NOBILES Days
Jump to navigationFrankly Speaking... Vol.9
週末は、選挙で近くの小学校...まあ嫁さんの母校なわけだが、投票に行った。娘は、広くて花がいっぱいの校庭に興奮し、ずっと走り回っていた。
桜も綺麗で、カメラを持っていって良かった。去年は全然撮れなかっただけに今年は結構撮影の機会をとれて、満足できた。また小出しにしていこう。
天気はあまり良くなかったけどね
(PentaxK-7, PentaxDA21mmLimitedF3.2, 1/250sec, F4.5, ISO100)
さて、前職ぶっちゃけ日記、どんどん行こう。でも、たまには他の話題も挟んでもいい？（誰に対して？？？）
前職ぶっちゃけ日記
「9.斜陽」
*** Back Number ***
1.野放し
2.OFコンビ（ボンクラ親父達）
3.堕落人
4.砂上の楼閣1
5.砂上の楼閣2
6.火の玉、堕ちた
7.さよなら、ブーちゃん
8.新たなるチャレンジ
前職がまだ牧歌的な場所にあった頃の話だ。もう5年以上前になる。後に俺の前職での最後のボスになった男は、管理職でもリーダー職でもないのに、個室を持つことになった。
個別の空調を持ち、温度管理を厳密に行えるようになったその部屋で、ボスは新たに、自社製品と製品群Dとの自動マッチングシステムの開発に入った。
しかし、製品群Dの自動マッチングはボスの想像以上に困難だった。ボスに反発していたSSKやFの主張は、必ずも言いがかりとばかりも言えなかったのだ。
それでも、ボスはやり方を変えなかった。ひたすら愚直にデータを取り、どうしたらシステムが止まらずに結果を導くことができるかを考え続けた。
仮にシステムが結果を出せなければ、自身の作業量で補い、さもシステムの成果のように発表した。
それは嘘と言えばそうなのだが、絶対に成果を出せると信じているシステムが、その段階では使い物にならないことを露呈すれば、プロジェクトが潰されてしまうという危機感からだ。
会社からチャリで10分程度のところに住んでいたボスは、ほぼ全ての週末も会社に通い、システムが止まっていないか確認していた。
そんな時、施錠しない習慣の個室が、なぜか施錠されていて部屋に入れないという不思議な現象に見舞われたこともある。ま、これについてはおいおい（あれ、書くの？？）。
システムの未完成を補うため、毎晩のようによなか2時とかまで残ってシステムの面倒を見た。
ある意味では狂気の世界だ。この辺りが、ぬるま湯なあの会社の社風とは相入れなかったところだろう。
その甲斐あって、システムは徐々に完成度を上げていった。それまでFらが、課長言うところの「職人芸」で導き出していたパラメーターよりも性能が良く、マージンが広いパラメーターをはじき出すようになっていった。そして、Fの仕事をどんどん奪っていった。
「俺はあのバカにした連中を見返してやるのがエネルギーだったからな」。その頃のことを話すボスの顔は誇らしげだった。
だがその頃、ボスのことを鼻で笑ったSSKは、さらに新しい製品群「B」の開発部隊へと異動になり、フロアも離れてしまったのでボスのシステムの成果を目の当たりにすることはなかった。
しかし、やがてボスに斜陽の時がやってくる。部長が代わったのだ。無論、俺が会社を辞めたときの、あの部長である。
新しい部長は最初からボスのシステムに否定的な人だった。明言はしなかったが、「そんな莫大な金と設備でその程度の効果なら畳んじまえ」という態度が有り有りだった。いや、口ではよく「感謝してる」とか言ってたけどね。
まず人の引き剥がしが始まった。
「本来、製品自体の設計の現場を見て欲しかったのに、パラメーターを決めるシステムの設計ばかりさせておくのは良くない」
そんな理屈で、OKDとODが違うグループへ移籍することになった。
あ、忘れてたけど、実はブーちゃんがいなくなった後、OKDとODと同じ会社から、2人より1つ年上のOKUD（イニシャル重なりすぎだよ (′Д`;）というメンバーも、ボスのグループに補充されて4人グループになっていた。だが、OKUDは先の2人よりも内向的で仕事自体もアレだったため、短い期間で他のグループへ移籍させられていた。
いずれにせよ、これではまたボスは1人に戻ってしまう。
今思えば、もしそれが部全体としての開発の方針であれば、本当にボスのシステムを切るというのもアリだったのではないかと俺は思う。むしろ、その方がボスも納得していたのではないか、とすら思う。でも、ここで完全に切らずに、中途半端に生煮えで残す辺りが純日本企業である前職ゆえだろう。ボスには「プログラムのエキスパート」という触れ込みの、かなり年配の派遣社員1名があてがわれ、開発を続けることになった。
この派遣社員はボス達からは「おっさん」と呼ばれていた。あ、もちろん裏でね。
まあ、見た目そのまんまだ。小柄の中年太りにバーコードな頭髪と、絵に描いたようなおっさんだった。
おっさんは、俺の前職の会社の中でも、もう一方の事業所でかなり難しいプロジェクトを手がけていたということだった。
だが、ボスとの最初のミーティングで、おっさんはこう言い放った。
「仕様書は？ないの？そんな、仕様書もないようなどうしようもないプロジェクトでは働けない。」
そして実際、おっさんはろくにボスのシステムに手を付けようともしなかった。そして、数ヶ月と経たないうちに、当然のように契約終了となった。
この事態は、非常に重要な意味がある。大きなプロジェクトに関わったエキスパートなプログラマーであればあるほど、仕様書を神とするようになっていく。極論すれば、システムが何をするかはどうでもいい。ただ仕様書通りにプログラミングを構築することが仕事だと言える。いや、ほんとに優秀だったらちゃんと役割を理解してプログラミングするのだろうけど。
だが、ボスがやりたかったことは、今あるアイディアを具現化することではない。
プログラマーも一緒にいろんな検討をして、アイディアを出し合い、少しずつ新しい機能を盛り込んで改良しながら、理想のシステムを作り上げていくことだった。だから、システム全体の仕様書なんてものは最初から存在しなかった。なぜなら、日々コンセプトが進化していくからだ。だが、個々の細かい機能については、プログラミングをするにおいて十分な資料があった。
人をあてがう上長は、この思想をなかなか理解できなかった。
でも、それは無理もないこととも言えた。仮にも前職は大企業という部類に属する会社だった。電気技術者とプログラマーは厳密に分業され、組織も異なっていた。
そう、ボスのプロジェクトはベンチャーイズムが強過ぎた。ハナから、大企業であるあの会社においては異色の存在で、他の人間にとって何をしているのかわからないところだった。ボス自身がそのことに「本質的に」気づき、行動するまでにはさらに数年を要した。
つづく。
桜も綺麗で、カメラを持っていって良かった。去年は全然撮れなかっただけに今年は結構撮影の機会をとれて、満足できた。また小出しにしていこう。
天気はあまり良くなかったけどね
(PentaxK-7, PentaxDA21mmLimitedF3.2, 1/250sec, F4.5, ISO100)
さて、前職ぶっちゃけ日記、どんどん行こう。でも、たまには他の話題も挟んでもいい？（誰に対して？？？）
前職ぶっちゃけ日記
「9.斜陽」
*** Back Number ***
1.野放し
2.OFコンビ（ボンクラ親父達）
3.堕落人
4.砂上の楼閣1
5.砂上の楼閣2
6.火の玉、堕ちた
7.さよなら、ブーちゃん
8.新たなるチャレンジ
前職がまだ牧歌的な場所にあった頃の話だ。もう5年以上前になる。後に俺の前職での最後のボスになった男は、管理職でもリーダー職でもないのに、個室を持つことになった。
個別の空調を持ち、温度管理を厳密に行えるようになったその部屋で、ボスは新たに、自社製品と製品群Dとの自動マッチングシステムの開発に入った。
しかし、製品群Dの自動マッチングはボスの想像以上に困難だった。ボスに反発していたSSKやFの主張は、必ずも言いがかりとばかりも言えなかったのだ。
それでも、ボスはやり方を変えなかった。ひたすら愚直にデータを取り、どうしたらシステムが止まらずに結果を導くことができるかを考え続けた。
仮にシステムが結果を出せなければ、自身の作業量で補い、さもシステムの成果のように発表した。
それは嘘と言えばそうなのだが、絶対に成果を出せると信じているシステムが、その段階では使い物にならないことを露呈すれば、プロジェクトが潰されてしまうという危機感からだ。
会社からチャリで10分程度のところに住んでいたボスは、ほぼ全ての週末も会社に通い、システムが止まっていないか確認していた。
そんな時、施錠しない習慣の個室が、なぜか施錠されていて部屋に入れないという不思議な現象に見舞われたこともある。ま、これについてはおいおい（あれ、書くの？？）。
システムの未完成を補うため、毎晩のようによなか2時とかまで残ってシステムの面倒を見た。
ある意味では狂気の世界だ。この辺りが、ぬるま湯なあの会社の社風とは相入れなかったところだろう。
その甲斐あって、システムは徐々に完成度を上げていった。それまでFらが、課長言うところの「職人芸」で導き出していたパラメーターよりも性能が良く、マージンが広いパラメーターをはじき出すようになっていった。そして、Fの仕事をどんどん奪っていった。
「俺はあのバカにした連中を見返してやるのがエネルギーだったからな」。その頃のことを話すボスの顔は誇らしげだった。
だがその頃、ボスのことを鼻で笑ったSSKは、さらに新しい製品群「B」の開発部隊へと異動になり、フロアも離れてしまったのでボスのシステムの成果を目の当たりにすることはなかった。
しかし、やがてボスに斜陽の時がやってくる。部長が代わったのだ。無論、俺が会社を辞めたときの、あの部長である。
新しい部長は最初からボスのシステムに否定的な人だった。明言はしなかったが、「そんな莫大な金と設備でその程度の効果なら畳んじまえ」という態度が有り有りだった。いや、口ではよく「感謝してる」とか言ってたけどね。
まず人の引き剥がしが始まった。
「本来、製品自体の設計の現場を見て欲しかったのに、パラメーターを決めるシステムの設計ばかりさせておくのは良くない」
そんな理屈で、OKDとODが違うグループへ移籍することになった。
あ、忘れてたけど、実はブーちゃんがいなくなった後、OKDとODと同じ会社から、2人より1つ年上のOKUD（イニシャル重なりすぎだよ (′Д`;）というメンバーも、ボスのグループに補充されて4人グループになっていた。だが、OKUDは先の2人よりも内向的で仕事自体もアレだったため、短い期間で他のグループへ移籍させられていた。
いずれにせよ、これではまたボスは1人に戻ってしまう。
今思えば、もしそれが部全体としての開発の方針であれば、本当にボスのシステムを切るというのもアリだったのではないかと俺は思う。むしろ、その方がボスも納得していたのではないか、とすら思う。でも、ここで完全に切らずに、中途半端に生煮えで残す辺りが純日本企業である前職ゆえだろう。ボスには「プログラムのエキスパート」という触れ込みの、かなり年配の派遣社員1名があてがわれ、開発を続けることになった。
この派遣社員はボス達からは「おっさん」と呼ばれていた。あ、もちろん裏でね。
まあ、見た目そのまんまだ。小柄の中年太りにバーコードな頭髪と、絵に描いたようなおっさんだった。
おっさんは、俺の前職の会社の中でも、もう一方の事業所でかなり難しいプロジェクトを手がけていたということだった。
だが、ボスとの最初のミーティングで、おっさんはこう言い放った。
「仕様書は？ないの？そんな、仕様書もないようなどうしようもないプロジェクトでは働けない。」
そして実際、おっさんはろくにボスのシステムに手を付けようともしなかった。そして、数ヶ月と経たないうちに、当然のように契約終了となった。
この事態は、非常に重要な意味がある。大きなプロジェクトに関わったエキスパートなプログラマーであればあるほど、仕様書を神とするようになっていく。極論すれば、システムが何をするかはどうでもいい。ただ仕様書通りにプログラミングを構築することが仕事だと言える。いや、ほんとに優秀だったらちゃんと役割を理解してプログラミングするのだろうけど。
だが、ボスがやりたかったことは、今あるアイディアを具現化することではない。
プログラマーも一緒にいろんな検討をして、アイディアを出し合い、少しずつ新しい機能を盛り込んで改良しながら、理想のシステムを作り上げていくことだった。だから、システム全体の仕様書なんてものは最初から存在しなかった。なぜなら、日々コンセプトが進化していくからだ。だが、個々の細かい機能については、プログラミングをするにおいて十分な資料があった。
人をあてがう上長は、この思想をなかなか理解できなかった。
でも、それは無理もないこととも言えた。仮にも前職は大企業という部類に属する会社だった。電気技術者とプログラマーは厳密に分業され、組織も異なっていた。
そう、ボスのプロジェクトはベンチャーイズムが強過ぎた。ハナから、大企業であるあの会社においては異色の存在で、他の人間にとって何をしているのかわからないところだった。ボス自身がそのことに「本質的に」気づき、行動するまでにはさらに数年を要した。
つづく。
nobilesの投稿(23:52:25-2011-04-11) -
カテゴリ: Main
コメント
左往右往 wrote:
できれば前職ぶっちゃけ日記だけを毎日書いてください。
2011-04-12 21:18:16
nobiles wrote:
まあトビラ文で他のこと書きたい欲はそこそこ満たせてるんだけど...
...ってどなた？
...ってどなた？
2011-04-12 23:32:00
左往右往 wrote:
左脳右脳さんの後輩でございます。
2011-04-13 00:29:46
nobiles_mobile wrote:
左脳右脳さんが誰かは知ってるけどなあ。
新入職員さん？
新入職員さん？
2011-04-13 06:52:46
左往右往 wrote:
前職ぶっちゃけ日記を世界一楽しみにしている役人です。
2011-04-13 12:52:29
nobiles_mobile wrote:
I see!
でも、そんなに楽しみにするほどのこと書いてないけど (^_^;
でも、そんなに楽しみにするほどのこと書いてないけど (^_^;
2011-04-13 16:50:12
左往右往 wrote:
>施錠しない習慣の個室がなぜか施錠されておらず、
>部屋に入れないという不思議な現象に見舞われたこともある。
>ま、これについてはおいおい。
1行目はよく分からないが､楽しみにしているよ。
>部屋に入れないという不思議な現象に見舞われたこともある。
>ま、これについてはおいおい。
1行目はよく分からないが､楽しみにしているよ。
2011-04-13 19:19:55
nobiles wrote:
誤字指摘ありがとうございます (′Д`;
2011-04-13 20:04:26
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