NOBILES Days
Jump to navigationThe trend of digital camera 2015 - vol.1
やっと1週間が終わった。
長期休み明けインフル明けの身体に、2つ抱えたヘビーな仕事がますますヘビーになって襲いかかってきたので、結構体力的に厳しかった。
まあ、修羅場は金払ってでもくぐれ、って言うからね。
The Bells
いつも初詣で訪れる寺（初詣なのに寺？）に、新たに大仏さまと、それを取り囲むように鐘が設置された
(PentaxK-3, PentaxFA77mmLimitedF1.8, 1/1000sec, F3.2, ISO100)
さてー、最近全然書いてなかったので、そろそろ書くとするかな。デジカメトーク。
まず、前回カメラレビューを書いた時点から大きく変わったのが、コンパクトカメラの市場が事実上終焉を迎えつつあるということだ。ま、もともと小欄においてはコンパクトカメラはほぼ無視状態だったわけだが (^_^;。
この現象については、皆が実感していることだろうと思うが、スマートフォンで撮影した画像がコンパクトカメラのそれと画質面で大差なくなってきたことが大きいだろう。スマートフォンに搭載される演算素子（IC）の性能が飛躍的に上がったことで、信号処理の性能で見ればコンパクトカメラと同等以上になってきたためだ。
実際にはレンズや撮像素子には差があるはずだが、それが気にならないレベルになってきている。また、スマートフォンには基本的には光学ズームがないので、その点はコンパクトカメラの大きなアドヴァンテージのはずなのだが、多くの人はスマートフォンでのトリミングやディジタルズームで十分だと感じているわけだ。
いつも持ち歩くスマートフォンで、自分が満足できる品質の画像を得られるなら、わざわざ荷物を増やす理由はない。
加えて、写真を撮る目的も大きく変化した。撮った写真は、SNSにすぐにアップロードし、多くの人に公開するようになった。ネットとの連携、速報性が重要になったわけだ。その点で、コンパクトカメラはスマートフォンに絶対的に敵うわけがなかった。
そんなわけで、ほぼ全てのカメラ会社が一般的なコンパクトカメラの開発からは撤退してしまった。今存在する一般のコンパクトカメラは大概外部委託で作られていると思っていい。
代わって各社がコンパクトカメラの分野で力を入れているのは、一芸系である。高級コンパクト、高倍率、そしてタフネスの3部門である。
ディジタルカメラの黎明期には多かったのに、爆発的普及期に消えていたのが高級コンパクトというカテゴリーだ。
すなわち、本格的な撮影に対応したレンズ一体型ディジタルカメラと言い換えていいだろう。たとえば、撮像素子が大きいとか、画像処理エンジンが一眼レフと同じ高コストのものを使っているとか、サイズに余裕があってグリップに革が巻いてあるとか。まあ明らかにメインターゲットはシニア、というカメラである。
高級コンパクトの雄、よく比較されるSONY RX100mk3とCanon Powershot G7X
これらのモデルは、実はそれなりに頑張って作っているだけあって、かつての「なんちゃって高級機」とは違う、本当に「写真が趣味の人」の実用に耐える製品が増えてきている。
以前触れた、35mmフルサイズの撮像素子を積んだPanasonic DMC-FZ10より小さいサイズで、FZ10を大きく超える倍率を誇るズームレンズを積んでいる。
しかも、FZ10の系列にあるFZ1000や、SONYのRX10は、高級機と高倍率機が融合している。すなわち、1インチの大型素子に、画角変化10倍近い高倍率ズームレンズが組み合わされている。それでいてサイズはFZ10と大差ない。10年間のディジタルカメラの進化だ。
でもなあ。高倍率機は残念ながらニッチ分野なんだろうなあ。運動会に臨むオトーサン達は大概ビデオ買っちゃうんだろうし。あんな手ブレだらけ、冗長だらけの動画なんていつ見るんだ？と個人的に思うんで、ぜひ高倍率機を買って静止画で残すことをお勧めしたいが。
あとはタフネス防水系だけど、こちらは以前と大して状況変わらないかなあ。こっちのジャンルも大型素子に超広角レンズ積んだら、食いつく人はいると思うんだけど。
唯一Nikonは、1万円台の防水カメラを揃えたり、レンズ交換式であるOneシリーズの防水モデルを投入するなど気を吐いているのだが、どうにもアピールが下手なのか、あまり認知度が高まっている印象がない。もったいない。
さて、ここからはいわゆるレンズ交換式カメラに絞った話をする。
この分野ではようやくカメラの本質的進化に重点が置かれ始めたと感じている。
ちょうど前回書いた頃、ディジタル一眼レフで主流な、APS-Cサイズの撮像素子が2000万画素に達した時期だった。これを境にして、ようやく高画素化一辺倒の流れが落ち着いてきた。微細度が受光性能の限界に達しつつあるのか、ファイルサイズがあまりに膨れたためなのかは不明だが、これによって、ディジタルカメラの進化は、画素数以外の部分が中心になってきたということが言える。
別に画素数の増加はカメラの本質的進化ではない、と言いたいのではない。しかし、この「数字だけで語れるスペック」だけに進化が偏りがちだったことは否めない。
APS-Cで2000万画素を超えたことには意味があって、これまではモアレ（現実には存在しない、周期的なパターンに現れる、色ズレによる模様）を抑えるために必要だったローパスフィルターを外しても実害ないレベルになったのだ（ローパスフィルターは、わざわざ撮像素子の解像度を下げるものであって、モアレを抑える以外になんの役にも立たない高価な部品だった）。
これにより、いくつかのメーカーはローパスフィルターの除去に踏み切り、そうでないメーカーもフィルターの効果を落としつつあり、撮像素子が本来持っている解像力を発揮できる環境が整ってきた。
信号処理の進化により、高感度性能が飛躍的に上がったのもここ数年である。APS-Cサイズの素子のカメラならたいがい、最高感度はISO25600辺りを達成している。これは、家庭用照明の常夜灯下でも、昼のような明るさで撮影できるほどの感度と思っていい。
フルサイズ素子で高感度性能を上げることを主眼に置いたSONYのα-7Sでは、なんと最高感度ISO409600を達成している。これは肉眼でほぼ真っ暗な状況でも昼間並みの明るさで撮れるレベルだ。メーカーのサンプル動画を見るとその凄まじさに驚く。
また、PanasonicやSONY（のミラーレス機）など、これまではレンズ側での手振れ補正を推進してきたグループが、カメラボディ側での手振れ補正機構を導入してきたこともトピックだろう。特にOlympusやSONYの補正機構は、回転ブレだけを補正する一般的な3軸だけでなく、XY方向のブレにも対応した5軸補正を誇る。
どれだけタイミング良くシャッターをきっても、画像がブレていては大半は失敗作となる。被写体ブレなどの別の要因はあるにせよ、大きな原因の一つである撮影者の手振れを少しでも低減させることは撮影の可能性を広げる素晴らしい技術だ。いろんな意見はあるが、個人的にはこうした進化は大いに歓迎したい。
それから、いわゆるミラーレス機の性能向上も触れておこう。
「ミラーレス機はフォーカス速度が一眼レフに劣る」と言われて久しい。現状それが払拭されたとは言いきれないが、像面位相差式の導入や、コントラスト式の速度向上により特にワンショットの速度においてはかなり実用的になってきたと言える。少なくとも、コンパクトカメラ的に使っても大外しをしないレベルには来たと思える。ちなみにコンパクトカメラは撮像素子が小さい分被写界深度が非常に深く、ピントの大外しが少なくなる。
また、各社で特徴が際立った製品が増えてきたのは喜ばしい。例えば画質にフォーカスしたり、連写にフォーカスしたり、小型化にフォーカスしたりと、消費者としても選択しやすい状況になってきたのではないかと思う。
以上が概況である。次回からは例によって各社のモデルについて勝手にレビューをしたい。したいけど、以前のように全部触れる体力があるかなー？
長期休み明けインフル明けの身体に、2つ抱えたヘビーな仕事がますますヘビーになって襲いかかってきたので、結構体力的に厳しかった。
まあ、修羅場は金払ってでもくぐれ、って言うからね。
The Bells
いつも初詣で訪れる寺（初詣なのに寺？）に、新たに大仏さまと、それを取り囲むように鐘が設置された
(PentaxK-3, PentaxFA77mmLimitedF1.8, 1/1000sec, F3.2, ISO100)
さてー、最近全然書いてなかったので、そろそろ書くとするかな。デジカメトーク。
まず、前回カメラレビューを書いた時点から大きく変わったのが、コンパクトカメラの市場が事実上終焉を迎えつつあるということだ。ま、もともと小欄においてはコンパクトカメラはほぼ無視状態だったわけだが (^_^;。
この現象については、皆が実感していることだろうと思うが、スマートフォンで撮影した画像がコンパクトカメラのそれと画質面で大差なくなってきたことが大きいだろう。スマートフォンに搭載される演算素子（IC）の性能が飛躍的に上がったことで、信号処理の性能で見ればコンパクトカメラと同等以上になってきたためだ。
実際にはレンズや撮像素子には差があるはずだが、それが気にならないレベルになってきている。また、スマートフォンには基本的には光学ズームがないので、その点はコンパクトカメラの大きなアドヴァンテージのはずなのだが、多くの人はスマートフォンでのトリミングやディジタルズームで十分だと感じているわけだ。
いつも持ち歩くスマートフォンで、自分が満足できる品質の画像を得られるなら、わざわざ荷物を増やす理由はない。
加えて、写真を撮る目的も大きく変化した。撮った写真は、SNSにすぐにアップロードし、多くの人に公開するようになった。ネットとの連携、速報性が重要になったわけだ。その点で、コンパクトカメラはスマートフォンに絶対的に敵うわけがなかった。
そんなわけで、ほぼ全てのカメラ会社が一般的なコンパクトカメラの開発からは撤退してしまった。今存在する一般のコンパクトカメラは大概外部委託で作られていると思っていい。
代わって各社がコンパクトカメラの分野で力を入れているのは、一芸系である。高級コンパクト、高倍率、そしてタフネスの3部門である。
ディジタルカメラの黎明期には多かったのに、爆発的普及期に消えていたのが高級コンパクトというカテゴリーだ。
すなわち、本格的な撮影に対応したレンズ一体型ディジタルカメラと言い換えていいだろう。たとえば、撮像素子が大きいとか、画像処理エンジンが一眼レフと同じ高コストのものを使っているとか、サイズに余裕があってグリップに革が巻いてあるとか。まあ明らかにメインターゲットはシニア、というカメラである。
高級コンパクトの雄、よく比較されるSONY RX100mk3とCanon Powershot G7X
これらのモデルは、実はそれなりに頑張って作っているだけあって、かつての「なんちゃって高級機」とは違う、本当に「写真が趣味の人」の実用に耐える製品が増えてきている。
以前触れた、35mmフルサイズの撮像素子を積んだPanasonic DMC-FZ10より小さいサイズで、FZ10を大きく超える倍率を誇るズームレンズを積んでいる。
しかも、FZ10の系列にあるFZ1000や、SONYのRX10は、高級機と高倍率機が融合している。すなわち、1インチの大型素子に、画角変化10倍近い高倍率ズームレンズが組み合わされている。それでいてサイズはFZ10と大差ない。10年間のディジタルカメラの進化だ。
でもなあ。高倍率機は残念ながらニッチ分野なんだろうなあ。運動会に臨むオトーサン達は大概ビデオ買っちゃうんだろうし。あんな手ブレだらけ、冗長だらけの動画なんていつ見るんだ？と個人的に思うんで、ぜひ高倍率機を買って静止画で残すことをお勧めしたいが。
あとはタフネス防水系だけど、こちらは以前と大して状況変わらないかなあ。こっちのジャンルも大型素子に超広角レンズ積んだら、食いつく人はいると思うんだけど。
唯一Nikonは、1万円台の防水カメラを揃えたり、レンズ交換式であるOneシリーズの防水モデルを投入するなど気を吐いているのだが、どうにもアピールが下手なのか、あまり認知度が高まっている印象がない。もったいない。
さて、ここからはいわゆるレンズ交換式カメラに絞った話をする。
この分野ではようやくカメラの本質的進化に重点が置かれ始めたと感じている。
ちょうど前回書いた頃、ディジタル一眼レフで主流な、APS-Cサイズの撮像素子が2000万画素に達した時期だった。これを境にして、ようやく高画素化一辺倒の流れが落ち着いてきた。微細度が受光性能の限界に達しつつあるのか、ファイルサイズがあまりに膨れたためなのかは不明だが、これによって、ディジタルカメラの進化は、画素数以外の部分が中心になってきたということが言える。
別に画素数の増加はカメラの本質的進化ではない、と言いたいのではない。しかし、この「数字だけで語れるスペック」だけに進化が偏りがちだったことは否めない。
APS-Cで2000万画素を超えたことには意味があって、これまではモアレ（現実には存在しない、周期的なパターンに現れる、色ズレによる模様）を抑えるために必要だったローパスフィルターを外しても実害ないレベルになったのだ（ローパスフィルターは、わざわざ撮像素子の解像度を下げるものであって、モアレを抑える以外になんの役にも立たない高価な部品だった）。
これにより、いくつかのメーカーはローパスフィルターの除去に踏み切り、そうでないメーカーもフィルターの効果を落としつつあり、撮像素子が本来持っている解像力を発揮できる環境が整ってきた。
信号処理の進化により、高感度性能が飛躍的に上がったのもここ数年である。APS-Cサイズの素子のカメラならたいがい、最高感度はISO25600辺りを達成している。これは、家庭用照明の常夜灯下でも、昼のような明るさで撮影できるほどの感度と思っていい。
フルサイズ素子で高感度性能を上げることを主眼に置いたSONYのα-7Sでは、なんと最高感度ISO409600を達成している。これは肉眼でほぼ真っ暗な状況でも昼間並みの明るさで撮れるレベルだ。メーカーのサンプル動画を見るとその凄まじさに驚く。
また、PanasonicやSONY（のミラーレス機）など、これまではレンズ側での手振れ補正を推進してきたグループが、カメラボディ側での手振れ補正機構を導入してきたこともトピックだろう。特にOlympusやSONYの補正機構は、回転ブレだけを補正する一般的な3軸だけでなく、XY方向のブレにも対応した5軸補正を誇る。
どれだけタイミング良くシャッターをきっても、画像がブレていては大半は失敗作となる。被写体ブレなどの別の要因はあるにせよ、大きな原因の一つである撮影者の手振れを少しでも低減させることは撮影の可能性を広げる素晴らしい技術だ。いろんな意見はあるが、個人的にはこうした進化は大いに歓迎したい。
それから、いわゆるミラーレス機の性能向上も触れておこう。
「ミラーレス機はフォーカス速度が一眼レフに劣る」と言われて久しい。現状それが払拭されたとは言いきれないが、像面位相差式の導入や、コントラスト式の速度向上により特にワンショットの速度においてはかなり実用的になってきたと言える。少なくとも、コンパクトカメラ的に使っても大外しをしないレベルには来たと思える。ちなみにコンパクトカメラは撮像素子が小さい分被写界深度が非常に深く、ピントの大外しが少なくなる。
また、各社で特徴が際立った製品が増えてきたのは喜ばしい。例えば画質にフォーカスしたり、連写にフォーカスしたり、小型化にフォーカスしたりと、消費者としても選択しやすい状況になってきたのではないかと思う。
以上が概況である。次回からは例によって各社のモデルについて勝手にレビューをしたい。したいけど、以前のように全部触れる体力があるかなー？
nobilesの投稿(23:48:24-2015-01-09) -
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