NOBILES Days
Jump to navigationThe Gaping Holes of Our Heart
Sudden left
昼間、いつも食べているコンビニサラダのラベルを何気なく（というかカロリー計算のため）見ていたら、なんだか見覚えのある文字列がふと視界に入った。そのサラダの製造工場の住所だ。
...去年の今頃よく訪問していたお客さんの建物から徒歩2分ほどの場所だった。
その偶然にちょっと面食らった。
もう間もなく桜がくるけど、これはだいぶ前にフィルムで撮った梅
(PentaxLX, PentaxFA77mmLimitedF1.8, FujiFilm SuperiaX-TRA, ISO400)
そこは、俺たちの職場からはたっぷり2時間近くかかる場所だった。俺なんかは自宅から3時間以上かかるので、午前から訪問するときには、ずっと近くにある実家に前泊して向かったものだ。そのおかげで、子ども抜きで両親とゆっくり話す機会を得られたのは思わぬ副産物だった。
4人のメンバーで隔週ペースで訪問したのだが、その準備のためにみんなで遅くまで作業した。ウチの部署として新しい業務だったので、手探りの中から糸口を見つけようと、とにかく頭を使った。
残念ながらさまざまな要因があって継続的な仕事にはならず、通うことはなくなってしまった。でもとても思い出深い業務と場所だったと言えるだろう。
その時の4人のうち、昨年の7月に、1人は別の部署に異動になり、1人は出向となって、俺を含む2人だけが部署に残る形になった。
そしてこの3月末で、そのもう1人が退職することになった。会社の業績悪化に伴う早期優遇退社に応募したのだ。
その方は、実は20年以上前にウチの部署を作ったメンバーのひとりだ。言ってみれば「生き字引」だ。
猛烈に頭が良く、それでいて建前や理論だけに走るのではなく、「折り合い」もできる人だった。だから、何かを始める時には必ず入ってもらって、広い視野から本質的な意見をもらっていた。もう「大黒柱」なんてもんじゃなかった。
とはいえ、それくらいの能力がある方なので、もともと、新しいことをするべく2〜3年先を見据えて準備をしていて、部門長にもその意向は伝えていたそうだ。そこに、早期優遇退社の話が来て退社が若干早まったに過ぎないそうだ。
実は俺がこの会社に入るための面接にも、この方がいらっしゃった。その時に「自分も設計を飛び出してこの仕事やりたい！ってここに来た人間なんでね。同じ熱意ですよね」と話してくれたことを鮮明に覚えている。その後、実際に入社してからも、折に触れてお世話になってきた。それだけに、なかなか実感が湧かず、ぽっかりと穴の空いたような気持ちになっている。
思い出すのは8年前だ。
当時俺が所属していたチームも、早期優遇と派遣切りで俺以外の全員が辞めてしまった。
そして、その時のリーダーの一言で、俺も転職をする決意をしたのだ。
「お前はここにいる限り、設計者として俺を超えられない。でも、お前は俺が絶対かなわないものをたくさん持っている。それを活かすか殺すかはお前次第だ」
...なんて書くとカッコイイが、視点を変えれば結局、「チームの仕事を1人で背負うことがムリだから逃げた」とも言える。
今回、また俺は1年前一緒にやっていたメンバー4人のうち1人取り残された形になった。
もちろん7年前とは仕事の種類も立場も会社の状況も諸々違うので比べること自体がおかしいことは百も承知だ。でも、今回は逃げてたまるか、と思っている。
8年前は、チームを離れたら俺にはろくにやれることがなかった。
今は違う。
猛烈に頭のいい辞める方の代わりはできないが、俺にしかできないことを作ってきた。それなりに信頼も築いてきたつもりだ。
だいたい、ここは「やりたい」と思ってやってきた場所だ。ここでやらんでどこでやるんだ。そう思っている。
ここまで述べてきた方とは別にもう1人が、同じように会社を去った。
先述の方とはまたタイプが全然異なり、普段物静かで自信なさげにしているし、段取りなんかも全然できなくて、正直仕事の効率は高いとは言えない。ところがある分野に関してはとんでもない知識と経験を有していた。ある意味では職人タイプだろう。
そのキャラ含めて、部署では愛すべき存在だった。
実はその方と俺とは家が比較的近かった。
俺が足の怪我で入院したときには、仕事でさほど関わりがない頃だったのに、豪華な果物盛りを持ってひょっこり見舞いに来てくださった。その意外性と、味気ない病院生活に潤いを与える瑞々しい果物をいただいて、猛烈に嬉しかった。若干「不思議ちゃん」的なところもある方だったけど、根はとても優しい方なのだとその時思った。
こちらの方は、辞めるのは必ずしも本望ではなかったようだ。その点では気の毒なのだが、最後まで飄々としたトーンの愛すべきキャラのままだった。
来週、会社に行ったら、俺とは背中合わせの列にいたお二方の机がぽっかり空いているということになる。
まったく実感が湧かない。なんだかふわふわした、でもなんだかやっぱり、寂しくて仕方がない気持ちに支配されている。
それは、部署のみんなも同じだったのだろうか。
すでに送別会飲みは開催済みで、今日は昼礼で挨拶があって、あとは個人的に話す程度でお別れ、となるはずだったのだが、16時過ぎくらいに、なんだか盛り上がって、部員ほぼ全員が揃って記念撮影することになった。他部署は唖然としてたけど、温かい気持ちになった。
お二方の新たなスタートに幸あることを。そして、残った俺たちも、しっかり歩んでいこう。
昼間、いつも食べているコンビニサラダのラベルを何気なく（というかカロリー計算のため）見ていたら、なんだか見覚えのある文字列がふと視界に入った。そのサラダの製造工場の住所だ。
...去年の今頃よく訪問していたお客さんの建物から徒歩2分ほどの場所だった。
その偶然にちょっと面食らった。
もう間もなく桜がくるけど、これはだいぶ前にフィルムで撮った梅
(PentaxLX, PentaxFA77mmLimitedF1.8, FujiFilm SuperiaX-TRA, ISO400)
そこは、俺たちの職場からはたっぷり2時間近くかかる場所だった。俺なんかは自宅から3時間以上かかるので、午前から訪問するときには、ずっと近くにある実家に前泊して向かったものだ。そのおかげで、子ども抜きで両親とゆっくり話す機会を得られたのは思わぬ副産物だった。
4人のメンバーで隔週ペースで訪問したのだが、その準備のためにみんなで遅くまで作業した。ウチの部署として新しい業務だったので、手探りの中から糸口を見つけようと、とにかく頭を使った。
残念ながらさまざまな要因があって継続的な仕事にはならず、通うことはなくなってしまった。でもとても思い出深い業務と場所だったと言えるだろう。
その時の4人のうち、昨年の7月に、1人は別の部署に異動になり、1人は出向となって、俺を含む2人だけが部署に残る形になった。
そしてこの3月末で、そのもう1人が退職することになった。会社の業績悪化に伴う早期優遇退社に応募したのだ。
その方は、実は20年以上前にウチの部署を作ったメンバーのひとりだ。言ってみれば「生き字引」だ。
猛烈に頭が良く、それでいて建前や理論だけに走るのではなく、「折り合い」もできる人だった。だから、何かを始める時には必ず入ってもらって、広い視野から本質的な意見をもらっていた。もう「大黒柱」なんてもんじゃなかった。
とはいえ、それくらいの能力がある方なので、もともと、新しいことをするべく2〜3年先を見据えて準備をしていて、部門長にもその意向は伝えていたそうだ。そこに、早期優遇退社の話が来て退社が若干早まったに過ぎないそうだ。
実は俺がこの会社に入るための面接にも、この方がいらっしゃった。その時に「自分も設計を飛び出してこの仕事やりたい！ってここに来た人間なんでね。同じ熱意ですよね」と話してくれたことを鮮明に覚えている。その後、実際に入社してからも、折に触れてお世話になってきた。それだけに、なかなか実感が湧かず、ぽっかりと穴の空いたような気持ちになっている。
思い出すのは8年前だ。
当時俺が所属していたチームも、早期優遇と派遣切りで俺以外の全員が辞めてしまった。
そして、その時のリーダーの一言で、俺も転職をする決意をしたのだ。
「お前はここにいる限り、設計者として俺を超えられない。でも、お前は俺が絶対かなわないものをたくさん持っている。それを活かすか殺すかはお前次第だ」
...なんて書くとカッコイイが、視点を変えれば結局、「チームの仕事を1人で背負うことがムリだから逃げた」とも言える。
今回、また俺は1年前一緒にやっていたメンバー4人のうち1人取り残された形になった。
もちろん7年前とは仕事の種類も立場も会社の状況も諸々違うので比べること自体がおかしいことは百も承知だ。でも、今回は逃げてたまるか、と思っている。
8年前は、チームを離れたら俺にはろくにやれることがなかった。
今は違う。
猛烈に頭のいい辞める方の代わりはできないが、俺にしかできないことを作ってきた。それなりに信頼も築いてきたつもりだ。
だいたい、ここは「やりたい」と思ってやってきた場所だ。ここでやらんでどこでやるんだ。そう思っている。
ここまで述べてきた方とは別にもう1人が、同じように会社を去った。
先述の方とはまたタイプが全然異なり、普段物静かで自信なさげにしているし、段取りなんかも全然できなくて、正直仕事の効率は高いとは言えない。ところがある分野に関してはとんでもない知識と経験を有していた。ある意味では職人タイプだろう。
そのキャラ含めて、部署では愛すべき存在だった。
実はその方と俺とは家が比較的近かった。
俺が足の怪我で入院したときには、仕事でさほど関わりがない頃だったのに、豪華な果物盛りを持ってひょっこり見舞いに来てくださった。その意外性と、味気ない病院生活に潤いを与える瑞々しい果物をいただいて、猛烈に嬉しかった。若干「不思議ちゃん」的なところもある方だったけど、根はとても優しい方なのだとその時思った。
こちらの方は、辞めるのは必ずしも本望ではなかったようだ。その点では気の毒なのだが、最後まで飄々としたトーンの愛すべきキャラのままだった。
来週、会社に行ったら、俺とは背中合わせの列にいたお二方の机がぽっかり空いているということになる。
まったく実感が湧かない。なんだかふわふわした、でもなんだかやっぱり、寂しくて仕方がない気持ちに支配されている。
それは、部署のみんなも同じだったのだろうか。
すでに送別会飲みは開催済みで、今日は昼礼で挨拶があって、あとは個人的に話す程度でお別れ、となるはずだったのだが、16時過ぎくらいに、なんだか盛り上がって、部員ほぼ全員が揃って記念撮影することになった。他部署は唖然としてたけど、温かい気持ちになった。
お二方の新たなスタートに幸あることを。そして、残った俺たちも、しっかり歩んでいこう。
nobilesの投稿(23:53:39-2017-03-31) -
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