NOBILES Days
Jump to navigationLotus Blossoms(6) --- ”Quiet Fighter" Lotus81
日食は、そのメカニズムが解明されるまでは、不吉の前兆として畏怖された。
それが現代ではどうだ。あるチャンネルでは「奇跡の天文ショー」だの言って芸能人グループまでゲストに呼んで番組をやっていた。何十年も前からこの日この時間って計算で分かってたのに奇跡もクソもねーだろ。だいたい、昔から世間って天文ショーでこんなに盛り上がってたっけ？「猫も杓子も日食」的な報道に苦々しささえ感じた。
しかし、番組では結局厚めの雲でろくに見えない状態が続いた。そもそも日食で何をトークしたらいいか戸惑うゲスト、盛り上げに苦慮する司会者という図式がいたく滑稽で、違う視点からニヤニヤ（・∀・）と楽しませてもらった。
長女は、テレビに写った欠けた太陽に「なにこれー、恐いヨー」なんて言っていた。「お月様がね、お日様を隠しちゃったんだよ」なんて手のジェスチャーを交えて教えると、「お日様好きー。お月様嫌いー」とな。3歳児はそんなもんか。
日食が続いてる中、チャリでターミナル駅に向かう。道端や大きな公園などで、グラスを当てて見上げている人がチラホラいた。
駅では日食グラスかサングラスか分からんが、ピンクの淵のグラスをかけたまま歩いてる2人組の女子高生を目撃し、殺意すら覚えた。グラスがどっちだったとしても大バカだよね。
と、そこでふと気づいた。テレビなどの大げさな報道は、わざとなのか？
「＊＊年ぶりのレアな天文ショー！」とか大きな声で言っておけば、ポジにつけネガにつけ誰もが日食が起きることを認知する（実際には年に2回は地球上のどこかで日食なんて起きてるんだが）。普段は天体なんかまったく興味がなくても、流されやすい（iPhone発売に行列するような）連中はイベントとして楽しむだろうし、いくらかは特定の業界が儲かるかもしれない。
何より、昔は「不吉の前兆」として扱われたような現象だ。予備知識がなければ人によっては「天変地異か？」と思うかもしれない。311震災時のことを振り返るでもなく、有象無象の誤情報が蔓延しかねない情報過多社会だ。下手したら、大げさではなくパニックになりかねない。
日食をネタに騒ぐことはどうでも良くて、太陽が欠け、暗くなるのは日食のせいであることを人々に広く認知させることの方が重要なのだ。きっと、たぶん。
そう思ったら、太陽が見えずにグダグダのカラ元気な放送も、それなりの役割があるような気がして、いじましく感じた。俺ってポジティブだなー。
さて、超久々。もう忘れ去られてる気もするけど、Lotus食玩の続編。
Lotus81
(PentaxK-7, PentaxDA16-45mmF4(45.0mm), 1/4sec, F8.0, ISO400)
さて前回、Lotus81について語ろうとしたら、1979年シーズンについて熱く語りすぎて'80年のマシンである81にたどり着けなかった (′Д`;。っていうか、どんだけ間空いてんだよ。
まあ、マターリと「Lotus食玩勝手に解説コーナー」を続けよう。
そんなわけで、Lotus81が走ったのは1980年シーズンである。
不甲斐ない成績に愛想を尽かし、大手スポンサーMartiniはたった1年で外れた。代わってEssex石油がメインスポンサーとなった。結果、昨今のMcLarenのような、銀箔を貼ったような「近未来」カラーリングとなった。色合いは若干RedBullっぽくもある。
マシン自体の話に移ろう。
理想を追い求めた先代の80が無残な大失敗に終わり、代役で復帰した79すら既に戦闘力を失っていたという事実を前に、Lotusは81をオーソドックスなデザインにした。オーソドックスと言っても、その僅か2年前に自らが導入し、革新的ともてはやされた構造なのだが。
F-1マシンの進化スピードが加速度的に上がったのはまさにこの時期だと言えるだろう。
オーソドックスとは言っても、2年目の79で勝負ができなかったわけだから、79よりも進化はしている。この81の食玩モデルにはフロントウィングがついていない。これはウチの次女にもがれたのではなく、本当についてない。次女がもいだのはリヤウィングの方だ (′Д`;。
フロントウィングがないのは、ベンチュリーの改良によりフロントで必要なダウンフォースを十分稼いでいることの証である。ベンチュリーは、79ではまだ段差のようになっていた構造が、スムースな形状へソフィスティケートされている。
もっとも、フロントウィングがない仕様というのは、この'80年には他チームでも珍しくはなかった。Lotusだけが優れていたのではない。
とにかくこの時代、ベンチュリーの最適化は各チームごとの共通の最優先課題であった。
ベンチュリーの最適化で失敗したのがMcLarenだ。
ここで、せっかくだから21世紀となってもトップクラスに君臨するMcLarenチームについて少し述べよう。
ニュージーランド人ドライバー、ブルース・マクラーレンによって'66年に創設されたMcLarenチームは、オーナー自身のドライブでF-1で優勝する実力があっただけでなく、インディや、CanAmシリーズなどスポーツカーシリーズでも活躍した。
しかし'70年、チームはオーナードライバーを事故で突如失った。
それでも、テディ・メイヤーを代表にした体制はこの危機を乗り越える。そして、Lotusがもたらしたコマーシャルスポンサーの時代になると、ヤードレイ化粧品という大口スポンサーを獲得した。その後Marlboroタバコのスポンサードを得ると、少し古いF-1ファンにとっては「ザ・McLaren」と言って良いほどおなじみとなる、赤白に塗り分けられたマシンとなった。
余談ながら、コマーシャルスポンサー時代以前のMcLarenは、ニュージーランドカラーであるオレンジイエローに塗られていた。'90年代後半にも冬のテストのみこのカラーリングが施されたのは記憶に新しい。え、新しくないって？？
あああ、また話が発散しかけてるけど、McLarenは'73年に投入した、ウェッジシェイプのM23が大成功車となり、'74年にエマーソン・フィッティパルディ、'76年にジェームズ・ハントがタイトルを獲得し、押しも押されぬトップコンテンダーに上り詰めた。
McLaren M29
そんなわけで、ベンチュリーカー時代のMcLarenだ。最初に述べたように、そのマシンM29は失敗作だった。
その原因はやはりベンチュリーにある。M29ではベンチュリーがスムースに整形されず、平らな部分が多くなっていた。これは、ベンチュリーの空気の流路が狭くなる部分でダウンフォースが発生するという考えから、路面との間隔が狭い部分を多くとろうとした結果だ。
しかし、流路が狭くなるところを多くすればダウンフォースが増えるというわけではなかった。
逆に平らな面ができると、境界層と言って空気流が剥がれて渦を作り、ドラッグとなった。当然、得られるダウンフォースも大きく削がれた。
結果、トップランナーだったMcLarenは中段に沈むことになった。それが結果的に、10年に及ぶテディ・メイヤー体制の終焉、すなわちロン・デニス率いるプロジェクト4との合併につながるのである。
ちなみにこの'80年には、あのアラン・プロストをデビューさせている。入賞4回と、戦闘力を考えれば上々のデビューイヤーだった。
さて、1980年を制したのは、79年にも大いに活躍していたWilliamsである。
ベンチュリーだけでなく、足回りなどを地道に向上させたFW07Bの実力は確固たるものとなり、アラン・ジョーンズとカルロス・ロイテマンによってシーズンは席巻され、ジョーンズがチャンピオンとなった。
Williams FW07B
アラン・ジョーンズはオーストラリア出身でこの時34歳だった。'77年に中堅シャドウで優勝したことが認められ、翌年ウィリアムズへ加入した。ベンチュリー以前となるFW06でも目覚しい活躍をした。あのフランク・ウィリアムズをして「理想のドライバー」と言わしめたそのドライビングスタイルは、力強いファイター型だった。
えっと、なんの話だったっけ？
あ？ロータス81？
もうなんもネタないよー。
いや、ほんとにそのくらい見所がないんだよ。強いて言えばあのナイジェル・マンセルがF-1デビューを飾ったマシンってことかな。でも、ポチポチ入賞するのがやっとで、表彰台もほとんどない、完全に中団に埋もれたマシンだったのだ。
つづく。
え？バカ言うな、ちゃんと食玩シリーズ全部完結させるんだからねっ！
それが現代ではどうだ。あるチャンネルでは「奇跡の天文ショー」だの言って芸能人グループまでゲストに呼んで番組をやっていた。何十年も前からこの日この時間って計算で分かってたのに奇跡もクソもねーだろ。だいたい、昔から世間って天文ショーでこんなに盛り上がってたっけ？「猫も杓子も日食」的な報道に苦々しささえ感じた。
しかし、番組では結局厚めの雲でろくに見えない状態が続いた。そもそも日食で何をトークしたらいいか戸惑うゲスト、盛り上げに苦慮する司会者という図式がいたく滑稽で、違う視点からニヤニヤ（・∀・）と楽しませてもらった。
長女は、テレビに写った欠けた太陽に「なにこれー、恐いヨー」なんて言っていた。「お月様がね、お日様を隠しちゃったんだよ」なんて手のジェスチャーを交えて教えると、「お日様好きー。お月様嫌いー」とな。3歳児はそんなもんか。
日食が続いてる中、チャリでターミナル駅に向かう。道端や大きな公園などで、グラスを当てて見上げている人がチラホラいた。
駅では日食グラスかサングラスか分からんが、ピンクの淵のグラスをかけたまま歩いてる2人組の女子高生を目撃し、殺意すら覚えた。グラスがどっちだったとしても大バカだよね。
と、そこでふと気づいた。テレビなどの大げさな報道は、わざとなのか？
「＊＊年ぶりのレアな天文ショー！」とか大きな声で言っておけば、ポジにつけネガにつけ誰もが日食が起きることを認知する（実際には年に2回は地球上のどこかで日食なんて起きてるんだが）。普段は天体なんかまったく興味がなくても、流されやすい（iPhone発売に行列するような）連中はイベントとして楽しむだろうし、いくらかは特定の業界が儲かるかもしれない。
何より、昔は「不吉の前兆」として扱われたような現象だ。予備知識がなければ人によっては「天変地異か？」と思うかもしれない。311震災時のことを振り返るでもなく、有象無象の誤情報が蔓延しかねない情報過多社会だ。下手したら、大げさではなくパニックになりかねない。
日食をネタに騒ぐことはどうでも良くて、太陽が欠け、暗くなるのは日食のせいであることを人々に広く認知させることの方が重要なのだ。きっと、たぶん。
そう思ったら、太陽が見えずにグダグダのカラ元気な放送も、それなりの役割があるような気がして、いじましく感じた。俺ってポジティブだなー。
さて、超久々。もう忘れ去られてる気もするけど、Lotus食玩の続編。
Lotus81
(PentaxK-7, PentaxDA16-45mmF4(45.0mm), 1/4sec, F8.0, ISO400)
さて前回、Lotus81について語ろうとしたら、1979年シーズンについて熱く語りすぎて'80年のマシンである81にたどり着けなかった (′Д`;。っていうか、どんだけ間空いてんだよ。
まあ、マターリと「Lotus食玩勝手に解説コーナー」を続けよう。
そんなわけで、Lotus81が走ったのは1980年シーズンである。
不甲斐ない成績に愛想を尽かし、大手スポンサーMartiniはたった1年で外れた。代わってEssex石油がメインスポンサーとなった。結果、昨今のMcLarenのような、銀箔を貼ったような「近未来」カラーリングとなった。色合いは若干RedBullっぽくもある。
マシン自体の話に移ろう。
理想を追い求めた先代の80が無残な大失敗に終わり、代役で復帰した79すら既に戦闘力を失っていたという事実を前に、Lotusは81をオーソドックスなデザインにした。オーソドックスと言っても、その僅か2年前に自らが導入し、革新的ともてはやされた構造なのだが。
F-1マシンの進化スピードが加速度的に上がったのはまさにこの時期だと言えるだろう。
オーソドックスとは言っても、2年目の79で勝負ができなかったわけだから、79よりも進化はしている。この81の食玩モデルにはフロントウィングがついていない。これはウチの次女にもがれたのではなく、本当についてない。次女がもいだのはリヤウィングの方だ (′Д`;。
フロントウィングがないのは、ベンチュリーの改良によりフロントで必要なダウンフォースを十分稼いでいることの証である。ベンチュリーは、79ではまだ段差のようになっていた構造が、スムースな形状へソフィスティケートされている。
もっとも、フロントウィングがない仕様というのは、この'80年には他チームでも珍しくはなかった。Lotusだけが優れていたのではない。
とにかくこの時代、ベンチュリーの最適化は各チームごとの共通の最優先課題であった。
ベンチュリーの最適化で失敗したのがMcLarenだ。
ここで、せっかくだから21世紀となってもトップクラスに君臨するMcLarenチームについて少し述べよう。
ニュージーランド人ドライバー、ブルース・マクラーレンによって'66年に創設されたMcLarenチームは、オーナー自身のドライブでF-1で優勝する実力があっただけでなく、インディや、CanAmシリーズなどスポーツカーシリーズでも活躍した。
しかし'70年、チームはオーナードライバーを事故で突如失った。
それでも、テディ・メイヤーを代表にした体制はこの危機を乗り越える。そして、Lotusがもたらしたコマーシャルスポンサーの時代になると、ヤードレイ化粧品という大口スポンサーを獲得した。その後Marlboroタバコのスポンサードを得ると、少し古いF-1ファンにとっては「ザ・McLaren」と言って良いほどおなじみとなる、赤白に塗り分けられたマシンとなった。
余談ながら、コマーシャルスポンサー時代以前のMcLarenは、ニュージーランドカラーであるオレンジイエローに塗られていた。'90年代後半にも冬のテストのみこのカラーリングが施されたのは記憶に新しい。え、新しくないって？？
あああ、また話が発散しかけてるけど、McLarenは'73年に投入した、ウェッジシェイプのM23が大成功車となり、'74年にエマーソン・フィッティパルディ、'76年にジェームズ・ハントがタイトルを獲得し、押しも押されぬトップコンテンダーに上り詰めた。
McLaren M29
そんなわけで、ベンチュリーカー時代のMcLarenだ。最初に述べたように、そのマシンM29は失敗作だった。
その原因はやはりベンチュリーにある。M29ではベンチュリーがスムースに整形されず、平らな部分が多くなっていた。これは、ベンチュリーの空気の流路が狭くなる部分でダウンフォースが発生するという考えから、路面との間隔が狭い部分を多くとろうとした結果だ。
しかし、流路が狭くなるところを多くすればダウンフォースが増えるというわけではなかった。
逆に平らな面ができると、境界層と言って空気流が剥がれて渦を作り、ドラッグとなった。当然、得られるダウンフォースも大きく削がれた。
結果、トップランナーだったMcLarenは中段に沈むことになった。それが結果的に、10年に及ぶテディ・メイヤー体制の終焉、すなわちロン・デニス率いるプロジェクト4との合併につながるのである。
ちなみにこの'80年には、あのアラン・プロストをデビューさせている。入賞4回と、戦闘力を考えれば上々のデビューイヤーだった。
さて、1980年を制したのは、79年にも大いに活躍していたWilliamsである。
ベンチュリーだけでなく、足回りなどを地道に向上させたFW07Bの実力は確固たるものとなり、アラン・ジョーンズとカルロス・ロイテマンによってシーズンは席巻され、ジョーンズがチャンピオンとなった。
Williams FW07B
アラン・ジョーンズはオーストラリア出身でこの時34歳だった。'77年に中堅シャドウで優勝したことが認められ、翌年ウィリアムズへ加入した。ベンチュリー以前となるFW06でも目覚しい活躍をした。あのフランク・ウィリアムズをして「理想のドライバー」と言わしめたそのドライビングスタイルは、力強いファイター型だった。
えっと、なんの話だったっけ？
あ？ロータス81？
もうなんもネタないよー。
いや、ほんとにそのくらい見所がないんだよ。強いて言えばあのナイジェル・マンセルがF-1デビューを飾ったマシンってことかな。でも、ポチポチ入賞するのがやっとで、表彰台もほとんどない、完全に中団に埋もれたマシンだったのだ。
つづく。
え？バカ言うな、ちゃんと食玩シリーズ全部完結させるんだからねっ！
nobilesの投稿(23:49:56-2012-05-21) -
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