NOBILES Days
Jump to navigationFrankly Speaking... Vol.18
次女は間もなく生後1ヶ月を迎えようとしている。
上の子もそうだったのだが、小さく生まれたために胃袋も小さく、飲めるおっぱいの量が限られているので、成長も緩やかだ。まだ3000gにも到達しない。でもまあ、上の子の時より嫁さんが授乳で悩んでいる様子でもないし、スカスカだったオシメがだんだん隙間がなくなってきたので、まあ心配はしていない。
それより、産道の途中で止まってしまって、うっ血して可哀想な顔で産まれた姿を見たときはさすがにショックだったが、今ではとても綺麗で優しい表情をするようになった。瓜二つに思えた上の子とは違う表情も見られるようになってきた。どう変化していくか、これからも楽しみだ。
その瞳は何を見つめている？
(PentaxK-7, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/80sec, F2.5, ISO800)
前職ぶっちゃけ回顧録の第18回だ。連載回数が転職日記に迫ろうとしてるな (^_^;。あ、って言うか、今回でモナコGP観戦記に追いついたな。
前職ぶっちゃけ回顧録
「18.ゆとり世代2」
*** Back Number ***
1.野放し
2.OFコンビ（ボンクラ親父達）
3.堕落人
4.砂上の楼閣1
5.砂上の楼閣2
6.火の玉、堕ちた
7.さよなら、ブーちゃん
8.新たなるチャレンジ
9.斜陽
10.ハイテンション・プログラマー
11.ドロンパ、郷里に帰る
12.盟友たち
13.大移動
14.編入
15.最短記録
16.再加入
17.ゆとり世代
2007年の秋に俺はボスのグループに取り込まれた。
その後に、それまで俺がリーダーをしていた小グループに加入した新たな派遣社員I上は、「ゆとり世代」なんてあだ名がつくくらい、仕事に無気力で応用力の利かない男だった（実際にはゆとり世代より少しだけ世代が上だが）。今回はI上の「ゆとり世代」ぶりの後半戦だ。
グループに残ったKさんにとって不幸だったのは、この「ゆとり世代」I上と、グループ唯一の正社員であるダメオヤジFがコンボして、さらに驚きの破壊力を発生したことだ。
ある日の定時後、ボスの部屋での仕事が一段落した俺は居室の机に戻った。ボスの配慮で依然としてKさんの横に机が残されていたのだ。すると、ある製品の設計の佳境だったので、Kさんも残って仕事をしていた。お気楽な立場のI上はもちろん帰宅済みだ。
俺達の席の背後には、I上が担当していた「台数確認」のサイトがあった。そこに5台ほど並んだPCのうち、1台が異常な動作音を発していることに、俺が気づいた。
スクリーンセーブモードでディスプレイがオフになっていたそのPCを確認しようとマウスを手繰ると、スクリーンセーバーを解除するパスワードを要求する画面が現れた。ところが、そこには見知らぬIDが表示されていた。もちろんパスワードを知るわけもない。俺がグループにいた頃はSの社員番号にしていたはずだ。
グループで統一のIDを導入したのかもしれないと思いKさんに聞くが、Kさんも全く分からないと言う。
ログインの糸口も全くつかめないが、製品は間違いなく暴走している。すぐに問題にはならないが、部品が高温化したりして、いい影響があるわけはない。仕方がないのでPCの電源を強制的に落として止めた。
確かに俺たちも、もうグループにいない、しかも派遣社員であるSの社員番号が、いつまでも共通PCのログインIDになっているのは良くないとは思っていた。だが、ログインIDを変えればPCの様々な環境を設定し直さなければならない。製品開発の佳境で忙しいので、それが終わってから、と思っていた。
思い返してみると昼間、I上が珍しくサイトでちょっとやる気を出して作業していたのを思い出した。でも、「台数確認」をしている様子でもなく不審に思っていた。これはきっと、忙しい時ほど「いらんこと」をするダメオヤジFの差し金に違いない。俺とKさんはそう結論づけた。
翌日、出社してきたI上に事情を聞いたKさんの話を聞いて愕然とした。
ID変更事件は、むしろI上が主犯だった。
I上も、共用の台数確認用PCのログインIDがSのものであることに違和感を持っていた。それで、前日に思い立って変えようとしたらしい。その際、よりにもよって業務を何も把握できていないFに相談しに行ったのだ。
確かに、FとI上がゴチョゴチョ話しているのも見た気がする。その内容は次のように推測される。
I上「あの、共用PCのログインIDを変えたいのですが、どのIDを使えばいいですか？」
F「（ニヤニヤしながら見ていたケータイから目を上げて←もちろん業務時間中）ああ、それならグループ共用IDの○○○○を使えばいいよー。」
...I上は、Excelのシート追加もできないくせに、ログインIDの変更方法はどうやらもともと知っていたようである。加えて、ろくに業務をしないくせに、Fは共用IDなんてものを知ってたのである。しかも、IDを変えることによってもたらされる結果については何も考えずに、得意気にI上に共用IDを教えてしまったのだ。俺らも知らないような死蔵IDをだ。
なぜ死蔵かと言うと、このIDだとグループで共用となるため、ネットワーク上の権限にいくばくかの制限があったと記憶している。通常の台数確認ならばほぼ問題ないが、そこに至るまでの初期設定に手間がかかったのだと思う。だからこそ、佳境を迎えた開発が終わってから、と思っていたのだ。記憶では。
それでいてI上は、心を開かない人に対しては冷たい態度をとるKさんが怖かったのか、IDを変えたことを知らせなかった。それでは、Kさんは共用PCを使えなくなってしまう。もう穴だらけで笑っちまう。
さすがにこれは他グループのこととはいえ、（そこの唯一の社員であるFが加担者であるので）俺が小言の一つもくれてやろうと、I上と話し始めると、既に、同じ派遣会社の先輩であるSがきっちりお説教済みだったようだ。I上と歳は1つしか違わないのに、やっぱりSは人間ができていた。
Sの説教が効いたのか、I上はしおらしく平謝りだった。言われてピンと来ないわけではないようだ。
100%バカではない。でも、だからこそ厄介でもある。
そんなわけで、「ゆとり世代（違うけど）」I上伝説はこれだけに留まらない。
彼は、とにかく楽をしたい、という意識が強かった。その割には、手間のかかるIDの変更を製品開発の佳境にやるなど頑張りどころがおかしいのだが、それはともかく。ある日、その最たる例が発見された。
話を開いてるだけで全然メモが記入されない彼のノートが、ある日の定時後、彼の机の上に放置されていた。ある先輩が、何気なくそのノートをひょいと覗いた。そこには、「○○ちょき●●だま」（○●はそれぞれ伏字ね）という言葉が欄外にメモられていた。
面白がって検索をかけてみた先輩は、現れた内容に息を呑んだ。それは、「○○ちょき」と「●●だま」という2つのサービスだったのだが...
「たった○○円の入会金を払って登録すれば、何もしないで毎月お小遣いが溜まるよ！」
どこからどう見てもネットネズミ講である。普通の社会人ならトップページの謳い文句を一目見れば「おかしい」と気づくだろう。
だが、彼はその名称をメモしていた。業務のことはほとんどメモしない彼がだ。何らかの興味を示したのは間違いない。
なるほど、こういうヤツがこのテのものに引っかかるんだな。
このノートは、欄外のネズミ講もツッコミどころなら、本欄の方もすごかった。
「家に帰ったらなるべくテレビを見ないで勉強する。」
...中学生ですか？しかもこのノートを家に持って帰っていないからメモの意味がない。
他にも標語的なものや、普通ならメモすら取らないような生活の知恵的なものが書かれていた気がするがはっきり覚えていない。「ちゃんと洗濯する」的なものがあった気はする。
少なくともはっきり言えるのは、仕事のメモなんて皆無に等しかったということだ。
I上のあまりの「ゆとり」ぶりに、さすがの放置課長も、たった半年でI上の契約を切った。
だが、最後までI上には驚かされた。
彼の出勤最終日に、他の飲みと兼ねてはいたが、彼の送別会を開いた。あの無気力クンをどうやって盛り上げて主役にすりゃいいんだろう、とみんなで若干心配していた。
ところがI上は飲み会が始まるなり、業務時間中の無気力ぶり、無口ぶりから一転、活き活きと世間話を始めた。話題もなかなか幅広く、面白いことを言う。趣味も、旅やらダイビングやらと、エンジョイしているようだ。
つまり、仕事だけが無気力なのだ。ますます、I上のことが謎に思えてきた。
そういえば、遠距離恋愛で仙台にいる彼女がもうすぐ東京に来て一緒に暮らすのだと言っていた。結婚式するってことなのかなあ。でも、稼ぐための仕事があの調子じゃなあ。早く現実を、足元を把握しないといかんぜ。ネズミ講をメモってる場合じゃないぞ。
つづく。
上の子もそうだったのだが、小さく生まれたために胃袋も小さく、飲めるおっぱいの量が限られているので、成長も緩やかだ。まだ3000gにも到達しない。でもまあ、上の子の時より嫁さんが授乳で悩んでいる様子でもないし、スカスカだったオシメがだんだん隙間がなくなってきたので、まあ心配はしていない。
それより、産道の途中で止まってしまって、うっ血して可哀想な顔で産まれた姿を見たときはさすがにショックだったが、今ではとても綺麗で優しい表情をするようになった。瓜二つに思えた上の子とは違う表情も見られるようになってきた。どう変化していくか、これからも楽しみだ。
その瞳は何を見つめている？
(PentaxK-7, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/80sec, F2.5, ISO800)
前職ぶっちゃけ回顧録の第18回だ。連載回数が転職日記に迫ろうとしてるな (^_^;。あ、って言うか、今回でモナコGP観戦記に追いついたな。
前職ぶっちゃけ回顧録
「18.ゆとり世代2」
*** Back Number ***
1.野放し
2.OFコンビ（ボンクラ親父達）
3.堕落人
4.砂上の楼閣1
5.砂上の楼閣2
6.火の玉、堕ちた
7.さよなら、ブーちゃん
8.新たなるチャレンジ
9.斜陽
10.ハイテンション・プログラマー
11.ドロンパ、郷里に帰る
12.盟友たち
13.大移動
14.編入
15.最短記録
16.再加入
17.ゆとり世代
2007年の秋に俺はボスのグループに取り込まれた。
その後に、それまで俺がリーダーをしていた小グループに加入した新たな派遣社員I上は、「ゆとり世代」なんてあだ名がつくくらい、仕事に無気力で応用力の利かない男だった（実際にはゆとり世代より少しだけ世代が上だが）。今回はI上の「ゆとり世代」ぶりの後半戦だ。
グループに残ったKさんにとって不幸だったのは、この「ゆとり世代」I上と、グループ唯一の正社員であるダメオヤジFがコンボして、さらに驚きの破壊力を発生したことだ。
ある日の定時後、ボスの部屋での仕事が一段落した俺は居室の机に戻った。ボスの配慮で依然としてKさんの横に机が残されていたのだ。すると、ある製品の設計の佳境だったので、Kさんも残って仕事をしていた。お気楽な立場のI上はもちろん帰宅済みだ。
俺達の席の背後には、I上が担当していた「台数確認」のサイトがあった。そこに5台ほど並んだPCのうち、1台が異常な動作音を発していることに、俺が気づいた。
スクリーンセーブモードでディスプレイがオフになっていたそのPCを確認しようとマウスを手繰ると、スクリーンセーバーを解除するパスワードを要求する画面が現れた。ところが、そこには見知らぬIDが表示されていた。もちろんパスワードを知るわけもない。俺がグループにいた頃はSの社員番号にしていたはずだ。
グループで統一のIDを導入したのかもしれないと思いKさんに聞くが、Kさんも全く分からないと言う。
ログインの糸口も全くつかめないが、製品は間違いなく暴走している。すぐに問題にはならないが、部品が高温化したりして、いい影響があるわけはない。仕方がないのでPCの電源を強制的に落として止めた。
確かに俺たちも、もうグループにいない、しかも派遣社員であるSの社員番号が、いつまでも共通PCのログインIDになっているのは良くないとは思っていた。だが、ログインIDを変えればPCの様々な環境を設定し直さなければならない。製品開発の佳境で忙しいので、それが終わってから、と思っていた。
思い返してみると昼間、I上が珍しくサイトでちょっとやる気を出して作業していたのを思い出した。でも、「台数確認」をしている様子でもなく不審に思っていた。これはきっと、忙しい時ほど「いらんこと」をするダメオヤジFの差し金に違いない。俺とKさんはそう結論づけた。
翌日、出社してきたI上に事情を聞いたKさんの話を聞いて愕然とした。
ID変更事件は、むしろI上が主犯だった。
I上も、共用の台数確認用PCのログインIDがSのものであることに違和感を持っていた。それで、前日に思い立って変えようとしたらしい。その際、よりにもよって業務を何も把握できていないFに相談しに行ったのだ。
確かに、FとI上がゴチョゴチョ話しているのも見た気がする。その内容は次のように推測される。
I上「あの、共用PCのログインIDを変えたいのですが、どのIDを使えばいいですか？」
F「（ニヤニヤしながら見ていたケータイから目を上げて←もちろん業務時間中）ああ、それならグループ共用IDの○○○○を使えばいいよー。」
...I上は、Excelのシート追加もできないくせに、ログインIDの変更方法はどうやらもともと知っていたようである。加えて、ろくに業務をしないくせに、Fは共用IDなんてものを知ってたのである。しかも、IDを変えることによってもたらされる結果については何も考えずに、得意気にI上に共用IDを教えてしまったのだ。俺らも知らないような死蔵IDをだ。
なぜ死蔵かと言うと、このIDだとグループで共用となるため、ネットワーク上の権限にいくばくかの制限があったと記憶している。通常の台数確認ならばほぼ問題ないが、そこに至るまでの初期設定に手間がかかったのだと思う。だからこそ、佳境を迎えた開発が終わってから、と思っていたのだ。記憶では。
それでいてI上は、心を開かない人に対しては冷たい態度をとるKさんが怖かったのか、IDを変えたことを知らせなかった。それでは、Kさんは共用PCを使えなくなってしまう。もう穴だらけで笑っちまう。
さすがにこれは他グループのこととはいえ、（そこの唯一の社員であるFが加担者であるので）俺が小言の一つもくれてやろうと、I上と話し始めると、既に、同じ派遣会社の先輩であるSがきっちりお説教済みだったようだ。I上と歳は1つしか違わないのに、やっぱりSは人間ができていた。
Sの説教が効いたのか、I上はしおらしく平謝りだった。言われてピンと来ないわけではないようだ。
100%バカではない。でも、だからこそ厄介でもある。
そんなわけで、「ゆとり世代（違うけど）」I上伝説はこれだけに留まらない。
彼は、とにかく楽をしたい、という意識が強かった。その割には、手間のかかるIDの変更を製品開発の佳境にやるなど頑張りどころがおかしいのだが、それはともかく。ある日、その最たる例が発見された。
話を開いてるだけで全然メモが記入されない彼のノートが、ある日の定時後、彼の机の上に放置されていた。ある先輩が、何気なくそのノートをひょいと覗いた。そこには、「○○ちょき●●だま」（○●はそれぞれ伏字ね）という言葉が欄外にメモられていた。
面白がって検索をかけてみた先輩は、現れた内容に息を呑んだ。それは、「○○ちょき」と「●●だま」という2つのサービスだったのだが...
「たった○○円の入会金を払って登録すれば、何もしないで毎月お小遣いが溜まるよ！」
どこからどう見てもネットネズミ講である。普通の社会人ならトップページの謳い文句を一目見れば「おかしい」と気づくだろう。
だが、彼はその名称をメモしていた。業務のことはほとんどメモしない彼がだ。何らかの興味を示したのは間違いない。
なるほど、こういうヤツがこのテのものに引っかかるんだな。
このノートは、欄外のネズミ講もツッコミどころなら、本欄の方もすごかった。
「家に帰ったらなるべくテレビを見ないで勉強する。」
...中学生ですか？しかもこのノートを家に持って帰っていないからメモの意味がない。
他にも標語的なものや、普通ならメモすら取らないような生活の知恵的なものが書かれていた気がするがはっきり覚えていない。「ちゃんと洗濯する」的なものがあった気はする。
少なくともはっきり言えるのは、仕事のメモなんて皆無に等しかったということだ。
I上のあまりの「ゆとり」ぶりに、さすがの放置課長も、たった半年でI上の契約を切った。
だが、最後までI上には驚かされた。
彼の出勤最終日に、他の飲みと兼ねてはいたが、彼の送別会を開いた。あの無気力クンをどうやって盛り上げて主役にすりゃいいんだろう、とみんなで若干心配していた。
ところがI上は飲み会が始まるなり、業務時間中の無気力ぶり、無口ぶりから一転、活き活きと世間話を始めた。話題もなかなか幅広く、面白いことを言う。趣味も、旅やらダイビングやらと、エンジョイしているようだ。
つまり、仕事だけが無気力なのだ。ますます、I上のことが謎に思えてきた。
そういえば、遠距離恋愛で仙台にいる彼女がもうすぐ東京に来て一緒に暮らすのだと言っていた。結婚式するってことなのかなあ。でも、稼ぐための仕事があの調子じゃなあ。早く現実を、足元を把握しないといかんぜ。ネズミ講をメモってる場合じゃないぞ。
つづく。
nobilesの投稿(23:49:55-2011-05-30) -
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