NOBILES Days
Jump to navigationFrankly Speaking... Vol.6
会社の自主サマータイム導入に合わせ、当初は早まった分きっちり45分早めて家を出ていたが、それではいろいろ効率が悪かったので、日を追うごとに出発時間はどんどん早くなり、今は5:55発が定着した。
これなら、確実に座れて、乗り換えなしで会社最寄り駅まで行ける直通電車に乗れるし、わずかだが残業もつく。
それよりも、帰りに苦慮した。定時時間から3分後の電車を逃すと24分間、電車がないのだ。
だが、これも早く出社することでできた貯金を利用し、早く帰ることで解決した。夜のニュースやスポーツといったテレビが見れないのは少し残念だが、しばらくこのリズムでやってみよう。
さてこの4/1で、転職してちょうど1年が経った。初出勤は本当に緊張したが、今では一定の地位も築けたと思う。
この4月で配属グループも変わった。もともとそこの手伝いをすることも多かったので、まあ自然な流れと言える。早速、無茶な仕事が待っているという (^_^;。よーしゃ、しっかり捌いてみせたろうじゃんか。
Hand to hand
(PentaxK-7, PentaxFA43mmLimitedF1.9, 1/60sec, F2.8, ISO800)
嫁さんの妹の先日産まれた娘だ。明日は、俺の妹の娘に会いにいく予定だ。
さて、しばらく震災ドキュメンタリーにかかりきりだったが、転職1周年記念前職ぶっちゃけ日記を再開しよう。
前職ぶっちゃけ日記
「6.火の玉、堕ちた」
*** Back Number ***
1.野放し
2.OFコンビ（ボンクラ親父達）
3.堕落人
4.砂上の楼閣1
5.砂上の楼閣2
前回までの設備の話から離れて今度は人の話をしよう。やっぱ、対象がモノだと内容もライトだったよね。
さてまず、ボスのグループについて話そう。
以前にも触れた通り、俺が4年前の秋に編入されたこのグループは、他の人から「あいつのグループに入るなんて可哀想に」なんて言われちゃうほど、業務がハードなグループとして名を馳せた。
ボスとは、ボスがグループを持つ前に少し一緒に仕事をしたことがあったから、入る時からして不安はなかったし、結論的に言っても、俺は決してこのグループが酷いところだったとは思っていない。
ならば、なぜそんな印象が強かったのかと言えば、まず歯に衣着せぬ豪胆なボス本人のイメージがあるだろう。加えて、ボスはそれまでに派遣社員を4、5人切っていた。「クラッシャー」なんていうあだ名で呼ぶ人までいた。
あのグループで開発していたシステムは、パラメータを自動で決めるためのもので、ボスは膨大なデータから法則性を見つけ、アルゴリズムを発案する。
主に派遣社員に任されたのは、これをプログラムとして起こすことだ。湯水のように湧き上がってくるボスのアイディアを形にするために、プログラムは最終的には数十万行レベルの巨大なものになった。だから、要求される技術レベルも必然的に高かった。
だから人が必要になった時、当然ボスも社員を入れるよう要求していた。しかし当時は「人が足りなきゃとりあえず派遣社員」、なんていう安直な流れがあった。
結果、割り当てられたのは、「ブーちゃん」と「トンガリ」という二人の派遣社員だった。
それはまだ会社の移転前、俺も他の課にいた頃だから8〜9年は前だろうか。牧歌的な時代だ。
「トンガリ」はまるでスネ夫...もとい、キテレツ大百科のトンガリのような風貌で、だからそのあだ名になったというヤツだ。「ブーちゃん」は、その名の通りガタイがでかく、言ってみればジャイアン、ブタゴリラ系だが、性格はのび太という感じだった。
まずトンガリがすぐに脱落した。
もともと挙動不審っぽいところがあり、変わった奴だと思っていたが、後からボスに聞いたら想像以上だったようだ。
仕事中眠くなってくると、自分の手の甲にペンの先を刺していたのだという。おいおい、そりゃ自傷行為だぞ。
一番衝撃的だったのは、ICの貼り替えをさせた時らしい。
開発の現場では、試作品のICを最新版に貼り替えるなんてことは頻繁に行われる。もともと付いているICの足に丁寧に熱風を当ててハンダを溶かし、剥がす。端子に残ったハンダを一旦掃除したら、新しいICを載せ、足を端子にハンダ付けしていく。
当時だから、多分足の本数は144とか176だったろうか。でも、一本一本やっていくわけではなく、適量のハンダを全体に流し込み、足と足の間のハンダをうまく吸い取ってやればいいので、さほど難しいというわけではない。ただ、この作業でIC周辺の小さな部品も巻き添えで吹っ飛んで行く場合があるので、しっかりケアする必要がある。
...知らない人にとっては未知でワケの分からん世界とは思うが、電気技術者としては、基本的技能と言って良いだろう。
電気技術者として派遣会社に登録しているくらいだから、当然トンガリにも可能とボスも思い、依頼したのだという。
トンガリ「できました」
ボス「おーう、結構時間かかったな。早速投入してくれ」
俺が携わっていた製品は1kg程度、サイズは弁当箱くらいだった。試作品は、弁当箱となる鉄のガワを外してプラスチックのボディを裸にしていて、下部には電気基板を剥き出しにしていた。さらに、空冷でキーコンポーネントの温度管理をしやすいように3〜4cmの高さの細い足をつけて、少し浮くようなスタイルにしていた。
ICを交換した試作品に電源をつなぐトンガリ。その方向を何気なく向いていたボスはその時、足によって3〜4cm高くなっている電気基板の下側がほのかに赤く光るのを見た。
そして次の瞬間、それは火の玉のようになって落下した。さっき貼り替えたばかりのICだ。
燃えてはいけない物が燃えた、嫌な臭いが立ち込める。パニックに陥るトンガリ。
「何やってんだ、早く電源落とせよ！」
火の玉になって落ちたICは作業台の上に敷いてあったゴムマットをわずかに溶かして止まった。
ボスが、電源を落とした試作品を取り上げてひっくり返して基板を見ると、それは酷い状態だった。
ICの周囲の部品が軒並み、ハンダでショートしたり、吹き飛んでいたりしていた。
そして、ICがあった場所も、何しろ火の玉になって落ちたから状況はなにかしら変化はしているだろうが、どう見てもハンダを盛りすぎて端子間がショートしまくっていたことが容易に推察できる跡があった。
要するに、先ほど述べた「ケア」をなに一つやらないまま、電源とグランドのショートすら確かめることなく、何も考えずに電源を入れたのだ。
それから程なくだ。ボスがトンガリを切る、と課長に言いに行ったのは。
確かトリガーがあったはずだが具体的にも思い出せない。
でも、変なイベント好きなボスが、彼を試すような仕掛けをしたら、ボスが覗き見てるのも知らずにトンガリがえらく小賢しい真似をしたとか、そんな理由だったと思う。
結局、ボスのもとには「ブーちゃん」一人が残された。
今回はこの辺にしといたろか。次回も、ボスのもとにいた派遣クン列伝を続けよう。
つづく。
これなら、確実に座れて、乗り換えなしで会社最寄り駅まで行ける直通電車に乗れるし、わずかだが残業もつく。
それよりも、帰りに苦慮した。定時時間から3分後の電車を逃すと24分間、電車がないのだ。
だが、これも早く出社することでできた貯金を利用し、早く帰ることで解決した。夜のニュースやスポーツといったテレビが見れないのは少し残念だが、しばらくこのリズムでやってみよう。
さてこの4/1で、転職してちょうど1年が経った。初出勤は本当に緊張したが、今では一定の地位も築けたと思う。
この4月で配属グループも変わった。もともとそこの手伝いをすることも多かったので、まあ自然な流れと言える。早速、無茶な仕事が待っているという (^_^;。よーしゃ、しっかり捌いてみせたろうじゃんか。
Hand to hand
(PentaxK-7, PentaxFA43mmLimitedF1.9, 1/60sec, F2.8, ISO800)
嫁さんの妹の先日産まれた娘だ。明日は、俺の妹の娘に会いにいく予定だ。
さて、しばらく震災ドキュメンタリーにかかりきりだったが、転職1周年記念前職ぶっちゃけ日記を再開しよう。
前職ぶっちゃけ日記
「6.火の玉、堕ちた」
*** Back Number ***
1.野放し
2.OFコンビ（ボンクラ親父達）
3.堕落人
4.砂上の楼閣1
5.砂上の楼閣2
前回までの設備の話から離れて今度は人の話をしよう。やっぱ、対象がモノだと内容もライトだったよね。
さてまず、ボスのグループについて話そう。
以前にも触れた通り、俺が4年前の秋に編入されたこのグループは、他の人から「あいつのグループに入るなんて可哀想に」なんて言われちゃうほど、業務がハードなグループとして名を馳せた。
ボスとは、ボスがグループを持つ前に少し一緒に仕事をしたことがあったから、入る時からして不安はなかったし、結論的に言っても、俺は決してこのグループが酷いところだったとは思っていない。
ならば、なぜそんな印象が強かったのかと言えば、まず歯に衣着せぬ豪胆なボス本人のイメージがあるだろう。加えて、ボスはそれまでに派遣社員を4、5人切っていた。「クラッシャー」なんていうあだ名で呼ぶ人までいた。
あのグループで開発していたシステムは、パラメータを自動で決めるためのもので、ボスは膨大なデータから法則性を見つけ、アルゴリズムを発案する。
主に派遣社員に任されたのは、これをプログラムとして起こすことだ。湯水のように湧き上がってくるボスのアイディアを形にするために、プログラムは最終的には数十万行レベルの巨大なものになった。だから、要求される技術レベルも必然的に高かった。
だから人が必要になった時、当然ボスも社員を入れるよう要求していた。しかし当時は「人が足りなきゃとりあえず派遣社員」、なんていう安直な流れがあった。
結果、割り当てられたのは、「ブーちゃん」と「トンガリ」という二人の派遣社員だった。
それはまだ会社の移転前、俺も他の課にいた頃だから8〜9年は前だろうか。牧歌的な時代だ。
「トンガリ」はまるでスネ夫...もとい、キテレツ大百科のトンガリのような風貌で、だからそのあだ名になったというヤツだ。「ブーちゃん」は、その名の通りガタイがでかく、言ってみればジャイアン、ブタゴリラ系だが、性格はのび太という感じだった。
まずトンガリがすぐに脱落した。
もともと挙動不審っぽいところがあり、変わった奴だと思っていたが、後からボスに聞いたら想像以上だったようだ。
仕事中眠くなってくると、自分の手の甲にペンの先を刺していたのだという。おいおい、そりゃ自傷行為だぞ。
一番衝撃的だったのは、ICの貼り替えをさせた時らしい。
開発の現場では、試作品のICを最新版に貼り替えるなんてことは頻繁に行われる。もともと付いているICの足に丁寧に熱風を当ててハンダを溶かし、剥がす。端子に残ったハンダを一旦掃除したら、新しいICを載せ、足を端子にハンダ付けしていく。
当時だから、多分足の本数は144とか176だったろうか。でも、一本一本やっていくわけではなく、適量のハンダを全体に流し込み、足と足の間のハンダをうまく吸い取ってやればいいので、さほど難しいというわけではない。ただ、この作業でIC周辺の小さな部品も巻き添えで吹っ飛んで行く場合があるので、しっかりケアする必要がある。
...知らない人にとっては未知でワケの分からん世界とは思うが、電気技術者としては、基本的技能と言って良いだろう。
電気技術者として派遣会社に登録しているくらいだから、当然トンガリにも可能とボスも思い、依頼したのだという。
トンガリ「できました」
ボス「おーう、結構時間かかったな。早速投入してくれ」
俺が携わっていた製品は1kg程度、サイズは弁当箱くらいだった。試作品は、弁当箱となる鉄のガワを外してプラスチックのボディを裸にしていて、下部には電気基板を剥き出しにしていた。さらに、空冷でキーコンポーネントの温度管理をしやすいように3〜4cmの高さの細い足をつけて、少し浮くようなスタイルにしていた。
ICを交換した試作品に電源をつなぐトンガリ。その方向を何気なく向いていたボスはその時、足によって3〜4cm高くなっている電気基板の下側がほのかに赤く光るのを見た。
そして次の瞬間、それは火の玉のようになって落下した。さっき貼り替えたばかりのICだ。
燃えてはいけない物が燃えた、嫌な臭いが立ち込める。パニックに陥るトンガリ。
「何やってんだ、早く電源落とせよ！」
火の玉になって落ちたICは作業台の上に敷いてあったゴムマットをわずかに溶かして止まった。
ボスが、電源を落とした試作品を取り上げてひっくり返して基板を見ると、それは酷い状態だった。
ICの周囲の部品が軒並み、ハンダでショートしたり、吹き飛んでいたりしていた。
そして、ICがあった場所も、何しろ火の玉になって落ちたから状況はなにかしら変化はしているだろうが、どう見てもハンダを盛りすぎて端子間がショートしまくっていたことが容易に推察できる跡があった。
要するに、先ほど述べた「ケア」をなに一つやらないまま、電源とグランドのショートすら確かめることなく、何も考えずに電源を入れたのだ。
それから程なくだ。ボスがトンガリを切る、と課長に言いに行ったのは。
確かトリガーがあったはずだが具体的にも思い出せない。
でも、変なイベント好きなボスが、彼を試すような仕掛けをしたら、ボスが覗き見てるのも知らずにトンガリがえらく小賢しい真似をしたとか、そんな理由だったと思う。
結局、ボスのもとには「ブーちゃん」一人が残された。
今回はこの辺にしといたろか。次回も、ボスのもとにいた派遣クン列伝を続けよう。
つづく。
nobilesの投稿(19:52:20-2011-04-02) -
カテゴリ: Main
コメント
KZO wrote:
今回のネタは笑わせてもらいました。なんかスネ夫っぽい派遣さんいたね。さえない感じの。。
2011-04-03 20:27:02
nobiles wrote:
ようこそ、KZOちゃん (^_^;。
そうか、KZOちゃんもSTGやってた頃にいたか、トンガリ。
そうか、KZOちゃんもSTGやってた頃にいたか、トンガリ。
2011-04-03 23:17:54
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