NOBILES Days
Jump to navigationFrankly Speaking... Vol.11
4月になってグループを移ってから出張が増えた。
今回は初めてある事業所に行った。そこは、一昨年まで住んでいた前の家に割と近く、車を買ったディーラーの往復で良く前を通っていた。
だから、行くまでの電車も、かつての生活圏（前職の社屋〜前の家の最寄り駅）をそのまま通るので、どこか懐かしさというか、甘酸っぱさというか、そんな感覚がない混ぜになった。
それはともかく、仕事ではかなり幅広い分野をやらせてもらっている。それぞれが新鮮で、人との出会いが楽しい。
朝日に向かってのびる桜
(PentaxK-7, PentaxDA15mmLimitedF4, 1/40sec, F10.0, ISO100)
さて、その前職のぶっちゃけ日記の第11弾。やっと目次作ったよ（”Read More!"の中ね）。
前職ぶっちゃけ日記
「11.ドロンパ、郷里に帰る」
*** Back Number ***
1.野放し
2.OFコンビ（ボンクラ親父達）
3.堕落人
4.砂上の楼閣1
5.砂上の楼閣2
6.火の玉、堕ちた
7.さよなら、ブーちゃん
8.新たなるチャレンジ
9.斜陽
10.ハイテンション・プログラマー
新たにボスのグループに加わった「ドロンパ」は、長くアメリカで暮らしていたためか、個性派揃いだった前職の職場でも浮いちゃうくらい妙なハイテンションの男だった。
が、実は彼はゲームのプログラムをバリバリやっていた、優秀なプログラマーでもあった。
ドロンパは、まだ20代半ばを過ぎた程度だったが、そんなアメリカーンで奔放な印象とは裏腹に結婚していて、子どもまでいた。何しろ、最初の自己紹介の挨拶の時に「子どもが生まれたばかりでゴキゲンで〜す」みたいなことを言っていたくらいだ。
そんなドロンパの様子がある時からおかしくなった。
ボスが「どうしたんだお前」的な感じで聞いたところ、家庭のことで悩んでいると言った。
曰く、奥さんが妙にギャルギャルな格好をして出かけたり、こそこそ電話をしていたりで様子がおかしく、不倫しているのではないか、というわけだ。だから、携帯を覗こうかどうか悩んでいる、と。
「お前はどうしたいんだよ？不倫でも見つけて断罪させんのか？」
「いえ、元に戻りたいです。」
「じゃあ絶対にケータイは見るな。それより、家庭を修復するためにやるべきことを考えろ。」
ドロンパは一応納得した。
しかしその週明け、彼はボスの個室に出勤するなり、突然号泣を始めた。
「オオオオオオーーーーーンン！」
まるで咆哮するかのように大声をあげて泣き、その場に崩れ落ちるドロンパ。部屋にいた全員が慄いた。タダごとではないと察したボスが急いで部屋のドアを閉めて中から鍵をかけた。
ドロンパの号泣は止まらない。ボスが寄っていって、「まず落ち着けよ、オイ」と声をかけるが、まるで赤子よろしくただただ嗚咽を漏らすばかりだ。個室とはいえ、壁は薄いので声が漏れるし、グループ以外の人間も使う測定器などもあるから、いつまでも鍵をかけておくわけにはいかない。
...そうそう人に迷惑かかるからね、鍵かけたら。
しょうがないので、「いいかお前、ちょっとだけ泣くの我慢しろ。黙ってダッシュだぞ！」と、会社のジャンバーか何かをドロンパの頭から被せ、スギさんと2人で両脇を固め、同じ階にあった仮眠室まで連れて行った。それはそれでエラく怪しかったろうが、俺が知らなかったんだから、あまり目撃者もいなかったんだろう。
仮眠室でしばらく過ごし、落ち着いてくると、ドロンパは号泣のわけを話し始めた。
結局、ドロンパは奥さんのケータイを覗き見してしまったのだった。そして、そこには想像を越えたおぞましい事実が広がっていた。
彼女は、出会い系サイトにハマっていたのだった。しかも、そこに自分の裸の写真まで掲載していたのだ。出会い系どころか、完全に「お相手」募集である。っていうか、乳幼児抱えてどこにそんな暇があるんだ？
事実を吐露して、ドロンパは完全に憔悴していた。とても仕事をできそうになかった。
「お前、今日もう帰りな。」
「あの、妻に電話してくれませんか？」
「あ？？」
要は、ボスの方から電話して、仕事ですごく頑張っていること、それで体調を崩してしまった的なことを言ってくれ、というのである。
「ありゃ、嫁さんにかまってもらいたいだけだな。」
後年、俺達にこの話をした時に、ボスはそう言っていた。
この件よりも前のことだと思うが、ドロンパはよく、奥さんと思しき相手と、かなり乱暴な言葉遣いで電話をしていたのは俺も目撃していた。
あの奔放な性格だけに、奥さんのご機嫌とりじゃないが、心の添わせ方は下手だったんじゃないかな、と俺も思った。
「そんなメンドーな話に首突っ込みたくねーよ！」とボスは断固拒否した。しかしグシャグシャな顔でドロンパが乞い続けるので、最後は折れた。
ドロンパの脚本通り、仕事で無理をさせてしまって申し訳ない、ホントに良くやっている、みたいなことを言って（謝らさせられるなんてえらいトバッチリだ）、最寄りの駅まで迎えに来てくれるよう頼んだ。
電話を切ったボスに、ドロンパは今度は「一緒に来てくれませんか？」と言い出した。
いやまあ確かに、具合悪くして迎えに来てもらうのに、一人でピンピン駅まで行くのも変な話だ。...結局は、半分は仮病であろうドロンパのために、わざわざタクシーまで呼んで駅まで送って行くことになった。朝からボスの仕事は完全停止である。
心の離れてしまった奥さんの気を引くためのドロンパ脚本の茶番劇。キーパーソンに祭り上げられてしまったボスと、主人公ドロンパを乗せたタクシーが、片田舎にあった当時の会社の最寄り駅のロータリーに滑り込む。
憔悴したフリ？のドロンパがちらちらと駅の出口を見て「あ、います。あれです。」と言った。
出会い系サイトなんかにハマる人妻はどんな奴かと、下世話な話大好きなボスが凝視すると、そこにはベビーカーを傍に置いた小柄な女性が立っていた。何やら、ギャルギャルというよりフリフリな格好をしている。
タクシーがロータリーを回って、ちょうどその女性の前あたりまで行って止まった。顔が見えた。
「驚れーたよ。あの山田ハナちゃんが、フリフリな服着てベビーカー押してそこにいたんだもん」
ボスが言ってるのはもちろん、吉本にいる本物の山田花子ではない。風貌がそっくりだったというのだ。
「いやー、出会い系の広告とかでスンゲー可愛い子の写真とか載ってるの見てさ、さすがにそんなレベルのが来るわけないとは思ってたけど、実際やってんのはああいうヤツらなんだな。俺、手ぇ出さなくてよかったよ。」
ボスはニヤニヤしながら回想したものだ。
憔悴しきったドロンパと、フリフリな山田花子と、そのジュニア（乳飲み子）は電車で帰って行った。
確かその後も、ドロンパはボスにこの件を相談していたらしい。だが、それからそう経たないうちに、山田花子、もとい奥さんは子どもを置いて消えたらしい。
さすがに乳飲み子を連れて、しかもボスのグループにいて男手一人というのは難しい。だから彼は両親と住むべく郷里の金沢に帰ることにしたのだ。
これが、ドロンパ脱落の真実だ。
せっかく見つけた、自分のペースに合致する大掘り出し物なプログラマーを、ボスはこんな理由でみすみす手放すハメになったのだった。
まあ、仕事はできたけど、ちょっと壊れた人だったのは事実かもしれない。
これでまた、ボスのシステムの進化は停滞することになった。
つづく。
今回は初めてある事業所に行った。そこは、一昨年まで住んでいた前の家に割と近く、車を買ったディーラーの往復で良く前を通っていた。
だから、行くまでの電車も、かつての生活圏（前職の社屋〜前の家の最寄り駅）をそのまま通るので、どこか懐かしさというか、甘酸っぱさというか、そんな感覚がない混ぜになった。
それはともかく、仕事ではかなり幅広い分野をやらせてもらっている。それぞれが新鮮で、人との出会いが楽しい。
朝日に向かってのびる桜
(PentaxK-7, PentaxDA15mmLimitedF4, 1/40sec, F10.0, ISO100)
さて、その前職のぶっちゃけ日記の第11弾。やっと目次作ったよ（”Read More!"の中ね）。
前職ぶっちゃけ日記
「11.ドロンパ、郷里に帰る」
*** Back Number ***
1.野放し
2.OFコンビ（ボンクラ親父達）
3.堕落人
4.砂上の楼閣1
5.砂上の楼閣2
6.火の玉、堕ちた
7.さよなら、ブーちゃん
8.新たなるチャレンジ
9.斜陽
10.ハイテンション・プログラマー
新たにボスのグループに加わった「ドロンパ」は、長くアメリカで暮らしていたためか、個性派揃いだった前職の職場でも浮いちゃうくらい妙なハイテンションの男だった。
が、実は彼はゲームのプログラムをバリバリやっていた、優秀なプログラマーでもあった。
ドロンパは、まだ20代半ばを過ぎた程度だったが、そんなアメリカーンで奔放な印象とは裏腹に結婚していて、子どもまでいた。何しろ、最初の自己紹介の挨拶の時に「子どもが生まれたばかりでゴキゲンで〜す」みたいなことを言っていたくらいだ。
そんなドロンパの様子がある時からおかしくなった。
ボスが「どうしたんだお前」的な感じで聞いたところ、家庭のことで悩んでいると言った。
曰く、奥さんが妙にギャルギャルな格好をして出かけたり、こそこそ電話をしていたりで様子がおかしく、不倫しているのではないか、というわけだ。だから、携帯を覗こうかどうか悩んでいる、と。
「お前はどうしたいんだよ？不倫でも見つけて断罪させんのか？」
「いえ、元に戻りたいです。」
「じゃあ絶対にケータイは見るな。それより、家庭を修復するためにやるべきことを考えろ。」
ドロンパは一応納得した。
しかしその週明け、彼はボスの個室に出勤するなり、突然号泣を始めた。
「オオオオオオーーーーーンン！」
まるで咆哮するかのように大声をあげて泣き、その場に崩れ落ちるドロンパ。部屋にいた全員が慄いた。タダごとではないと察したボスが急いで部屋のドアを閉めて中から鍵をかけた。
ドロンパの号泣は止まらない。ボスが寄っていって、「まず落ち着けよ、オイ」と声をかけるが、まるで赤子よろしくただただ嗚咽を漏らすばかりだ。個室とはいえ、壁は薄いので声が漏れるし、グループ以外の人間も使う測定器などもあるから、いつまでも鍵をかけておくわけにはいかない。
...そうそう人に迷惑かかるからね、鍵かけたら。
しょうがないので、「いいかお前、ちょっとだけ泣くの我慢しろ。黙ってダッシュだぞ！」と、会社のジャンバーか何かをドロンパの頭から被せ、スギさんと2人で両脇を固め、同じ階にあった仮眠室まで連れて行った。それはそれでエラく怪しかったろうが、俺が知らなかったんだから、あまり目撃者もいなかったんだろう。
仮眠室でしばらく過ごし、落ち着いてくると、ドロンパは号泣のわけを話し始めた。
結局、ドロンパは奥さんのケータイを覗き見してしまったのだった。そして、そこには想像を越えたおぞましい事実が広がっていた。
彼女は、出会い系サイトにハマっていたのだった。しかも、そこに自分の裸の写真まで掲載していたのだ。出会い系どころか、完全に「お相手」募集である。っていうか、乳幼児抱えてどこにそんな暇があるんだ？
事実を吐露して、ドロンパは完全に憔悴していた。とても仕事をできそうになかった。
「お前、今日もう帰りな。」
「あの、妻に電話してくれませんか？」
「あ？？」
要は、ボスの方から電話して、仕事ですごく頑張っていること、それで体調を崩してしまった的なことを言ってくれ、というのである。
「ありゃ、嫁さんにかまってもらいたいだけだな。」
後年、俺達にこの話をした時に、ボスはそう言っていた。
この件よりも前のことだと思うが、ドロンパはよく、奥さんと思しき相手と、かなり乱暴な言葉遣いで電話をしていたのは俺も目撃していた。
あの奔放な性格だけに、奥さんのご機嫌とりじゃないが、心の添わせ方は下手だったんじゃないかな、と俺も思った。
「そんなメンドーな話に首突っ込みたくねーよ！」とボスは断固拒否した。しかしグシャグシャな顔でドロンパが乞い続けるので、最後は折れた。
ドロンパの脚本通り、仕事で無理をさせてしまって申し訳ない、ホントに良くやっている、みたいなことを言って（謝らさせられるなんてえらいトバッチリだ）、最寄りの駅まで迎えに来てくれるよう頼んだ。
電話を切ったボスに、ドロンパは今度は「一緒に来てくれませんか？」と言い出した。
いやまあ確かに、具合悪くして迎えに来てもらうのに、一人でピンピン駅まで行くのも変な話だ。...結局は、半分は仮病であろうドロンパのために、わざわざタクシーまで呼んで駅まで送って行くことになった。朝からボスの仕事は完全停止である。
心の離れてしまった奥さんの気を引くためのドロンパ脚本の茶番劇。キーパーソンに祭り上げられてしまったボスと、主人公ドロンパを乗せたタクシーが、片田舎にあった当時の会社の最寄り駅のロータリーに滑り込む。
憔悴したフリ？のドロンパがちらちらと駅の出口を見て「あ、います。あれです。」と言った。
出会い系サイトなんかにハマる人妻はどんな奴かと、下世話な話大好きなボスが凝視すると、そこにはベビーカーを傍に置いた小柄な女性が立っていた。何やら、ギャルギャルというよりフリフリな格好をしている。
タクシーがロータリーを回って、ちょうどその女性の前あたりまで行って止まった。顔が見えた。
「驚れーたよ。あの山田ハナちゃんが、フリフリな服着てベビーカー押してそこにいたんだもん」
ボスが言ってるのはもちろん、吉本にいる本物の山田花子ではない。風貌がそっくりだったというのだ。
「いやー、出会い系の広告とかでスンゲー可愛い子の写真とか載ってるの見てさ、さすがにそんなレベルのが来るわけないとは思ってたけど、実際やってんのはああいうヤツらなんだな。俺、手ぇ出さなくてよかったよ。」
ボスはニヤニヤしながら回想したものだ。
憔悴しきったドロンパと、フリフリな山田花子と、そのジュニア（乳飲み子）は電車で帰って行った。
確かその後も、ドロンパはボスにこの件を相談していたらしい。だが、それからそう経たないうちに、山田花子、もとい奥さんは子どもを置いて消えたらしい。
さすがに乳飲み子を連れて、しかもボスのグループにいて男手一人というのは難しい。だから彼は両親と住むべく郷里の金沢に帰ることにしたのだ。
これが、ドロンパ脱落の真実だ。
せっかく見つけた、自分のペースに合致する大掘り出し物なプログラマーを、ボスはこんな理由でみすみす手放すハメになったのだった。
まあ、仕事はできたけど、ちょっと壊れた人だったのは事実かもしれない。
これでまた、ボスのシステムの進化は停滞することになった。
つづく。
nobilesの投稿(23:03:27-2011-04-14) -
カテゴリ: Main
コメント
No comments yet
コメントを追加
トラックバック
DISALLOWED (TrackBack)TrackBack URL
DISALLOWED (TrackBack)
メインページ
Calendar
| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 3 | 4 | |||
| 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
| 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
| 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
| 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
NewEntries
最新COMMENTS
■20-07-11 21:47>ああ、あのeh
■20-07-10 01:07>そうです、予
■20-07-09 22:36>あっ、ショー
■20-07-06 07:27>50-34のチェ�
■18-01-05 00:53>おやこれはぱ
■18-01-04 23:56>手出しちゃっ
■15-07-27 23:21>おっと、今か
■15-07-22 11:40>良質な小説読
■15-02-21 09:29>おや、どなた
■15-02-20 08:05>ほー、勉強に
カテゴリ
- All
- Bicycle
- Breast Cancer
- Change Job
- Formula-One
- Gourmet
- Injury
- Mac
- Main
- Monaco
- Music
- Peugeot
- Photo
- Travel
Archives
My Links
NOBILES Web検索
プロフィール
RSS対応
RSS v2.0
RSS v0.91
RSS v1.0
管理
管理室へ携帯用ブログ
携帯用URL