NOBILES Days
Jump to navigationFrankly Speaking... Vol.20
「結構ちゃんと考えて描いてくれてるね！イイよ、想像以上だよ。」
部長がかけてくれた言葉だ。
今、忙しくしている仕事は、巨大な機械の製造に携わる人達に、機械の各部品がどう動き、どんな役割をするのか、かなり細かく説明するためのコンテンツづくりだ。イラストの比重が高いが、イラストひとつとっても、単純に絵を書くのではなく、見やすいようデフォルメしたり、強調したい部品を色付けしたりと工夫が要る。機械の構造を理解しなければ正確には描けない。幸か不幸か、イラストの需要が高まっているのに、俺の部署にイラストをできる人は非常に少ない。仕事が集中して忙しくはなっているが、なくてはならない人材と見てもらえるのは、大きなチャンスでもある。
だから、冒頭の部長の言葉は、素直に嬉しい賛辞だった。心底、こっちの仕事に移って良かったと思う。
でも今後も、厳しい日程を睨みながらやりくりをする日々が続く。前職時代、半ば放棄していたマネージメントを、しっかりやらなきゃね。
ああ、そういえば、前職の社内にあった俺の移動したかった部署は、他の会社に売られてしまったと言う。しばらくは前職の社屋に残るようだが、将来的にはどうなるか分かったものではない。給与体系も大きく変わるかもしれない。
もともとあそこはイラストとかもできる人が多かったから、仮に俺が入れたとしても、今のように重宝がられることもなかったかもしれない。
人生、一体どう転がるか分からないね。
Glasses
(PentaxK-7, PentaxDA15mmLimitedF4, 1/6sec, F10.0, ISO800)
その前職であったいろいろな経験を忘れないための、前職ぶっちゃけ回顧録だ。
前職ぶっちゃけ回顧録
「20.追放」
*** Back Number ***
1.野放し
2.OFコンビ（ボンクラ親父達）
3.堕落人
4.砂上の楼閣1
5.砂上の楼閣2
6.火の玉、堕ちた
7.さよなら、ブーちゃん
8.新たなるチャレンジ
9.斜陽
10.ハイテンション・プログラマー
11.ドロンパ、郷里に帰る
12.盟友たち
13.大移動
14.編入
15.最短記録
16.再加入
17.ゆとり世代
18.ゆとり世代2
19.宿命の対決再び
2008年6月。
課が合併したにも関わらず、「剛腕マネージャー」SSKの囲い込み政策によって、その融合は全く進まなかった。しかしそのおかげで、天敵とも言えるボスとSSKの直接対決が起きることもなく、一見するとこれまでと同様の平穏な日々が流れることになった。
この組織変更に伴い、I上がいなくなった例のグループ（俺がいたところ）にも変化があった。ここでは初登場となるが、YSさんという人が加わることになったのだ。
YSさんもやはり、俺が入社以来ずっと同じ部にいて長いつきあいがあった（どんだけ人の出入りがねーんだ、この部署）。年齢は俺より一回りくらい上で、SSKとは同期らしい。課には俺が入るより前からいた。
YSさんも、派遣のKさんと同様で、与えられた仕事を効率良く片付け、後はプライベートを謳歌するタイプの人だった。だから、Kさんとはもともとソリが合った。
また、タレントの有吉のように、ズバッと本質をついた、人のアダ名を考えつく。誰に対しても物怖じせず、SSKのような権威主義でもなく、飄々としていて付き合いやすかった。
YSさんは製品群Dよりさらに古い、製品群Cのパラメーター設定を担当していたが、製品群Dにもほぼそのまま適用できる技術だったので、I上が抜けて（見かけ上は）手薄になったそのグループに合流することになった。
これで、このグループは正社員であるYSさん、ダメオヤジF、そして派遣社員Kさんという3人になった。
以前にも述べたように、俺がいた課は徹底的な縦割りだったので（合併でさらに加速した？？）、隣の机の人でさえ、どんな仕事をしているか、ろくに状況が分からなかった。だから、もともと1人グループだったYSさんも、まあ多少噂は漏れ聞いていたろうが、ダメオヤジFがどれほどダメかを本質的には理解していなかった。
いざ業務が始まって、想像以上のFのダメっぷりにYSさんは戦慄した。
Fは、パラメーターを設定しても、その台数確認をしないのは当たり前だったし、そもそも新たに設定したものの方が性能が落ちていることもしばしばあった。しかも、言い訳だけは一聴すると深い理由があるかのようなイッパシなことを言う。
「これは本体側の○○という機構が××という現象を起こしていてムニャムニャ...」。
だが、聞く人が聞けばその中身は空っぽに等しかった。要は、難しそうなことを言って煙に巻いているだけだ（残念ながら、関わりが薄い人は、Fのこのケムマキ話術に騙されることが非常に多かった）。
それどころか、「このサンプルは古いから」などという良く分からない理由で、せっかく別々に設定してあった設定を、いくつかのサンプルでひとまとめにしたりしはじめた。つまり、手間減らしだ。
その際、実機での確認すら行わなかったのだから、もはやエンジニアリングとは真逆の行為である。同じボンクラーズでも、「突っつかない限り、何もしないだけ」のOの方がまだマシだった（←突っつけばOも面倒くさいの意）。
俺が作ったプログラムにも相変わらず、無駄な改変（改悪）を加えていた。その度に、YSさんやKさんが、俺やSのところに相談にくる羽目になった。
パラメーターを製品のファームウェアに反映させる時も、他の人間が改変している可能性もあるのに、何も考えずに自分のPCに保存したファイルを丸ごと移してしまうので、他の人の改変が無駄になる「先祖返り」をしょっちゅう起こしていた。
また、Oもそうだったが、このFも機器などを無駄にガメる傾向があった。課の合併とともに席替えをした際に梱包した、1台200万する貴重な計測機器を半年近く、自分の席の後ろにそのまま放置していた。
YSさんは2週間と経たないうちにFを見切った。そして、俺たちの前でボロカスに言い始めた。
「あのクソジジイ、滅茶苦茶だ！」
いつもヒネリの利いたアダ名を考えつくYSさんが、ここまで直球なアダ名で呼ぶ時点で相当腹に据えかねていたのだろう。
形の上でグループのリーダーは、最年長のFということになっていた。本人も、課長に「今後は実務よりも、マネージメント的な仕事をやっていきたい」などと言っていたようだ。だが、実務を人並みにできないヤツがまともなマネージメントをできるわけがない。実際には、好き勝手に無意味なことをやって「仕事してるフリ」をするFを、YSさんとKさんがゲンナリしながら尻拭いをしていたような状況だった。
それでも、派遣社員という立場上、以前は黙って耐えるしかなかったKさんにとっては、YSさんという共闘できる人ができたことは大きかったようだ。前は尻拭きしなきゃいけないヤツがもう1人いたわけだし。
結局、それから4ヶ月程度経って行われた、年に2回ある業務アセスメントで、YSさん、Kさんに加え、俺やSも課長に対しFのダメさを訴えた。あ、ボスはもうずーーっと昔から言い続けてきたのだが。
YSさんに至っては、「邪魔ばかりで仕事にならないから、Fの配置転換を希望」とハッキリ言った。
さすがの放置課長も、これには動かざるを得なかった。...と言うより実に渡りに船で、ちょうどこのタイミングでボンクラーズの一角、Oが他の事業所へ移ることになった。その後釜としてFがグループを移る。口実としては最高だった。
そんなわけで、わずかに半年足らずでFは他のグループに追い出され、俺が元いたグループはYSさんとKさんの2人だけになった。が、人員が減ったのに、業務効率は飛躍的に向上した。
そして、Fの仕事ぶりの実態・正体を知る人が増え、また盟友？Oも去ったことで、Fは（自覚があったかは疑わしいが）徐々に孤立を深めていくのだった。
と、同時に早くからFのダメさを指摘していたボスへの信頼は、みな口には出さないけど明らかに増しているように感じられた。以前は自分の意見で突っ走る（だけのように見えた）ボスを冷めた目で見ていた周囲も、かなり協力的に変わってきた。
先述の200万円の計測器は、我々のグループにとっては、足りなくて困っていたものだった。全部買えないから数台レンタルしていたくらいなのに、Fが使いもせずガメていた。だから、ボスが「Fがいない間に黙ってかっばらっちまうか！」と言い出した時も、周りはむしろニヤニヤしながら手伝っていた。
つづく。
部長がかけてくれた言葉だ。
今、忙しくしている仕事は、巨大な機械の製造に携わる人達に、機械の各部品がどう動き、どんな役割をするのか、かなり細かく説明するためのコンテンツづくりだ。イラストの比重が高いが、イラストひとつとっても、単純に絵を書くのではなく、見やすいようデフォルメしたり、強調したい部品を色付けしたりと工夫が要る。機械の構造を理解しなければ正確には描けない。幸か不幸か、イラストの需要が高まっているのに、俺の部署にイラストをできる人は非常に少ない。仕事が集中して忙しくはなっているが、なくてはならない人材と見てもらえるのは、大きなチャンスでもある。
だから、冒頭の部長の言葉は、素直に嬉しい賛辞だった。心底、こっちの仕事に移って良かったと思う。
でも今後も、厳しい日程を睨みながらやりくりをする日々が続く。前職時代、半ば放棄していたマネージメントを、しっかりやらなきゃね。
ああ、そういえば、前職の社内にあった俺の移動したかった部署は、他の会社に売られてしまったと言う。しばらくは前職の社屋に残るようだが、将来的にはどうなるか分かったものではない。給与体系も大きく変わるかもしれない。
もともとあそこはイラストとかもできる人が多かったから、仮に俺が入れたとしても、今のように重宝がられることもなかったかもしれない。
人生、一体どう転がるか分からないね。
Glasses
(PentaxK-7, PentaxDA15mmLimitedF4, 1/6sec, F10.0, ISO800)
その前職であったいろいろな経験を忘れないための、前職ぶっちゃけ回顧録だ。
前職ぶっちゃけ回顧録
「20.追放」
*** Back Number ***
1.野放し
2.OFコンビ（ボンクラ親父達）
3.堕落人
4.砂上の楼閣1
5.砂上の楼閣2
6.火の玉、堕ちた
7.さよなら、ブーちゃん
8.新たなるチャレンジ
9.斜陽
10.ハイテンション・プログラマー
11.ドロンパ、郷里に帰る
12.盟友たち
13.大移動
14.編入
15.最短記録
16.再加入
17.ゆとり世代
18.ゆとり世代2
19.宿命の対決再び
2008年6月。
課が合併したにも関わらず、「剛腕マネージャー」SSKの囲い込み政策によって、その融合は全く進まなかった。しかしそのおかげで、天敵とも言えるボスとSSKの直接対決が起きることもなく、一見するとこれまでと同様の平穏な日々が流れることになった。
この組織変更に伴い、I上がいなくなった例のグループ（俺がいたところ）にも変化があった。ここでは初登場となるが、YSさんという人が加わることになったのだ。
YSさんもやはり、俺が入社以来ずっと同じ部にいて長いつきあいがあった（どんだけ人の出入りがねーんだ、この部署）。年齢は俺より一回りくらい上で、SSKとは同期らしい。課には俺が入るより前からいた。
YSさんも、派遣のKさんと同様で、与えられた仕事を効率良く片付け、後はプライベートを謳歌するタイプの人だった。だから、Kさんとはもともとソリが合った。
また、タレントの有吉のように、ズバッと本質をついた、人のアダ名を考えつく。誰に対しても物怖じせず、SSKのような権威主義でもなく、飄々としていて付き合いやすかった。
YSさんは製品群Dよりさらに古い、製品群Cのパラメーター設定を担当していたが、製品群Dにもほぼそのまま適用できる技術だったので、I上が抜けて（見かけ上は）手薄になったそのグループに合流することになった。
これで、このグループは正社員であるYSさん、ダメオヤジF、そして派遣社員Kさんという3人になった。
以前にも述べたように、俺がいた課は徹底的な縦割りだったので（合併でさらに加速した？？）、隣の机の人でさえ、どんな仕事をしているか、ろくに状況が分からなかった。だから、もともと1人グループだったYSさんも、まあ多少噂は漏れ聞いていたろうが、ダメオヤジFがどれほどダメかを本質的には理解していなかった。
いざ業務が始まって、想像以上のFのダメっぷりにYSさんは戦慄した。
Fは、パラメーターを設定しても、その台数確認をしないのは当たり前だったし、そもそも新たに設定したものの方が性能が落ちていることもしばしばあった。しかも、言い訳だけは一聴すると深い理由があるかのようなイッパシなことを言う。
「これは本体側の○○という機構が××という現象を起こしていてムニャムニャ...」。
だが、聞く人が聞けばその中身は空っぽに等しかった。要は、難しそうなことを言って煙に巻いているだけだ（残念ながら、関わりが薄い人は、Fのこのケムマキ話術に騙されることが非常に多かった）。
それどころか、「このサンプルは古いから」などという良く分からない理由で、せっかく別々に設定してあった設定を、いくつかのサンプルでひとまとめにしたりしはじめた。つまり、手間減らしだ。
その際、実機での確認すら行わなかったのだから、もはやエンジニアリングとは真逆の行為である。同じボンクラーズでも、「突っつかない限り、何もしないだけ」のOの方がまだマシだった（←突っつけばOも面倒くさいの意）。
俺が作ったプログラムにも相変わらず、無駄な改変（改悪）を加えていた。その度に、YSさんやKさんが、俺やSのところに相談にくる羽目になった。
パラメーターを製品のファームウェアに反映させる時も、他の人間が改変している可能性もあるのに、何も考えずに自分のPCに保存したファイルを丸ごと移してしまうので、他の人の改変が無駄になる「先祖返り」をしょっちゅう起こしていた。
また、Oもそうだったが、このFも機器などを無駄にガメる傾向があった。課の合併とともに席替えをした際に梱包した、1台200万する貴重な計測機器を半年近く、自分の席の後ろにそのまま放置していた。
YSさんは2週間と経たないうちにFを見切った。そして、俺たちの前でボロカスに言い始めた。
「あのクソジジイ、滅茶苦茶だ！」
いつもヒネリの利いたアダ名を考えつくYSさんが、ここまで直球なアダ名で呼ぶ時点で相当腹に据えかねていたのだろう。
形の上でグループのリーダーは、最年長のFということになっていた。本人も、課長に「今後は実務よりも、マネージメント的な仕事をやっていきたい」などと言っていたようだ。だが、実務を人並みにできないヤツがまともなマネージメントをできるわけがない。実際には、好き勝手に無意味なことをやって「仕事してるフリ」をするFを、YSさんとKさんがゲンナリしながら尻拭いをしていたような状況だった。
それでも、派遣社員という立場上、以前は黙って耐えるしかなかったKさんにとっては、YSさんという共闘できる人ができたことは大きかったようだ。前は尻拭きしなきゃいけないヤツがもう1人いたわけだし。
結局、それから4ヶ月程度経って行われた、年に2回ある業務アセスメントで、YSさん、Kさんに加え、俺やSも課長に対しFのダメさを訴えた。あ、ボスはもうずーーっと昔から言い続けてきたのだが。
YSさんに至っては、「邪魔ばかりで仕事にならないから、Fの配置転換を希望」とハッキリ言った。
さすがの放置課長も、これには動かざるを得なかった。...と言うより実に渡りに船で、ちょうどこのタイミングでボンクラーズの一角、Oが他の事業所へ移ることになった。その後釜としてFがグループを移る。口実としては最高だった。
そんなわけで、わずかに半年足らずでFは他のグループに追い出され、俺が元いたグループはYSさんとKさんの2人だけになった。が、人員が減ったのに、業務効率は飛躍的に向上した。
そして、Fの仕事ぶりの実態・正体を知る人が増え、また盟友？Oも去ったことで、Fは（自覚があったかは疑わしいが）徐々に孤立を深めていくのだった。
と、同時に早くからFのダメさを指摘していたボスへの信頼は、みな口には出さないけど明らかに増しているように感じられた。以前は自分の意見で突っ走る（だけのように見えた）ボスを冷めた目で見ていた周囲も、かなり協力的に変わってきた。
先述の200万円の計測器は、我々のグループにとっては、足りなくて困っていたものだった。全部買えないから数台レンタルしていたくらいなのに、Fが使いもせずガメていた。だから、ボスが「Fがいない間に黙ってかっばらっちまうか！」と言い出した時も、周りはむしろニヤニヤしながら手伝っていた。
つづく。
nobilesの投稿(23:30:30-2011-06-19) -
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