NOBILES Days
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財布に穴が空いた。
漫画のような話だが、小銭入れの底に500円玉大の穴が空いて、小銭が落ちてしまう。まあ正確に言うと、2つ折りの折り目のところに落ちるので直接飛び出して行くわけではないが、傾ければ横の隙間から落ちるので、高層ビルの屋上にベニヤ板一枚みたいなもんだ。
この財布は、8年前のクリスマスだか誕生日にもらったものだ。くれた当人（嫁さん）は「何これ？直らないんじゃないの？」と冷たかったが、俺は気に入っていたので直すことにした。店を探したら、いつも通勤チャリで出ているターミナル駅隣接の百貨店に店が入っている。それどころか、俺の財布がまだ現行モデルとして写真が載ってるではないか。
嬉しくなってすぐ持って行った。ミュージシャンのようないでたちの、ロマンスグレイでダンディな店長？が丁寧に応じてくれた。一体いくらかかるんだろうと思ったら、2000円もかからないという。ただ、1ヶ月ばかり預かりとなるという。そればっかりはしょうがない。即預けることにした。
ダンディ氏が表面の革を少し撫でて、「いい感じに使ってますね」と言った。お世辞か？と思ったが、ふと横を見ると同じモデルの新品が置いてあった。目にも鮮やかな赤だった。なるほど、俺のはもう渋くて深い赤だ。使うほど味が出てくる。これが革の良さだね。
週末、無事財布が戻ってきた。この間、以前家庭財布として使っていた合皮の女物でしのいでいた (′Д`;。
小銭入れもしっかりした布地で復活して1580円だった。一旦解いてまた縫い直しと、かなり手間だと思うのだが、ありがたい。まだまだ革の味の変化を楽しませてもらおうと思う。
Red Purse
(PentaxK-7, PentaxFA77mmLimitedF1.8, 1/2sec, F4.0, ISO100)
さて、気長な連載となったカメラトークの続き。
フルサイズ機の話はこの辺にして、APS-Cの一眼レフに行こう。PentaxがPhotokinaに合わせてK-5 IIをローンチしてきた。
ボディはK-5と共通だ。それだけに、多くのコンポーネントは継続使用する。名が示す通り、マイナーチェンジと言って良いだろう。
大きな強化点は永らくPentaxの弱点とされてきたAFだろう。-3EVという暗所でも動作するようになった。これはギョーカイでもトップクラスの性能だ。
さらに中央1点はF2.8の光束に対応して精度が向上した。おかげで大口径レンズのピント精度が向上する。大口径単焦点ラブな俺としては嬉しい向上点だ。フォーカスは動体捕捉も強化しているという。
なかなかバラ色な感じだが、測距点は11点と、中級機としては若干控えめである（単にNikonが多すぎという話もあるが）。まあ長くPentaxユーザーやってる身としては「大幅進化！」というのはマユツバくらいで受け止めている。
また、画像処理エンジンもPRIME2で据え置きである。K-30で導入された、動画対応が進んだPRIME Mではない。この辺りを見ても、かなり小幅なマイナーチェンジであることが分かる。そうは言っても、限られたリソースで効果的な性能向上を図ってきたことには好感を持っている。
一方で、K-5 IIにはもう一つ隠し球がある。K-5 IIsという別機種が用意されているのだ。この機種では、ローパスフィルターが省略されているのだ。
何度か説明しているように、周囲4画素から演算で1画素のRGB値を決定するベイヤー式の撮像素子では、網戸のような細かいパターンを撮影すると、実在しない偽色のパターン＝モアレが発生する。これを抑制するため、高周波の光を減衰するローパスフィルターが必須とされてきた。
だがこれは撮像素子が本来持つ解像力をスポイルするものに他ならない。
だから、RGB画素を奥行き方向に並べ、原理的にモアレが発生せず、もともとローパスフィルターを必要としないFOVEON素子を使用し、鮮烈な解像度を持つSIGMAのカメラには、常に熱狂的なファンが存在した。
Pentaxも、風景写真愛好家がメインとなる中判ディジタル一眼レフ645Dで、ローパスレスに踏み切っていた。これはターゲットを絞り込んだマーケティングだからトライできたとも言える。
一方で、モアレは高画素化が進んで画素ピッチが狭くなるほど発生しづらくなっていく。だから、既に十分狭小ピッチになっている（それと、コスト的に極めて厳しく、画質面の要求も低い）コンパクトカメラ用の小型素子ではローパスレスが当たり前だ。APS-Cレベルの大型素子においてもA3印刷に十分な1000万画素を超えた頃から、ローパスレスを望む声は強まっていた。
そんな中、Fujifilmは同社初のノンフレックスカメラX-Pro1で、ベイヤー式ながらRGB画素の配列を工夫し、実に36画素から1画素を演算するX-Trans方式を導入し、APS-Cサイズでローパスレスを実現した。これはかなり大掛かりな演算が必要で、画質面で高い付加価値を訴求するFujiならではの思い切った策だと言えるだろう。
しかしながらNikonはもっと単純な方法を採った。フルサイズ中級機D800では3630万画素という思い切った高画素化を果たした上で、特性を理解したユーザーにローパスあり／なしを選べるよう、D800Eという別機種を用意したのである。
実際にはD800Eは、「ローパスフィルターが存在しない」のではなく、存在したまま光学素子によって無効にされている。単にローパスフィルターを除去するだけでは光路長が変わるので、フレームの再設計が必要になるからだろう。
こうした措置のために、D800Eの価格はD800と比較して＊万円高価になっている。無効化されているもののために値段も重量も余分に要するというのは若干納得がいかないところではある。まだメーカーとしてもローパスレスは手探りで、ユーザーの反応を見るテストケースなのかもしれない。
翻ってPentaxのK-5 IIとK-5 IIsも、D800のやり方に沿ったものであると言える。
K-5 IIsはD800Eと違い、「ローパスフィルターレス」と明記していることを考えると、無効化されているわけではなく、存在しないものと思われる。だが、光路差が生じるのは変わりがないはずなので、それを調整する光学素子が挿入されているはずだ。ソフトウエア側でも何かやっているかもしれないが、処理系がPRIME2のままだからあまり大掛かりなことはできないはずだ。
こうした小細工が＊万円高価というのも、やっぱり納得がいかない。多分ハナからローパスレス前提で設計すると、原価はもっと下がるんじゃなかろうか。Pentaxという立ち位置の会社なら、是非ともそこにトライしてもらいたかったところだ。
個人的には、登場した時には500円玉貯金の投入も考えたが...微妙だなー。かなり完成度は高いのだが、EOS6Dと違い、無線LANやGPSは内蔵されなかった。まあ、ボディはK-5と共通だから入れるのはハナから考えていなかったのかもしれないし、オプションであるアストロトレーサーをもう少し長く売りたいという事情もあるんだろうが...これからのカメラにとって標準搭載されるのが間違いない装備は内蔵して欲しかった。可動液晶もなしだしね。
漫画のような話だが、小銭入れの底に500円玉大の穴が空いて、小銭が落ちてしまう。まあ正確に言うと、2つ折りの折り目のところに落ちるので直接飛び出して行くわけではないが、傾ければ横の隙間から落ちるので、高層ビルの屋上にベニヤ板一枚みたいなもんだ。
この財布は、8年前のクリスマスだか誕生日にもらったものだ。くれた当人（嫁さん）は「何これ？直らないんじゃないの？」と冷たかったが、俺は気に入っていたので直すことにした。店を探したら、いつも通勤チャリで出ているターミナル駅隣接の百貨店に店が入っている。それどころか、俺の財布がまだ現行モデルとして写真が載ってるではないか。
嬉しくなってすぐ持って行った。ミュージシャンのようないでたちの、ロマンスグレイでダンディな店長？が丁寧に応じてくれた。一体いくらかかるんだろうと思ったら、2000円もかからないという。ただ、1ヶ月ばかり預かりとなるという。そればっかりはしょうがない。即預けることにした。
ダンディ氏が表面の革を少し撫でて、「いい感じに使ってますね」と言った。お世辞か？と思ったが、ふと横を見ると同じモデルの新品が置いてあった。目にも鮮やかな赤だった。なるほど、俺のはもう渋くて深い赤だ。使うほど味が出てくる。これが革の良さだね。
週末、無事財布が戻ってきた。この間、以前家庭財布として使っていた合皮の女物でしのいでいた (′Д`;。
小銭入れもしっかりした布地で復活して1580円だった。一旦解いてまた縫い直しと、かなり手間だと思うのだが、ありがたい。まだまだ革の味の変化を楽しませてもらおうと思う。
Red Purse
(PentaxK-7, PentaxFA77mmLimitedF1.8, 1/2sec, F4.0, ISO100)
さて、気長な連載となったカメラトークの続き。
フルサイズ機の話はこの辺にして、APS-Cの一眼レフに行こう。PentaxがPhotokinaに合わせてK-5 IIをローンチしてきた。
ボディはK-5と共通だ。それだけに、多くのコンポーネントは継続使用する。名が示す通り、マイナーチェンジと言って良いだろう。
大きな強化点は永らくPentaxの弱点とされてきたAFだろう。-3EVという暗所でも動作するようになった。これはギョーカイでもトップクラスの性能だ。
さらに中央1点はF2.8の光束に対応して精度が向上した。おかげで大口径レンズのピント精度が向上する。大口径単焦点ラブな俺としては嬉しい向上点だ。フォーカスは動体捕捉も強化しているという。
なかなかバラ色な感じだが、測距点は11点と、中級機としては若干控えめである（単にNikonが多すぎという話もあるが）。まあ長くPentaxユーザーやってる身としては「大幅進化！」というのはマユツバくらいで受け止めている。
また、画像処理エンジンもPRIME2で据え置きである。K-30で導入された、動画対応が進んだPRIME Mではない。この辺りを見ても、かなり小幅なマイナーチェンジであることが分かる。そうは言っても、限られたリソースで効果的な性能向上を図ってきたことには好感を持っている。
一方で、K-5 IIにはもう一つ隠し球がある。K-5 IIsという別機種が用意されているのだ。この機種では、ローパスフィルターが省略されているのだ。
何度か説明しているように、周囲4画素から演算で1画素のRGB値を決定するベイヤー式の撮像素子では、網戸のような細かいパターンを撮影すると、実在しない偽色のパターン＝モアレが発生する。これを抑制するため、高周波の光を減衰するローパスフィルターが必須とされてきた。
だがこれは撮像素子が本来持つ解像力をスポイルするものに他ならない。
だから、RGB画素を奥行き方向に並べ、原理的にモアレが発生せず、もともとローパスフィルターを必要としないFOVEON素子を使用し、鮮烈な解像度を持つSIGMAのカメラには、常に熱狂的なファンが存在した。
Pentaxも、風景写真愛好家がメインとなる中判ディジタル一眼レフ645Dで、ローパスレスに踏み切っていた。これはターゲットを絞り込んだマーケティングだからトライできたとも言える。
一方で、モアレは高画素化が進んで画素ピッチが狭くなるほど発生しづらくなっていく。だから、既に十分狭小ピッチになっている（それと、コスト的に極めて厳しく、画質面の要求も低い）コンパクトカメラ用の小型素子ではローパスレスが当たり前だ。APS-Cレベルの大型素子においてもA3印刷に十分な1000万画素を超えた頃から、ローパスレスを望む声は強まっていた。
そんな中、Fujifilmは同社初のノンフレックスカメラX-Pro1で、ベイヤー式ながらRGB画素の配列を工夫し、実に36画素から1画素を演算するX-Trans方式を導入し、APS-Cサイズでローパスレスを実現した。これはかなり大掛かりな演算が必要で、画質面で高い付加価値を訴求するFujiならではの思い切った策だと言えるだろう。
しかしながらNikonはもっと単純な方法を採った。フルサイズ中級機D800では3630万画素という思い切った高画素化を果たした上で、特性を理解したユーザーにローパスあり／なしを選べるよう、D800Eという別機種を用意したのである。
実際にはD800Eは、「ローパスフィルターが存在しない」のではなく、存在したまま光学素子によって無効にされている。単にローパスフィルターを除去するだけでは光路長が変わるので、フレームの再設計が必要になるからだろう。
こうした措置のために、D800Eの価格はD800と比較して＊万円高価になっている。無効化されているもののために値段も重量も余分に要するというのは若干納得がいかないところではある。まだメーカーとしてもローパスレスは手探りで、ユーザーの反応を見るテストケースなのかもしれない。
翻ってPentaxのK-5 IIとK-5 IIsも、D800のやり方に沿ったものであると言える。
K-5 IIsはD800Eと違い、「ローパスフィルターレス」と明記していることを考えると、無効化されているわけではなく、存在しないものと思われる。だが、光路差が生じるのは変わりがないはずなので、それを調整する光学素子が挿入されているはずだ。ソフトウエア側でも何かやっているかもしれないが、処理系がPRIME2のままだからあまり大掛かりなことはできないはずだ。
こうした小細工が＊万円高価というのも、やっぱり納得がいかない。多分ハナからローパスレス前提で設計すると、原価はもっと下がるんじゃなかろうか。Pentaxという立ち位置の会社なら、是非ともそこにトライしてもらいたかったところだ。
個人的には、登場した時には500円玉貯金の投入も考えたが...微妙だなー。かなり完成度は高いのだが、EOS6Dと違い、無線LANやGPSは内蔵されなかった。まあ、ボディはK-5と共通だから入れるのはハナから考えていなかったのかもしれないし、オプションであるアストロトレーサーをもう少し長く売りたいという事情もあるんだろうが...これからのカメラにとって標準搭載されるのが間違いない装備は内蔵して欲しかった。可動液晶もなしだしね。
nobilesの投稿(23:54:46-2012-10-29) -
カテゴリ: Photo
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