NOBILES Days
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娘がまた熱を出した。どうやらプール熱のようだ。しかも、中耳炎まで発症してしまったようだ。
何を隠そう、俺は中耳炎を27回やった男だ。妹と合わせれば42回。参ったか。...って話じゃなく。そんな似て欲しくないところまで似てしまったのだろうか。あれ、痛いから可哀想なのだ。今のところ機嫌はそんなに悪くないが。
さて、山梨旅行記の途中だが、こいつにちょいと触れておこう。
Sony NEX-5
(PentaxK-7, PentaxFA31mmLimitedF1.8, ApertureValueMode, 1/60sec, F4.5, ISO800)
一眼レフカメラで迷走続くSonyのαに、「Sonyらしさ」を期待されていたミラーレス機が加わった。
一応業界以外？の人にも改めて解説すると、今流行りのミラーレス機とは、
・フィルムにあたる撮像素子は一眼レフと同じサイズ（いわゆる普通のデジカメは小指の爪くらいのサイズしかないのだ）
・レンズを交換できて様々な画角で楽しめる（レンズ性能もほぼ一眼レフ用と同等クラス）
・サイズは従来のデジカメよりひと回りふた回り大きい程度と大幅に小型化
このように、いわゆる「カメラ女子」とやらに大人気のジャンルだ。
いいことづくめに聞こえるが、まあネガについては過去エントリーに譲ろう。
このジャンルはオリンパス/パナソニック連合たるμ3/4（マイクロフォーサーズ）という規格が切り拓いてきた。何しろ彼らの撮像素子は他の一眼より小さく（それでもコンパクトデジカメからすれば天国的に大きいが）、いろいろ意見はあろうが性能面で不利な分サイズで勝負せざるを得ないのは自明だった。
ところが昨年、従来のデジタル一眼レフと同じサイズの撮像素子でSamsungがこのジャンルに殴り込みをかけた。
日本未投入ではあるが、昨今世界レベルでは絶大なSamsungブランドだ。カメラという日本の一大産業で日本がこれ以上遅れてはならない。
そんな中でのマイクロαの発表だ。しかもサイズは先行メーカーよりさらに小さく、まさにコンパクトデジカメサイズに近づいた。
しかし、その外観からツッコミどころ満載だ。上位機種であるNEX-5は、とことん小さく見せるため、底面まで平らではなく、肉を削られている。つまり...カメラを固定する目的があるはずの三脚穴の周囲まで削られているのだ！おいおい、サイズとともに機能まで削ってどうするんだよ。小さいからそこまで固定力いらないでしょってか？？
まあそんなこんなで発表以来、悶々とした想いを抱えていた。すると、先週末のことだが、この新しいαの先行展示イベントが、銀座のソニービルで行われるという。
わざわざ時間と金をかけてまではなあ、とも思ったが、幸か不幸か近くまで行く用事があったので、さっくり行ってみたわけだ。
前振り長っ！
会場はソニービルの最上階にあるイベントスペースだ。メインフロアへ入る扉の前のスペースが小洒落たカウンターに自社のVAIOが並んでいる。なんだか押し付けがましいオシャレぶりがいちいち鼻について、ますます嫌な予感に支配される。
会場に入ってみると、椅子が50〜60脚くらい並べられ、ステージ上のカメラマンのトークショーに客が聞き入っているところだった。
その周囲のブースみたいなところに、NEX-5とNEX-3合わせて恐らくは10台強と思われるが、実機が触れる状態で置いてあった。
おお？？熱心な客はトークショーの方に夢中のようでブースはかなり空いている。早速実機を触ってみた。
確かに、小さい。軽い。レンズを含めりゃ体積全然でかくなるだろ、と来るまでは思っていたが、これくらいならカバンに毎日忍ばすことも可能じゃなかろうか。
それに、レンズはPentaxのLimitedシリーズと同様金属製の鏡胴で高級感がある。いや、NEX-5は本体も金属製だ。モノとしての所有欲かきたて具合は、これまでのMinoltaに毛が生えた程度だった中途半端なα一眼レフとは比べものにならない。
...が、裏返してみると、やはり絞られた三脚穴周辺に萎える。なんでデザインのために機能を削るんだ？工業デザインは機能の必然であるべきだ。
ついでに、ディジタル一眼ならではな画期的なボディ内手ぶれ補正に先鞭をつけたのはコニミノ時代のαだ。しかしNEXでは可動式液晶が優先されたのか、まるで自己否定のようにレンズ内補正になってしまった。
ムカムカとした気分を抑えて操作してみる。...う...、ボタンが少ない。少な過ぎてどこをどうすれば撮りたいように撮れるか、かなり思考を要する。
つまりは、機能の多くは液晶モニターのメニューに入って使うことになる。しかも、このインターフェースがムダに綺麗なイラストを使っていて鼻につく。オイ、頑張るのソコじゃなくね！？このインターフェースは上位のNEX-5、下位の3で共通のようだ。
じゃあ上位と下位で何が違うかというと...5は金属製でより小さいプレミアムボディ。より精悍なデザイン。そして、AVC-HDコーデックを使ったフルHD解像度の動画。これだけだという。
いーーーっ？
確かに、手に触れるボディの品位はカメラにとって重要だ。しかし、機能性を欠いたデザインと、どう考えたって差別化（...とコーデックのライセンス料が絡むかもしれないけど）のためだけに外されたとしか思えない動画性能、この後者二つはカメラの本質じゃなくね？？
このカメラのターゲットを考えれば、フルオートでそこそこ撮れることが重要であって、ボタンを増やしてスタイリッシュさを損ねるのも得策ではないだろう。それは分かっている。
だが、ソニーのミラーレス機に大きな期待をかけていた、従来からのカメラファンの層も少なからずいる。それに、エントリー機には、ユーザーの写真意欲を育てる役割だってあるはずだ。
正直、NEXのインターフェースは、「ま、いっか、カメラ任せで」という気にさせ、新たなやり方を試そうという意欲を潰すものだ。
もちろん、ソフトでやろうが、ハードを伴おうが、インターフェースの開発には大きな手間やコストがかかるだろう。
だが、Sonyは5と3で全く違う金型を起こしている。これくらい本気なら、上位の5にはもう少し「カメラ好きをも唸らせる」ような差別化を盛り込んでもよかったんじゃなかろうか。
そもそもだ。
確かに、iPhone、iPodなど、イノベーティブな製品は極力シンプルで万人に訴求できるものであるべきだろう。
でも、そこには魂が宿っていなくてはならない。
では、この新しいαの魂はなんだ？
ふと、横のステージのトークショーが耳に入ってきた。
「どうですか、こんな小さいボディでこれだけ撮れる。これって革命じゃないですか？Walkman以来の。」
小さくてもこれだけ撮れる...それってとっくに先行してるμ3/4の言ってることと何が違うの？
あーあ。
Sonyよ。
アンタはもう「スタイリッシュ」だとか「ファッショナブル」とかいうマヤカシみたいな言葉のもとに、魂をどんどん削って本質を失ったプロダクトしか作れなくなってしまったのか。
結局、カメラにしても、レコーダーにしても、そのプロダクトを本当に好きな人が作っていないんじゃないか？
これだけ長文書くことからもわかるように、俺だってミラーレスαには期待していたのだ。
なのに、残念だ。
何を隠そう、俺は中耳炎を27回やった男だ。妹と合わせれば42回。参ったか。...って話じゃなく。そんな似て欲しくないところまで似てしまったのだろうか。あれ、痛いから可哀想なのだ。今のところ機嫌はそんなに悪くないが。
さて、山梨旅行記の途中だが、こいつにちょいと触れておこう。
Sony NEX-5
(PentaxK-7, PentaxFA31mmLimitedF1.8, ApertureValueMode, 1/60sec, F4.5, ISO800)
一眼レフカメラで迷走続くSonyのαに、「Sonyらしさ」を期待されていたミラーレス機が加わった。
一応業界以外？の人にも改めて解説すると、今流行りのミラーレス機とは、
・フィルムにあたる撮像素子は一眼レフと同じサイズ（いわゆる普通のデジカメは小指の爪くらいのサイズしかないのだ）
・レンズを交換できて様々な画角で楽しめる（レンズ性能もほぼ一眼レフ用と同等クラス）
・サイズは従来のデジカメよりひと回りふた回り大きい程度と大幅に小型化
このように、いわゆる「カメラ女子」とやらに大人気のジャンルだ。
いいことづくめに聞こえるが、まあネガについては過去エントリーに譲ろう。
このジャンルはオリンパス/パナソニック連合たるμ3/4（マイクロフォーサーズ）という規格が切り拓いてきた。何しろ彼らの撮像素子は他の一眼より小さく（それでもコンパクトデジカメからすれば天国的に大きいが）、いろいろ意見はあろうが性能面で不利な分サイズで勝負せざるを得ないのは自明だった。
ところが昨年、従来のデジタル一眼レフと同じサイズの撮像素子でSamsungがこのジャンルに殴り込みをかけた。
日本未投入ではあるが、昨今世界レベルでは絶大なSamsungブランドだ。カメラという日本の一大産業で日本がこれ以上遅れてはならない。
そんな中でのマイクロαの発表だ。しかもサイズは先行メーカーよりさらに小さく、まさにコンパクトデジカメサイズに近づいた。
しかし、その外観からツッコミどころ満載だ。上位機種であるNEX-5は、とことん小さく見せるため、底面まで平らではなく、肉を削られている。つまり...カメラを固定する目的があるはずの三脚穴の周囲まで削られているのだ！おいおい、サイズとともに機能まで削ってどうするんだよ。小さいからそこまで固定力いらないでしょってか？？
まあそんなこんなで発表以来、悶々とした想いを抱えていた。すると、先週末のことだが、この新しいαの先行展示イベントが、銀座のソニービルで行われるという。
わざわざ時間と金をかけてまではなあ、とも思ったが、幸か不幸か近くまで行く用事があったので、さっくり行ってみたわけだ。
前振り長っ！
会場はソニービルの最上階にあるイベントスペースだ。メインフロアへ入る扉の前のスペースが小洒落たカウンターに自社のVAIOが並んでいる。なんだか押し付けがましいオシャレぶりがいちいち鼻について、ますます嫌な予感に支配される。
会場に入ってみると、椅子が50〜60脚くらい並べられ、ステージ上のカメラマンのトークショーに客が聞き入っているところだった。
その周囲のブースみたいなところに、NEX-5とNEX-3合わせて恐らくは10台強と思われるが、実機が触れる状態で置いてあった。
おお？？熱心な客はトークショーの方に夢中のようでブースはかなり空いている。早速実機を触ってみた。
確かに、小さい。軽い。レンズを含めりゃ体積全然でかくなるだろ、と来るまでは思っていたが、これくらいならカバンに毎日忍ばすことも可能じゃなかろうか。
それに、レンズはPentaxのLimitedシリーズと同様金属製の鏡胴で高級感がある。いや、NEX-5は本体も金属製だ。モノとしての所有欲かきたて具合は、これまでのMinoltaに毛が生えた程度だった中途半端なα一眼レフとは比べものにならない。
...が、裏返してみると、やはり絞られた三脚穴周辺に萎える。なんでデザインのために機能を削るんだ？工業デザインは機能の必然であるべきだ。
ついでに、ディジタル一眼ならではな画期的なボディ内手ぶれ補正に先鞭をつけたのはコニミノ時代のαだ。しかしNEXでは可動式液晶が優先されたのか、まるで自己否定のようにレンズ内補正になってしまった。
ムカムカとした気分を抑えて操作してみる。...う...、ボタンが少ない。少な過ぎてどこをどうすれば撮りたいように撮れるか、かなり思考を要する。
つまりは、機能の多くは液晶モニターのメニューに入って使うことになる。しかも、このインターフェースがムダに綺麗なイラストを使っていて鼻につく。オイ、頑張るのソコじゃなくね！？このインターフェースは上位のNEX-5、下位の3で共通のようだ。
じゃあ上位と下位で何が違うかというと...5は金属製でより小さいプレミアムボディ。より精悍なデザイン。そして、AVC-HDコーデックを使ったフルHD解像度の動画。これだけだという。
いーーーっ？
確かに、手に触れるボディの品位はカメラにとって重要だ。しかし、機能性を欠いたデザインと、どう考えたって差別化（...とコーデックのライセンス料が絡むかもしれないけど）のためだけに外されたとしか思えない動画性能、この後者二つはカメラの本質じゃなくね？？
このカメラのターゲットを考えれば、フルオートでそこそこ撮れることが重要であって、ボタンを増やしてスタイリッシュさを損ねるのも得策ではないだろう。それは分かっている。
だが、ソニーのミラーレス機に大きな期待をかけていた、従来からのカメラファンの層も少なからずいる。それに、エントリー機には、ユーザーの写真意欲を育てる役割だってあるはずだ。
正直、NEXのインターフェースは、「ま、いっか、カメラ任せで」という気にさせ、新たなやり方を試そうという意欲を潰すものだ。
もちろん、ソフトでやろうが、ハードを伴おうが、インターフェースの開発には大きな手間やコストがかかるだろう。
だが、Sonyは5と3で全く違う金型を起こしている。これくらい本気なら、上位の5にはもう少し「カメラ好きをも唸らせる」ような差別化を盛り込んでもよかったんじゃなかろうか。
そもそもだ。
確かに、iPhone、iPodなど、イノベーティブな製品は極力シンプルで万人に訴求できるものであるべきだろう。
でも、そこには魂が宿っていなくてはならない。
では、この新しいαの魂はなんだ？
ふと、横のステージのトークショーが耳に入ってきた。
「どうですか、こんな小さいボディでこれだけ撮れる。これって革命じゃないですか？Walkman以来の。」
小さくてもこれだけ撮れる...それってとっくに先行してるμ3/4の言ってることと何が違うの？
あーあ。
Sonyよ。
アンタはもう「スタイリッシュ」だとか「ファッショナブル」とかいうマヤカシみたいな言葉のもとに、魂をどんどん削って本質を失ったプロダクトしか作れなくなってしまったのか。
結局、カメラにしても、レコーダーにしても、そのプロダクトを本当に好きな人が作っていないんじゃないか？
これだけ長文書くことからもわかるように、俺だってミラーレスαには期待していたのだ。
なのに、残念だ。
nobilesの投稿(23:08:28-2010-05-20) -
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