NOBILES Days
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週末のバンド練の後、久々に飲みに行った。
またぞろ、いつもの赤提灯へ、代々木駅から飲みやへと向かっていると、ふと、右手のビルが壊されて空き地になっている。昨今地上げされながらこの不景気で新しいビルが建たない場所が多いと聞くからな、と思っていると、その空き地の奥がほのかにライトアップされているではないか。
そんなわけで、そこは某タレントのプロデュースする期間限定のビアガーデンになっていたのだ。
駅の裏側を斜め上に見ながら、ビルの谷間にぽっかりと空いたその空間は、日も落ちてさすがに気温も若干下がって、ビールをかっくらうには絶好のシチュエーションだった。
食べ物も飲み物もセルフサービスだし、発泡スチロールの入れ物に入ったカレーや、ケバブ、ポテトなど、いわゆる屋台もの的な食事しかないのだが、それをみんなでつつくのがまたお祭り的で心地良かった。
...で、思わず飲み過ぎてしまったのだが。
ビアガーデンから見たドコモビル（iPhoneで撮った）
(iPhone 3GS, ProgramMode, 1/10sec, F2.8, ISO1016)
iPhone、ISOを1000まで上げるらしい。これは驚いた。画質はそれなりだが。
さて、まんまとK-7をゲットしてしまった俺だが、K-7とほぼ同時期にいくつかレンズ交換式ディジタルカメラ（敢えてこう言わねばならないのがめんどくせー）がデビューしている。
一つが、先日もここで取り上げたOlympusのE-P1、そしてもう一つ（一グループ）がSONYのα380,330,230である。
それなりに詳しい方ならご存知だろうが、SONYのディジタル一眼レフカメラ部門は撤退したKonicaMinoltaの事業を丸ごと引き継いだものだ。この一眼部門買収に際し、SONYは大阪のKonicaMinoltaの事業所をそのまま残し、SONY側の人間をむしろ送り込む形をとった。つまり、専門性の高い一眼レフ技術者の流出を最小限に食い止めようとしたのだ。そこには、ディジタル一眼レフを成功させるというSONYの本気が感じられたものだ。
だが、今回の新機種3つを見ると、SONYのディジタル一眼レフ開発の方向性はどうにも迷走しているように感じられる。
この3機種は先代のα350,300,200の後継機と位置づけられている。さらには、撮像素子などはそのまま、つまり基本性能はほとんど据え置きのままサイズダウンし、初心者にも優しいインターフェースを設けることで主に女性客の取り込みを狙ったのだという。
だがその新デザインとやらは、実物を触ってみるとただただ失望を感じるだけだった。
オーバル（楕円）状に拘ったという上面デザインだが、そのせいでグリップは上面とは段差がつけられ、後付け感の強い小さなものに変わってしまった。
実際握ってみると、グリップは微妙に指に引っかかる程度で接触面積が極めて小さい。結局、カメラは握るというよりも、「つまむ」という感覚でフォールディングしていることになる。「持ちやすさ」は「撮る喜び」や「ブレにくさ」にもつながる。それをデザインのために疎かにするなんて、もはやプロダクトのデザインとして失格だと俺は思う。
そして再三小欄でも指摘しているが、本来彼らにとって「売り」だったはずのライブビュー機能の中途半端さだ（α380,330のみ）。
他社の一般的なライブビューは撮像素子自体の出力画像が表示される。ライブビュー黎明期はもっと限定的だったが、今では実際に撮影される画像とほぼ同一のものが表示されるため、厳格なフレーミングや色味などを詰めて撮影するのに重宝されている。また、拡大機能を使うことでピントもしっかり追い込めるというものだ。この弊害は、ライブビュー中はミラーをアップするため、一眼レフならではの位相差検出式という高速のオートフォーカス（ピント合わせ）の手法が使えないということは先日も述べた通りだ。
SONYではこれを回避するために、スイッチの切り替えでミラーの光路をわずかにずらし、そこにライブビュー専用の撮像素子を設けてライブビューを実現した。
ミラーはそのまま使うので、この方式なら位相差式のオートフォーカスが使える。だから、まだ他社ではライブビューが一般的ではなく、できたとしてもオートフォーカスが使えないと言う機種が一般的だったα350/300の時代には大変意義のあることだったといってよいだろう。
だが、その後急激に他社の開発も進み、速度は遅くともコントラスト式のオートフォーカス搭載は当たり前になったし、わざわざ新規格を起ち上げて位相差式にも劣らぬコントラスト式オートフォーカスを実現したPanasonicDMC-G1/GH1の登場で、SONYの選択肢は完全に色を失った。
さらには、このミラーの光路ずらし＋専用素子という構成が、今になってむしろ足を引っ張る結果となっている。
まず、ミラーの光路を使用するため、視野率が100％でなく、ファインダーと同等の95％程度に留まるのだ。つまり、ライブビューで写っていた範囲よりも実際に撮影した画像の方が広い範囲が写ってしまう。ライブビューの美点であるはずの「厳格なフレーミング」ができないのだ。そのライブビュー用の素子の性能が高くないのでこれまたライブビューでの美点であるはずの「拡大表示」に対応せず、マニュアルフォーカスによる厳密なピント合わせにも対応できないし、素子の特性の違いにより、厳格な撮影イメージの追い込みができない。
更に言えば、位相差式オートフォーカスであるが故、コントラスト式で当たり前の、任意ポイントでのオートフォーカスができず、測距点のある9点に限られるのだ。これも三脚固定の撮影での利便性が低くなっている。
また、この機構を入れたがために、ライブビューに対応しないα230でももともと高くない(×0.83)光学ファインダーの倍率が、更に低くなってわずか×0.74となっている。
このように、強引な手法でライブビューを実現した結果、なんとも中途半端な仕様になってしまっているのが分かる。
さらに許せないのは、ライブビューの自由度を広げるために可動液晶モニタを搭載しているものの、これが上下方向にしかチルトしない点だ。つまり彼らの言う「フリースタイル」はカメラが横位置の時だけで、縦位置となるとこれまで通りの「フツーのカメラ」に成り下がるということだ。
そして決定的なのが、本撮像素子で受光しないライブビューであるが故、動画を撮影できない。ビデオカメラでシェアの高いSONYなのに、今他社で実装競争が花盛りとなっている一眼動画に対応できないでいるのだ。なんとも情けない。
「覗かずに撮る」「フリースタイル」。これがいわゆる入門者向けへのSONYなりの一眼レフのキーワードだと決めたのだろう。だが、フリースタイルの根拠になるはずだったライブビューの技術動向に決定的な見誤りがあった。
他の面でもSONYは遅れが目立ってきている。例えば撮像素子に付着したゴミを落とす機能だ。
α100で導入した手ぶれ補正ユニットを利用して撮像素子に物理ショックを与えてゴミを落とす手法は当時として斬新だったし、無いよりはある方が遥かにマシだった。そして同じボディ内手ぶれ補正を採用するPentaxも追従していた。
だが、その手法を採用していたPentaxK10Dユーザーであった俺から言わせれば、本当に「無いよりかはマシ」程度で、大事な撮影前のゴミチェックは必須だったし、とてもその手法だけではゴミは除去しきれなかった。
そしてPentaxもK-7から（業界最強といわれるOlympus同様の）超音波振動を利用したゴミ取り機能に進化した。CanonやNikonもほぼ同様な手法を導入していることから、SONYはこの分野で最も遅れていることになってしまった。
最上位のフルサイズ機α900は、視野率100％で見易さも絶賛されている素晴らしいファインダーと、フルサイズでは不可能といわれたボディ内手ぶれ補正を実現した本気がたくさん詰まったカメラだった。それだけに、エントリーモデルの迷走ぶりが痛々しい。どうにも、Minolta部隊とSONY部隊の融合がうまく進んでいないのではないかと思わせるものすらある。
加えて、今日中級機であるα700の生産終了がアナウンスされた。しかも、噂によればその後継機は開発されていないという話もある。より安価なフルサイズ機を出してくるならそれはそれで良いのだが、中途半端なエントリー機との間が開いていて気になるところだ。レンズラインナップもいわゆるディジタル専用といわれるAPSサイズ用レンズとフルサイズ用レンズの両輪がうまく回ってくれていないように感じられる。
まあ、今やそのSONYやOlympusにも抜かれ、シェア5位に落っこってしまったPentaxユーザーが心配するのもナンだが、もう少しSONYには頑張ってもらいたいのだ。どうにも今回の3モデルは心配になってくる。
またぞろ、いつもの赤提灯へ、代々木駅から飲みやへと向かっていると、ふと、右手のビルが壊されて空き地になっている。昨今地上げされながらこの不景気で新しいビルが建たない場所が多いと聞くからな、と思っていると、その空き地の奥がほのかにライトアップされているではないか。
そんなわけで、そこは某タレントのプロデュースする期間限定のビアガーデンになっていたのだ。
駅の裏側を斜め上に見ながら、ビルの谷間にぽっかりと空いたその空間は、日も落ちてさすがに気温も若干下がって、ビールをかっくらうには絶好のシチュエーションだった。
食べ物も飲み物もセルフサービスだし、発泡スチロールの入れ物に入ったカレーや、ケバブ、ポテトなど、いわゆる屋台もの的な食事しかないのだが、それをみんなでつつくのがまたお祭り的で心地良かった。
...で、思わず飲み過ぎてしまったのだが。
ビアガーデンから見たドコモビル（iPhoneで撮った）
(iPhone 3GS, ProgramMode, 1/10sec, F2.8, ISO1016)
iPhone、ISOを1000まで上げるらしい。これは驚いた。画質はそれなりだが。
さて、まんまとK-7をゲットしてしまった俺だが、K-7とほぼ同時期にいくつかレンズ交換式ディジタルカメラ（敢えてこう言わねばならないのがめんどくせー）がデビューしている。
一つが、先日もここで取り上げたOlympusのE-P1、そしてもう一つ（一グループ）がSONYのα380,330,230である。
それなりに詳しい方ならご存知だろうが、SONYのディジタル一眼レフカメラ部門は撤退したKonicaMinoltaの事業を丸ごと引き継いだものだ。この一眼部門買収に際し、SONYは大阪のKonicaMinoltaの事業所をそのまま残し、SONY側の人間をむしろ送り込む形をとった。つまり、専門性の高い一眼レフ技術者の流出を最小限に食い止めようとしたのだ。そこには、ディジタル一眼レフを成功させるというSONYの本気が感じられたものだ。
だが、今回の新機種3つを見ると、SONYのディジタル一眼レフ開発の方向性はどうにも迷走しているように感じられる。
この3機種は先代のα350,300,200の後継機と位置づけられている。さらには、撮像素子などはそのまま、つまり基本性能はほとんど据え置きのままサイズダウンし、初心者にも優しいインターフェースを設けることで主に女性客の取り込みを狙ったのだという。
だがその新デザインとやらは、実物を触ってみるとただただ失望を感じるだけだった。
オーバル（楕円）状に拘ったという上面デザインだが、そのせいでグリップは上面とは段差がつけられ、後付け感の強い小さなものに変わってしまった。
実際握ってみると、グリップは微妙に指に引っかかる程度で接触面積が極めて小さい。結局、カメラは握るというよりも、「つまむ」という感覚でフォールディングしていることになる。「持ちやすさ」は「撮る喜び」や「ブレにくさ」にもつながる。それをデザインのために疎かにするなんて、もはやプロダクトのデザインとして失格だと俺は思う。
そして再三小欄でも指摘しているが、本来彼らにとって「売り」だったはずのライブビュー機能の中途半端さだ（α380,330のみ）。
他社の一般的なライブビューは撮像素子自体の出力画像が表示される。ライブビュー黎明期はもっと限定的だったが、今では実際に撮影される画像とほぼ同一のものが表示されるため、厳格なフレーミングや色味などを詰めて撮影するのに重宝されている。また、拡大機能を使うことでピントもしっかり追い込めるというものだ。この弊害は、ライブビュー中はミラーをアップするため、一眼レフならではの位相差検出式という高速のオートフォーカス（ピント合わせ）の手法が使えないということは先日も述べた通りだ。
SONYではこれを回避するために、スイッチの切り替えでミラーの光路をわずかにずらし、そこにライブビュー専用の撮像素子を設けてライブビューを実現した。
ミラーはそのまま使うので、この方式なら位相差式のオートフォーカスが使える。だから、まだ他社ではライブビューが一般的ではなく、できたとしてもオートフォーカスが使えないと言う機種が一般的だったα350/300の時代には大変意義のあることだったといってよいだろう。
だが、その後急激に他社の開発も進み、速度は遅くともコントラスト式のオートフォーカス搭載は当たり前になったし、わざわざ新規格を起ち上げて位相差式にも劣らぬコントラスト式オートフォーカスを実現したPanasonicDMC-G1/GH1の登場で、SONYの選択肢は完全に色を失った。
さらには、このミラーの光路ずらし＋専用素子という構成が、今になってむしろ足を引っ張る結果となっている。
まず、ミラーの光路を使用するため、視野率が100％でなく、ファインダーと同等の95％程度に留まるのだ。つまり、ライブビューで写っていた範囲よりも実際に撮影した画像の方が広い範囲が写ってしまう。ライブビューの美点であるはずの「厳格なフレーミング」ができないのだ。そのライブビュー用の素子の性能が高くないのでこれまたライブビューでの美点であるはずの「拡大表示」に対応せず、マニュアルフォーカスによる厳密なピント合わせにも対応できないし、素子の特性の違いにより、厳格な撮影イメージの追い込みができない。
更に言えば、位相差式オートフォーカスであるが故、コントラスト式で当たり前の、任意ポイントでのオートフォーカスができず、測距点のある9点に限られるのだ。これも三脚固定の撮影での利便性が低くなっている。
また、この機構を入れたがために、ライブビューに対応しないα230でももともと高くない(×0.83)光学ファインダーの倍率が、更に低くなってわずか×0.74となっている。
このように、強引な手法でライブビューを実現した結果、なんとも中途半端な仕様になってしまっているのが分かる。
さらに許せないのは、ライブビューの自由度を広げるために可動液晶モニタを搭載しているものの、これが上下方向にしかチルトしない点だ。つまり彼らの言う「フリースタイル」はカメラが横位置の時だけで、縦位置となるとこれまで通りの「フツーのカメラ」に成り下がるということだ。
そして決定的なのが、本撮像素子で受光しないライブビューであるが故、動画を撮影できない。ビデオカメラでシェアの高いSONYなのに、今他社で実装競争が花盛りとなっている一眼動画に対応できないでいるのだ。なんとも情けない。
「覗かずに撮る」「フリースタイル」。これがいわゆる入門者向けへのSONYなりの一眼レフのキーワードだと決めたのだろう。だが、フリースタイルの根拠になるはずだったライブビューの技術動向に決定的な見誤りがあった。
他の面でもSONYは遅れが目立ってきている。例えば撮像素子に付着したゴミを落とす機能だ。
α100で導入した手ぶれ補正ユニットを利用して撮像素子に物理ショックを与えてゴミを落とす手法は当時として斬新だったし、無いよりはある方が遥かにマシだった。そして同じボディ内手ぶれ補正を採用するPentaxも追従していた。
だが、その手法を採用していたPentaxK10Dユーザーであった俺から言わせれば、本当に「無いよりかはマシ」程度で、大事な撮影前のゴミチェックは必須だったし、とてもその手法だけではゴミは除去しきれなかった。
そしてPentaxもK-7から（業界最強といわれるOlympus同様の）超音波振動を利用したゴミ取り機能に進化した。CanonやNikonもほぼ同様な手法を導入していることから、SONYはこの分野で最も遅れていることになってしまった。
最上位のフルサイズ機α900は、視野率100％で見易さも絶賛されている素晴らしいファインダーと、フルサイズでは不可能といわれたボディ内手ぶれ補正を実現した本気がたくさん詰まったカメラだった。それだけに、エントリーモデルの迷走ぶりが痛々しい。どうにも、Minolta部隊とSONY部隊の融合がうまく進んでいないのではないかと思わせるものすらある。
加えて、今日中級機であるα700の生産終了がアナウンスされた。しかも、噂によればその後継機は開発されていないという話もある。より安価なフルサイズ機を出してくるならそれはそれで良いのだが、中途半端なエントリー機との間が開いていて気になるところだ。レンズラインナップもいわゆるディジタル専用といわれるAPSサイズ用レンズとフルサイズ用レンズの両輪がうまく回ってくれていないように感じられる。
まあ、今やそのSONYやOlympusにも抜かれ、シェア5位に落っこってしまったPentaxユーザーが心配するのもナンだが、もう少しSONYには頑張ってもらいたいのだ。どうにも今回の3モデルは心配になってくる。
nobilesの投稿(23:35:00-2009-07-14) -
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