NOBILES Days
Jump to navigationLotus Blossoms(4) --- "Black Beauty" Lotus79
年明けてから最初のバンド練にようやく参加した。風邪で前回を休んでしまったためだ。
4/8のライブに向け、俺が休んだ前回から、ゲストドラマーが参加してくれている。実は、レギュラードラマーの体調が思わしくなく、ここのところずっと打ち込みドラムで練習していた。幸い、叩いてくれるドラマーが見つかり、ライブもできることになった。
そんなわけで、俺にとっては、前回のライブ、震災直前の3/6以来の生ドラムでのバンド演奏だった。
やっぱこれだよね。
お互い生身の演奏がシンクロするのがバンドだよ。
よくもまあ半年以上も、味気ない打ち込みドラムでみんな我慢してたな、と不思議になったくらいだ。
久々の4時間長丁場の濃い練習の後、翌日の仕事のことも考え早く帰ろうとも思ったが、やっぱり飲んじゃったよ。いやもう、しょうがないよ。演奏も気持ち良かったんだもん。酒で消化しなきゃ (^_^;。
Funky Soul Pop Band
Loop on pooL
LOP the 11th
Day=8th.Apr.2012(Sun)
Open=TBA, Start=TBA
Charge=TBA
@Harajuku Crocodile
"Black Beauty" Lotus79
(PentaxK-7, PentaxDA16-45mmF4(45.0mm), 1/5sec, F8.0, ISO800)
さてさて、「食玩ロータスF-1を勝手に解説コーナー」ようやく2台目、Lotus79である。それは不完全だった78を、ベンチュリーカーとしてソフィスティケートさせたものだ。
トビラ写真の解説：
ゼッケン5番だから明らかにマリオ車かと思いきや、ロールバーにはRonnieと書いてある。せっかくプロポーションが良好なのに、台無しだ。ついでに言うと、実車はストライプが金色ではなく、クリーム色になっている。
77や78で強度が不足していたシングルチューブラーモノコックは、ドライバーの上面を完全に覆うフルモノコックとなった。また、'77年のレギュレーションに則るために78では燃料タンクは分割されて搭載され、ベンチュリーを構成する上で邪魔になっていた。それが運良く'78年にレギュレーションが改定され、79では細身のコクピットの後ろにすっぽりと収めることができた。これにより、78よりも幅広なベンチュリー空間を確保できた。
こうした構造は実は現代F-1にも引き継がれている特徴だ。アルミハニカムモノコックの素材がカーボンファイバーに変更になっても、規則でベンチュリーが禁じられても、マシンの主要パーツを細くコンパクトに仕上げ、ラジエターを組み込んだサイドポンツーンでダウンフォースを得るという基本構造は全く同じだ。
また79では、78のゴムスカートは、スプリングでパネルを地面に押し付けるスライディングスカートになった。これは、Lotus以外でいち早くベンチュリーの本質に気づいた、かのハーベイ・ポストレスウェイトの手になる、'78年第3戦に持ち込まれたWolfWR5のアイディアだった。これでさらにベンチュリーの密閉度が上がった。
食玩モデルの79の底にも、ちゃんとベンチュリーが表現されている
(PentaxK-7, PentaxDA16-45mmF4(45.0mm), 1/25sec, F5.6, ISO800)
こうして「ブラックビューティ」Lotus79は完成した。
1978年第6戦ベルギーGPでデビューすると、圧倒的な強さでアンドレッティがポールトゥウィンを決める。78に乗ったロニー・ペテルソンも2位で、1-2フィニッシュだった。
F-1界がひっくり返った。79の速さは、黒いスカートに隠された構造によって得られたダウンフォースによるものであることは明らかだった。もうグランドエフェクトなしでLotusには勝てないぞ、と。
この79の衝撃的なデビューという伏線の先に、あの希代の問題車も存在する。先述したゴードン・マーレイの手になるBrabham BT46B、人呼んで「ファンカー」である。
マーレイの動きは早かった。BT46のマシン後半部にスカートをつけて密閉度を上げた上で、その内部の空気を吸い出す巨大なファンを取り付けたのだ。これによって強制的にマシン底面に負圧を発生させ、グランドエフェクトを得ようというものである。
驚きの外観であるが、これは当時CanAmレースのシャパラルでも試されていて絶大な効果を上げた。また、昨年ゲームとのコラボで、RedBullのニューウィが「レギュレーション一切関係なし」で究極のマシンのアイディアを作った際も採用されていたくらいだから、やはり「可能であるなら是非搭載したいアイテム」なのだ。
だが、このままでは空力付加物は可動してはならないというレギュレーションに抵触する。
そこでマーレイは、背の低いアルファロメオのボクサー12気筒エンジンの上に巨大なラジエターを水平に配した。ファンは、このラジエターにエアを通すためのものだ、という言い分を主張したのだ。
果たして、BT46Bは79デビューの2戦後の第8戦スウェーデンGPに持ち込まれると、車検を通過した。
ポールポジションこそLotus79のアンドレッティに譲ったものの、前年度チャンピオンのニキ・ラウダが2番グリッドを獲得。そして決勝ではトラブルに見舞われたLotusを尻目に、圧倒的な強さでレースを席巻したのだった。
Brabham BT46B
しかし、当然ながらLotusは強く抗議した。スウェーデンGPの結果は覆らなかったが、次戦以降のBT46Bファンカーの参戦は禁じられた。
79に乗ったアンドレッティはその後も4勝を挙げ、78で勝ったモナコを含め、年間6勝でタイトルを獲得した。
しかし、その決定レースの第14戦は、祝福どころか、堪え難い辛いものとなる。それは、72とヨッヘン・リントの悲劇と同じ場所、モンツァだった。
この'78年、アンドレッティのチームメートは、先述のように、スウェーデン人のロニー・ペテルソンだった。以前もLotusに所属し、失敗作の76で奮闘したこともあった。'76年開幕戦で、77の不出来に失望してチームを飛び出した。オーバーステアのマシンを振り回して走る、魅力的なドライバーで人気もあった。前年にはTyrellの6輪車P34にも乗っていた。なんの因果か、実はペテルソンはMarchのエースで、701にも乗っていた。ものすごい搭乗遍歴だ。
ペテルソンは、タイトルを取るためにLotusに戻ってきた。しかし、既にLotusはアンドレッティの絶対的なナンバーワン体制が敷かれていた。だから彼は、'78年シーズンは完全にアンドレッティのサポートに徹した。アンドレッティとチームにタイトルをもたらし、翌年こそは自分が、という思いだった。
しかし、そうはならなかった。
「ブラックビューティ」79でモンツァに挑んだペテルソンだが、決勝日朝のプラクティスでクラッシュして79を失った。やむなく、決勝では旧型の78で臨むことになった。
マリオ・アンドレッティのタイトルの掛かった運命の決勝だ。
しかし、スタートで事件が起きた。スターターのミスで、グリッド後方のマシンがグリッドに着く前にグリーンライトが点灯され、レース開始となってしまったのだ。
完全に停止していた上位グリッド勢に対し、まだグリッドに向かって走行していた下位グリッド勢が急激に追いつく。大混乱から多重クラッシュが発生した。その中には、ペテルソンが乗ったLotus78も含まれていた。クラッシュにより、78は炎上してしまう。
戦慄が走る。誰もが最悪の事態を考えた。
Crush
しかし幸いにして、両脚を骨折しながらも救出された。火傷もあったが、意識はあり、命に別状はなかった。ペテルソンが救急車で運ばれた後もレースが行われたが、（割愛するが）混乱は続き、79に乗ったアンドレッティがトップでゴールしたのは午後7時を回っていた。
この優勝により、アンドレッティのチャンピオンが決定したかに思われた。ペテルソンの事故はあったが、喜びに湧くLotusチームだった。しかし、アンドレッティにフライングスタートによるペナルティによって6位に降格となる裁定が下り、タイトル決定は持ち越された。
そしてその夜に、さらなる激震がLotusを襲う。命に別状なかったはずのペテルソンの容体が急変したのだ。当時のイタリアの医療水準が低かったため、医療ミスにより骨折した骨が血管に入り、脂肪塞栓が起きた。
希代の華麗なファイター、ロニー・ペテルソンは、こうして命を落とした。
唯一アンドレッティのポイントを逆転する可能性のあったペテルソンが亡くなった。これにより、アンドレッティのタイトルが決定した。
喜ばしいわけがない。
コメントを求められたアンドレッティは言った。
「これもモータースポーツの一面さ」。
これがアンドレッティにとって唯一の、そしてロータスとコーリン・チャップマンにとっては最後のF-1タイトル獲得となったのだ。
...熱くなりすぎた (′Д`;。
この79が誕生した70年代後半というのは、F-1が、マシンの構造面でも、ビジネスモデルも、運営の面でも、果ては意義の面でも大きく変容し、近代化を果たした時代なので、最もダイナミックで、最も魅力的で、時に最も残酷な時代であったと思う。だから、つい思い入れも強くなってしまうんである。
4/8のライブに向け、俺が休んだ前回から、ゲストドラマーが参加してくれている。実は、レギュラードラマーの体調が思わしくなく、ここのところずっと打ち込みドラムで練習していた。幸い、叩いてくれるドラマーが見つかり、ライブもできることになった。
そんなわけで、俺にとっては、前回のライブ、震災直前の3/6以来の生ドラムでのバンド演奏だった。
やっぱこれだよね。
お互い生身の演奏がシンクロするのがバンドだよ。
よくもまあ半年以上も、味気ない打ち込みドラムでみんな我慢してたな、と不思議になったくらいだ。
久々の4時間長丁場の濃い練習の後、翌日の仕事のことも考え早く帰ろうとも思ったが、やっぱり飲んじゃったよ。いやもう、しょうがないよ。演奏も気持ち良かったんだもん。酒で消化しなきゃ (^_^;。
Funky Soul Pop Band
Loop on pooL
LOP the 11th
Day=8th.Apr.2012(Sun)
Open=TBA, Start=TBA
Charge=TBA
@Harajuku Crocodile
"Black Beauty" Lotus79
(PentaxK-7, PentaxDA16-45mmF4(45.0mm), 1/5sec, F8.0, ISO800)
さてさて、「食玩ロータスF-1を勝手に解説コーナー」ようやく2台目、Lotus79である。それは不完全だった78を、ベンチュリーカーとしてソフィスティケートさせたものだ。
トビラ写真の解説：
ゼッケン5番だから明らかにマリオ車かと思いきや、ロールバーにはRonnieと書いてある。せっかくプロポーションが良好なのに、台無しだ。ついでに言うと、実車はストライプが金色ではなく、クリーム色になっている。
77や78で強度が不足していたシングルチューブラーモノコックは、ドライバーの上面を完全に覆うフルモノコックとなった。また、'77年のレギュレーションに則るために78では燃料タンクは分割されて搭載され、ベンチュリーを構成する上で邪魔になっていた。それが運良く'78年にレギュレーションが改定され、79では細身のコクピットの後ろにすっぽりと収めることができた。これにより、78よりも幅広なベンチュリー空間を確保できた。
こうした構造は実は現代F-1にも引き継がれている特徴だ。アルミハニカムモノコックの素材がカーボンファイバーに変更になっても、規則でベンチュリーが禁じられても、マシンの主要パーツを細くコンパクトに仕上げ、ラジエターを組み込んだサイドポンツーンでダウンフォースを得るという基本構造は全く同じだ。
また79では、78のゴムスカートは、スプリングでパネルを地面に押し付けるスライディングスカートになった。これは、Lotus以外でいち早くベンチュリーの本質に気づいた、かのハーベイ・ポストレスウェイトの手になる、'78年第3戦に持ち込まれたWolfWR5のアイディアだった。これでさらにベンチュリーの密閉度が上がった。
食玩モデルの79の底にも、ちゃんとベンチュリーが表現されている
(PentaxK-7, PentaxDA16-45mmF4(45.0mm), 1/25sec, F5.6, ISO800)
こうして「ブラックビューティ」Lotus79は完成した。
1978年第6戦ベルギーGPでデビューすると、圧倒的な強さでアンドレッティがポールトゥウィンを決める。78に乗ったロニー・ペテルソンも2位で、1-2フィニッシュだった。
F-1界がひっくり返った。79の速さは、黒いスカートに隠された構造によって得られたダウンフォースによるものであることは明らかだった。もうグランドエフェクトなしでLotusには勝てないぞ、と。
この79の衝撃的なデビューという伏線の先に、あの希代の問題車も存在する。先述したゴードン・マーレイの手になるBrabham BT46B、人呼んで「ファンカー」である。
マーレイの動きは早かった。BT46のマシン後半部にスカートをつけて密閉度を上げた上で、その内部の空気を吸い出す巨大なファンを取り付けたのだ。これによって強制的にマシン底面に負圧を発生させ、グランドエフェクトを得ようというものである。
驚きの外観であるが、これは当時CanAmレースのシャパラルでも試されていて絶大な効果を上げた。また、昨年ゲームとのコラボで、RedBullのニューウィが「レギュレーション一切関係なし」で究極のマシンのアイディアを作った際も採用されていたくらいだから、やはり「可能であるなら是非搭載したいアイテム」なのだ。
だが、このままでは空力付加物は可動してはならないというレギュレーションに抵触する。
そこでマーレイは、背の低いアルファロメオのボクサー12気筒エンジンの上に巨大なラジエターを水平に配した。ファンは、このラジエターにエアを通すためのものだ、という言い分を主張したのだ。
果たして、BT46Bは79デビューの2戦後の第8戦スウェーデンGPに持ち込まれると、車検を通過した。
ポールポジションこそLotus79のアンドレッティに譲ったものの、前年度チャンピオンのニキ・ラウダが2番グリッドを獲得。そして決勝ではトラブルに見舞われたLotusを尻目に、圧倒的な強さでレースを席巻したのだった。
Brabham BT46B
しかし、当然ながらLotusは強く抗議した。スウェーデンGPの結果は覆らなかったが、次戦以降のBT46Bファンカーの参戦は禁じられた。
79に乗ったアンドレッティはその後も4勝を挙げ、78で勝ったモナコを含め、年間6勝でタイトルを獲得した。
しかし、その決定レースの第14戦は、祝福どころか、堪え難い辛いものとなる。それは、72とヨッヘン・リントの悲劇と同じ場所、モンツァだった。
この'78年、アンドレッティのチームメートは、先述のように、スウェーデン人のロニー・ペテルソンだった。以前もLotusに所属し、失敗作の76で奮闘したこともあった。'76年開幕戦で、77の不出来に失望してチームを飛び出した。オーバーステアのマシンを振り回して走る、魅力的なドライバーで人気もあった。前年にはTyrellの6輪車P34にも乗っていた。なんの因果か、実はペテルソンはMarchのエースで、701にも乗っていた。ものすごい搭乗遍歴だ。
ペテルソンは、タイトルを取るためにLotusに戻ってきた。しかし、既にLotusはアンドレッティの絶対的なナンバーワン体制が敷かれていた。だから彼は、'78年シーズンは完全にアンドレッティのサポートに徹した。アンドレッティとチームにタイトルをもたらし、翌年こそは自分が、という思いだった。
しかし、そうはならなかった。
「ブラックビューティ」79でモンツァに挑んだペテルソンだが、決勝日朝のプラクティスでクラッシュして79を失った。やむなく、決勝では旧型の78で臨むことになった。
マリオ・アンドレッティのタイトルの掛かった運命の決勝だ。
しかし、スタートで事件が起きた。スターターのミスで、グリッド後方のマシンがグリッドに着く前にグリーンライトが点灯され、レース開始となってしまったのだ。
完全に停止していた上位グリッド勢に対し、まだグリッドに向かって走行していた下位グリッド勢が急激に追いつく。大混乱から多重クラッシュが発生した。その中には、ペテルソンが乗ったLotus78も含まれていた。クラッシュにより、78は炎上してしまう。
戦慄が走る。誰もが最悪の事態を考えた。
Crush
しかし幸いにして、両脚を骨折しながらも救出された。火傷もあったが、意識はあり、命に別状はなかった。ペテルソンが救急車で運ばれた後もレースが行われたが、（割愛するが）混乱は続き、79に乗ったアンドレッティがトップでゴールしたのは午後7時を回っていた。
この優勝により、アンドレッティのチャンピオンが決定したかに思われた。ペテルソンの事故はあったが、喜びに湧くLotusチームだった。しかし、アンドレッティにフライングスタートによるペナルティによって6位に降格となる裁定が下り、タイトル決定は持ち越された。
そしてその夜に、さらなる激震がLotusを襲う。命に別状なかったはずのペテルソンの容体が急変したのだ。当時のイタリアの医療水準が低かったため、医療ミスにより骨折した骨が血管に入り、脂肪塞栓が起きた。
希代の華麗なファイター、ロニー・ペテルソンは、こうして命を落とした。
唯一アンドレッティのポイントを逆転する可能性のあったペテルソンが亡くなった。これにより、アンドレッティのタイトルが決定した。
喜ばしいわけがない。
コメントを求められたアンドレッティは言った。
「これもモータースポーツの一面さ」。
これがアンドレッティにとって唯一の、そしてロータスとコーリン・チャップマンにとっては最後のF-1タイトル獲得となったのだ。
...熱くなりすぎた (′Д`;。
この79が誕生した70年代後半というのは、F-1が、マシンの構造面でも、ビジネスモデルも、運営の面でも、果ては意義の面でも大きく変容し、近代化を果たした時代なので、最もダイナミックで、最も魅力的で、時に最も残酷な時代であったと思う。だから、つい思い入れも強くなってしまうんである。
nobilesの投稿(23:50:02-2012-01-31) -
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