変わる」とまでいうメガネだからね。遠方の人は郵送するらしいが、俺は行ける距離なので直接取りに行き、現物で最終調整することにした。
この日、店には朝10時入りだったが、帰る頃にはもう午後3時が迫っていた。
つづく。
子どもの夏休みと重なるが、一般には平日なので行楽は空いているというメリットはある。が、嫁さんは仕事なので、別行動をとるか、休みをとってもらうかしないと家族全員で遊べない。
今年は嫁さんが「たまには子どもと離れてのんびりしたい」などというので、俺が子ども2人を連れて2泊3日俺の実家に行った。子どもたちとしては珍しくママと離れて冒険って感じだったし、嫁さんもそれなりに羽を伸ばせたようだ。
さて、ちょっと間が空いちゃったけど、なかなか強烈なメガネ屋の話第2段。
デスクワーク用の新メガネ
(PentaxK-3, PentaxDA16-45mmF4(45.0mm), 1.3sec, F7.1, ISO100)
一念発起して訪れた、「3ヶ月先まで予約のとれないメガネ屋」で俺は、そこの社長である検査員のおじいちゃんの繰り広げるワールドにぐいぐいと引き込まれていた。
社長の含蓄のある話は、果てしなく広がっていったが、検査の方も、他ではなかなかやらない項目に入っていた。
カギカッコのようなものが四方にあって、両目で見ると横長の長方形に見える画像を見せられる。だが多分偏光を使ってそれぞれ片方の目だけにしか見えないようになっているようだ。このカギカッコの位置関係が綺麗に長方形になるように、しぶとく何度も調整が行われるのだ。
ところが、俺の目ではいつまで経っても左右で長方形の縦の長さが揃わない。
「□□さん、あなた、網膜の大きさが左右で変わっちゃってるよ。これも、無理させてるからです。」
なるほど、光学系をいくら替えたところで、そもそも像を結ぶスクリーンの大きさに、左右で差が出てしまって、大きさの知覚に差が出てしまっているというのだ。実際の検査でこうやって示されると、俄然説得力があるというものだ。
また特徴的なのが、遠近感に重きを置いた調整に時間を割くことだ。
そのうちの一つの検査項目はこうだ。菱形が3つ見える。恐らく偏光具合が異なる補正レンズを検査メガネに入れ、ゆっくりと回していく。すると、菱形同士の遠近感に変化が現れる。
「真ん中の菱形、今は上下2つより奥に見えてますか？これが、他の2つより手前に見えたと思った瞬間に教えてください。」
これも結構粘り強く何度もやった。つまり、これは遠近感の見え方をちゃんと脳みそに正しく知覚させるための調整を行っているというわけだ。
いずれの測定も、両目を使っていることが特徴だ。確かに、普段人は両目で見て知覚しているわけで、両目でなければ距離の認識もできない。片目ごとの視力なんてスペックでしかなく、実効性は薄いというわけだ。
「うん。では、今から検査室の外に出ていただきます。」
検査室を出て、店の外に出るドア付近まで誘導された。他人のブログなんかでは、このタイミングで外の風景を見て感動して泣いた、なんて書いてあったので、少し身構えて外を眺めた。
店の前の街路樹は5月ならではの新緑だ。色鮮やかだが、それ自体は前のメガネと、そう差があるわけではない。
「どうですか？」
正直言うと、「どう？と言われてもなあ」というくらい、この時点では感動というか、前のメガネとの大きな差を感じられたわけではない。だが、答えに窮しかけたその時、ふと気づいた。視界内で重なっている、手前の街路樹と道の真ん中の植え込みの間の「空間」が見えたように感じられたのだ。
「ものの位置関係が楽に感じられませんか？」
まるで俺の気づきを見透かしたように、検査員のおじいちゃんが言った。まさに、それだった。アカの他人がブログで書いていた「3Dみたいです」という間抜けなセリフは、このことを言ってるんだろう。
「あなたは視野が広くて集中力があるから、脳が補正して、これまでもちゃんと位置関係を把握できていたと思います。でも、そこに力を使う量が減るはずです。そうしたら、あなたはその力を他のことに使えるようになります。もっと大きな仕事ができるようになりますよ。」
うはは。スケールのでかい話になってきたな (^_^;。
すると、おじいちゃんは今度は新聞をスッと俺に差し出した。
「こっちの見え方はどうですか？」
いつも見てる新聞と違う新聞なので一瞬では判断できなかったが、文字は明らかに大きいように見えた。
「多分、スッと文字が入ってくると思います。目からの情報を消化するのに力が要らないはずです。」
言われたような実感はまだ薄かったが、文字が大きく見えたのは事実だ。だからと言って、手を伸ばして距離感が異なるというわけではない。それまでのメガネとは確かに見え方が違った。
検査室に戻ると今度は、デスクワーク用のメガネを作るかどうかという選択が待っていた。
「長い時間PCで作業されるんだから、もしどちらかだけというなら、PC用を勧めます。でもまあ、普段使いのものもちょっと古くて正直ズレてきてますし、お金の問題はありますが、できれば両方がいいと思います。」
そりゃ、そうだよねえ、うん。
1本だけでも、その辺の普通のメガネ屋と比べ倍くらいの値段のこの店で2本というのは、なかなかの出費だ。
だが「メガネを使いこなして、大きな決断を下す方に能力を使ってください」とまで言われて、デスクワーク用のメガネだけを作るという選択肢は、この際あり得ない気がした。...完全に話術にやられとるなー。
と、いうわけでもう1本、デスクワーク用のレンズの調整のため、検査を続けた。
こちらはさほど時間はかからなかった。基本は普段使い用のレンズから、ピントが合う距離を50cm程度にするだけだからだ。
調整が終わったところでおもむろに、パソコンを模した型紙や新聞紙が検査台に並べられた。
むう。パソコンの画面、キーボード、新聞の文字が、普段使い用で感じたのと比べてもさらに大きく見える。その代わり、1mほど先にいるおじいちゃんの顔は既にピントが完全には合わない。床もだ。目から50cm付近にだけがっつりピントが合うので、まるでそこだけが浮き上がっているように感じられた。
一通り検査が終わったところで、おもむろにおじいちゃんが話し始めた。
「最後にね、これを是非実践して欲しいんですが。
数年前に賞を獲った論文があるんです。これは、霊長類の瞬きの回数を調べたものなんです。これによると、瞬きの回数が多い方が賢い、つまり知能が高いという結果だったというんです。瞬きすることには、脳のリフレッシュ効果があるらしいんですね。」
ほう、瞬き。
「あの石原慎太郎なんて、瞬きすごいでしょ？なんの後ろ盾もない彼が政界であれだけやれたというのは、そういうことです。」
瞬きという言葉を聞いて思わず浮かんだ顔と一致する名前が出てきたので、つい苦笑する。
「で、これはメガネ屋だから言うんじゃないんですけどね、コンタクトレンズはどうですか。朝、眼球とまぶたの間に入れたら、夜外すまで1回も瞬きできないようなもんです。どんどんアタマの働きが落ちていきますよ。
ハードコンタクトなら小さいですから瞬きはできますが、裸眼よりも目の動きに余計な力がかかりますから、負担をかけてますよね」
ふーむ。まあどうせコンタクトするつもりないから関係ないけど (^_^;、瞬き良くしなよってことね。
後で調べてみたら、やはりメガネにはコンタクトにないメリットが他にもあるらしい。すなわち、瞳から光学補正系（メガネ）までの距離があるため、裸眼よりもピント合わせの力が弱くて済むのだそうだ。つまりこれは、老眼（ピント合わせ力の劣化）を緩和できることになる。
一方コンタクトレンズの場合、瞳からの距離がメガネより断然近くなるため、この緩和効果がかなり薄まるらしい。
これがレイシックになると、完全に裸眼と一緒になるので、ピント合わせの緩和効果はなくなる。レイシックを受けた人が、目が疲れるようになるのはこのせいだそうだ。
はい、閑話休題。
「この2本をぜひ使いこなしていただきたいです。そうすればまだまだあなたの目は回復するし、集中力をもっともっと大事なところで使えるようになる。...それじゃ私はここまでで、あとは表でフレームを選んでください」
検査室を出て、先ほどの上品な女性スタッフがフレーム選びの補助をしてくれた。その際おじいちゃん社長が「お子さんが2人いらっしゃるんで、あまり高くなくて丈夫なものをね」なんて言っていた。
いくつかスタッフのオススメ的なものを紹介してもらったが、バチッと感覚的にハマるものがない。結局、店に陳列してあるものは、引き出しの中のものまで含めて全て目を通した。
で、アームの曲線が特徴的なメタルフレームのもの（前回のトビラ写真）と、かなり太いセルフレームのもの（今回のトビラ写真）を選んだ。PC用のものの方が縦方向のサイズがあった方がいい、と言っていたので、セルフレームをPC用にした。
ここまでで既に2時間以上経過していたが、まだまだ終わらない。今度は、選んだフレームを自分の顔に合わせて調整してもらう。若い細身の男性スタッフがついた。
これも非常に時間がかかる。そりゃそうだ、光学側にあれだけ時間をかけたのに、フレームがグダグダでは意味がない。まずは、メタルフレームのものから合わせていく。
「あれ？お客様、それはApple Watchですか？私も興味があって」
「いやー、実は図らずも手に入れてしまって」
なーんて話しながらも、何度も付けては外し、熱を与えたり、白い手袋をつけた手で整形したりしていく。
「この指を見てください」
人差し指を上に向けて、俺の視線50cmほどのところに構える。これで顔を正面に向けて左右のバランスを見ているのだろうか。
散々地道にメガネの整形を繰り返して、45分くらいすると、スッとセットするだけで、ベストポジションにくるようになった。しかも、ほとんどズレない。最後は、鼻の左右にかかる重さはどうか？なんて微調整まで行った。
...やっと1本目。そう、俺は2本買ったのでまだ調整がある。
この時点で13時だった。そこで、2本目のセルフレームの最初のアタリをつけたところで昼食時間にすることになった。その間にも2本目はせっせと整形されるようだ。
この店には菜食カフェが併設されていると先述した。実は社長の奥さんが菜食メニューを作っているらしい。予約が必要なのだが、せっかくだからメガネの予約の際に昼食も予約しておいた。
菜食ランチ
(Panasonic DMC-GM5, Lumix G Vario 12-32/F3.5-5.6(18.0mm), 1/100sec, F4.2, ISO200)
これがなかなかバラエティ豊かな味を楽しめて、量もそこそこあった。一見するとハンバーグランチのようだが、ちゃんと野菜類だけで作られているのだ。
そのうち、俺の背中合わせの席に小さな子ども連れの夫婦も座って食事を始めた。ちなみに俺がこの店にいる間（数時間）、その夫婦が、俺を入れて3組目か4組目の客だ (^_^;。本当に客の数が少ないのだ。
食事を終えてから2本目の調整に入った。ここからさらに1時間近くかかったが、こちらもバッチリハマるまで追い込めた。
最後に会計をした。うっははは、がっつり大台に乗った。
でも、出来上がりが楽しみになった。何しろ「仕事の質が変わる」とまでいうメガネだからね。遠方の人は郵送するらしいが、俺は行ける距離なので直接取りに行き、現物で最終調整することにした。
この日、店には朝10時入りだったが、帰る頃にはもう午後3時が迫っていた。
つづく。
nobilesの投稿(23:41:37-2015-07-27) -
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