NOBILES Days
Jump to navigationToward The Shining Future 15
今日はリハビリデーだ。午後には晴れたので、前から撮りたいと思っていた、庭に咲いた梅を新レンズで早速撮影してみた。
庭に咲いていた梅
(PentaxK-7, PentaxDA*60-250mmF4(250.0mm), ApertureValueMode, 1/800sec, F4.0, ISO100)
驚くほどシャープな絵に驚いた。F4とは言え、250mmでのボケ味の大きさも想像以上だった。しかも美しく解けていく感じがいい。
伊達にでかくはない (^_^;。難点は、持ち出すのに覚悟というか、やる気が必要なことだな。
転職顛末記第十五弾。
15. Take Back Lost Things [失ったものを取り戻す]
*** Back Number ***
1. The Start [きっかけ]
2. Left Alone [取り残されて]
3. Go From One Fair To Another [転職フェアはしご]
4. The Bog [泥沼]
5. Realize [気づき]
6. Beaten Up [こてんぱん]
7. The Sadist [サディスト]
8. The Agent [エージェント]
9. The Application [応募]
10. Pass [通過]
11. Destroyed [破壊されて]
12. Dark Age [暗黒時代]
13. Sirius [焼き焦がすもの]
14. The Wings Given [授けられた翼]
右膝蓋腱の断裂によって2ヶ月近く止まっていた俺の転職活動は、怪我の前に応募していた企業がまだ募集をしているという、エージェントからのメールによって、叩き起こされるようにして再開した。そして松葉杖をついて出向き、時間も体力も要しながらも、2ヶ月越しの適正検査を受検することができた。それは、怪我を理由にこれ以上何かを失いたくない、いやむしろ、失ったものを取り戻すんだ、という執念であった。
さあ次は、現場のスタッフが俺について判断するという一次面接だ。日程は、適性検査からちょうど2週間後の11/18水曜日に設定された。
これに先立ち、その前の週の金曜にエージェントと面接対策をすることにした。
どうせ労災病欠中で時間を持て余していた俺だ。maruから紹介してもらった面接対策本 を読み直してイメージを膨らませていった。
その本曰く、「強固な転職ストーリーを構築することが大事」だと。
なぜ転職しようと思ったのか。そして、なぜその会社を受けようと思ったのか。
当たり前と言えば当たり前のことなのだが、大抵最初に聞かれるであろうこのテーマをしっかり伝えきれなければ面接には受からないというのが要旨だった。
その点では、ある意味で俺の転職ストーリーは美しく完成していたと言えた。
もともと長年、異動を希望していた職があった。趣味として形になるものがあった。ここのところの景気情勢によって、現職にも一区切りが来た。かと言って異動はますます難しくなった。だから転職によって叶えるのだ、と。
よーし、エージェントを驚かせるくらいバッチリな対応してやる、と意気込んだ。
そして、いざエージェントとの模擬面談だ。
以前は通勤路だった転職支援会社だが、引っ越したせいで2時間近くを要して行くことになる。もっとも、面接受けに行く会社はそれより更に先になるんだけど。
適正試験の時と比べると多少はマシになっていたとは言え、まだまだ松葉杖と、膝が曲がらないようにするためのブレスを必要とした頃だ。それだけでもかなりの労力だった。
内容からして喉が乾きそうだったので、その会社の前の自販機でお茶のペットボトルを買おうとした。が、出て来ない。時間も少なくなっていたので、新たに硬貨を投入し、今度はスポーツドリンクを買おうとしたが、これも出て来ない。
結局、金だけ300円ばかり投入しただけで得るものはなく、エージェントの元へ向かった。なんて幸先の悪さだろうか。
前回同様無人の受付からエージェントを呼び出すものの、ロビーで数分待たされた。ふと見ると、maru紹介の面接本が置いてある。なるほど、そう言えばその本の筆者はここのエージェントの人だったな。
...などと一人で勝手に納得しているうちに、あの眠そうな目のエージェントがやって来た。
俺の変わり果てた姿に、その目を珍しくまん丸にして、「大変でしたね〜」などと話しながら、前回と同じ部屋へ導かれた。
模擬面接に先立ち、改めて求人票を渡される。
マニュアル制作のテクニカルライター。うーん、やっぱりやりたい。なんと言っても、この「精密機器の設計経験者」という条件が他の普通のテクニカルライター求人とは…アレ？？
「◯◯装置の設計経験者」
…条件が細かくなってる！対象となる装置そのものの設計経験になっているではないか。
「あ、あの、こんな条件ありましたっけ？」
「ああ、なんか変わりましたっけ？」
オイ。
「いやまあでも、書類選考通ったということは、先方としても条件はクリアしているということだと思いますよ。」
はあ...ほんとっすか。
「自信持っていいと思います。」
眠そうな目をしてなかなか落ち着いているエージェント氏である。
だがさらに、衝撃の事実が俺を襲う。
「えーとですね、現在最終面接まで進んでいる方が2名いらっしゃるそうです。」
ええっ!?
...いや、普通に考えれば、他の候補者がいるくらい当たり前だ。だが、何しろ一ヶ月半経っても決まらなかったくらいだから、さては「あの時怪我してこれなかった彼を」とわざわざエージェントに話が来たのかな？そーかそーか、などと調子に乗って思わないではなかった。
が、どうもそれは甘過ぎる考えであることを思い知らされた。
しかも一人はまさに◯◯装置の設計経験者らしいし、もう一人はマニュアル制作の経験者だという。
「彼らがライバルということになりますね。」
平然と言ってのけるエージェント。
俺は急激に、自分の立場が弱いのではないかと不安に陥った。
そんな前振りも終わり、模擬面接が始まる。
最初に聞かれるのは、お決まりみたいなものだ。なぜ転職するのか。そして、なぜこの会社を志望するのか。
ほら来た。対策本通りだ。俺は先の転職ストーリーに沿って説明をした。そして、GUIをマニュアルと統合して考えているところに共感した、とも。
相変わらず、ウンウンと聞くものの、セリフの開始がワンテンポ遅れるエージェントだったが、その口から出た指摘は思いがけず鋭かった。
「う〜ん、それじゃあ、GUIやれる仕事に応募すればいいじゃない、って話になりませんか？」
えっ…。
正直、そこを突っ込まれるとは思っていなかったので狼狽する。
だが、確かに正論ではある。
「いや、方向自体はいいと思うんですが、ここはですね、御社なら自分が理想とする働き方ができる、という明解なアピールの仕方ををしたいですね。」
そんなことを言われて急に不安になってしまった。俺、アピール足りなかった？かなりやったつもりだったんだけど…。
「大丈夫ですよ、熱意はきっと伝わります。」
矛盾してる気もするが、眠そうな目をして（もういいって）なかなかどうして、飴とムチを巧妙に使い分けてくるんである。
そんな感じで、帰宅することになる。不安が増大した気もしないではないが、明解なアドバイスも得て、まあ来た甲斐は十分あった。
帰りに、前回時間がなくて買えなかったシザーバッグを購入した。あれから、買いに行きたくても外出すらできず叶わなかったが、やっとこれも取り戻すことができた。
こうして、怪我で失ったものを一つ一つ取り戻して行くことで、気持ちは軽やかに、そして前向きになって行くのを感じていた。
「失敗したっていいじゃん。面接受けれるだけ幸せじゃん。」」
つづく。
庭に咲いていた梅
(PentaxK-7, PentaxDA*60-250mmF4(250.0mm), ApertureValueMode, 1/800sec, F4.0, ISO100)
驚くほどシャープな絵に驚いた。F4とは言え、250mmでのボケ味の大きさも想像以上だった。しかも美しく解けていく感じがいい。
伊達にでかくはない (^_^;。難点は、持ち出すのに覚悟というか、やる気が必要なことだな。
転職顛末記第十五弾。
15. Take Back Lost Things [失ったものを取り戻す]
*** Back Number ***
1. The Start [きっかけ]
2. Left Alone [取り残されて]
3. Go From One Fair To Another [転職フェアはしご]
4. The Bog [泥沼]
5. Realize [気づき]
6. Beaten Up [こてんぱん]
7. The Sadist [サディスト]
8. The Agent [エージェント]
9. The Application [応募]
10. Pass [通過]
11. Destroyed [破壊されて]
12. Dark Age [暗黒時代]
13. Sirius [焼き焦がすもの]
14. The Wings Given [授けられた翼]
右膝蓋腱の断裂によって2ヶ月近く止まっていた俺の転職活動は、怪我の前に応募していた企業がまだ募集をしているという、エージェントからのメールによって、叩き起こされるようにして再開した。そして松葉杖をついて出向き、時間も体力も要しながらも、2ヶ月越しの適正検査を受検することができた。それは、怪我を理由にこれ以上何かを失いたくない、いやむしろ、失ったものを取り戻すんだ、という執念であった。
さあ次は、現場のスタッフが俺について判断するという一次面接だ。日程は、適性検査からちょうど2週間後の11/18水曜日に設定された。
これに先立ち、その前の週の金曜にエージェントと面接対策をすることにした。
どうせ労災病欠中で時間を持て余していた俺だ。maruから紹介してもらった
その本曰く、「強固な転職ストーリーを構築することが大事」だと。
なぜ転職しようと思ったのか。そして、なぜその会社を受けようと思ったのか。
当たり前と言えば当たり前のことなのだが、大抵最初に聞かれるであろうこのテーマをしっかり伝えきれなければ面接には受からないというのが要旨だった。
その点では、ある意味で俺の転職ストーリーは美しく完成していたと言えた。
もともと長年、異動を希望していた職があった。趣味として形になるものがあった。ここのところの景気情勢によって、現職にも一区切りが来た。かと言って異動はますます難しくなった。だから転職によって叶えるのだ、と。
よーし、エージェントを驚かせるくらいバッチリな対応してやる、と意気込んだ。
そして、いざエージェントとの模擬面談だ。
以前は通勤路だった転職支援会社だが、引っ越したせいで2時間近くを要して行くことになる。もっとも、面接受けに行く会社はそれより更に先になるんだけど。
適正試験の時と比べると多少はマシになっていたとは言え、まだまだ松葉杖と、膝が曲がらないようにするためのブレスを必要とした頃だ。それだけでもかなりの労力だった。
内容からして喉が乾きそうだったので、その会社の前の自販機でお茶のペットボトルを買おうとした。が、出て来ない。時間も少なくなっていたので、新たに硬貨を投入し、今度はスポーツドリンクを買おうとしたが、これも出て来ない。
結局、金だけ300円ばかり投入しただけで得るものはなく、エージェントの元へ向かった。なんて幸先の悪さだろうか。
前回同様無人の受付からエージェントを呼び出すものの、ロビーで数分待たされた。ふと見ると、maru紹介の面接本が置いてある。なるほど、そう言えばその本の筆者はここのエージェントの人だったな。
...などと一人で勝手に納得しているうちに、あの眠そうな目のエージェントがやって来た。
俺の変わり果てた姿に、その目を珍しくまん丸にして、「大変でしたね〜」などと話しながら、前回と同じ部屋へ導かれた。
模擬面接に先立ち、改めて求人票を渡される。
マニュアル制作のテクニカルライター。うーん、やっぱりやりたい。なんと言っても、この「精密機器の設計経験者」という条件が他の普通のテクニカルライター求人とは…アレ？？
「◯◯装置の設計経験者」
…条件が細かくなってる！対象となる装置そのものの設計経験になっているではないか。
「あ、あの、こんな条件ありましたっけ？」
「ああ、なんか変わりましたっけ？」
オイ。
「いやまあでも、書類選考通ったということは、先方としても条件はクリアしているということだと思いますよ。」
はあ...ほんとっすか。
「自信持っていいと思います。」
眠そうな目をしてなかなか落ち着いているエージェント氏である。
だがさらに、衝撃の事実が俺を襲う。
「えーとですね、現在最終面接まで進んでいる方が2名いらっしゃるそうです。」
ええっ!?
...いや、普通に考えれば、他の候補者がいるくらい当たり前だ。だが、何しろ一ヶ月半経っても決まらなかったくらいだから、さては「あの時怪我してこれなかった彼を」とわざわざエージェントに話が来たのかな？そーかそーか、などと調子に乗って思わないではなかった。
が、どうもそれは甘過ぎる考えであることを思い知らされた。
しかも一人はまさに◯◯装置の設計経験者らしいし、もう一人はマニュアル制作の経験者だという。
「彼らがライバルということになりますね。」
平然と言ってのけるエージェント。
俺は急激に、自分の立場が弱いのではないかと不安に陥った。
そんな前振りも終わり、模擬面接が始まる。
最初に聞かれるのは、お決まりみたいなものだ。なぜ転職するのか。そして、なぜこの会社を志望するのか。
ほら来た。対策本通りだ。俺は先の転職ストーリーに沿って説明をした。そして、GUIをマニュアルと統合して考えているところに共感した、とも。
相変わらず、ウンウンと聞くものの、セリフの開始がワンテンポ遅れるエージェントだったが、その口から出た指摘は思いがけず鋭かった。
「う〜ん、それじゃあ、GUIやれる仕事に応募すればいいじゃない、って話になりませんか？」
えっ…。
正直、そこを突っ込まれるとは思っていなかったので狼狽する。
だが、確かに正論ではある。
「いや、方向自体はいいと思うんですが、ここはですね、御社なら自分が理想とする働き方ができる、という明解なアピールの仕方ををしたいですね。」
そんなことを言われて急に不安になってしまった。俺、アピール足りなかった？かなりやったつもりだったんだけど…。
「大丈夫ですよ、熱意はきっと伝わります。」
矛盾してる気もするが、眠そうな目をして（もういいって）なかなかどうして、飴とムチを巧妙に使い分けてくるんである。
そんな感じで、帰宅することになる。不安が増大した気もしないではないが、明解なアドバイスも得て、まあ来た甲斐は十分あった。
帰りに、前回時間がなくて買えなかったシザーバッグを購入した。あれから、買いに行きたくても外出すらできず叶わなかったが、やっとこれも取り戻すことができた。
こうして、怪我で失ったものを一つ一つ取り戻して行くことで、気持ちは軽やかに、そして前向きになって行くのを感じていた。
「失敗したっていいじゃん。面接受けれるだけ幸せじゃん。」」
つづく。
nobilesの投稿(22:38:06-2010-03-10) -
カテゴリ: Change Job
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