NOBILES Days
Jump to navigation2005 F-1 Monaco Tour (14) - Day3(5/19) Meet The God
数日前の診察およびリハビリで、右足に体重を載せられるようになった。
前の病院では、1/3、1/2と少しずつ体重を載せていき、2/3載せられるようになったら退院の目安ということを聞いていた。だからこの日も、まず半分くらい載せるのかと思ったら、いきなり全体重を載せた。まあ、俺の場合無理矢理退院して今は週一回ペースの通院なので、その辺の事情は違うのだろう。
理学療法士によると、しばらく体重を載せていなかったので、膝だけでなく、アキレス腱などにも痛みがでる場合があると言っていた。が、幸い、気がつけば足首を回す運動などをしていたので、特に痛みは無く、案外あっさり体重を載せることができてしまった。
最初は片方だけ松葉杖を使っておっかなびっくり歩いていたが、数日経った今、部屋の中では松葉杖なしで歩いている。もっとも、まだ右膝が曲がらないのでかなりフラフラびっこ状態だが。今後、電車やバスに乗る練習などもして社会復帰に近づきたい。
それにしても、良い時代に生まれたと思う。通勤災害とは言え、会社は復帰を待ってくれて多少減ろうが給料を払ってくれるし、手術をして靭帯を縫合する処置をしたから、元通りに戻れる可能性が高いわけだ。これが狩猟時代だったりしたら、歩けないままどこかでノタれ死んでいただろう。ホチキス痕のカサブタもどんどん取れて、だんだんと以前の姿に戻りつつある右足をお風呂でさすりながら、自らの生まれた時代に感謝するのである。
さて、前回から8ヶ月も放置したが、2005年モナコGP観戦旅行記の続きを久々に行ってみよう。
バックナンバーはこちら。
1.Prologue
2.To Nice
3.Musee Matisse
4.To Vence
5.At Vence
6.Vence Old Town
7.First Monaco
8.Kir Royal
9.Free Practice 1
10.Free Practice 2
11.Meet F-1 Drivers
12.Walk Around In Monaco
13.Course Open
トンネル前のポルティエコーナー
(PanasonicDMC-FZ10(9.3mm=equiv56mm), ProgramAE, 1/60sec, F2.8, ISO50)
夕暮れ時のモナコ湾の美しい景色に見蕩れてばかりいると、とっとと日が沈んでしまう。本当はコース逆回りでスタート/ゴールラインまで戻りたいところだったが、さすがに何km歩くんだよという話になるので、Uターンしてコースを順回りで歩いていくことにする。
と、カジノ前まで戻ると、まだダバディさんが困った顔で突っ立っていた。依然として撮影を行えていないようだ。先ほどは声をかけなかったが、あまりの困り顔に思わず
「ダバディさーん、頑張って下さーい」
「ありがとうございます」
軽く手を振って応えてくれた。
そこから数十メートルも歩くと、いきなり車がコースを走り始めた。歩行者だけでなく、一般車に対してもコースがオープンになったのだ。あーあ、こりゃダバディさんの撮影も行えなかっただろう。可哀想に。
人のことを不憫に思ってる暇はない。ボケッとしていると俺達も轢かれてしまいそうだ。歩道のある側に渡ってコースを進んでいく。一番最初にコースに入ったミラボーコーナーまで戻ってくると...
ランボルギーニ・ムルシエラゴ
(PanasonicDMC-FZ10(22.5mm=equiv135mm), ProgramAE, 1/60sec, F2.8 ISO100)
出た。前々回目撃したガヤルドに続き、ランボルギーニの現ラインナップ最高峰のムルシエラゴがおもむろに止まっていたのだった！
ムルシエラゴを横目にヨダレを垂らしながらミラボーコーナーを右に曲がっていくと、これまた有名な「ステーションヘアピン」が急な坂の下に見えてくる。以前は目の前のホテルの名前をとって「ローズヘアピン」と呼ばれていたコーナーだ。
ステーションヘアピン...早くも大渋滞が発生している
(PanasonicDMC-FZ10(6.0mm=equiv36.0mm), ProgramAE, 1/125sec, F3.3, ISO50)
以前はこの旧ローズオテルに宿泊する観戦ツアーがあったので、是非それに参加したいと思っていたものだが、2005年にはもうなくなっていた。まあその代わりにクルーザー観戦ツアーに参加できたのだからそう悪いものでもない。
ステーションヘアピンと言えば、やはりいろいろな場面を思い出す。こんな狭いコーナーでも、レーサーは無理矢理ノーズをねじ込んで前車を抜きにかかるのだ。大抵が、失敗した列伝であることも、このコーナーの狭さを象徴している。このコーナーをクリアするためにF-1マシンは他のサーキットよりも蛇角を稼げるようステアリングに特別な改造を加えてくるほどなのだ。
浅ましい俺が一番鮮烈に覚えていたのは、この前年2004年のジャガーのクリスチャン・クリエンのクラッシュだ。このモナコGPでダイヤモンドの会社とスポンサー契約を結んだジャガーは、ノーズの先端にダイヤモンドをあしらっていた。が、予選でクリエンはこのヘアピンを曲がりきれず、よりによってノーズからクラッシュした。その時、24カラットとも言われるダイヤモンドが紛失してしまったというのだ！
1993年に独走していたミヒャエル・シューマッハが煙を吹いてここで止まったのもよく覚えている。非力なマクラーレン・フォードに乗り、ウィリアムズ・ルノーにも、ベネトン・フォードにも遅れをとっていたモナコ・マイスター：セナが、あれよあれよという間にライバルの自滅に助けられてトップに躍り出てしまったからだ。
1990年にピケがウォーウィックだか誰だかに追突して止まり、マーシャルの押し掛けを受けて再スタートして失格となったのも良く覚えている。何しろ前年鈴鹿のシケインで押し掛け再スタートしたセナの一件から、押し掛け＝即失格となった新レギュレーションの最初の適用者となったからだ。
ちなみに「ステーションヘアピン」の由来は、以前はこの付近にモンテカルロ駅があったからだ。しかし、以前も触れたように、現在モンテカルロ駅は地下に移設されている。
そんな逸話などを思い出しつつテクテクと大渋滞のステーションヘアピンを左へと回っていく。すごい下り坂だ。
ステーションヘアピンのすぐ下にはなんとバス停もあったのだった
(PanasonicDMC-FZ10(6.0mm=equiv36.0mm), ProgramAE, 1/60sec, F2.8, ISO75)
坂を下りつつ右に曲がると、正面にまた海が見えてきた。トビラ写真のポルティエコーナーだ。
ポルティエの正体は道路が幾重にも重なる複雑な交差点だった
(PanasonicDMC-FZ10(6.0mm=equiv36.0mm), ProgramAE, 1/80sec, F2.8, ISO50)
ここは我々アイルトン・セナファンにとっては特別な意味を持つ。初めてのタイトルを獲得した1988年、2位のアラン・プロストを大きく引き離してトップを独走していたセナは突如としてホワイトアウトしてこのポルティエにクラッシュした。
彼は「その時神を見た」と言った。
単なるミスかもしれない。それを神を見たなんて、普通の人間が言っても「バカ言うな」である。だが、彼が大まじめに言うと彼なら本当に見たのではないかと思えたものだ。
そんなポルティエから美しい瑠璃色の海を眺めつつも、今度はモナコGP名物のトンネルへと入っていく。ポルティエから先、トンネル以降は未だ交通規制がかかっているのか、ほとんど車が走っていなかった。
「トンネル」というのでいわゆる普通のトンネルを想像していたが、実は海側は柱になっていてトンネルの中から外が見えるようになっている。しかも、陸側に駐車場があったり、海側にも劇場の入り口や小さな雑貨店があったりして、かなり行く前とは印象が違った。
と、突然後ろから爆音を響かせてフェラーリモデナ360がトンネルを爆走していった！規制中に通れるということは、きっとセレブの車に違いない。
意外に明るいトンネル内
(PanasonicDMC-FZ10(6.0mm=equiv36.0mm), ProgramAE, 1/30sec, F2.8, ISO200)
数百メートルほどのトンネルを抜けると、ヌーベルシケインへと向かう下り坂だ。これが結構な急坂だ。F-1ならあっという間だが、歩くと結構距離がある。
ヌーベルシケインへ向かう下り坂
(PanasonicDMC-FZ10(6.0mm=equiv36.0mm), ProgramAE, 1/100sec, F3.3, ISO50)
ヌーベルシケインまで出てくると、夕暮れに沈んでいくモナコの街と、その向こうに岩山が見えた。
美しい景色だが、急激に俺と嫁さん、二人の会話も少なくなっていった。...この時点で既に午後8時。一日中歩き回って体力は限界に近づいていた。
夕暮れのモナコ
(PanasonicDMC-FZ10(6.0mm=equiv36.0mm), ProgramAE, 1/80sec, F2.8, ISO50)
最後に、今回の俺達の足取りをマップで復習。赤がグランプリコース、青が俺達の足取りだ。
つづく。
前の病院では、1/3、1/2と少しずつ体重を載せていき、2/3載せられるようになったら退院の目安ということを聞いていた。だからこの日も、まず半分くらい載せるのかと思ったら、いきなり全体重を載せた。まあ、俺の場合無理矢理退院して今は週一回ペースの通院なので、その辺の事情は違うのだろう。
理学療法士によると、しばらく体重を載せていなかったので、膝だけでなく、アキレス腱などにも痛みがでる場合があると言っていた。が、幸い、気がつけば足首を回す運動などをしていたので、特に痛みは無く、案外あっさり体重を載せることができてしまった。
最初は片方だけ松葉杖を使っておっかなびっくり歩いていたが、数日経った今、部屋の中では松葉杖なしで歩いている。もっとも、まだ右膝が曲がらないのでかなりフラフラびっこ状態だが。今後、電車やバスに乗る練習などもして社会復帰に近づきたい。
それにしても、良い時代に生まれたと思う。通勤災害とは言え、会社は復帰を待ってくれて多少減ろうが給料を払ってくれるし、手術をして靭帯を縫合する処置をしたから、元通りに戻れる可能性が高いわけだ。これが狩猟時代だったりしたら、歩けないままどこかでノタれ死んでいただろう。ホチキス痕のカサブタもどんどん取れて、だんだんと以前の姿に戻りつつある右足をお風呂でさすりながら、自らの生まれた時代に感謝するのである。
さて、前回から8ヶ月も放置したが、2005年モナコGP観戦旅行記の続きを久々に行ってみよう。
バックナンバーはこちら。
1.Prologue
2.To Nice
3.Musee Matisse
4.To Vence
5.At Vence
6.Vence Old Town
7.First Monaco
8.Kir Royal
9.Free Practice 1
10.Free Practice 2
11.Meet F-1 Drivers
12.Walk Around In Monaco
13.Course Open
トンネル前のポルティエコーナー
(PanasonicDMC-FZ10(9.3mm=equiv56mm), ProgramAE, 1/60sec, F2.8, ISO50)
夕暮れ時のモナコ湾の美しい景色に見蕩れてばかりいると、とっとと日が沈んでしまう。本当はコース逆回りでスタート/ゴールラインまで戻りたいところだったが、さすがに何km歩くんだよという話になるので、Uターンしてコースを順回りで歩いていくことにする。
と、カジノ前まで戻ると、まだダバディさんが困った顔で突っ立っていた。依然として撮影を行えていないようだ。先ほどは声をかけなかったが、あまりの困り顔に思わず
「ダバディさーん、頑張って下さーい」
「ありがとうございます」
軽く手を振って応えてくれた。
そこから数十メートルも歩くと、いきなり車がコースを走り始めた。歩行者だけでなく、一般車に対してもコースがオープンになったのだ。あーあ、こりゃダバディさんの撮影も行えなかっただろう。可哀想に。
人のことを不憫に思ってる暇はない。ボケッとしていると俺達も轢かれてしまいそうだ。歩道のある側に渡ってコースを進んでいく。一番最初にコースに入ったミラボーコーナーまで戻ってくると...
ランボルギーニ・ムルシエラゴ
(PanasonicDMC-FZ10(22.5mm=equiv135mm), ProgramAE, 1/60sec, F2.8 ISO100)
出た。前々回目撃したガヤルドに続き、ランボルギーニの現ラインナップ最高峰のムルシエラゴがおもむろに止まっていたのだった！
ムルシエラゴを横目にヨダレを垂らしながらミラボーコーナーを右に曲がっていくと、これまた有名な「ステーションヘアピン」が急な坂の下に見えてくる。以前は目の前のホテルの名前をとって「ローズヘアピン」と呼ばれていたコーナーだ。
ステーションヘアピン...早くも大渋滞が発生している
(PanasonicDMC-FZ10(6.0mm=equiv36.0mm), ProgramAE, 1/125sec, F3.3, ISO50)
以前はこの旧ローズオテルに宿泊する観戦ツアーがあったので、是非それに参加したいと思っていたものだが、2005年にはもうなくなっていた。まあその代わりにクルーザー観戦ツアーに参加できたのだからそう悪いものでもない。
ステーションヘアピンと言えば、やはりいろいろな場面を思い出す。こんな狭いコーナーでも、レーサーは無理矢理ノーズをねじ込んで前車を抜きにかかるのだ。大抵が、失敗した列伝であることも、このコーナーの狭さを象徴している。このコーナーをクリアするためにF-1マシンは他のサーキットよりも蛇角を稼げるようステアリングに特別な改造を加えてくるほどなのだ。
浅ましい俺が一番鮮烈に覚えていたのは、この前年2004年のジャガーのクリスチャン・クリエンのクラッシュだ。このモナコGPでダイヤモンドの会社とスポンサー契約を結んだジャガーは、ノーズの先端にダイヤモンドをあしらっていた。が、予選でクリエンはこのヘアピンを曲がりきれず、よりによってノーズからクラッシュした。その時、24カラットとも言われるダイヤモンドが紛失してしまったというのだ！
1993年に独走していたミヒャエル・シューマッハが煙を吹いてここで止まったのもよく覚えている。非力なマクラーレン・フォードに乗り、ウィリアムズ・ルノーにも、ベネトン・フォードにも遅れをとっていたモナコ・マイスター：セナが、あれよあれよという間にライバルの自滅に助けられてトップに躍り出てしまったからだ。
1990年にピケがウォーウィックだか誰だかに追突して止まり、マーシャルの押し掛けを受けて再スタートして失格となったのも良く覚えている。何しろ前年鈴鹿のシケインで押し掛け再スタートしたセナの一件から、押し掛け＝即失格となった新レギュレーションの最初の適用者となったからだ。
ちなみに「ステーションヘアピン」の由来は、以前はこの付近にモンテカルロ駅があったからだ。しかし、以前も触れたように、現在モンテカルロ駅は地下に移設されている。
そんな逸話などを思い出しつつテクテクと大渋滞のステーションヘアピンを左へと回っていく。すごい下り坂だ。
ステーションヘアピンのすぐ下にはなんとバス停もあったのだった
(PanasonicDMC-FZ10(6.0mm=equiv36.0mm), ProgramAE, 1/60sec, F2.8, ISO75)
坂を下りつつ右に曲がると、正面にまた海が見えてきた。トビラ写真のポルティエコーナーだ。
ポルティエの正体は道路が幾重にも重なる複雑な交差点だった
(PanasonicDMC-FZ10(6.0mm=equiv36.0mm), ProgramAE, 1/80sec, F2.8, ISO50)
ここは我々アイルトン・セナファンにとっては特別な意味を持つ。初めてのタイトルを獲得した1988年、2位のアラン・プロストを大きく引き離してトップを独走していたセナは突如としてホワイトアウトしてこのポルティエにクラッシュした。
彼は「その時神を見た」と言った。
単なるミスかもしれない。それを神を見たなんて、普通の人間が言っても「バカ言うな」である。だが、彼が大まじめに言うと彼なら本当に見たのではないかと思えたものだ。
そんなポルティエから美しい瑠璃色の海を眺めつつも、今度はモナコGP名物のトンネルへと入っていく。ポルティエから先、トンネル以降は未だ交通規制がかかっているのか、ほとんど車が走っていなかった。
「トンネル」というのでいわゆる普通のトンネルを想像していたが、実は海側は柱になっていてトンネルの中から外が見えるようになっている。しかも、陸側に駐車場があったり、海側にも劇場の入り口や小さな雑貨店があったりして、かなり行く前とは印象が違った。
と、突然後ろから爆音を響かせてフェラーリモデナ360がトンネルを爆走していった！規制中に通れるということは、きっとセレブの車に違いない。
意外に明るいトンネル内
(PanasonicDMC-FZ10(6.0mm=equiv36.0mm), ProgramAE, 1/30sec, F2.8, ISO200)
数百メートルほどのトンネルを抜けると、ヌーベルシケインへと向かう下り坂だ。これが結構な急坂だ。F-1ならあっという間だが、歩くと結構距離がある。
ヌーベルシケインへ向かう下り坂
(PanasonicDMC-FZ10(6.0mm=equiv36.0mm), ProgramAE, 1/100sec, F3.3, ISO50)
ヌーベルシケインまで出てくると、夕暮れに沈んでいくモナコの街と、その向こうに岩山が見えた。
美しい景色だが、急激に俺と嫁さん、二人の会話も少なくなっていった。...この時点で既に午後8時。一日中歩き回って体力は限界に近づいていた。
夕暮れのモナコ
(PanasonicDMC-FZ10(6.0mm=equiv36.0mm), ProgramAE, 1/80sec, F2.8, ISO50)
最後に、今回の俺達の足取りをマップで復習。赤がグランプリコース、青が俺達の足取りだ。
つづく。
nobilesの投稿(22:01:01-2009-10-25) -
カテゴリ: Monaco
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