NOBILES Days
Jump to navigationHero Who Never Appear In The Future vol.2
我が中日が戦った日本シリーズが終戦の時を迎えた。
まあ、日本シリーズ史上最長試合となった昨日から、ホームの利点たるサヨナラのチャンスを何度も逸してきた。ここ一番で決めきれなかったら、最後は相手に流れが行く。負けもしょうがないだろう。
でも、最後まで夢を見させてもらった。でも、7戦で3度もの延長戦は見る方も疲れた。
え？ロッテのパレード？ミーハーだから多分見に行っちゃう (^_^;。前回も実は見に行ってるし。
セナの映画の話の続き。
Reconciliation
映画から離れてだいぶ勝手に思い出話しちゃったが、いい加減、映画に戻ろう。
バレストルの陰謀により、引退の瀬戸際まで追い詰められたセナはしかし、F-1サーカスに舞い戻ると、より成長した戦士として、プロストを、バレストルを、そして数々の障害を打ちのめして栄華を極めていく。
しかし、こうやって振り返ってみると、3度もの彼のタイトル決定の瞬間は、最初の1988年を除くと、1コーナーでプロストを撃墜して獲った1990年、あからさまな順位操作で優勝をベルガーに譲った1991年と、後味の悪い結末で決定している。それがとても残念に思う。
これは映画ではごく一部しか触れられなかったが、セナファンとしてもっとも残念だと言わなければならないのは、1991年の鈴鹿のレース後の記者会見だろう。
この年の選挙で、忌まわしき宿敵バレストルは、モズレーに敗れて失脚。プロストは不調フェラーリでタイトル争いの蚊帳の外（しかも日本GP後に解雇）。
レースでは序盤にしてタイトル争いの相手、マンセルを狙い通りに自滅でコースアウトさせてタイトルは手中に。
そして本気を出して走ればあっさりと先を走っていたベルガーをパス。でも、一応約束してたので、最終周にあからさまにペースを落としてベルガーを先に行かせる。
もう全てが自らの意のままで、全能感を味わったことだろう。その直後の記者会見で、彼は完全に「正直に」なってしまった。
いかにFIAとプロストが愚かか、自分が正しいかを熱弁した。そして、前年1990年の1コーナーでのプロストとのクラッシュが、1989年のクラッシュの報復、つまり故意であることを認めてしまったのだ。
「セナはそんなことはしない」と信じていたであろう世界中の子どもを裏切るこの発言は、実は当時あまり大きく報じられなかったと記憶している。
会長が代わったFIAも実に大人な対応をした。後日、セナの名前で「事実に反するニュアンスのことを言った」的なあいまいなリリースを出させて手打ちにしたのだ。
とにかく、これらのことから分かることは、頂点に立つためなら鬼神のようになんでもやる。しかし、頂点に立ってしまうと意外に脇が甘い、つまり根からの鬼ではないという素顔だ。
このアンバランスさがまた極めて人間臭くて魅力的なのだと思う。
そのセナの人間臭さと、勝負に対する執着心は、1993年にタイトルを獲得して引退することになったプロストとの最後のドラマにまた色濃く現れている。
残り2戦となった鈴鹿は雨絡みとなり、セナは完膚なきまでにプロストを倒して優勝する。
この時ファンはみな、セナが、既に引退を発表していた2位のプロストと表彰台で和解をするのではないか、と期待した。
しかし、セナは最後までプロストとはろくに目線も合わせないまま表彰台を終え、俺たちはガッカリしたものだ。せっかく二人が1,2位という最高の舞台だったのに。
ところが、二人のドラマはこれで終わりではなかった。
最終戦のアデレードで、セナは完全なドライコンディションの中、予選からプロストを圧倒し、ポール・トゥ・ウィンを飾るのだ。しかも、プロストもしっかり2位に入り、同じ舞台ができあがったのだ。
果たしてその表彰台でセナは、おもむろにプロストに手を差し出してガッチリと握手をした。そしてそのままトップポディウムへと引き上げ、肩を組んだ。
泥仕合を繰り広げた宿命のライバルの、最高の、そして最後の共演の舞台での和解の瞬間だった。
そうだ、セナは鈴鹿でプロストと和解するわけにはいかなかった。なぜなら、たったあと一戦とはいえ、プロストと真剣勝負するレースが残っていたからだ。和解したら甘さが出る。セナは徹底していた。
それに、鈴鹿ではセナは、その代名詞たるポールをプロストに奪われているし、雨という要素で勝ったにすぎなかった。
絶対にアデレードで完璧な勝利を飾る。和解するならその後だ。セナは思っていたに違いない。
そして完ぺきにそれを実行し、プロストも2位に入って応えた。
必然の上に成り立った、あの表彰台での和解シーンは、俺の長いF-1観戦歴の中でもベストシーンの一つだ。
久々にこのシーンを観て、鳥肌が立った。涙腺に熱いものが込み上げた。
しかし、映画のナレーションは、非情な事実を伝える。
この表彰台は、引退するプロストにとって、そしてセナにとっても最後の表彰台となるのだ。
つづく。
まあ、日本シリーズ史上最長試合となった昨日から、ホームの利点たるサヨナラのチャンスを何度も逸してきた。ここ一番で決めきれなかったら、最後は相手に流れが行く。負けもしょうがないだろう。
でも、最後まで夢を見させてもらった。でも、7戦で3度もの延長戦は見る方も疲れた。
え？ロッテのパレード？ミーハーだから多分見に行っちゃう (^_^;。前回も実は見に行ってるし。
セナの映画の話の続き。
Reconciliation
映画から離れてだいぶ勝手に思い出話しちゃったが、いい加減、映画に戻ろう。
バレストルの陰謀により、引退の瀬戸際まで追い詰められたセナはしかし、F-1サーカスに舞い戻ると、より成長した戦士として、プロストを、バレストルを、そして数々の障害を打ちのめして栄華を極めていく。
しかし、こうやって振り返ってみると、3度もの彼のタイトル決定の瞬間は、最初の1988年を除くと、1コーナーでプロストを撃墜して獲った1990年、あからさまな順位操作で優勝をベルガーに譲った1991年と、後味の悪い結末で決定している。それがとても残念に思う。
これは映画ではごく一部しか触れられなかったが、セナファンとしてもっとも残念だと言わなければならないのは、1991年の鈴鹿のレース後の記者会見だろう。
この年の選挙で、忌まわしき宿敵バレストルは、モズレーに敗れて失脚。プロストは不調フェラーリでタイトル争いの蚊帳の外（しかも日本GP後に解雇）。
レースでは序盤にしてタイトル争いの相手、マンセルを狙い通りに自滅でコースアウトさせてタイトルは手中に。
そして本気を出して走ればあっさりと先を走っていたベルガーをパス。でも、一応約束してたので、最終周にあからさまにペースを落としてベルガーを先に行かせる。
もう全てが自らの意のままで、全能感を味わったことだろう。その直後の記者会見で、彼は完全に「正直に」なってしまった。
いかにFIAとプロストが愚かか、自分が正しいかを熱弁した。そして、前年1990年の1コーナーでのプロストとのクラッシュが、1989年のクラッシュの報復、つまり故意であることを認めてしまったのだ。
「セナはそんなことはしない」と信じていたであろう世界中の子どもを裏切るこの発言は、実は当時あまり大きく報じられなかったと記憶している。
会長が代わったFIAも実に大人な対応をした。後日、セナの名前で「事実に反するニュアンスのことを言った」的なあいまいなリリースを出させて手打ちにしたのだ。
とにかく、これらのことから分かることは、頂点に立つためなら鬼神のようになんでもやる。しかし、頂点に立ってしまうと意外に脇が甘い、つまり根からの鬼ではないという素顔だ。
このアンバランスさがまた極めて人間臭くて魅力的なのだと思う。
そのセナの人間臭さと、勝負に対する執着心は、1993年にタイトルを獲得して引退することになったプロストとの最後のドラマにまた色濃く現れている。
残り2戦となった鈴鹿は雨絡みとなり、セナは完膚なきまでにプロストを倒して優勝する。
この時ファンはみな、セナが、既に引退を発表していた2位のプロストと表彰台で和解をするのではないか、と期待した。
しかし、セナは最後までプロストとはろくに目線も合わせないまま表彰台を終え、俺たちはガッカリしたものだ。せっかく二人が1,2位という最高の舞台だったのに。
ところが、二人のドラマはこれで終わりではなかった。
最終戦のアデレードで、セナは完全なドライコンディションの中、予選からプロストを圧倒し、ポール・トゥ・ウィンを飾るのだ。しかも、プロストもしっかり2位に入り、同じ舞台ができあがったのだ。
果たしてその表彰台でセナは、おもむろにプロストに手を差し出してガッチリと握手をした。そしてそのままトップポディウムへと引き上げ、肩を組んだ。
泥仕合を繰り広げた宿命のライバルの、最高の、そして最後の共演の舞台での和解の瞬間だった。
そうだ、セナは鈴鹿でプロストと和解するわけにはいかなかった。なぜなら、たったあと一戦とはいえ、プロストと真剣勝負するレースが残っていたからだ。和解したら甘さが出る。セナは徹底していた。
それに、鈴鹿ではセナは、その代名詞たるポールをプロストに奪われているし、雨という要素で勝ったにすぎなかった。
絶対にアデレードで完璧な勝利を飾る。和解するならその後だ。セナは思っていたに違いない。
そして完ぺきにそれを実行し、プロストも2位に入って応えた。
必然の上に成り立った、あの表彰台での和解シーンは、俺の長いF-1観戦歴の中でもベストシーンの一つだ。
久々にこのシーンを観て、鳥肌が立った。涙腺に熱いものが込み上げた。
しかし、映画のナレーションは、非情な事実を伝える。
この表彰台は、引退するプロストにとって、そしてセナにとっても最後の表彰台となるのだ。
つづく。
nobilesの投稿(01:12:12-2010-11-08) -
カテゴリ: Formula-One
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