NOBILES Days
Jump to navigationLotus Blossoms(7) --- Tidal Wave
ようやく夏風邪から会社に復帰したが...実は37度の熱を持ったままの見切り発車だった。幸いにして先週のうちに大きなものは片付けておいたので、怠い中でも細々した仕事を処理していった。
ああ、実はうちの会社来週1週間夏休みなのだ。なので、あと一日会社行けば長期休みに逃げ込める。周りももう、「リハビリだね」というテンションなのが有り難かった。
それにしても、夏風邪のしつこさよ。
一方、俺以上に長く咳と熱につきまとわれている次女は、ついに本格的に検査をした。どうやら、長女と同様に気管支が弱く、炎症を起こしていてそれが咳と熱をもたらしていたのだろう、ということだ。可哀想に。まあ、長女も常時予防の薬を飲むことで抑えられてきたので、次女もそういう形になるのかな。
まずは、今の咳と熱が早くひいて欲しい。
だいぶ空いちゃったけど、まだ諦めてなかったよ、Lotus食玩勝手に解説コーナー。6台中3台だから、まだ半分しか終わってないからね。
Lotus81
(PentaxK-7, PentaxFA43mmLimitedF1.9+MacroRing2, 5.0sec, F5.6, ISO100)
Lotus食玩を時系列で並べると、前回触れた、'80〜'81年マシンである81の次は'85年マシンである97Tまで飛ぶ。この間、Lotusには大きな出来事が起きた。それだけではない、F-1界全体がかつてない事態に揺さぶられることになった。
今回から数回はその辺りのドラマを述べていくことにしよう。って既にLotus食玩どうでも良くなってね！？
ベンチュリーカー百花繚乱となった'80年には、ベンチュリーカーに起因する新たな問題が勃発していた。
まずドライバー達が訴えたのが、マシンの足回りの硬さである。
先述のように、ベンチュリーカーにおいては、マシンと路面の関係が一定、つまり車高が変化しないことが望ましい。そのために、本来はしなやかに動いて路面からの衝撃を吸収するためのサスペンションは、ガチガチに固められることになった。
結果として、300km/hで疾走するマシンが路面から受ける衝撃は、ほとんど減衰することなく、ドライバーを襲うことになった。もはや、モンスターゴーカートである。これによってドライバー寿命が大幅に短くなったという意見もあるほどだ。
ドライバーよりも傷みがもっと直接的だったのがサーキットの路面である。
ベンチュリーカーのサイドポンツーンに設けられたベンチュリー構造の側面をシールするスカートは、Wolf WR5を始祖として、スプリングで路面に押し付けられるようになった。
数kgはあるであろう板が、300km/hで疾走するマシンによって、常に路面に押し付けられて引きずられているわけである。路面の傷み方は想像するに難くない。
さらに深刻だったのはこのスカートのトラブルである。縁石に乗り上げたりしてスカートが上がり、そのままスプリングのトラブルで降りてこなくなれば、ベンチュリーのシール（遮蔽）がなくなり、一気にダウンフォースが失われる。ダウンフォースが増えてコーナーリングスピードが上がれば上がるほど、それが失われた時のアクシデントは深刻さを増す。
それが原因と言われているのが、8/1のホッケンハイムでのAlfaromeoの事故だ。
1979年途中でブラバムへのエンジン供給が終了したAlfaromeoは、自前のF-1チームでシャシーも制作して参戦した。フルワークスとしては、ファン・マヌエル・ファンジオがチャンピオンを獲得した1951年以来の復帰である。
そのマシン、フラット12気筒搭載の177と、ブラバムとのコラボレーションの遺産ともいうべきV12エンジンを積みベンチュリーカーとなった179はしかし、思ったように走らなかった。グリッドは中団に沈み、完走さえできなかった。
Alfaromeo179
1980年、そんなAlfaromeoに、優勝経験もあり、開発力も評価されていたパトリック・デュパイエが加入した。
しかし、デュパイエをもってしてもAlfaromeoは完走できないレースが続いた。それでも、グリッドは少しずつ上昇して、トップコンテンダーの一角と言えるところまで来ていた。
そして、ドイツGP前週のこのテストだ。
テストは好調に開始された。計測2周目には、翌週行われた本番のレースで8番手に相当するタイムを叩き出していた。
だが、次の3周目は3分を超えてもデュパイエはホームストレートに戻って来なかった。
否、永遠に、である。
デュパイエはピットから最も遠いオスト・カーブでクラッシュしていた。
当時は、F-1に急激な電子化がもたらされた「ホンダ以前」であり、マシンの状況を逐一モニタリングできるテレメトリーがなかったし、無線も貧弱だった。加えて、安全体制も甘く、テスト時はコース脇のマーシャルの数が極端に少なかった。
コースを外れ、ガードレールや柵をなぎ倒し、マシンがバラバラになる大クラッシュだったのに、その瞬間を目撃した者はいなかった。
クラッシュしてから恐らく5分以上経ってようやくマーシャルが到着すると、コース外でバラバラになったマシンのコクピットにデュパイエは閉じ込められていた。ヘルメットが潰れていた。即死だった。マシンは何度も横転したようだった。
このクラッシュの原因は、結局明確になっていない。しかし、当時オストは緩いカーブだったことから（この事故を機にシケインとなった）、ドライビングミスではなく操縦不能になった、つまり強大なダウンフォースが失われた＝空力パーツのトラブルであるという見方が多い。
この事故を受け、統括団体であるFISA（現在のFIA）は、検討していた空力規制案を前倒しで適用することを決めた。
それが1981年から施行された、スライディングスカートの禁止と、最低車高60mmという規制である。 これにより、スカートが路面を引きずるのを防ぐとともに、ベンチュリーのシール性を下げて、天井知らずのダウンフォースを削減しようとしたのだ。
だが、ここまで読んで疑問に感じないだろうか。デュパイエのアクシデントは、目撃者もなく、空力パーツの破損が原因というのも推測に過ぎない。ろくに検証もされていない。なのにそれを口実に開幕戦まで半年を切った翌年のレギュレーションの変更をするのは、いささか性急ではないか。
ここに、この時代のF-1に横たわる大きな背景の一端が垣間見られる。
1970年代初頭はオイルショックでメーカーが撤退し、Ferrari以外はすべてCosworthDFV、などという、一面で見れば暗黒の時代だった。しかし一方で、同一エンジンという条件が、イギリスのコンストラクターズたちのアイディアを喚起し、シャシー側の性能を大きく引き上げる一因ともなった。
しかし、オイルショックも一段落した'70年代後半となると、メーカー達がF-1へ戻り始める。RenaultはF-1のタブーを破るターボエンジンを、Alfaromeoはフラット12気筒（前述のようにその後V12エンジンに変更）を投入した。フラット12気筒のFerrariと合わせると、メーカー系はシャシー技術よりもエンジンパワーでスピードを得ようという意図は明らかだった。
そして実際70年代後半のF-1のスターティンググリッドの上位はこれらメーカー勢が占めるようになっていた。
そこに、ベンチュリーカーという「革命」が起きた。ベンチュリーカーは、パワーのある大きなエンジン、とりわけ、幅が広いフラット型とはすこぶる相性が悪かった。
イギリスのコンストラクターズ達のベンチュリーカーの凄まじいコーナーリングスピードに対抗するためには、いくら強大なエンジンをもってしても、どうにかベンチュリーを採用しなければ勝負にならなかった。しかし、フラットエンジンのままでは、それもままならない。
活躍するのは当たり前と思って大金を突っ込んでエンジン作ったのに、中段に沈んでは面白いわけがない。
そして同じ構図はF-1自体の運営・興行にも存在した。
この連載の最初に取り上げたLotus72で'70年のチャンピオンに輝いたヨッヘン・リントは同年、その決定を待たずに事故死した。そのマネージャーを務めていたのがバーニー・エクレストンである。
バーニーはオートバイ販売店で大成功をあげながら、自身もレースに参戦するなど、モータースボーツへの傾倒が強い実業家だった。
1957年にスチュワート・ルイス・エバンスという期待のドライバーのマネージャーに就いてF-1に関わるようになったバーニーだが、翌年そのルイス・エバンスを事故で亡くし、しばらくモータースポーツから離れていた。
だが、さらに輝ける才能のリントと出会ったことでF-1に戻ったバーニーは再びその友を失った。しかし、今度はモータースポーツへの情熱が途切れることはなかった。
'72年にBrabhamを、前年にジャック・ブラバムから全株を譲渡されたばかりのロン・トーラナック（彼自身、初期ブラバムを支えた著名な技術者である）から購入し、オーナーになったのである。
オーナーになるや、経営者としてのスキルをすぐに発揮し、各チームのリーダー達の代表として各国のレースオーガナイザーと契約金などの交渉をまとめあげた。
1974年に、前身のF1CAが発展して発足した、F-1コンストラクターズの連盟団体であるFOCA(Formula One Constractors Association)に当初から深く関わり、1978年には会長に就任した。
この間に、F-1は、莫大なテレビ放映権を扱うなど、スポーツビジネスとして飛躍的に進歩を遂げ、開催国も増えていった。エクレストンの功績である。これにより彼は、運営面にもかなり発言力を強めていった。事実上、エクレストンはF-1界のボスになった。
だが当時、本来F-1を統括するのは、国際自動車連盟FIAだった。
FIAは、エクレストンがFOCAの会長になったことに警戒を強め、組織変更を行い、モータースポーツを取り仕切る下部団体、国際自動車スポーツ連盟FISAを結成した。
その会長に就いたのが、フランス自動車連盟の設立にも携わった大物、ジャン・マリー・バレストルだった。彼は先日のセナの話題でも出てきたね。
バレストルは、F-1を統括しているのはFISAであることを誇示するべく、レギュレーション変更に強硬に踏み込もうとした。それが、ベンチュリーカーの効果を大幅に削ぐ、スライディングスカートの禁止と、車高5cm規定である。想像に難くないが、このFISAの姿勢には、Ferrari、Alfaromeo、Renaultの大陸メーカー系が賛同した。ここにLotus、Brabham、McLarenら、FOCA系チームとの対立が表面化する。
FOCAは、独立をちらつかせ抵抗する。1980年スペインGPはFISA系メーカーチームがボイコットして無効レースとされた。さらに、1981年初頭にFOCAは南アフリカGPの単独開催に踏み切る。しかし、これは興行としては失敗する。
結局、1981年の本格的な開幕を前に両者は和解にこぎつける。
これがコンコルド協定である。
ここに、運営面はFISA、商業・興行面はFOCAという、現在まで続く明確な役割分担が確立された。協定の内容は公開されていないが、全てのチームが署名し、利益分配なども細かく決められている。
これがF-1が真の近代化の礎と言っても過言ではないだろう。なぜならコンコルド協定は5年に一度更新され、内容を変更しながら現在も有効だからだ。
これがF-1界を大きく揺さぶったFOCAとFISAの対立である。
あれ？Lotus食玩の話どこ行ったんだ？いやいや、LotusもFOCA側プレイヤーだったんだよって話で。
つづく。
ああ、実はうちの会社来週1週間夏休みなのだ。なので、あと一日会社行けば長期休みに逃げ込める。周りももう、「リハビリだね」というテンションなのが有り難かった。
それにしても、夏風邪のしつこさよ。
一方、俺以上に長く咳と熱につきまとわれている次女は、ついに本格的に検査をした。どうやら、長女と同様に気管支が弱く、炎症を起こしていてそれが咳と熱をもたらしていたのだろう、ということだ。可哀想に。まあ、長女も常時予防の薬を飲むことで抑えられてきたので、次女もそういう形になるのかな。
まずは、今の咳と熱が早くひいて欲しい。
だいぶ空いちゃったけど、まだ諦めてなかったよ、Lotus食玩勝手に解説コーナー。6台中3台だから、まだ半分しか終わってないからね。
Lotus81
(PentaxK-7, PentaxFA43mmLimitedF1.9+MacroRing2, 5.0sec, F5.6, ISO100)
Lotus食玩を時系列で並べると、前回触れた、'80〜'81年マシンである81の次は'85年マシンである97Tまで飛ぶ。この間、Lotusには大きな出来事が起きた。それだけではない、F-1界全体がかつてない事態に揺さぶられることになった。
今回から数回はその辺りのドラマを述べていくことにしよう。って既にLotus食玩どうでも良くなってね！？
ベンチュリーカー百花繚乱となった'80年には、ベンチュリーカーに起因する新たな問題が勃発していた。
まずドライバー達が訴えたのが、マシンの足回りの硬さである。
先述のように、ベンチュリーカーにおいては、マシンと路面の関係が一定、つまり車高が変化しないことが望ましい。そのために、本来はしなやかに動いて路面からの衝撃を吸収するためのサスペンションは、ガチガチに固められることになった。
結果として、300km/hで疾走するマシンが路面から受ける衝撃は、ほとんど減衰することなく、ドライバーを襲うことになった。もはや、モンスターゴーカートである。これによってドライバー寿命が大幅に短くなったという意見もあるほどだ。
ドライバーよりも傷みがもっと直接的だったのがサーキットの路面である。
ベンチュリーカーのサイドポンツーンに設けられたベンチュリー構造の側面をシールするスカートは、Wolf WR5を始祖として、スプリングで路面に押し付けられるようになった。
数kgはあるであろう板が、300km/hで疾走するマシンによって、常に路面に押し付けられて引きずられているわけである。路面の傷み方は想像するに難くない。
さらに深刻だったのはこのスカートのトラブルである。縁石に乗り上げたりしてスカートが上がり、そのままスプリングのトラブルで降りてこなくなれば、ベンチュリーのシール（遮蔽）がなくなり、一気にダウンフォースが失われる。ダウンフォースが増えてコーナーリングスピードが上がれば上がるほど、それが失われた時のアクシデントは深刻さを増す。
それが原因と言われているのが、8/1のホッケンハイムでのAlfaromeoの事故だ。
1979年途中でブラバムへのエンジン供給が終了したAlfaromeoは、自前のF-1チームでシャシーも制作して参戦した。フルワークスとしては、ファン・マヌエル・ファンジオがチャンピオンを獲得した1951年以来の復帰である。
そのマシン、フラット12気筒搭載の177と、ブラバムとのコラボレーションの遺産ともいうべきV12エンジンを積みベンチュリーカーとなった179はしかし、思ったように走らなかった。グリッドは中団に沈み、完走さえできなかった。
Alfaromeo179
1980年、そんなAlfaromeoに、優勝経験もあり、開発力も評価されていたパトリック・デュパイエが加入した。
しかし、デュパイエをもってしてもAlfaromeoは完走できないレースが続いた。それでも、グリッドは少しずつ上昇して、トップコンテンダーの一角と言えるところまで来ていた。
そして、ドイツGP前週のこのテストだ。
テストは好調に開始された。計測2周目には、翌週行われた本番のレースで8番手に相当するタイムを叩き出していた。
だが、次の3周目は3分を超えてもデュパイエはホームストレートに戻って来なかった。
否、永遠に、である。
デュパイエはピットから最も遠いオスト・カーブでクラッシュしていた。
当時は、F-1に急激な電子化がもたらされた「ホンダ以前」であり、マシンの状況を逐一モニタリングできるテレメトリーがなかったし、無線も貧弱だった。加えて、安全体制も甘く、テスト時はコース脇のマーシャルの数が極端に少なかった。
コースを外れ、ガードレールや柵をなぎ倒し、マシンがバラバラになる大クラッシュだったのに、その瞬間を目撃した者はいなかった。
クラッシュしてから恐らく5分以上経ってようやくマーシャルが到着すると、コース外でバラバラになったマシンのコクピットにデュパイエは閉じ込められていた。ヘルメットが潰れていた。即死だった。マシンは何度も横転したようだった。
このクラッシュの原因は、結局明確になっていない。しかし、当時オストは緩いカーブだったことから（この事故を機にシケインとなった）、ドライビングミスではなく操縦不能になった、つまり強大なダウンフォースが失われた＝空力パーツのトラブルであるという見方が多い。
この事故を受け、統括団体であるFISA（現在のFIA）は、検討していた空力規制案を前倒しで適用することを決めた。
それが1981年から施行された、スライディングスカートの禁止と、最低車高60mmという規制である。 これにより、スカートが路面を引きずるのを防ぐとともに、ベンチュリーのシール性を下げて、天井知らずのダウンフォースを削減しようとしたのだ。
だが、ここまで読んで疑問に感じないだろうか。デュパイエのアクシデントは、目撃者もなく、空力パーツの破損が原因というのも推測に過ぎない。ろくに検証もされていない。なのにそれを口実に開幕戦まで半年を切った翌年のレギュレーションの変更をするのは、いささか性急ではないか。
ここに、この時代のF-1に横たわる大きな背景の一端が垣間見られる。
1970年代初頭はオイルショックでメーカーが撤退し、Ferrari以外はすべてCosworthDFV、などという、一面で見れば暗黒の時代だった。しかし一方で、同一エンジンという条件が、イギリスのコンストラクターズたちのアイディアを喚起し、シャシー側の性能を大きく引き上げる一因ともなった。
しかし、オイルショックも一段落した'70年代後半となると、メーカー達がF-1へ戻り始める。RenaultはF-1のタブーを破るターボエンジンを、Alfaromeoはフラット12気筒（前述のようにその後V12エンジンに変更）を投入した。フラット12気筒のFerrariと合わせると、メーカー系はシャシー技術よりもエンジンパワーでスピードを得ようという意図は明らかだった。
そして実際70年代後半のF-1のスターティンググリッドの上位はこれらメーカー勢が占めるようになっていた。
そこに、ベンチュリーカーという「革命」が起きた。ベンチュリーカーは、パワーのある大きなエンジン、とりわけ、幅が広いフラット型とはすこぶる相性が悪かった。
イギリスのコンストラクターズ達のベンチュリーカーの凄まじいコーナーリングスピードに対抗するためには、いくら強大なエンジンをもってしても、どうにかベンチュリーを採用しなければ勝負にならなかった。しかし、フラットエンジンのままでは、それもままならない。
活躍するのは当たり前と思って大金を突っ込んでエンジン作ったのに、中段に沈んでは面白いわけがない。
そして同じ構図はF-1自体の運営・興行にも存在した。
この連載の最初に取り上げたLotus72で'70年のチャンピオンに輝いたヨッヘン・リントは同年、その決定を待たずに事故死した。そのマネージャーを務めていたのがバーニー・エクレストンである。
バーニーはオートバイ販売店で大成功をあげながら、自身もレースに参戦するなど、モータースボーツへの傾倒が強い実業家だった。
1957年にスチュワート・ルイス・エバンスという期待のドライバーのマネージャーに就いてF-1に関わるようになったバーニーだが、翌年そのルイス・エバンスを事故で亡くし、しばらくモータースポーツから離れていた。
だが、さらに輝ける才能のリントと出会ったことでF-1に戻ったバーニーは再びその友を失った。しかし、今度はモータースポーツへの情熱が途切れることはなかった。
'72年にBrabhamを、前年にジャック・ブラバムから全株を譲渡されたばかりのロン・トーラナック（彼自身、初期ブラバムを支えた著名な技術者である）から購入し、オーナーになったのである。
オーナーになるや、経営者としてのスキルをすぐに発揮し、各チームのリーダー達の代表として各国のレースオーガナイザーと契約金などの交渉をまとめあげた。
1974年に、前身のF1CAが発展して発足した、F-1コンストラクターズの連盟団体であるFOCA(Formula One Constractors Association)に当初から深く関わり、1978年には会長に就任した。
この間に、F-1は、莫大なテレビ放映権を扱うなど、スポーツビジネスとして飛躍的に進歩を遂げ、開催国も増えていった。エクレストンの功績である。これにより彼は、運営面にもかなり発言力を強めていった。事実上、エクレストンはF-1界のボスになった。
だが当時、本来F-1を統括するのは、国際自動車連盟FIAだった。
FIAは、エクレストンがFOCAの会長になったことに警戒を強め、組織変更を行い、モータースポーツを取り仕切る下部団体、国際自動車スポーツ連盟FISAを結成した。
その会長に就いたのが、フランス自動車連盟の設立にも携わった大物、ジャン・マリー・バレストルだった。彼は先日のセナの話題でも出てきたね。
バレストルは、F-1を統括しているのはFISAであることを誇示するべく、レギュレーション変更に強硬に踏み込もうとした。それが、ベンチュリーカーの効果を大幅に削ぐ、スライディングスカートの禁止と、車高5cm規定である。想像に難くないが、このFISAの姿勢には、Ferrari、Alfaromeo、Renaultの大陸メーカー系が賛同した。ここにLotus、Brabham、McLarenら、FOCA系チームとの対立が表面化する。
FOCAは、独立をちらつかせ抵抗する。1980年スペインGPはFISA系メーカーチームがボイコットして無効レースとされた。さらに、1981年初頭にFOCAは南アフリカGPの単独開催に踏み切る。しかし、これは興行としては失敗する。
結局、1981年の本格的な開幕を前に両者は和解にこぎつける。
これがコンコルド協定である。
ここに、運営面はFISA、商業・興行面はFOCAという、現在まで続く明確な役割分担が確立された。協定の内容は公開されていないが、全てのチームが署名し、利益分配なども細かく決められている。
これがF-1が真の近代化の礎と言っても過言ではないだろう。なぜならコンコルド協定は5年に一度更新され、内容を変更しながら現在も有効だからだ。
これがF-1界を大きく揺さぶったFOCAとFISAの対立である。
あれ？Lotus食玩の話どこ行ったんだ？いやいや、LotusもFOCA側プレイヤーだったんだよって話で。
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nobilesの投稿(23:49:10-2012-07-19) -
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