NOBILES Days
Jump to navigationRebirth the favorite bike! Part.3
国から、給付金が支給された。ありがたく受領して、子ども部屋に、ずっと欲しがっていた二段ベッドとエアコンを導入した。
小学6年生の長女はすぐに使い始めたが、次女は「まだママと寝たい」と言ってすぐには使わなかった。だが、長女が「すっごい寝心地いいよ」なんて繰り返しいうもんだから「じゃあ私も」とこの週末から使い始めて、とうとう寝室から子どもがいなくなった。寂しくも、成長の証だな、と思っていた。
そしたら、次女が二段ベッドで寝るのは週末限定なんだって。「だって、寝心地良すぎて、ついつい二度寝しちゃって学校行きたくなくなるから」。
...まあ、まだ甘えたいってことで理解しとくよ。
さて、愛車（チャリ）であるクロスバイク、プジョーPS02をアップグレードする妄想を続けた結果、とうとう実際のパーツの調達を始めてしまった俺。
ところがある時、大事なパーツについてまったく考えていなかったことに気づいた。
Peugeot PS02
(PentaxK-3, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/200sec, F4.5, ISO200)
ケーブルである。
具体的には、前後のシフトケーブルおよび、前後のブレーキケーブルのことだ。シフトレバーとディレイラー、およびブレーキレバーとブレーキ機構とを繋ぎ、ライダーの操作を各機構へ伝える重要な役割を持つ。なのに、調べるのをすっかり忘れていた。ケーブルがなきゃ、なんとか走り出すことはできるかもしれないが、止まることさえできないよ。
シフトケーブル、ブレーキケーブルとも、インナーケーブルとアウターケーブルとで構成される。これはどんなチャリでも同じだ（そもそもシフトがないチャリはあるけど）。
インナーケーブルが、直接レバーと機構とを繋ぐワイヤー本体だ。
アウターケーブルは一見単なるビニールの被膜に見えるかもしれないが、実際にはアウターの中にも金属の線が幾重にも通っている。こうした構造でインナーの通り道を作ってインナーがスムースに動くようにしているのがアウターケーブルだ。
ネット拾い物の画像
幸いどちらのケーブルも、ロードとクロスバイクとで特段違いはないようだ。少なくともShimanoを使う限り、シフトはφ1.2mm、ブレーキはφ1.6mmの太さで同じ。
ただ、例によってヒエラルキーは存在する。Shimanoはこれを「Ultimate」「Advanced」「Select」などという区分けにしてるが、要は松竹梅だ。
Ultimate＝松→レースグレード
ポリマーコーティング
Advanced＝竹→スポーツグレード
シフトケーブルがオプティスリックコーティング
ブレーキケーブルはSIL-TECコーティング
Select＝梅→スタイリッシュ？グレード
ステンレスケーブル
さらにここに入らない無印としてスチールのケーブルがあるようだ。
で、このクラス分けの意味は何かというと、シフトの時の抵抗感のなさと、操作の正確性だ。
値段を見ると、シフトケーブルのセット（前後／インナーとアウター）で、松が3500円くらい、竹が1800円くらい、梅が1200円くらいだろうか。まーきれいに（あからさまに）並んでいるものだ。
俺はディレーラーにはUltegraグレードを選んだ。これは明確に松（Ultimate）グレードだ。だからポリマーコーティングのケーブルを使うべきなのだろう。
ところが、さまざまなレビューブログなどを読み漁ると、ポリマーコーティングは確かに装着直後は天国的に軽くて驚くが、1〜2ヶ月ほどでぼろぼろと剥がれてくるらしい。当然変化も激しく、こまめな調整が必要という。
また、新品で買ったTiagraグレードのブレーキレバーに「竹」のSIL-TECコーティングのケーブルが付属してきた。なので、シフトも竹でいいかという妥協が入った (^_^;。なし崩し的だが、まあ競技には出ないだろうから妥当だろう。
え？じゃあメインコンポにUltegraなんて高級グレード選ぶなよ？御意。
こうして、着々と部品を買い進めた俺は、2019年の年末には必要と思われる部品を買い揃え終えた。
まず、以下が中古で買ったもの。価格は税込である。
・シフトレバー SL-4600（旧Tiagra） 4344円
・リアディレイラー RD-6700（旧Ultegraの10速） 7020円
・フロントディレイラー FD-6700（旧Ultegraの2速） 1500円
・クランク FC-6750（旧Ultegraの50-34、170mm） 13824円
・スプロケット CS-6700（旧Ultegraの10速11-28） 2838円
以下が新品で買ったものだ。
・シフトケーブル（オプティスリック） 2004円
・ボトムブラケット SM-BBR60 JIS68mm 1899円
・ブレーキレバー BL-4700（現行Tiagra） 3187円
・グリップ CP-HG864AD2 2656円
・ペダル Wellgo M-194 3799円
・チェーン CN-6701-10s 2709円
・ミッシングリンク CL559R 955円
・BBツール 2138円
購入したコンポや工具など。あ、グリップだけ先に付けちゃったのでここには含まれていない。
(PentaxK-3, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/100sec, F2.5, ISO100)
合計48873円である。むー、さすがに新品のPS02は買えないが、なかなかの金額である。
あとは交換作業をするだけだ。
だが…不安だ。
これまでPS02を整備してくる中で、一応割と多くのパーツの交換は経験してきた。まったく同じ部品同士でなら。だが、そのときにも素人ゆえの小さなトラブルはいろいろあったし、まして今度はお門違いな高級ロードコンポに交換するのだ。果たしてうまくいくのか。
ショップに任せる？いやいや。こーんなお門違いな換装、ショップが快く引き受けるか？それに【自分でやってこそ楽しい】んじゃないか。
そんな悶々とした想いを抱えながら、結局年を越してしまった。
そういうタイミングのことだ。
通っているジムに併設された本屋に何気なく寄ったところ、こんな本が目に止まった。
「ロードバイクを自分で組む」
な...に...？？
ロードバイクを自分で組む
パラパラと立ち読みしてみると、どうやらさまざまな年代のロードを、裸のフレーム状態からプロが組み立てる手順を、結構大きめのカラー写真で紹介してくれている。「ちょっと前のコンポーネント」なんて章もある。これはめちゃくちゃ参考になるぞっ！
というわけでこの本を喜び勇んで購入した。
…だが、まだ実行に踏み切れない。
なぜなら、チャリは俺にとっては通勤手段である。
互換性についてはかなり時間を割いて調べたが、何か見落としがあるかもしれない。もし不足や、互換性がないものがあったりしたら、新たに調達するには1週間からそれ以上はかかるだろう。その間チャリ通できないなんて苦痛すぎる。まして、作業中に何かやらかしてPS02のフレームをダメにしてしまったら？？
それに、今回の変更には丸2日程度見たほうが良いだろう。なかなかそういうまとまった時間をとるのも覚悟がいる。
そんなこんなでウジウジしている間に、世の中はコロナ騒動である。ステイホームである。フル在宅勤務スタートである。
ということは、通勤しなくなる。先述した「チャリ通に支障をきたすかも」という不安はなくなった。チャンスだ！
ところが、今度は重要なカロリー消費スポットだったジムまで休業してしまった。そのため在宅勤務後のエクササイズの一環としてチャリも貢献するようになった。
…と、グダグダと言い訳つけているけどさ。
要は単に踏ん切りがつかなかっただけなのだ。優柔不断と言ってもいい。あとは思い切りの問題だけだったと今では思う。
相変わらずうじうじしているうちに、今度は緊急事態宣言も解かれて、自粛緩和ムードになり、週1回ペースで出社しろ、という話になってきた頃だ。
それ以前から徐々に、漕ぐたびに異音がするようになっていた。「キシッキシッ」という音から始まり、だんだんと「ギッギッ」という濁点の混じる音に変わっていった。
最初はなかなか場所を特定できなかった。またBBなのか？それともクランクが何かを擦っているのか？しかしどうやら左のペダルのベアリングがヘタッて異音を発しているということがようやく分かった。
別に、ペダルだけを変えることもできた。だが、この時に俺の中でパチンとスイッチが入った。
「明日明後日の土日で全部やろう。今を逃したらいつになるか分かったものじゃない。」
翌週には6月となり、週1回の出勤が始まるという5月最後の週末だった。
俺は土曜午前恒例のスーパーへの買い出しを終えて昼食をとった後、昨年行ったリフォームで出来たウォークインクローゼットにPS02を持ち込んだ。タイヤを装着したままのPS02がぴったり収まった。いつもメンテナンスを行うときは、ホースで洗車をするため庭で行うのだが、さすがに今回の作業をずっと屋外でやるのは難しいと考えたからだ。雨が降るかもしれないし、日焼けや虫、はたまた部品に芝生が付着するなども考えられるので、多少狭くても室内にした。
WICにドックインしたPS02
(iPhone7, 1/13sec, F1.8, ISO100)
ムック「ロードバイクを自分で組む」を購入したことにより、一つの基準を持てた。作業は、基本的にこの本の順番で行うことにした。
ただ、当然ながらこの本は取り付け方法しか書いていない。順番は則りながらも、その前に、古い部品を外してから、そこに新しい部品を取り付け、次の箇所に取り掛かる、という流れで行こうと考えた。
まず、今回のアップデートのきっかけとなった、クランクおよびボトムブラケットの交換から取り掛かった。ビビりなので、まだチェーンは切らずに。クランク、BBおよびペダルの合計重量を比べてみたら、新たに装着するUltegraのセットは、取り外したTourney TXセットよりも、なんと700g近く軽かった。
左が古いTourney TX、右が新しいUltegra。これはクランクとペダルだけ。さらにBBが232g軽い
新旧のボトムブラケット。右の新しい方は単なる空洞だ。
本によると、クランクがBBに入りづらい場合が多いということだったが、幸いにしてまったく問題なくスーーーっと入っていった。ペダルを取り付けて回してみると、実に静かに精緻に回転する。思わずニヤッとしてしまった。
続いて、最初に「うっかり落札してしまった」フロントディレーラーに換装した。このとき、シフトケーブルを取り外したわけだが、さっさと捨ててはいけない。新しいシフトのアウターケーブルも同じような取り回しになるだろうから、長さをコピーするのが圧倒的に楽だからだ。
フロントディレーラーはさほど大きくない部品だが、これも新旧で80gの差があった。樹脂も多用していたTourneyと比べると、Ultegraは全体が金属製で、かつシンプルでスマートな造形だ。いかにもクラスが上だ。なんだかテンションがさらに上がる。
ここまできて、とうとう観念してチェーンを切り、リヤディレーラーを換装した。リヤディレーラーは130g軽かった。ショートケージを選んだこともあって、非常にコンパクトだ。だが、フレームへの取り付けねじはむしろUltegraの方が大きくごついものだった。必要なところにはしっかり強度を出しているようだ。
新旧・前後ディレーラー（手前が新）
(iPhone7, 1/9sec, F1.8, ISO100)
続いて、ブレーキおよびシフトのレバーの交換だ。ここで、シフトもブレーキもケーブルを全部外すことになる。くれぐれもさっさと片付けちゃいけない。
ここまでずっと新しいパーツの方が軽い、という例が続いてきたわけだが、今回はそうはいかない。競技向けに軽量化されたUltegraグレードはなくて、2つ下のTiagraグレードだというのもある。だが、取り外したTourneyのレバーはブレーキとシフトが一つのユニットに収められていた一方、Tiagraでは別々のユニットになっている。その分、重くなるのだ。左右それぞれで100gずつ重い。うーん、前後のディレイラーで軽量化した分はここで相殺されてしまった。
俺はこのTourney TXのシフターの、円状のデザインについては、実は気に入っていた。とてもチャーミングだと思っていたのだ。
ただ、新たに換装したTiagraグレードではシーケンシャルにケーブルを引っ張ってディレーラーを操作するのに対し、Tourneyはこの円状の部品が回転してケーブルを巻き取る方式だった。そのケーブルの根本部分が傷みやすく、BBと同じく、1年に1回は交換が必要だった。内部も、実にプラスチッキーでいかにも最廉価クラスではあった。
プラスチッキーなTourney TXシフトレバーの内部
(iPhone7, 1/120sec, F1.8, ISO40)
Tiagraはロードコンポとしてはお気軽お手頃クラスではあるが、Tourneyから見れば3ランクほど上になる。Ultegra2x10速との互換性のために、かなり古く、使い込まれた感のある中古だったが、レバー操作のかっちりとした感覚はTourneyのそれとは比べ物にならないほど精緻に感じられた。
...というところで、ヨメ様から「晩飯とっとと食え」という命が下った。
え？まだ18時前…否、翌日も平和にチャリ整備を行えるようにここは黙って従ってダイニングに向かった。まあ実際、だいぶ根を詰めてやっていたので、良い休憩でもあった。
こうやって作業途中でも気にせず放っておけるという点で、やはり室内に持ち込んで正解だった。
晩飯でいつも通り晩酌したので、しばらく、家族が寝るまではチャリに触れず、寝てから、リヤのスプロケの交換と、ついでにハブのオーバーホールを実施した。
あっ、スプロケの重量測るの忘れてた。
1日目の作業はここまでにしておいた。
つづく。
小学6年生の長女はすぐに使い始めたが、次女は「まだママと寝たい」と言ってすぐには使わなかった。だが、長女が「すっごい寝心地いいよ」なんて繰り返しいうもんだから「じゃあ私も」とこの週末から使い始めて、とうとう寝室から子どもがいなくなった。寂しくも、成長の証だな、と思っていた。
そしたら、次女が二段ベッドで寝るのは週末限定なんだって。「だって、寝心地良すぎて、ついつい二度寝しちゃって学校行きたくなくなるから」。
...まあ、まだ甘えたいってことで理解しとくよ。
さて、愛車（チャリ）であるクロスバイク、プジョーPS02をアップグレードする妄想を続けた結果、とうとう実際のパーツの調達を始めてしまった俺。
ところがある時、大事なパーツについてまったく考えていなかったことに気づいた。
Peugeot PS02
(PentaxK-3, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/200sec, F4.5, ISO200)
●ケーブルどうするんだ問題
ケーブルである。
具体的には、前後のシフトケーブルおよび、前後のブレーキケーブルのことだ。シフトレバーとディレイラー、およびブレーキレバーとブレーキ機構とを繋ぎ、ライダーの操作を各機構へ伝える重要な役割を持つ。なのに、調べるのをすっかり忘れていた。ケーブルがなきゃ、なんとか走り出すことはできるかもしれないが、止まることさえできないよ。
シフトケーブル、ブレーキケーブルとも、インナーケーブルとアウターケーブルとで構成される。これはどんなチャリでも同じだ（そもそもシフトがないチャリはあるけど）。
インナーケーブルが、直接レバーと機構とを繋ぐワイヤー本体だ。
アウターケーブルは一見単なるビニールの被膜に見えるかもしれないが、実際にはアウターの中にも金属の線が幾重にも通っている。こうした構造でインナーの通り道を作ってインナーがスムースに動くようにしているのがアウターケーブルだ。
ネット拾い物の画像
幸いどちらのケーブルも、ロードとクロスバイクとで特段違いはないようだ。少なくともShimanoを使う限り、シフトはφ1.2mm、ブレーキはφ1.6mmの太さで同じ。
ただ、例によってヒエラルキーは存在する。Shimanoはこれを「Ultimate」「Advanced」「Select」などという区分けにしてるが、要は松竹梅だ。
Ultimate＝松→レースグレード
ポリマーコーティング
Advanced＝竹→スポーツグレード
シフトケーブルがオプティスリックコーティング
ブレーキケーブルはSIL-TECコーティング
Select＝梅→スタイリッシュ？グレード
ステンレスケーブル
さらにここに入らない無印としてスチールのケーブルがあるようだ。
で、このクラス分けの意味は何かというと、シフトの時の抵抗感のなさと、操作の正確性だ。
値段を見ると、シフトケーブルのセット（前後／インナーとアウター）で、松が3500円くらい、竹が1800円くらい、梅が1200円くらいだろうか。まーきれいに（あからさまに）並んでいるものだ。
俺はディレーラーにはUltegraグレードを選んだ。これは明確に松（Ultimate）グレードだ。だからポリマーコーティングのケーブルを使うべきなのだろう。
ところが、さまざまなレビューブログなどを読み漁ると、ポリマーコーティングは確かに装着直後は天国的に軽くて驚くが、1〜2ヶ月ほどでぼろぼろと剥がれてくるらしい。当然変化も激しく、こまめな調整が必要という。
また、新品で買ったTiagraグレードのブレーキレバーに「竹」のSIL-TECコーティングのケーブルが付属してきた。なので、シフトも竹でいいかという妥協が入った (^_^;。なし崩し的だが、まあ競技には出ないだろうから妥当だろう。
え？じゃあメインコンポにUltegraなんて高級グレード選ぶなよ？御意。
●部品は揃った。しかし。
こうして、着々と部品を買い進めた俺は、2019年の年末には必要と思われる部品を買い揃え終えた。
まず、以下が中古で買ったもの。価格は税込である。
・シフトレバー SL-4600（旧Tiagra） 4344円
・リアディレイラー RD-6700（旧Ultegraの10速） 7020円
・フロントディレイラー FD-6700（旧Ultegraの2速） 1500円
・クランク FC-6750（旧Ultegraの50-34、170mm） 13824円
・スプロケット CS-6700（旧Ultegraの10速11-28） 2838円
以下が新品で買ったものだ。
・シフトケーブル（オプティスリック） 2004円
・ボトムブラケット SM-BBR60 JIS68mm 1899円
・ブレーキレバー BL-4700（現行Tiagra） 3187円
・グリップ CP-HG864AD2 2656円
・ペダル Wellgo M-194 3799円
・チェーン CN-6701-10s 2709円
・ミッシングリンク CL559R 955円
・BBツール 2138円
購入したコンポや工具など。あ、グリップだけ先に付けちゃったのでここには含まれていない。
(PentaxK-3, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/100sec, F2.5, ISO100)
合計48873円である。むー、さすがに新品のPS02は買えないが、なかなかの金額である。
あとは交換作業をするだけだ。
だが…不安だ。
これまでPS02を整備してくる中で、一応割と多くのパーツの交換は経験してきた。まったく同じ部品同士でなら。だが、そのときにも素人ゆえの小さなトラブルはいろいろあったし、まして今度はお門違いな高級ロードコンポに交換するのだ。果たしてうまくいくのか。
ショップに任せる？いやいや。こーんなお門違いな換装、ショップが快く引き受けるか？それに【自分でやってこそ楽しい】んじゃないか。
そんな悶々とした想いを抱えながら、結局年を越してしまった。
そういうタイミングのことだ。
通っているジムに併設された本屋に何気なく寄ったところ、こんな本が目に止まった。
「ロードバイクを自分で組む」
な...に...？？
ロードバイクを自分で組む
パラパラと立ち読みしてみると、どうやらさまざまな年代のロードを、裸のフレーム状態からプロが組み立てる手順を、結構大きめのカラー写真で紹介してくれている。「ちょっと前のコンポーネント」なんて章もある。これはめちゃくちゃ参考になるぞっ！
というわけでこの本を喜び勇んで購入した。
…だが、まだ実行に踏み切れない。
なぜなら、チャリは俺にとっては通勤手段である。
互換性についてはかなり時間を割いて調べたが、何か見落としがあるかもしれない。もし不足や、互換性がないものがあったりしたら、新たに調達するには1週間からそれ以上はかかるだろう。その間チャリ通できないなんて苦痛すぎる。まして、作業中に何かやらかしてPS02のフレームをダメにしてしまったら？？
それに、今回の変更には丸2日程度見たほうが良いだろう。なかなかそういうまとまった時間をとるのも覚悟がいる。
●ステイホーム期間突入。そして。
そんなこんなでウジウジしている間に、世の中はコロナ騒動である。ステイホームである。フル在宅勤務スタートである。
ということは、通勤しなくなる。先述した「チャリ通に支障をきたすかも」という不安はなくなった。チャンスだ！
ところが、今度は重要なカロリー消費スポットだったジムまで休業してしまった。そのため在宅勤務後のエクササイズの一環としてチャリも貢献するようになった。
…と、グダグダと言い訳つけているけどさ。
要は単に踏ん切りがつかなかっただけなのだ。優柔不断と言ってもいい。あとは思い切りの問題だけだったと今では思う。
相変わらずうじうじしているうちに、今度は緊急事態宣言も解かれて、自粛緩和ムードになり、週1回ペースで出社しろ、という話になってきた頃だ。
それ以前から徐々に、漕ぐたびに異音がするようになっていた。「キシッキシッ」という音から始まり、だんだんと「ギッギッ」という濁点の混じる音に変わっていった。
最初はなかなか場所を特定できなかった。またBBなのか？それともクランクが何かを擦っているのか？しかしどうやら左のペダルのベアリングがヘタッて異音を発しているということがようやく分かった。
別に、ペダルだけを変えることもできた。だが、この時に俺の中でパチンとスイッチが入った。
「明日明後日の土日で全部やろう。今を逃したらいつになるか分かったものじゃない。」
●ついに実作業突入。その舞台はウォークインクローゼット。
翌週には6月となり、週1回の出勤が始まるという5月最後の週末だった。
俺は土曜午前恒例のスーパーへの買い出しを終えて昼食をとった後、昨年行ったリフォームで出来たウォークインクローゼットにPS02を持ち込んだ。タイヤを装着したままのPS02がぴったり収まった。いつもメンテナンスを行うときは、ホースで洗車をするため庭で行うのだが、さすがに今回の作業をずっと屋外でやるのは難しいと考えたからだ。雨が降るかもしれないし、日焼けや虫、はたまた部品に芝生が付着するなども考えられるので、多少狭くても室内にした。
WICにドックインしたPS02
(iPhone7, 1/13sec, F1.8, ISO100)
ムック「ロードバイクを自分で組む」を購入したことにより、一つの基準を持てた。作業は、基本的にこの本の順番で行うことにした。
ただ、当然ながらこの本は取り付け方法しか書いていない。順番は則りながらも、その前に、古い部品を外してから、そこに新しい部品を取り付け、次の箇所に取り掛かる、という流れで行こうと考えた。
まず、今回のアップデートのきっかけとなった、クランクおよびボトムブラケットの交換から取り掛かった。ビビりなので、まだチェーンは切らずに。クランク、BBおよびペダルの合計重量を比べてみたら、新たに装着するUltegraのセットは、取り外したTourney TXセットよりも、なんと700g近く軽かった。
左が古いTourney TX、右が新しいUltegra。これはクランクとペダルだけ。さらにBBが232g軽い
新旧のボトムブラケット。右の新しい方は単なる空洞だ。
本によると、クランクがBBに入りづらい場合が多いということだったが、幸いにしてまったく問題なくスーーーっと入っていった。ペダルを取り付けて回してみると、実に静かに精緻に回転する。思わずニヤッとしてしまった。
続いて、最初に「うっかり落札してしまった」フロントディレーラーに換装した。このとき、シフトケーブルを取り外したわけだが、さっさと捨ててはいけない。新しいシフトのアウターケーブルも同じような取り回しになるだろうから、長さをコピーするのが圧倒的に楽だからだ。
フロントディレーラーはさほど大きくない部品だが、これも新旧で80gの差があった。樹脂も多用していたTourneyと比べると、Ultegraは全体が金属製で、かつシンプルでスマートな造形だ。いかにもクラスが上だ。なんだかテンションがさらに上がる。
ここまできて、とうとう観念してチェーンを切り、リヤディレーラーを換装した。リヤディレーラーは130g軽かった。ショートケージを選んだこともあって、非常にコンパクトだ。だが、フレームへの取り付けねじはむしろUltegraの方が大きくごついものだった。必要なところにはしっかり強度を出しているようだ。
新旧・前後ディレーラー（手前が新）
(iPhone7, 1/9sec, F1.8, ISO100)
続いて、ブレーキおよびシフトのレバーの交換だ。ここで、シフトもブレーキもケーブルを全部外すことになる。くれぐれもさっさと片付けちゃいけない。
ここまでずっと新しいパーツの方が軽い、という例が続いてきたわけだが、今回はそうはいかない。競技向けに軽量化されたUltegraグレードはなくて、2つ下のTiagraグレードだというのもある。だが、取り外したTourneyのレバーはブレーキとシフトが一つのユニットに収められていた一方、Tiagraでは別々のユニットになっている。その分、重くなるのだ。左右それぞれで100gずつ重い。うーん、前後のディレイラーで軽量化した分はここで相殺されてしまった。
俺はこのTourney TXのシフターの、円状のデザインについては、実は気に入っていた。とてもチャーミングだと思っていたのだ。
ただ、新たに換装したTiagraグレードではシーケンシャルにケーブルを引っ張ってディレーラーを操作するのに対し、Tourneyはこの円状の部品が回転してケーブルを巻き取る方式だった。そのケーブルの根本部分が傷みやすく、BBと同じく、1年に1回は交換が必要だった。内部も、実にプラスチッキーでいかにも最廉価クラスではあった。
プラスチッキーなTourney TXシフトレバーの内部
(iPhone7, 1/120sec, F1.8, ISO40)
Tiagraはロードコンポとしてはお気軽お手頃クラスではあるが、Tourneyから見れば3ランクほど上になる。Ultegra2x10速との互換性のために、かなり古く、使い込まれた感のある中古だったが、レバー操作のかっちりとした感覚はTourneyのそれとは比べ物にならないほど精緻に感じられた。
...というところで、ヨメ様から「晩飯とっとと食え」という命が下った。
え？まだ18時前…否、翌日も平和にチャリ整備を行えるようにここは黙って従ってダイニングに向かった。まあ実際、だいぶ根を詰めてやっていたので、良い休憩でもあった。
こうやって作業途中でも気にせず放っておけるという点で、やはり室内に持ち込んで正解だった。
晩飯でいつも通り晩酌したので、しばらく、家族が寝るまではチャリに触れず、寝てから、リヤのスプロケの交換と、ついでにハブのオーバーホールを実施した。
あっ、スプロケの重量測るの忘れてた。
1日目の作業はここまでにしておいた。
つづく。
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