NOBILES Days
Jump to navigationWhich Camera Should We Buy Now? Part.5
週末、友人の結婚パーティへ行った。
彼とは、小学1年の入学時に共に集団登校した時からの友人だ。一番付き合いが長いことになるね。
高校以降は頻繁に会っていたわけではないが、それでも鈴鹿のF-1に一緒に行ったり、同窓会を開いたりと度々会っていた。
昔っから本当に「ドジ」を絵に描いたような奴で、小学校時代はポカをするたびにみんなで「まったくもー、今ちんは〜」と3部合唱が行われるのが常だったほどだ。妻夫木よりよっぽどのび太が似合う。
そんな「今ちん」だが、奥さんになった人に、何度はぐらかされてもアタックして交際を開始し、長いこと保留されてもプロポーズを実らせて結婚に至ったという。そんなに粘り強い奴だったんだな、と感慨深くもあった。が、結婚に際して書いたという「幸せにします」的な誓約書を落としてガラスを割っちゃうあたり、「さすが今ちん！」というシーンもあった (^_^;。
会の最後でも、一人一人丁寧に見送っていた夫妻に人柄を感じた。いい家庭を...お互いに、築いていこう。
Welcome Board
(PentaxK-7, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/40sec, F1.8, ISO1600)
さて、ちょっと間空いちゃったけど、「今、どのカメラを買うべきか」。いやね、ちょっと頑張って執筆してたんでね。
そんなわけで、前回レビューした、「ディジタル一眼レフカテゴリーに入ってるけど実はミラーレスに近いビミョーなヤツ」SONY αシリーズに続き、「ホントのディジタル一眼レフ」の話に移ろう。
各社のレビューの前に、ディジタル一眼レフ全体についてちょいと語らせていただこう。
一眼レフの特徴を改めて述べれば、レンズを通った光を、ミラーを介して見ることのできる光学ファインダーを搭載していることだ。
このミラーこそ「レフレックス」であり、一眼レフの名の由来である。だから、光学ファインダーがないカメラはミラーがないので「ミラーレス」と呼ばれているわけだ（なんでレフレスにしなかったんだろう？違いが分かりやすいのに）。世間的にディジタル一眼レフと認識されているSONYのαシリーズも、実は光学ファインダーがないので、実態はミラーレスに近いと述べた。
でも、その点で言えばコンパクトディジタルカメラも全てミラーレスである。まあそこは、世間的に言われる「ミラーレス」という言葉には「レンズ交換式」という文字が隠れているものとして穏当に扱うのが大人の嗜みというものだろう。蛇足ながら、レンズの光路が一系統という意味ではコンパクトカメラもミラーレスも全て「一眼」だ。
では、せっかくなのでここから、ディジタル一眼レフカメラの仕組みを解説しつつ、高いカメラは一体何が凄いのかということを併せて述べたい。
単純に画素数が多いほど画質がいいなんて思っている人は未だに多いが、一眼レフの性能において画素数は既にほとんど問題ではない。1000画素あればA4フルサイズ印刷に十分、L版はいわずもがなという解像力があるからだ。ディジタル一眼レフのコストは、もっと他の部分が握っている。
一眼レフカメラの特徴であるメインミラーは、フィルムにあたる撮像素子の前に置かれ、光を上に反射し、ファインダーへと導く。これで撮影者はレンズを通した風景を見ることができる。撮影の瞬間にこのミラーが跳ね上がり光は撮像素子に導かれ、電気信号に変換される。この瞬間ファインダーはブラックアウトする。シャッターを切り終わると、またミラーが戻って視界も蘇る。
ミラーは、撮像素子より大きいサイズになる。これを高速駆動させるのはそれなりにパワーがいる。
それに、シャッターのタイミングでミラーが跳ね上がる時と、その後元の位置にミラーが戻る時、このどちらにおいてもそれなりのショックが発生する。多くの人が一眼レフのシャッター音だと思っている音の半分くらいはこのミラーの駆動音だ。このショックを最小限に留めて手ぶれの原因とさせないように吸収する必要がある。
さらに連写においては、ミラーの駆動はますます大変だ。後述するAFやAEといった、自動撮影サポート機能のためのセンサーは、シャッターのタイミングでミラーが上がっている間は動作しない。また、ミラーが戻っても振動を続けていてはセンサーも正しく動作しない。
センサーだけでなく、撮影者の視界も同様だ。シャッターを開ける時間に対してファインダーのブラックアウトが長ければ、フレーミングがおぼつかなくなる。
これらに影響を与えないためには、正確に、静粛に、そして限りなく速くミラーを駆動させる必要がある。一眼レフの高級機種になるほど、ミラー駆動の精緻さは飛躍的に上がる。
例えば、入門機では一つのモーターで行うシャッター駆動とミラー駆動に、別のモーターが使ってあったり、衝撃吸収に高級な素材を使っている。
だから、入門機ではバタバタした下品な音がするが、高級機はシャクシャクと軽い音で、ショックも小さい。
よく雑誌などに掲載された新しいカメラのレビューなどでカメラマンが「ミラーのショックが大きいのはマイナス」なんて文句を言っている。その指摘自体は正しい。
しかし、そんな奴に限っていざミラーショックが軽い機種については「もう少しミラーショックが大きい方が、撮ってるという実感があっていい」などと言ってみたりする。道楽としてのカメラでなく、「綺麗な写真を撮りたい、決定的瞬間を収めたい」という用途のカメラにおいてミラーのショックは百害あって一利もない。妄言も甚だしいと思う。
閑話休題。
さて、一眼レフのメインミラー自体にはある程度透過性がある。メインのミラーを透過した光は、背後にあるもう一つの小さいミラーによって下に折り返され、位相差AFセンサーに導かれる。
AFセンサーも、カメラのクラスによって大きく差が出る部分だ。
廉価版のカメラのAFセンサーはAF測距ポイントが数ポイントしかなく、性能も低いので速度も精度も悪い。
しかし、プロ用ともなると数十の測距ポイントが撮影範囲全体に散りばめられている。これらの絨毯的AFセンサーと他のセンサーとの連携で動体を追従させることも可能になっている。もちろん速度も速い。連写でミラーが上がっている間は測距ができない分、ミラーが戻ってすぐに測距に復帰するスピードが与えられているのだ。
一方メインミラーが反射した光はペンタプリズムまたはペンタミラー（カメラの上部にある特徴的な三角形の下に収められている）によって、接眼部つまりファインダーへと導かれる。
ファインダーも価格差によって大きく違うポイントだ。明るくて、広くて、ピントの山が掴みやすいファインダーだと、撮影はとても快適だ。今一眼レフが欲しいなら、是非ファインダーの見え方を店頭などで比べてみて欲しい（ミラーレスの電子ファインダー含めて）。
一眼レフの廉価な入門機ではペンタダハミラーが搭載されるが、中級機以上では高価なペンタプリズムが用いられる。プリズムを使うと、ファインダー像が大きくて明るいものになる。ミラーだと光学的な効率が低い分ファインダー像の周囲の黒い部分が大きく、遠くて暗い印象になる。
また、廉価機種では周囲が切られて、実際に撮影できる範囲より若干狭い範囲しか見れないことになる。つまり、ギリギリ写らない範囲にいると思った他の観光客が写ってしまったりする。これを視野率（が低い）と言う。安い機種で大体95%といったところだろう。
これが、撮影からプリントまで時間がかかるフィルムの時代ならまだ目立たなかった。しかし、ディジタルになって、撮影直後に画像を確認できるようになり、写る範囲が異なるという違和感が大きくなってしまった。
だから実は最近中級機で、以前はプロ機に限られていた100%ファインダーの搭載が進んでいる。厳密な視野率100%は調整が難しく、大変なコストがかかる。恐らく各社、調整軸を減らしたり、なんらか手順を簡略化するなりしてるはずだが、その弊害で、視野率100%を謳いながら実測すると97%程度に留まるものが多い。以前述べたように技術的にそこをブレイクスルーしてほぼ全ての個体で100%を達成したのが、PentaxのK-7だ。
ただ、撮像素子自体の捉えた映像を表示しているミラーレスやコンパクトディジタルカメラは、原理的に全て厳密な視野率100%である。読み出し速度が遅かった一昔前は例外も多かったけどね。
さてさて、このペンタ部には測光センサーが搭載されていて、撮影範囲の明るさを測定する。その結果をもとに、絞り、シャッタースピード、感度の組み合わせ...つまり露出を決定する。また、ここで得られた色情報をもとに色合い、つまりホワイトバランスも決定される。あ、もちろん、オート（AE）での話ね。
これも高級機の方が精度の高い素子を使っている。だから、写真の明るさに関する失敗が初級機よりもずっと少ない。なぜなら、プロのスポーツカメラマンはシャッターチャンスが命であって、露出などはカメラのオート任せにしたいからだ。
初心者の中には、高いカメラは扱うのが難しいから初級機でいい、と言う人がいる。だがそれは違う。高級機ほど、オートの精度が高く、なにも考えずに撮って綺麗な写真を得られるのだ。
とっつきづらく感じるのは、多分ボタンやダイヤルなどが多いせいだろうが、それも、オート状態から自分なりに味付けをしたい時に各種の設定を素早く切り替えられるようよく考えられた操作系になっているにすぎない。
サイズや値段を度外視して、一番撮影が楽なカメラは、プロ用のカメラだ。
このように一眼レフでは、レンズを通った光を巧みに振り分け、様々なセンサーで撮影に必要な情報を得て、撮影者が「シャッターボタン押すだけ」でいい写真を撮れるようアシストしてくれている。
では、コンパクトディジタルカメラやミラーレス一眼カメラではこれらのセンサーはどうなっているのか。
ない。
必要ないのである。
なぜなら、コンパクトディジタルカメラやミラーレスでは、基本的にはAFもAEも全て撮像素子本体で行うからだ。
一眼レフでは、撮影者にレンズを通った光を見せるために、撮像素子に光が行かない。だからこんなに余分なセンサーを付けて補わざるをえなかった。
これは完全に、光を受けてもそれを焼き付ける機能しかなかったフィルム時代の遺産でしかない。フィルムにとって変わった撮像素子は本来、測光も、フォーカシングも行えるのだから、ディジタル一眼レフは極めて冗長度の高い設計になっていると言わざるを得ない。
だから、ミラーレスやコンパクトでは一気に部品が減って、コストもサイズも抑えることができる。
そもそも、AEにしろAFにしろ、ミラーで引き回して測定するより、実際に撮影を行う撮像面で行う方が本来は精度が良いはずだ。これらを考えると、将来的にはカメラの主流がミラーレスタイプになることに疑いの余地はない。
光路を高度にコントロールする必要のある一眼レフの仕組みには、数々の光学的なノウハウが詰まっていて、日本のカメラメーカーの独壇場だった。
それが、センサーが撮像素子一つで、後はソフトウェアの勝負という形になれば、もはや家電である。液晶パネルメーカーが大量に量産する安価で品質の良いパネルさえ調達してくれば、後は映像エンジンのソフトと外枠のハードだけというテレビの構図に近い。一眼レフと比べても、クラス間で差をつけにくいのだ。
まあカメラの場合はレンズという要の光学部品が残っているが、今やコンピューター上のシミュレーション上で一定水準以上の「そこそこ写る」レンズなど苦労なく作れる。
ミラーレスはディジタル時代を迎えた頃からのカメラメーカー達の悲願でもあるが、彼ら自身の牙城が崩壊する危険性も孕んだ諸刃の剣なのだ。
だいぶ熱弁したが、現状では撮像素子の読み出し速度や処理エンジンの能力の限界があるので、一眼レフカメラのように専用センサーを持っている方がスピーディーに撮影ができる。快適でスピーディな撮影という面では、まああと数年程度ならディジタル一眼レフの優位性は残るのではないかと思う。...思うんだけど、最近のミラーレスの進化がヤバいので早まるかもしれない。
大分脱線したけど、次回は各社の一眼レフのレビューに入ろう。
つづく。
彼とは、小学1年の入学時に共に集団登校した時からの友人だ。一番付き合いが長いことになるね。
高校以降は頻繁に会っていたわけではないが、それでも鈴鹿のF-1に一緒に行ったり、同窓会を開いたりと度々会っていた。
昔っから本当に「ドジ」を絵に描いたような奴で、小学校時代はポカをするたびにみんなで「まったくもー、今ちんは〜」と3部合唱が行われるのが常だったほどだ。妻夫木よりよっぽどのび太が似合う。
そんな「今ちん」だが、奥さんになった人に、何度はぐらかされてもアタックして交際を開始し、長いこと保留されてもプロポーズを実らせて結婚に至ったという。そんなに粘り強い奴だったんだな、と感慨深くもあった。が、結婚に際して書いたという「幸せにします」的な誓約書を落としてガラスを割っちゃうあたり、「さすが今ちん！」というシーンもあった (^_^;。
会の最後でも、一人一人丁寧に見送っていた夫妻に人柄を感じた。いい家庭を...お互いに、築いていこう。
Welcome Board
(PentaxK-7, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/40sec, F1.8, ISO1600)
さて、ちょっと間空いちゃったけど、「今、どのカメラを買うべきか」。いやね、ちょっと頑張って執筆してたんでね。
そんなわけで、前回レビューした、「ディジタル一眼レフカテゴリーに入ってるけど実はミラーレスに近いビミョーなヤツ」SONY αシリーズに続き、「ホントのディジタル一眼レフ」の話に移ろう。
各社のレビューの前に、ディジタル一眼レフ全体についてちょいと語らせていただこう。
一眼レフの特徴を改めて述べれば、レンズを通った光を、ミラーを介して見ることのできる光学ファインダーを搭載していることだ。
このミラーこそ「レフレックス」であり、一眼レフの名の由来である。だから、光学ファインダーがないカメラはミラーがないので「ミラーレス」と呼ばれているわけだ（なんでレフレスにしなかったんだろう？違いが分かりやすいのに）。世間的にディジタル一眼レフと認識されているSONYのαシリーズも、実は光学ファインダーがないので、実態はミラーレスに近いと述べた。
でも、その点で言えばコンパクトディジタルカメラも全てミラーレスである。まあそこは、世間的に言われる「ミラーレス」という言葉には「レンズ交換式」という文字が隠れているものとして穏当に扱うのが大人の嗜みというものだろう。蛇足ながら、レンズの光路が一系統という意味ではコンパクトカメラもミラーレスも全て「一眼」だ。
では、せっかくなのでここから、ディジタル一眼レフカメラの仕組みを解説しつつ、高いカメラは一体何が凄いのかということを併せて述べたい。
単純に画素数が多いほど画質がいいなんて思っている人は未だに多いが、一眼レフの性能において画素数は既にほとんど問題ではない。1000画素あればA4フルサイズ印刷に十分、L版はいわずもがなという解像力があるからだ。ディジタル一眼レフのコストは、もっと他の部分が握っている。
一眼レフカメラの特徴であるメインミラーは、フィルムにあたる撮像素子の前に置かれ、光を上に反射し、ファインダーへと導く。これで撮影者はレンズを通した風景を見ることができる。撮影の瞬間にこのミラーが跳ね上がり光は撮像素子に導かれ、電気信号に変換される。この瞬間ファインダーはブラックアウトする。シャッターを切り終わると、またミラーが戻って視界も蘇る。
ミラーは、撮像素子より大きいサイズになる。これを高速駆動させるのはそれなりにパワーがいる。
それに、シャッターのタイミングでミラーが跳ね上がる時と、その後元の位置にミラーが戻る時、このどちらにおいてもそれなりのショックが発生する。多くの人が一眼レフのシャッター音だと思っている音の半分くらいはこのミラーの駆動音だ。このショックを最小限に留めて手ぶれの原因とさせないように吸収する必要がある。
さらに連写においては、ミラーの駆動はますます大変だ。後述するAFやAEといった、自動撮影サポート機能のためのセンサーは、シャッターのタイミングでミラーが上がっている間は動作しない。また、ミラーが戻っても振動を続けていてはセンサーも正しく動作しない。
センサーだけでなく、撮影者の視界も同様だ。シャッターを開ける時間に対してファインダーのブラックアウトが長ければ、フレーミングがおぼつかなくなる。
これらに影響を与えないためには、正確に、静粛に、そして限りなく速くミラーを駆動させる必要がある。一眼レフの高級機種になるほど、ミラー駆動の精緻さは飛躍的に上がる。
例えば、入門機では一つのモーターで行うシャッター駆動とミラー駆動に、別のモーターが使ってあったり、衝撃吸収に高級な素材を使っている。
だから、入門機ではバタバタした下品な音がするが、高級機はシャクシャクと軽い音で、ショックも小さい。
よく雑誌などに掲載された新しいカメラのレビューなどでカメラマンが「ミラーのショックが大きいのはマイナス」なんて文句を言っている。その指摘自体は正しい。
しかし、そんな奴に限っていざミラーショックが軽い機種については「もう少しミラーショックが大きい方が、撮ってるという実感があっていい」などと言ってみたりする。道楽としてのカメラでなく、「綺麗な写真を撮りたい、決定的瞬間を収めたい」という用途のカメラにおいてミラーのショックは百害あって一利もない。妄言も甚だしいと思う。
閑話休題。
さて、一眼レフのメインミラー自体にはある程度透過性がある。メインのミラーを透過した光は、背後にあるもう一つの小さいミラーによって下に折り返され、位相差AFセンサーに導かれる。
AFセンサーも、カメラのクラスによって大きく差が出る部分だ。
廉価版のカメラのAFセンサーはAF測距ポイントが数ポイントしかなく、性能も低いので速度も精度も悪い。
しかし、プロ用ともなると数十の測距ポイントが撮影範囲全体に散りばめられている。これらの絨毯的AFセンサーと他のセンサーとの連携で動体を追従させることも可能になっている。もちろん速度も速い。連写でミラーが上がっている間は測距ができない分、ミラーが戻ってすぐに測距に復帰するスピードが与えられているのだ。
一方メインミラーが反射した光はペンタプリズムまたはペンタミラー（カメラの上部にある特徴的な三角形の下に収められている）によって、接眼部つまりファインダーへと導かれる。
ファインダーも価格差によって大きく違うポイントだ。明るくて、広くて、ピントの山が掴みやすいファインダーだと、撮影はとても快適だ。今一眼レフが欲しいなら、是非ファインダーの見え方を店頭などで比べてみて欲しい（ミラーレスの電子ファインダー含めて）。
一眼レフの廉価な入門機ではペンタダハミラーが搭載されるが、中級機以上では高価なペンタプリズムが用いられる。プリズムを使うと、ファインダー像が大きくて明るいものになる。ミラーだと光学的な効率が低い分ファインダー像の周囲の黒い部分が大きく、遠くて暗い印象になる。
また、廉価機種では周囲が切られて、実際に撮影できる範囲より若干狭い範囲しか見れないことになる。つまり、ギリギリ写らない範囲にいると思った他の観光客が写ってしまったりする。これを視野率（が低い）と言う。安い機種で大体95%といったところだろう。
これが、撮影からプリントまで時間がかかるフィルムの時代ならまだ目立たなかった。しかし、ディジタルになって、撮影直後に画像を確認できるようになり、写る範囲が異なるという違和感が大きくなってしまった。
だから実は最近中級機で、以前はプロ機に限られていた100%ファインダーの搭載が進んでいる。厳密な視野率100%は調整が難しく、大変なコストがかかる。恐らく各社、調整軸を減らしたり、なんらか手順を簡略化するなりしてるはずだが、その弊害で、視野率100%を謳いながら実測すると97%程度に留まるものが多い。以前述べたように技術的にそこをブレイクスルーしてほぼ全ての個体で100%を達成したのが、PentaxのK-7だ。
ただ、撮像素子自体の捉えた映像を表示しているミラーレスやコンパクトディジタルカメラは、原理的に全て厳密な視野率100%である。読み出し速度が遅かった一昔前は例外も多かったけどね。
さてさて、このペンタ部には測光センサーが搭載されていて、撮影範囲の明るさを測定する。その結果をもとに、絞り、シャッタースピード、感度の組み合わせ...つまり露出を決定する。また、ここで得られた色情報をもとに色合い、つまりホワイトバランスも決定される。あ、もちろん、オート（AE）での話ね。
これも高級機の方が精度の高い素子を使っている。だから、写真の明るさに関する失敗が初級機よりもずっと少ない。なぜなら、プロのスポーツカメラマンはシャッターチャンスが命であって、露出などはカメラのオート任せにしたいからだ。
初心者の中には、高いカメラは扱うのが難しいから初級機でいい、と言う人がいる。だがそれは違う。高級機ほど、オートの精度が高く、なにも考えずに撮って綺麗な写真を得られるのだ。
とっつきづらく感じるのは、多分ボタンやダイヤルなどが多いせいだろうが、それも、オート状態から自分なりに味付けをしたい時に各種の設定を素早く切り替えられるようよく考えられた操作系になっているにすぎない。
サイズや値段を度外視して、一番撮影が楽なカメラは、プロ用のカメラだ。
このように一眼レフでは、レンズを通った光を巧みに振り分け、様々なセンサーで撮影に必要な情報を得て、撮影者が「シャッターボタン押すだけ」でいい写真を撮れるようアシストしてくれている。
では、コンパクトディジタルカメラやミラーレス一眼カメラではこれらのセンサーはどうなっているのか。
ない。
必要ないのである。
なぜなら、コンパクトディジタルカメラやミラーレスでは、基本的にはAFもAEも全て撮像素子本体で行うからだ。
一眼レフでは、撮影者にレンズを通った光を見せるために、撮像素子に光が行かない。だからこんなに余分なセンサーを付けて補わざるをえなかった。
これは完全に、光を受けてもそれを焼き付ける機能しかなかったフィルム時代の遺産でしかない。フィルムにとって変わった撮像素子は本来、測光も、フォーカシングも行えるのだから、ディジタル一眼レフは極めて冗長度の高い設計になっていると言わざるを得ない。
だから、ミラーレスやコンパクトでは一気に部品が減って、コストもサイズも抑えることができる。
そもそも、AEにしろAFにしろ、ミラーで引き回して測定するより、実際に撮影を行う撮像面で行う方が本来は精度が良いはずだ。これらを考えると、将来的にはカメラの主流がミラーレスタイプになることに疑いの余地はない。
光路を高度にコントロールする必要のある一眼レフの仕組みには、数々の光学的なノウハウが詰まっていて、日本のカメラメーカーの独壇場だった。
それが、センサーが撮像素子一つで、後はソフトウェアの勝負という形になれば、もはや家電である。液晶パネルメーカーが大量に量産する安価で品質の良いパネルさえ調達してくれば、後は映像エンジンのソフトと外枠のハードだけというテレビの構図に近い。一眼レフと比べても、クラス間で差をつけにくいのだ。
まあカメラの場合はレンズという要の光学部品が残っているが、今やコンピューター上のシミュレーション上で一定水準以上の「そこそこ写る」レンズなど苦労なく作れる。
ミラーレスはディジタル時代を迎えた頃からのカメラメーカー達の悲願でもあるが、彼ら自身の牙城が崩壊する危険性も孕んだ諸刃の剣なのだ。
だいぶ熱弁したが、現状では撮像素子の読み出し速度や処理エンジンの能力の限界があるので、一眼レフカメラのように専用センサーを持っている方がスピーディーに撮影ができる。快適でスピーディな撮影という面では、まああと数年程度ならディジタル一眼レフの優位性は残るのではないかと思う。...思うんだけど、最近のミラーレスの進化がヤバいので早まるかもしれない。
大分脱線したけど、次回は各社の一眼レフのレビューに入ろう。
つづく。
nobilesの投稿(23:54:00-2011-11-29) -
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