NOBILES Days
Jump to navigationThe trend of digital camera 2013 (8)
クリスマスに暗い話ですがね。ここ最近、我が家で生まれた最初のメダカ（♂）の様子がおかしくなってきた。
腹が重たいらしく、浮かないようだ。砂利に腹を乗せて静止することが多くなった。一時期は首が上を向いていた。
ここのところ首の曲がりは解消されてきたが、泳ぐ時は斜め上を向いてバタバタとヒレを動かして立ち泳ぎのように泳ぐようになり、水槽の上半分に上がることもできないようだ。これでは餌もたくさんは食べられないだろう。お腹だって、何度も砂利に接触してたらダメージがないはずはない。先は長くないかな。
1年半前、卵なんてないと思って適当に放置したバケツで孵り、ろくにエサもやっていないのに見事に成人したコイツは、身体の色が少し薄く、とても端正で綺麗だった。それが今やなんとも可哀想な姿になってしまった。病気だろうか。
一方、その産みの親にして、初期メン唯一の生き残りである「ビッグマザー」は全然ピンピンしている。ほんとに、アンタ最強だよ。
遅きに失した感はあるが、しぶとく紅葉
(PentaxK-3, PentaxDA☆60-250mmF4(170.0mm), 1/250sec, F9.0, ISO400)
さて、だいぶ開いちゃったけどデジカメトーク2013。
ここまでの7回、この秋から冬にかけての注目モデルを取り上げてきた。
だが実は、世間で一番売れているボリュームゾーンのカメラはこれらに含まれていない。それは、初心者向けの一眼レフである。要は、子どもの運動会に合わせてオトーサン達が買うカメラである。
不思議なもので、こういう時に、カメラのこと全然知らない人でも、ちゃんと一眼レフ買うんだよね。ミラーレスでは力不足なのを知っている。...いや、知らないかもしれないけど店員が吹き込むんだろう。レンズ交換式カメラのシェア2強の販売体制の強さというものであろう。
ま、それはともかく、今回はその2強、CanonとNikonのエントリークラスの一眼レフを中心に話をする。
2社のエントリー機のラインナップを見てみよう。CanonはEOS KissX7と同X7i、NikonはD5300とD3200と、両社とも2クラス展開をしている。実はこのようにガチンコ対決になったのは今の世代になってからだ。
先にエントリー機を2ラインにしたのはNikonだ。2009年にAPS-C機の型番を4桁にする時に、スタンダートなD3000、可動モニターがあるD5000とラインを分けた。Canonも、メインストリームであるEOSKissXシリーズの下に、最廉価クラスとして、同KissFやKissX50といったモデルを用意して2ラインにしていたが、KissXシリーズから、あからさまに装備を省略したもので、あまり力を入れたモデルではなかった。ところが今回Canonは、従来のライン上にあるKissX7iと、大幅にサイズダウンし、一眼レフとしては恐らく現在最小最軽量となるKissX7という2ラインアップを揃えてきた。
Canon EOS KissX7(White)
だが、両社のそれぞれのクラスを直接比較するのはアンフェアだ。
まずアッパーラインを見比べると、D5300はつい先頃、2013年11月に発売になったばかりの最新鋭機だが、KissX7iは実質上、2012年6月に発売になったX6iと同型機と言っていい。一方ロワーラインのKissX7は2013年4月発売だがD3200は2012年6月だ。つまり、アッパーラインはNikonが約1年半新しい設計なのに対し、ロワーラインではCanonが約1年新しい。今回、Canonはロワーラインに初めて力を入れ、Nikonはアッパーラインの強化を図ったというわけだ。
逆に、新旧の機種の違いを紐解けば、この1年ばかりの一眼レフの進化ポイントが分かるというものだろう。そしてそこに、価格差だけの価値があるかどうかの判断基準にもなるだろう。そういう観点で話を進めよう。
最近この2社の入門機には方向性の違いが見られて面白い。
Canonは像面位相差オートフォーカスと、背面モニターのタッチパネル化を進める一方、NikonはCanonを上回る高画素撮像素子に加え、解像度を下げてしまうローパスフィルターの削除を進め、また一眼レフならではの位相差AFに中級機と同じユニットを奢っている。
つまり、Canonはディジタル一眼レフのエントリー機を、コンパクトやミラーレス機、はたまたスマートフォンにも近づけ、これらのユーザーの取り込みに力を入れている。一方、Nikonは一眼レフならではの分かりやすい長所を際立たせようとしている、と見ることができる。
Nikon D5300
さて、まずその画質について論じるならば、ポテンシャルでは画素数が多いNikon、とりわけローパスフィルターのないD5300はアタマ一つ抜けている。
だが再三述べているように、画質を決定するのは撮像素子だけではない。まして、画素数だけで論じることはできない。
そもそも、2000万画素前後というこれらの機種においては、キットレンズとして付属するレベルのレンズでは力不足だ。単焦点や高価格帯のレンズを使わなければその性能を引き出せない。また、ブレには細心の注意が必要だ。
そう考えると、レンズ側にしか手ぶれ補正を積んでおらず、不安定でブレやすくなるライブビュー撮影を推奨するようなバリアングル（可動）モニターを搭載することには、個人的には大きな矛盾を感じる。もちろん、バリアングルは撮影シーンを拡げる貴重な装備であるし、動画撮影のことも考えると、マーケティングの面から搭載しなければならないのだろうが、メーカーにはもっとカメラの構え方の基本を啓蒙していただきたいところだ。
閑話休題。
ともかく、画質面ではポテンシャルはNikonが上だが、もはや初心者レベルではなかなか実感できる差はない。
撮影補助機能を見てみよう。
Canonは7、7iの両機ともタッチパネルを搭載している。しかも、スマートフォン同様の静電容量式でなかなか反応も良い。ハードウェアのボタンが少ない入門機では大きなプラスポイントと言えるだろう。
Canon EOS KissX7i
一方Nikonはタッチパネルはどちらのモデルも搭載していない。
その代わり、撮影時の明るさを自動で決定する（Auto Exposure）ための測光センサーはD5300は中級機並みの2016分割、D3200でも420分割の素子を搭載している。Canonは中級機でも63分割測光に留まる。
もちろん、いくらハードウェア上のスペックが上がったところで、それを使いこなすソフトウェアが優れていなければならない。Canonは豊富なリソースを生かして、優秀なソフトウェアを作り込んでいるように思う。とは言え、Canonとてプロ用最上位モデル1D Xでは10万画素の測光ユニットを使っているわけで、使いこなせるなら測光センサーだって多くの要素があった方がいいのは間違いない。実際、俺のカメラもK-7の77分割からK-3の8.6万画素に変わって、露出制御がかなり安定した。
そういう点では、やはりNikonの方がポテンシャルは高い。
ピントを自動で合わせるAF（Auto Focus）についても両社のスタンスは大きく異なる。
先述のようにCanonは像面位相差AFを推進している。そしてここに下位ながら最新のX7と、実質1年落ちのX7iの違いが見て取れる。
像面位相差画素を組み込んだ初代素子を採用したX7iでは測距点が像面の中央付近1/4程度の範囲に留まるが、第二世代の素子を搭載したX7は像面の80%程度をカバーした上、合焦も速くなっている。つまり、ライブビューでのフォーカスは下位機種が下克上している。
また、両機種ともキットレンズがステッピングモーターでフォーカスする新しいものに変わったので、静かで速くなった。
再三主張しているように、ミラーレスが台頭している今だからこそ、しっかりファインダーを覗いて撮るスタイルの重要性を啓蒙してほしいし、ディジタル一眼レフがミラーレス化してどーすんのよ、とも思う。まあしかし、ターゲットがコンパクトカメラやスマートフォンのユーザーなんだから仕方ないとは思う。だがそれにしても、「ライブビューで撮るのがこれからの一眼レフのスタンダード！」的なアピールはいかがなものかと思う。
一方Nikonは、モニターをタッチパネル化していない。また、1シリーズで業界トップクラスの高速な像面位相差フォーカスを実現しているが、一眼レフでは採用していない。
その代わり、従来通りの（像面でない）位相差フォーカスユニットとして、D5300には測距点39点という破格のスペックのもの、D3200でも同11点を積んでいて、2モデルとも9点に留まるCanonとは一線を画している。
このように、特にD5300では「一眼レフならでは」を思い切り主張するユニットが投入されていて、かなり中級機に近い性能を実現していることが分かる。帝人が開発した新しい炭素素材でモノコック構造を取り入れたのも新しい。逆にD3200は年明けにも後継D3300の発表が確実視されている、モデル末期と言える。
Nikon D3200
ただこれらNikon2機種は、これだけ「一眼レフならでは」を主張しながら、肝心の光学ファインダーのスペックが低い。D5300は視野率95%、倍率82%、D3200は視野率95%、倍率79%だ。これはせっかくの光学ファインダーなのに像が小さいことを意味する。ライブビューを散々推進しているCanonでもKiss7iが視野率95%、倍率85%、Kiss7が視野率95%、倍率87%（ファインダーのスペックにおいても下位機種7が7iを凌駕している）と、Nikonよりもかなり見やすいファインダーを実現していることは興味深い。
でも...やっぱり「一眼レフ」にこだわってるのはPentaxだ（いきなりだな）。ディジタル一眼レフカメラの入門機であるK-50のファインダーは視野率100%、倍率92%と、破格のスペックを誇る。
ただ、PentaxはX7iやD5300のようなバリアングルモニターはないし、Canonが推進する像面位相差AFもない。あくまで「一眼レフ」にこだわっている。俺はそこが好きなのだが、果たしていわゆるビギナーに対してどうか、というと微妙だ。
閑話休題。
さて、俺のような酔狂でなく、子ども達の思い出記録用として購入しようというビギナーの方々にとって最も大事なのが価格であろう。
実は、これがとても面白い現象が起きている。以降記載する価格はボディのみでレンズを含まない。12月後半、俺調べの最安価格だ。
Nikonは新しくて高機能なD5300が7万円台なのに対し、1年落ちの下位機種D3200が3万円程度まで下がっている。
逆にCanonは上位機種X7iが事実上の型落ちなので6万円弱で、下位ながら最新のX7は5万円を超えている。
つまり、
7万：D5300
6万：KissX7i
5万：KissX7
3万：D3200
と、綺麗に並んでいるのである。
とことん安くしたいなら、D3200だろう。年明けには後継のD3300が発表されてX7と競合することになる。そう考えるとD3200はかなりお値頃と見ていい。
ライブビューを重視したいなら（俺はその視点はオススメしないが）、Canonだ。とことん楽しむならモニターが動くX7iということになるが、先述のように実態は型落ちで、像面位相差も旧世代であるのが残念なところだ。
一方、モニターは固定でいいし、小さくて軽いのが良ければX7で間違いない。ただ、最新型で、しかも人気があるため価格がなかなか下がってこない。
ビギナーでも、中級機なみの機能が欲しいならD5300だ。像面位相差AFではないがバリアングルのモニターによるライブビューを楽しめるし、光学ファインダー撮影時に使用するデバイスも高性能だ。ただ、その光学ファインダーの像が小さいのは残念だ。
あ、ついでに先述したPentaxのK-50についても。
K-50の最大の強みは、光学手ブレ補正機構がボディ側にあることだ。これはつまり、全てのレンズで手ブレ補正が利くことを意味する。
また、ダイヤルがボディの前後に1つずつ装備されているので、中級者以上が操る際にも有利だ。AFポイントも11点（クロス9点）と、ビギナークラスにしては多めだ。さらに、多少の埃や雨にも耐える防塵防滴構造を備える。
Pentax K-50
もちろん簡略された点もあるが、ボディ価格は5万ほどで、手頃だ。少し凝りたい、特に「従来通りの一眼レフ」を楽しみたい人にはK-50をお勧めしたい。
このように、ビギナー向けディジタル一眼レフは、たくさんあるように見えて、以外と特徴や値段が分散していることが分かる。
ちゃんとこれらを把握して店に行けば、店員の言いなりになって望みもしないカメラを買わされることもなくなる。たとえ型落ちでも、その特徴と値段に納得してから購入していただきたいと思うのだ。
つづく。
腹が重たいらしく、浮かないようだ。砂利に腹を乗せて静止することが多くなった。一時期は首が上を向いていた。
ここのところ首の曲がりは解消されてきたが、泳ぐ時は斜め上を向いてバタバタとヒレを動かして立ち泳ぎのように泳ぐようになり、水槽の上半分に上がることもできないようだ。これでは餌もたくさんは食べられないだろう。お腹だって、何度も砂利に接触してたらダメージがないはずはない。先は長くないかな。
1年半前、卵なんてないと思って適当に放置したバケツで孵り、ろくにエサもやっていないのに見事に成人したコイツは、身体の色が少し薄く、とても端正で綺麗だった。それが今やなんとも可哀想な姿になってしまった。病気だろうか。
一方、その産みの親にして、初期メン唯一の生き残りである「ビッグマザー」は全然ピンピンしている。ほんとに、アンタ最強だよ。
遅きに失した感はあるが、しぶとく紅葉
(PentaxK-3, PentaxDA☆60-250mmF4(170.0mm), 1/250sec, F9.0, ISO400)
さて、だいぶ開いちゃったけどデジカメトーク2013。
ここまでの7回、この秋から冬にかけての注目モデルを取り上げてきた。
だが実は、世間で一番売れているボリュームゾーンのカメラはこれらに含まれていない。それは、初心者向けの一眼レフである。要は、子どもの運動会に合わせてオトーサン達が買うカメラである。
不思議なもので、こういう時に、カメラのこと全然知らない人でも、ちゃんと一眼レフ買うんだよね。ミラーレスでは力不足なのを知っている。...いや、知らないかもしれないけど店員が吹き込むんだろう。レンズ交換式カメラのシェア2強の販売体制の強さというものであろう。
ま、それはともかく、今回はその2強、CanonとNikonのエントリークラスの一眼レフを中心に話をする。
2社のエントリー機のラインナップを見てみよう。CanonはEOS KissX7と同X7i、NikonはD5300とD3200と、両社とも2クラス展開をしている。実はこのようにガチンコ対決になったのは今の世代になってからだ。
先にエントリー機を2ラインにしたのはNikonだ。2009年にAPS-C機の型番を4桁にする時に、スタンダートなD3000、可動モニターがあるD5000とラインを分けた。Canonも、メインストリームであるEOSKissXシリーズの下に、最廉価クラスとして、同KissFやKissX50といったモデルを用意して2ラインにしていたが、KissXシリーズから、あからさまに装備を省略したもので、あまり力を入れたモデルではなかった。ところが今回Canonは、従来のライン上にあるKissX7iと、大幅にサイズダウンし、一眼レフとしては恐らく現在最小最軽量となるKissX7という2ラインアップを揃えてきた。
Canon EOS KissX7(White)
だが、両社のそれぞれのクラスを直接比較するのはアンフェアだ。
まずアッパーラインを見比べると、D5300はつい先頃、2013年11月に発売になったばかりの最新鋭機だが、KissX7iは実質上、2012年6月に発売になったX6iと同型機と言っていい。一方ロワーラインのKissX7は2013年4月発売だがD3200は2012年6月だ。つまり、アッパーラインはNikonが約1年半新しい設計なのに対し、ロワーラインではCanonが約1年新しい。今回、Canonはロワーラインに初めて力を入れ、Nikonはアッパーラインの強化を図ったというわけだ。
逆に、新旧の機種の違いを紐解けば、この1年ばかりの一眼レフの進化ポイントが分かるというものだろう。そしてそこに、価格差だけの価値があるかどうかの判断基準にもなるだろう。そういう観点で話を進めよう。
最近この2社の入門機には方向性の違いが見られて面白い。
Canonは像面位相差オートフォーカスと、背面モニターのタッチパネル化を進める一方、NikonはCanonを上回る高画素撮像素子に加え、解像度を下げてしまうローパスフィルターの削除を進め、また一眼レフならではの位相差AFに中級機と同じユニットを奢っている。
つまり、Canonはディジタル一眼レフのエントリー機を、コンパクトやミラーレス機、はたまたスマートフォンにも近づけ、これらのユーザーの取り込みに力を入れている。一方、Nikonは一眼レフならではの分かりやすい長所を際立たせようとしている、と見ることができる。
Nikon D5300
さて、まずその画質について論じるならば、ポテンシャルでは画素数が多いNikon、とりわけローパスフィルターのないD5300はアタマ一つ抜けている。
だが再三述べているように、画質を決定するのは撮像素子だけではない。まして、画素数だけで論じることはできない。
そもそも、2000万画素前後というこれらの機種においては、キットレンズとして付属するレベルのレンズでは力不足だ。単焦点や高価格帯のレンズを使わなければその性能を引き出せない。また、ブレには細心の注意が必要だ。
そう考えると、レンズ側にしか手ぶれ補正を積んでおらず、不安定でブレやすくなるライブビュー撮影を推奨するようなバリアングル（可動）モニターを搭載することには、個人的には大きな矛盾を感じる。もちろん、バリアングルは撮影シーンを拡げる貴重な装備であるし、動画撮影のことも考えると、マーケティングの面から搭載しなければならないのだろうが、メーカーにはもっとカメラの構え方の基本を啓蒙していただきたいところだ。
閑話休題。
ともかく、画質面ではポテンシャルはNikonが上だが、もはや初心者レベルではなかなか実感できる差はない。
撮影補助機能を見てみよう。
Canonは7、7iの両機ともタッチパネルを搭載している。しかも、スマートフォン同様の静電容量式でなかなか反応も良い。ハードウェアのボタンが少ない入門機では大きなプラスポイントと言えるだろう。
Canon EOS KissX7i
一方Nikonはタッチパネルはどちらのモデルも搭載していない。
その代わり、撮影時の明るさを自動で決定する（Auto Exposure）ための測光センサーはD5300は中級機並みの2016分割、D3200でも420分割の素子を搭載している。Canonは中級機でも63分割測光に留まる。
もちろん、いくらハードウェア上のスペックが上がったところで、それを使いこなすソフトウェアが優れていなければならない。Canonは豊富なリソースを生かして、優秀なソフトウェアを作り込んでいるように思う。とは言え、Canonとてプロ用最上位モデル1D Xでは10万画素の測光ユニットを使っているわけで、使いこなせるなら測光センサーだって多くの要素があった方がいいのは間違いない。実際、俺のカメラもK-7の77分割からK-3の8.6万画素に変わって、露出制御がかなり安定した。
そういう点では、やはりNikonの方がポテンシャルは高い。
ピントを自動で合わせるAF（Auto Focus）についても両社のスタンスは大きく異なる。
先述のようにCanonは像面位相差AFを推進している。そしてここに下位ながら最新のX7と、実質1年落ちのX7iの違いが見て取れる。
像面位相差画素を組み込んだ初代素子を採用したX7iでは測距点が像面の中央付近1/4程度の範囲に留まるが、第二世代の素子を搭載したX7は像面の80%程度をカバーした上、合焦も速くなっている。つまり、ライブビューでのフォーカスは下位機種が下克上している。
また、両機種ともキットレンズがステッピングモーターでフォーカスする新しいものに変わったので、静かで速くなった。
再三主張しているように、ミラーレスが台頭している今だからこそ、しっかりファインダーを覗いて撮るスタイルの重要性を啓蒙してほしいし、ディジタル一眼レフがミラーレス化してどーすんのよ、とも思う。まあしかし、ターゲットがコンパクトカメラやスマートフォンのユーザーなんだから仕方ないとは思う。だがそれにしても、「ライブビューで撮るのがこれからの一眼レフのスタンダード！」的なアピールはいかがなものかと思う。
一方Nikonは、モニターをタッチパネル化していない。また、1シリーズで業界トップクラスの高速な像面位相差フォーカスを実現しているが、一眼レフでは採用していない。
その代わり、従来通りの（像面でない）位相差フォーカスユニットとして、D5300には測距点39点という破格のスペックのもの、D3200でも同11点を積んでいて、2モデルとも9点に留まるCanonとは一線を画している。
このように、特にD5300では「一眼レフならでは」を思い切り主張するユニットが投入されていて、かなり中級機に近い性能を実現していることが分かる。帝人が開発した新しい炭素素材でモノコック構造を取り入れたのも新しい。逆にD3200は年明けにも後継D3300の発表が確実視されている、モデル末期と言える。
Nikon D3200
ただこれらNikon2機種は、これだけ「一眼レフならでは」を主張しながら、肝心の光学ファインダーのスペックが低い。D5300は視野率95%、倍率82%、D3200は視野率95%、倍率79%だ。これはせっかくの光学ファインダーなのに像が小さいことを意味する。ライブビューを散々推進しているCanonでもKiss7iが視野率95%、倍率85%、Kiss7が視野率95%、倍率87%（ファインダーのスペックにおいても下位機種7が7iを凌駕している）と、Nikonよりもかなり見やすいファインダーを実現していることは興味深い。
でも...やっぱり「一眼レフ」にこだわってるのはPentaxだ（いきなりだな）。ディジタル一眼レフカメラの入門機であるK-50のファインダーは視野率100%、倍率92%と、破格のスペックを誇る。
ただ、PentaxはX7iやD5300のようなバリアングルモニターはないし、Canonが推進する像面位相差AFもない。あくまで「一眼レフ」にこだわっている。俺はそこが好きなのだが、果たしていわゆるビギナーに対してどうか、というと微妙だ。
閑話休題。
さて、俺のような酔狂でなく、子ども達の思い出記録用として購入しようというビギナーの方々にとって最も大事なのが価格であろう。
実は、これがとても面白い現象が起きている。以降記載する価格はボディのみでレンズを含まない。12月後半、俺調べの最安価格だ。
Nikonは新しくて高機能なD5300が7万円台なのに対し、1年落ちの下位機種D3200が3万円程度まで下がっている。
逆にCanonは上位機種X7iが事実上の型落ちなので6万円弱で、下位ながら最新のX7は5万円を超えている。
つまり、
7万：D5300
6万：KissX7i
5万：KissX7
3万：D3200
と、綺麗に並んでいるのである。
とことん安くしたいなら、D3200だろう。年明けには後継のD3300が発表されてX7と競合することになる。そう考えるとD3200はかなりお値頃と見ていい。
ライブビューを重視したいなら（俺はその視点はオススメしないが）、Canonだ。とことん楽しむならモニターが動くX7iということになるが、先述のように実態は型落ちで、像面位相差も旧世代であるのが残念なところだ。
一方、モニターは固定でいいし、小さくて軽いのが良ければX7で間違いない。ただ、最新型で、しかも人気があるため価格がなかなか下がってこない。
ビギナーでも、中級機なみの機能が欲しいならD5300だ。像面位相差AFではないがバリアングルのモニターによるライブビューを楽しめるし、光学ファインダー撮影時に使用するデバイスも高性能だ。ただ、その光学ファインダーの像が小さいのは残念だ。
あ、ついでに先述したPentaxのK-50についても。
K-50の最大の強みは、光学手ブレ補正機構がボディ側にあることだ。これはつまり、全てのレンズで手ブレ補正が利くことを意味する。
また、ダイヤルがボディの前後に1つずつ装備されているので、中級者以上が操る際にも有利だ。AFポイントも11点（クロス9点）と、ビギナークラスにしては多めだ。さらに、多少の埃や雨にも耐える防塵防滴構造を備える。
Pentax K-50
もちろん簡略された点もあるが、ボディ価格は5万ほどで、手頃だ。少し凝りたい、特に「従来通りの一眼レフ」を楽しみたい人にはK-50をお勧めしたい。
このように、ビギナー向けディジタル一眼レフは、たくさんあるように見えて、以外と特徴や値段が分散していることが分かる。
ちゃんとこれらを把握して店に行けば、店員の言いなりになって望みもしないカメラを買わされることもなくなる。たとえ型落ちでも、その特徴と値段に納得してから購入していただきたいと思うのだ。
つづく。
nobilesの投稿(23:11:33-2013-12-25) -
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