NOBILES Days
Jump to navigationCatastrophe Vol.3
例の人が、2ヶ月ぶりに俺たちのオフィスにやってきた。ニッカニカと満面の笑みをたたえ、「おう、久しぶり！」ってなトーンで。
...いやー、天然ちゃんってホント、ズルいわー。しかも、無精風のヒゲに加え、以前よりも濃いめの香水とフォーマルめの服装になり、胡散臭さを倍増させていた。
どうやら、移った先の事業所が計画停電で仕事にならないので、部で2台しかない共用ノートPCをしばらく持って行き、停電中の3時間だけ使うらしい。
でもさー、アンタもともとろくな仕事してないじゃーん。共用ノートを独り占めするほど必要なのか？？
だってさ...すごいんだぜ？
彼は早速、借りた共用PCを起動し、向こうの事業所のPCにこちらからリモートでつなごうとして四苦八苦していた。そこで俺は冗談のつもりで言ったんだよ。
俺「向こう、まさか計画停電中だったりしてー、えへへ (^_^;。」
彼「あ...。そっか。」
...ウ、ウソだろ？？
っていうか、わざわざリモートデスクトップをこっちで試したってことは、まさか、「停電の間」デスクトップPCにノートPCでログインして仕事するつもりだったのか？？...いや、まさかね、まさか...ハハハハ。怖くて確認できなかったけど。
ま、ネタには困らんけどさ。
泣き濡れて
(PentaxK-7, PentaxDA*60-250F4(250.0mm), 1/200sec, F4.0, ISO800)
庭の梅が雨に濡れて綺麗だったので、わざわざカメラを出して撮影した。
友人maruがFA77mmLimitedを買ったというので、俺も77mmで迎え撃とうとしたが (^_^;、雨が相当強かったので防滴仕様なDA*を引っ張り出した。
さて、フェードアウトしそうだった震災当日ドキュメンタリーだが、思い出したように続きを書いてみよう。
屋外の広場への避難が解除され、ようやくオフィスに戻っても、全然落ちつかない。仕事をするにも手に付かないし、特にどうしろ、という指示が出るわけでもない。
とりあえず、電車は全滅のようだ。そして、この近辺の震度が5弱であることも分かった（むしろ、あれで5弱だったのかと慄いた）。
一方、日中は無人となる自宅は5強らしい。オフィスよりも強かったということだ。保育園にいる娘は怪我してないか。家財などは大丈夫か。かなり不安になる。
嫁さんは、一旦駅まで行ったものの、電車が止まっていたので会社に戻ったようだ。だから、ほとんど通じない携帯に頼らず、PCのメールで連絡できた。
それから30分ほど経った頃だったろうか。部長やディレクターが帰り支度を始めた。
声の大きいディレクターがみんなに向かって声を張り上げた。
「○○部は今日はこの時間をもって解散とします。××方面は、これから歩いて帰ります。同じ方向の方、いらっしゃったら一緒に行動しましょう。5分くらいしたら出発します。」
彼らは、半年ほど前に移転するまでのに近い場所に住んでいたが、そこまで歩いて帰ると言う。距離にすれば20kmはあるはずだ。
俺はまるで反対方向だし、調べてみたら距離は60kmを超えていた。いくら俺が早足だからといって、最低でも10時間以上かかる。
しかも、途中には大きな川が何本もある。万一橋でもダメになっていればニッチもサッチもいかなくなるだろう。これはノーチャンスだな。
部長の一団10人近くが帰宅していった。
また、これをキッカケにしたのか、比較的今のオフィスに近く、歩いて帰れる人達も、続々と帰り始めた。
それより後に社内放送で「帰宅できる人は帰宅してください」と指示が下りた。どうやら事業所全体よりもうちの部署の判断のほうが早かったようだ。
だんだん不安になってくる。自分だけ会社に取り残されるんじゃないか？
すると、メールが来て、嫁さんの会社でも帰宅するように指示が出たらしい。しかし、多少は家に近いとは言えマラソン並みの距離だし、まして身重な嫁さんをして歩けるわけはなかった。幸い、帰る方向が同じ同期の友達がいるらしいので、そこは安心材料だ。
すると、俺の隣に座るグループリーダーと、その帰る方向が同じ女性社員が話した後、身支度を始めたので、「いよいよあんたらもか！」と思いきや、夜に備えて買い出しに行くと言う。
それは重要だと思い、一緒に行くことにした。結局5人ほどの集団になり、社屋を出た。万一大きな巨大余震などで非常事態になってもいいように、荷物はフル装備だ。
コンビニを目指して歩いて行こうとすると、通りを渡ったところにある会社の売店が開いていた！なんてありがたい！
さすがに調理パンの類はなかったが、カップ麺、菓子パン類、ペットの水などが普通にあった。こんな事態でどんなものが必要かさっぱり分からなかったが、とりあえず、上記のものを一つずつ、持ち運びも考慮して買った。
また集団になって社屋に戻る。
そのわずかな道すがら、もう日は傾いて夕刻になろうとしている。こんな穏やかな空と、現実に起きた事態とのギャップがあまりにも大きすぎて、またフワフワしたような、不思議な感覚に陥った。
席に戻り、とりあえず小腹を満たすべく菓子を食い始めると、PCメールが来ていた。嫁さんからかと思いきや、地震前に質問を送っていたお客さんからのメールだった。
お客さん（まあ、親会社だが）の事業所は、俺らの事業所よりもはるかに震源に近く、被害も大きいはずだ。事実、メールには「壁にヒビが入った」と書いてあった。しかし、そんな中でもしっかり仕事の回答として資料を送ってくれてしまったのだ。あー、仕事しなきゃならんじゃないか。
いや、それは気を紛らすにはちょうど良かった。ふわふわした状態のままだったが、外注業者に渡すために、データを整理しはじめた。
その頃になると、何人かの社員が、携帯のワンセグをつけて流し始めていた。そして、そこには津波や火災の様子が映し出されていた。仕事をしながらも、見ている人が「うわ！」と声を漏らすたびに見に行き、事態の深刻さをまた新たにするのであった。
これは阪神大震災どころじゃないかもしれない...。ますます、背中に寒気を感じていった。
つづく。
...いやー、天然ちゃんってホント、ズルいわー。しかも、無精風のヒゲに加え、以前よりも濃いめの香水とフォーマルめの服装になり、胡散臭さを倍増させていた。
どうやら、移った先の事業所が計画停電で仕事にならないので、部で2台しかない共用ノートPCをしばらく持って行き、停電中の3時間だけ使うらしい。
でもさー、アンタもともとろくな仕事してないじゃーん。共用ノートを独り占めするほど必要なのか？？
だってさ...すごいんだぜ？
彼は早速、借りた共用PCを起動し、向こうの事業所のPCにこちらからリモートでつなごうとして四苦八苦していた。そこで俺は冗談のつもりで言ったんだよ。
俺「向こう、まさか計画停電中だったりしてー、えへへ (^_^;。」
彼「あ...。そっか。」
...ウ、ウソだろ？？
っていうか、わざわざリモートデスクトップをこっちで試したってことは、まさか、「停電の間」デスクトップPCにノートPCでログインして仕事するつもりだったのか？？...いや、まさかね、まさか...ハハハハ。怖くて確認できなかったけど。
ま、ネタには困らんけどさ。
泣き濡れて
(PentaxK-7, PentaxDA*60-250F4(250.0mm), 1/200sec, F4.0, ISO800)
庭の梅が雨に濡れて綺麗だったので、わざわざカメラを出して撮影した。
友人maruがFA77mmLimitedを買ったというので、俺も77mmで迎え撃とうとしたが (^_^;、雨が相当強かったので防滴仕様なDA*を引っ張り出した。
さて、フェードアウトしそうだった震災当日ドキュメンタリーだが、思い出したように続きを書いてみよう。
屋外の広場への避難が解除され、ようやくオフィスに戻っても、全然落ちつかない。仕事をするにも手に付かないし、特にどうしろ、という指示が出るわけでもない。
とりあえず、電車は全滅のようだ。そして、この近辺の震度が5弱であることも分かった（むしろ、あれで5弱だったのかと慄いた）。
一方、日中は無人となる自宅は5強らしい。オフィスよりも強かったということだ。保育園にいる娘は怪我してないか。家財などは大丈夫か。かなり不安になる。
嫁さんは、一旦駅まで行ったものの、電車が止まっていたので会社に戻ったようだ。だから、ほとんど通じない携帯に頼らず、PCのメールで連絡できた。
それから30分ほど経った頃だったろうか。部長やディレクターが帰り支度を始めた。
声の大きいディレクターがみんなに向かって声を張り上げた。
「○○部は今日はこの時間をもって解散とします。××方面は、これから歩いて帰ります。同じ方向の方、いらっしゃったら一緒に行動しましょう。5分くらいしたら出発します。」
彼らは、半年ほど前に移転するまでのに近い場所に住んでいたが、そこまで歩いて帰ると言う。距離にすれば20kmはあるはずだ。
俺はまるで反対方向だし、調べてみたら距離は60kmを超えていた。いくら俺が早足だからといって、最低でも10時間以上かかる。
しかも、途中には大きな川が何本もある。万一橋でもダメになっていればニッチもサッチもいかなくなるだろう。これはノーチャンスだな。
部長の一団10人近くが帰宅していった。
また、これをキッカケにしたのか、比較的今のオフィスに近く、歩いて帰れる人達も、続々と帰り始めた。
それより後に社内放送で「帰宅できる人は帰宅してください」と指示が下りた。どうやら事業所全体よりもうちの部署の判断のほうが早かったようだ。
だんだん不安になってくる。自分だけ会社に取り残されるんじゃないか？
すると、メールが来て、嫁さんの会社でも帰宅するように指示が出たらしい。しかし、多少は家に近いとは言えマラソン並みの距離だし、まして身重な嫁さんをして歩けるわけはなかった。幸い、帰る方向が同じ同期の友達がいるらしいので、そこは安心材料だ。
すると、俺の隣に座るグループリーダーと、その帰る方向が同じ女性社員が話した後、身支度を始めたので、「いよいよあんたらもか！」と思いきや、夜に備えて買い出しに行くと言う。
それは重要だと思い、一緒に行くことにした。結局5人ほどの集団になり、社屋を出た。万一大きな巨大余震などで非常事態になってもいいように、荷物はフル装備だ。
コンビニを目指して歩いて行こうとすると、通りを渡ったところにある会社の売店が開いていた！なんてありがたい！
さすがに調理パンの類はなかったが、カップ麺、菓子パン類、ペットの水などが普通にあった。こんな事態でどんなものが必要かさっぱり分からなかったが、とりあえず、上記のものを一つずつ、持ち運びも考慮して買った。
また集団になって社屋に戻る。
そのわずかな道すがら、もう日は傾いて夕刻になろうとしている。こんな穏やかな空と、現実に起きた事態とのギャップがあまりにも大きすぎて、またフワフワしたような、不思議な感覚に陥った。
席に戻り、とりあえず小腹を満たすべく菓子を食い始めると、PCメールが来ていた。嫁さんからかと思いきや、地震前に質問を送っていたお客さんからのメールだった。
お客さん（まあ、親会社だが）の事業所は、俺らの事業所よりもはるかに震源に近く、被害も大きいはずだ。事実、メールには「壁にヒビが入った」と書いてあった。しかし、そんな中でもしっかり仕事の回答として資料を送ってくれてしまったのだ。あー、仕事しなきゃならんじゃないか。
いや、それは気を紛らすにはちょうど良かった。ふわふわした状態のままだったが、外注業者に渡すために、データを整理しはじめた。
その頃になると、何人かの社員が、携帯のワンセグをつけて流し始めていた。そして、そこには津波や火災の様子が映し出されていた。仕事をしながらも、見ている人が「うわ！」と声を漏らすたびに見に行き、事態の深刻さをまた新たにするのであった。
これは阪神大震災どころじゃないかもしれない...。ますます、背中に寒気を感じていった。
つづく。
nobilesの投稿(23:49:24-2011-03-22) -
カテゴリ: Main
コメント
end wrote:
2011-03-23 12:15:00
nobiles wrote:
ほんと、あの日はすごかったね。
いや、俺なんか座っていってるから全然楽な方だと思うけど、お宅はホントよくやってると思うわ。
（今回の件はともかく）慣れた？
いや、俺なんか座っていってるから全然楽な方だと思うけど、お宅はホントよくやってると思うわ。
（今回の件はともかく）慣れた？
2011-03-23 19:41:11
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俺も60キロくらい。
中間地点の実家まで歩いて帰りました。
（途中でちょっと電車に乗れたけど）
30キロくらいまでの人は結構歩いてたね。