NOBILES Days
Jump to navigation2005 F-1 Monaco Tour (27) - Day6(5/22) Celebration Sirens
今年のゴールデンウィークとやらも、もう終わりだ。
でもまあ毎年、人混みがいやなのでこの期間は近場で過ごす。今年も、近くのショッピングモールの駐車場でやっていたサーカス（結構本格的だけど）、車で10分のところでイチゴ狩り、自宅庭に友人を招いてBBQと、まあレジャーは近場だった。まあ子ども達に少しでも特別感を持ってもらえたらそれでいいのだ！ああ、今話題の映画「ズートピア」も観に行ったしね。
さてさて、2005年モナコGP観戦ハネムーン旅行記も、いよいよ5月22日決勝日に辿り着いた（10年かかったんか！）。
Niki Lauda on the Boat
(ContaxU4R(5.8mm=equiv38.0mm), 1/250s, F7.5, ISO100)
2005年モナコGP観戦記バックナンバーはこちら。
1.Prologue
2.To Nice
3.Musee Matisse
4.To Vence
5.At Vence
6.Vence Old Town
7.First Monaco
8.Kir Royal
9.Free Practice 1
10.Free Practice 2
11.Meet F-1 Drivers
12.Walk Around In Monaco
13.Course Open
14.Meet The God
15.Dive Into The Water
16.The Evening of The Palace
17.Tour Mates
18.The Honeycomb Village
19.The Hawaiian Priest
20.Sunny Monaco
21.Cruiser Party
22.Cruiser Party2
23.Tongue Resting
24.Everyone looked at him
25.The great tent with great drivers
26.The great photo frame
2005年は今と違って、日曜の朝にも予選があった。前日の予選1回目との合算で午後の決勝のグリッドが決まるのだ。ただ、10時からで少し遅めだったため、前日までより多少ゆっくりと出発できた。この日は、サイン集めにも若干疲れたのもあったし、予選2回目と決勝で関係者も忙しいだろうと思い、最初からクルーザーに渡ることにした。
と言いながらも、その波止場にいると、割とチーム関係者が通る。おお、ウィリアムズBMWにいたニック・ハイドフェルド、ロン・デニスに、ロス・ブラウン（前日にサインもらってるけど）...。あ、また佐藤琢磨がいた (^_^;（←慣れって恐ろしい）。
いよいよゴムボートでクルーザーに渡ろうとしていたら、また大物がやってきた。
ニキ・ラウダだ！
そう、一昨年（2014年）公開された「RUSH」という映画の主人公のひとりである。絶不調にあった1970年代半ばのフェラーリを復活させ2度のチャンピオンに輝き、一度引退した後、マクラーレンで復帰して3度目のチャンピオンも獲得したレジェンドである。映画でもあったように、フェラーリ時代に大事故に遭い、瀕死の重傷を負った経験を持ち、顔に大火傷による皮膚移植の跡が今も残っている。
現在では最強メルセデスチームの非常勤会長に納まっている彼だが、この2005年はどこだかの国のテレビの解説者として来ていたのだ。
俺はラウダに会ったらこうすると決めていたことがあった。実はこの年のモナコGPのパンフには、モナコGPの歴史のような記事が載っていた。その中に1975年、会心のレースで優勝を飾ったのがラウダの写真が載っていたのだ。ラウダの誇らしげな表彰台の写真に彼のサインをしてもらおう。
同じツアーの連中がラウダに群がるが、どうやら「テレビの放映時間があるんだ」的なジェスチャーで、かなり慌ただしい雰囲気だ。それでも、俺の番が回ってきたので、おもむろに件（くだん）のページを開いてラウダの前に差し出した。するとラウダは「おっ？」というような顔をしてこちらを見た。多分、海外のファン含めてこのページをチェックしていたマニアはそう多くなかったのだろう。うひひ。調子に乗って「I was born in 1976.」なんて言ったら、ニキもちょっとだけニヤッとしてサインをしてくれた。
ニキ・ラウダのサイン
(ContaxU4R(5.8mm=equiv38.0mm), 1/250s, F7.5, ISO100)
で、既に待っていたゴムボートに、俺たちは慌ただしく乗り込んだ。他のメンバー達が全て乗り込むのを待っていたら、なんと、目の前の別のボートにさっきサインを貰ったばかりのニキ・ラウダが乗り込んでくるではないか。ほんとに目の前！またまた調子に乗って「Thank you for your autograph!」なんつって手を差し出したら、向こうもボートに乗って時間的な余裕ができて安心したのだろう、ニッコニコしながらボート越しに握手してくれたよ (^_^;。これはかなり嬉しかったなあ。それが、トビラの写真だ。
さて、クルーザーに渡って、予選2回目を観る。決勝日となると、前日までと比べても全く違う華やかな雰囲気が漂っていた。天気も快晴だ。ついついドリンクが進んでしまう。
予選2回目では、1回目のタイムの降順で走行する。なので、前日クラッシュした、トヨタのラルフ・シューマッハからだった。
ここでは、前日2番手でポイントリーダーである、ルノーのアロンソが意地を見せてトップタイムを叩き出した。だが、1回目の圧倒的なタイム差が効いて、マクラーレンのライコネンがボールポジションを奪取した。
一方、フェラーリのミヒャエル・シューマッハは前日より順位を上げて、チームメートのバリッケロを逆転したが、それでもこのモナコで優勝を狙うには絶望的な8番グリッドに留まった。
予選2回目が終わると、サポートレースのワールドシリーズbyルノーの決勝が始まった。
このレースには実は日本人が参戦していた。福田良である。福田良と言えば、少年の頃から天才カート少年としてその筋のメディアにも取り上げられていた。そして苦労の末2001年にフランスF-3でチャンピオンに輝いた。この年はイギリスF-3では佐藤琢磨、ドイツF-3でも金石年弘がタイトルを獲った「日本人大当たり年」だ。
その福田良については、1999年のフォーミュラドリーム最終戦鈴鹿にゲスト参戦し、いきなり独走した（結局リタイアしたけど）のが俺にはとても鮮烈で、個人的には長く、佐藤琢磨よりも注目していたのだ。
だが彼はフランスF-3タイトル獲得後、運に恵まれなくなっていく。翌年2002年にBARホンダのテストドライバーを務めたが、レギュラーシートは掴めなかった。
一方の佐藤琢磨は2002年にジョーダン・ホンダでF-1デビューしたばかりか、福田と入れ替わるように2003年のBARホンダのテストドライバーに収まると、レギュラーのジャック・ヴィルヌーブの離脱に伴い日本GPに参戦した上、2004年からはレギュラーに昇格した。
で、この2005年、福田はワールドシリーズbyルノーという、性能はまあまあだけど、GP2なんかと比べるとビミョーな位置づけのカテゴリーで走ることを余儀なくされていた。
フランスF-3時代に、日本人で初めてポー市街地での「マスターズ」に優勝した福田だ。このモナコでの活躍に大いに期待していたが、チーム体制がこれまたビミョーなところ（F-3でタイトル獲ったときのソルニエレーシングだったんだけどね）で、残念ながら中団あたりのままレースが終わってしまったと記憶している。
Rio Fukuda
(Panasonic DMC-FZ10(48.4mm=equiv291mm), 1/1300s, F4.6, ISO100)
決勝スタートに向け、コース周辺の人だかりもますます増え、天気もさらに良くなって、雰囲気は最高潮に達しようとしていた。クルーザー上の俺たちも、ますますフリードリンクや軽食にがっついていた (^_^;。
クルーザーの名前がラベルになっているワイン
後から調べたら結構な安ワインのようだが、こういうものを買いにいく手間がないのは実に贅沢だった
(ContaxU4R(5.8mm=equiv38.0mm), 1/350s, F7.5, ISO100)
ドライバーズパレードが始まった。
鈴鹿でのF-1レースではドライバーひとりひとりがクラシックカーに乗ってコースを1周する趣向であるが、モナコ含めて他国では基本的に大型車両の荷台的なところに全ドライバーが乗って1周する。
みんな一緒に乗っているので、好き勝手にくっちゃべってるんじゃないかと思ったが、意外とまともに手を振ったりしている。何より、他のコースよりも距離が近いのでそこそこ表情も見ることができた。あ、フィジコはしっかりこちら（というかお隣の自分の船）の方を見てるね。
Drivers Parade
(Panasonic DMC-FZ10(72.0mm=equiv432mm), 1/500s, F4.2, ISO50)
しばらくすると、コースがオープンされ、レコンサンスラップが始まった。レコンサンスラップは、言ってみれば最終確認ラップのようなものに過ぎないのだが、マシンが通る度に「わあっ」と声援が上がる。完全にお祭りだ。
そして、フォーメーションラップだ。スタート前に隊列を整える目的で行う1周のラップでは、速度は速くないものの、このグランプリ期間を通じて初めてF-1マシンが一度に走るラップということになる。現在のターボマシンとは違う、自然吸気10気筒エンジン2※台が一斉に奏でるサウンドは悦楽的だった。下位カテゴリーとは全く違う。
さあ、レーススタートだ！最高の興奮状態とエンジン音がモナコの狭い街を支配する。モニター内で、ポールのライコネンがホールショットを奪ったのが見えた。少し遅れて、目の前の坂（ボーリバージュ）を、爆音を響かせてマシンの隊列が駆け上がっていくのが見えた。モナコではありがちのスタート直後の混乱もなかったようだ。
坂の向こう、カジノ方面にエンジン音が遠くなり、遅れること30秒ほどして、今度はこのクルーザーの視界ギリギリにあるトンネルから甲高いV10サウンドの集合体が迫ってきた。
近い！音デカい！
このクルーザーに限らず観客席含めて、お世辞にも視界が広いとは言えないモナコGPだが。この距離はやっぱり、迫力がまったく違う。
レース自体は、追い越しが極めて困難なモナコだけに、大きな波乱もなく進み、絶好調のライコネンがリードを築いていった。さすがに我々観客もいつまでもお祭りモードでは疲れるので (^_^;、またぞろワインなんて傾けながら、マターリモードに入っていた。
だが、24周目に動きがあった。ミナルディのクリスチャン・アルバースがミラボーでスピンして横向きになって止まった。これでミヒャエル・シューマッハがノーズを壊し、何台かが立ち往生することになった。セーフティーカー導入となった。
ここで、2位のアロンソ以下数台はピットインしてタイヤを換えたが、ライコネンはピットインしなかった。これで少し面白くなったかと思ったが、レースが再開すると、ライコネンは爆発的な加速を見せ、あっという間にタイヤ交換マージンを稼ぎ出すと、鮮やかにタイヤ交換を済ませ、首位をキープしたままアロンソの10秒以上前に戻った。ライコネンには波乱もなにもなかった。
すると、マシン的には2番手と思われたルノー勢のタイヤがダレてペースダウンが顕著になってきた。アロンソは2位にいたが、予選でも好調だったウィリアムズBMW勢、ハイドフェルドとマーク・ウェバーが着々差を縮めてきた。隣のクルーザーのオーナー、フィジケラに至ってはセーフティーカー時のタイヤ交換でアロンソを待ったために5位に落ちたばかりか、後続に追いまくられる展開になっていた。
残り15周で、ずっとそのフィジケラに引っかかっていたトヨタのトゥルーリが、ヌーベルシケインでインに飛び込んだ。
だがそれは、いささか無茶なチャレンジに見えた。案の定、トゥルーリの右フロントタイヤとフィジケラの左サイドポンツーンが接触してしまった。トゥルーリは右フロントを曲げて脱落し、フィジケラも遅れ、モントーヤやラルフらに次々パスされてしまった。うーん、波乱にはなったけど、ちょっと残念な形だった。
2位で粘っていたアロンソも、俺たちのいるクルーザーから見えるヌーベルシケインで、ハイドフェルド、ウェバーに抜き去られてしまった。個人的にはこのオーバーテイクはなかなか楽しんだのだが、周囲の人たちはアロンソを応援していたのだろうか、結構「なーんだ」という感じで「あれっ？」と思ってしまった。
一方先頭のライコネンだけは別次元で、悠々とファイナルラップをこなし、チェッカーフラッグを受けた。
Winner : Kimi Raikkonen
(Panasonic DMC-FZ10(35.5mm=equiv214mm), 1/1300s, F4.0, ISO100)
と、同時に、港に停泊していた船が一斉に汽笛を鳴らし始めた。そう、グランプリの勝者を祝福するためだ。これは本当に華やかかつ感動的で、テレビ観戦ではなかなか分からない場面だった。
この模様を俺はコンパクトカメラの動画に収めた。
表彰台のシーンをモニターで見ながら、俺たちはゾロゾロと、クルーザーのハシゴを下りてゴムボートに移った。
ゴムボートでクルーザーを離れようとしたら、クルーザー上にいた、BARのユニフォームを来た金髪の女性スタッフたちがニコニコしながら手を振ってくれた。「おっ」と思ってそれを写真に撮ろうと思ったら...さっきの動画が回しっぱなしになっていたばかりか、メモリーフルになっているではないか！うああ！
とっさに動画を止め、それを消してスタッフ達を撮った。が、後から感動の汽笛シーンを消してしまった事実に気づいて愕然とした。マヌケだ。すごく感動的なシーンだったのに。
動画を犠牲にして撮った美人たちの写真
(ContaxU4R(5.8mm=equiv38.0mm), 1/350s, F7.5, ISO100)
つづく。
でもまあ毎年、人混みがいやなのでこの期間は近場で過ごす。今年も、近くのショッピングモールの駐車場でやっていたサーカス（結構本格的だけど）、車で10分のところでイチゴ狩り、自宅庭に友人を招いてBBQと、まあレジャーは近場だった。まあ子ども達に少しでも特別感を持ってもらえたらそれでいいのだ！ああ、今話題の映画「ズートピア」も観に行ったしね。
さてさて、2005年モナコGP観戦ハネムーン旅行記も、いよいよ5月22日決勝日に辿り着いた（10年かかったんか！）。
Niki Lauda on the Boat
(ContaxU4R(5.8mm=equiv38.0mm), 1/250s, F7.5, ISO100)
2005年モナコGP観戦記バックナンバーはこちら。
1.Prologue
2.To Nice
3.Musee Matisse
4.To Vence
5.At Vence
6.Vence Old Town
7.First Monaco
8.Kir Royal
9.Free Practice 1
10.Free Practice 2
11.Meet F-1 Drivers
12.Walk Around In Monaco
13.Course Open
14.Meet The God
15.Dive Into The Water
16.The Evening of The Palace
17.Tour Mates
18.The Honeycomb Village
19.The Hawaiian Priest
20.Sunny Monaco
21.Cruiser Party
22.Cruiser Party2
23.Tongue Resting
24.Everyone looked at him
25.The great tent with great drivers
26.The great photo frame
2005年は今と違って、日曜の朝にも予選があった。前日の予選1回目との合算で午後の決勝のグリッドが決まるのだ。ただ、10時からで少し遅めだったため、前日までより多少ゆっくりと出発できた。この日は、サイン集めにも若干疲れたのもあったし、予選2回目と決勝で関係者も忙しいだろうと思い、最初からクルーザーに渡ることにした。
と言いながらも、その波止場にいると、割とチーム関係者が通る。おお、ウィリアムズBMWにいたニック・ハイドフェルド、ロン・デニスに、ロス・ブラウン（前日にサインもらってるけど）...。あ、また佐藤琢磨がいた (^_^;（←慣れって恐ろしい）。
いよいよゴムボートでクルーザーに渡ろうとしていたら、また大物がやってきた。
ニキ・ラウダだ！
そう、一昨年（2014年）公開された「RUSH」という映画の主人公のひとりである。絶不調にあった1970年代半ばのフェラーリを復活させ2度のチャンピオンに輝き、一度引退した後、マクラーレンで復帰して3度目のチャンピオンも獲得したレジェンドである。映画でもあったように、フェラーリ時代に大事故に遭い、瀕死の重傷を負った経験を持ち、顔に大火傷による皮膚移植の跡が今も残っている。
現在では最強メルセデスチームの非常勤会長に納まっている彼だが、この2005年はどこだかの国のテレビの解説者として来ていたのだ。
俺はラウダに会ったらこうすると決めていたことがあった。実はこの年のモナコGPのパンフには、モナコGPの歴史のような記事が載っていた。その中に1975年、会心のレースで優勝を飾ったのがラウダの写真が載っていたのだ。ラウダの誇らしげな表彰台の写真に彼のサインをしてもらおう。
同じツアーの連中がラウダに群がるが、どうやら「テレビの放映時間があるんだ」的なジェスチャーで、かなり慌ただしい雰囲気だ。それでも、俺の番が回ってきたので、おもむろに件（くだん）のページを開いてラウダの前に差し出した。するとラウダは「おっ？」というような顔をしてこちらを見た。多分、海外のファン含めてこのページをチェックしていたマニアはそう多くなかったのだろう。うひひ。調子に乗って「I was born in 1976.」なんて言ったら、ニキもちょっとだけニヤッとしてサインをしてくれた。
ニキ・ラウダのサイン
(ContaxU4R(5.8mm=equiv38.0mm), 1/250s, F7.5, ISO100)
で、既に待っていたゴムボートに、俺たちは慌ただしく乗り込んだ。他のメンバー達が全て乗り込むのを待っていたら、なんと、目の前の別のボートにさっきサインを貰ったばかりのニキ・ラウダが乗り込んでくるではないか。ほんとに目の前！またまた調子に乗って「Thank you for your autograph!」なんつって手を差し出したら、向こうもボートに乗って時間的な余裕ができて安心したのだろう、ニッコニコしながらボート越しに握手してくれたよ (^_^;。これはかなり嬉しかったなあ。それが、トビラの写真だ。
さて、クルーザーに渡って、予選2回目を観る。決勝日となると、前日までと比べても全く違う華やかな雰囲気が漂っていた。天気も快晴だ。ついついドリンクが進んでしまう。
予選2回目では、1回目のタイムの降順で走行する。なので、前日クラッシュした、トヨタのラルフ・シューマッハからだった。
ここでは、前日2番手でポイントリーダーである、ルノーのアロンソが意地を見せてトップタイムを叩き出した。だが、1回目の圧倒的なタイム差が効いて、マクラーレンのライコネンがボールポジションを奪取した。
一方、フェラーリのミヒャエル・シューマッハは前日より順位を上げて、チームメートのバリッケロを逆転したが、それでもこのモナコで優勝を狙うには絶望的な8番グリッドに留まった。
予選2回目が終わると、サポートレースのワールドシリーズbyルノーの決勝が始まった。
このレースには実は日本人が参戦していた。福田良である。福田良と言えば、少年の頃から天才カート少年としてその筋のメディアにも取り上げられていた。そして苦労の末2001年にフランスF-3でチャンピオンに輝いた。この年はイギリスF-3では佐藤琢磨、ドイツF-3でも金石年弘がタイトルを獲った「日本人大当たり年」だ。
その福田良については、1999年のフォーミュラドリーム最終戦鈴鹿にゲスト参戦し、いきなり独走した（結局リタイアしたけど）のが俺にはとても鮮烈で、個人的には長く、佐藤琢磨よりも注目していたのだ。
だが彼はフランスF-3タイトル獲得後、運に恵まれなくなっていく。翌年2002年にBARホンダのテストドライバーを務めたが、レギュラーシートは掴めなかった。
一方の佐藤琢磨は2002年にジョーダン・ホンダでF-1デビューしたばかりか、福田と入れ替わるように2003年のBARホンダのテストドライバーに収まると、レギュラーのジャック・ヴィルヌーブの離脱に伴い日本GPに参戦した上、2004年からはレギュラーに昇格した。
で、この2005年、福田はワールドシリーズbyルノーという、性能はまあまあだけど、GP2なんかと比べるとビミョーな位置づけのカテゴリーで走ることを余儀なくされていた。
フランスF-3時代に、日本人で初めてポー市街地での「マスターズ」に優勝した福田だ。このモナコでの活躍に大いに期待していたが、チーム体制がこれまたビミョーなところ（F-3でタイトル獲ったときのソルニエレーシングだったんだけどね）で、残念ながら中団あたりのままレースが終わってしまったと記憶している。
Rio Fukuda
(Panasonic DMC-FZ10(48.4mm=equiv291mm), 1/1300s, F4.6, ISO100)
決勝スタートに向け、コース周辺の人だかりもますます増え、天気もさらに良くなって、雰囲気は最高潮に達しようとしていた。クルーザー上の俺たちも、ますますフリードリンクや軽食にがっついていた (^_^;。
クルーザーの名前がラベルになっているワイン
後から調べたら結構な安ワインのようだが、こういうものを買いにいく手間がないのは実に贅沢だった
(ContaxU4R(5.8mm=equiv38.0mm), 1/350s, F7.5, ISO100)
ドライバーズパレードが始まった。
鈴鹿でのF-1レースではドライバーひとりひとりがクラシックカーに乗ってコースを1周する趣向であるが、モナコ含めて他国では基本的に大型車両の荷台的なところに全ドライバーが乗って1周する。
みんな一緒に乗っているので、好き勝手にくっちゃべってるんじゃないかと思ったが、意外とまともに手を振ったりしている。何より、他のコースよりも距離が近いのでそこそこ表情も見ることができた。あ、フィジコはしっかりこちら（というかお隣の自分の船）の方を見てるね。
Drivers Parade
(Panasonic DMC-FZ10(72.0mm=equiv432mm), 1/500s, F4.2, ISO50)
しばらくすると、コースがオープンされ、レコンサンスラップが始まった。レコンサンスラップは、言ってみれば最終確認ラップのようなものに過ぎないのだが、マシンが通る度に「わあっ」と声援が上がる。完全にお祭りだ。
そして、フォーメーションラップだ。スタート前に隊列を整える目的で行う1周のラップでは、速度は速くないものの、このグランプリ期間を通じて初めてF-1マシンが一度に走るラップということになる。現在のターボマシンとは違う、自然吸気10気筒エンジン2※台が一斉に奏でるサウンドは悦楽的だった。下位カテゴリーとは全く違う。
さあ、レーススタートだ！最高の興奮状態とエンジン音がモナコの狭い街を支配する。モニター内で、ポールのライコネンがホールショットを奪ったのが見えた。少し遅れて、目の前の坂（ボーリバージュ）を、爆音を響かせてマシンの隊列が駆け上がっていくのが見えた。モナコではありがちのスタート直後の混乱もなかったようだ。
坂の向こう、カジノ方面にエンジン音が遠くなり、遅れること30秒ほどして、今度はこのクルーザーの視界ギリギリにあるトンネルから甲高いV10サウンドの集合体が迫ってきた。
近い！音デカい！
このクルーザーに限らず観客席含めて、お世辞にも視界が広いとは言えないモナコGPだが。この距離はやっぱり、迫力がまったく違う。
レース自体は、追い越しが極めて困難なモナコだけに、大きな波乱もなく進み、絶好調のライコネンがリードを築いていった。さすがに我々観客もいつまでもお祭りモードでは疲れるので (^_^;、またぞろワインなんて傾けながら、マターリモードに入っていた。
だが、24周目に動きがあった。ミナルディのクリスチャン・アルバースがミラボーでスピンして横向きになって止まった。これでミヒャエル・シューマッハがノーズを壊し、何台かが立ち往生することになった。セーフティーカー導入となった。
ここで、2位のアロンソ以下数台はピットインしてタイヤを換えたが、ライコネンはピットインしなかった。これで少し面白くなったかと思ったが、レースが再開すると、ライコネンは爆発的な加速を見せ、あっという間にタイヤ交換マージンを稼ぎ出すと、鮮やかにタイヤ交換を済ませ、首位をキープしたままアロンソの10秒以上前に戻った。ライコネンには波乱もなにもなかった。
すると、マシン的には2番手と思われたルノー勢のタイヤがダレてペースダウンが顕著になってきた。アロンソは2位にいたが、予選でも好調だったウィリアムズBMW勢、ハイドフェルドとマーク・ウェバーが着々差を縮めてきた。隣のクルーザーのオーナー、フィジケラに至ってはセーフティーカー時のタイヤ交換でアロンソを待ったために5位に落ちたばかりか、後続に追いまくられる展開になっていた。
残り15周で、ずっとそのフィジケラに引っかかっていたトヨタのトゥルーリが、ヌーベルシケインでインに飛び込んだ。
だがそれは、いささか無茶なチャレンジに見えた。案の定、トゥルーリの右フロントタイヤとフィジケラの左サイドポンツーンが接触してしまった。トゥルーリは右フロントを曲げて脱落し、フィジケラも遅れ、モントーヤやラルフらに次々パスされてしまった。うーん、波乱にはなったけど、ちょっと残念な形だった。
2位で粘っていたアロンソも、俺たちのいるクルーザーから見えるヌーベルシケインで、ハイドフェルド、ウェバーに抜き去られてしまった。個人的にはこのオーバーテイクはなかなか楽しんだのだが、周囲の人たちはアロンソを応援していたのだろうか、結構「なーんだ」という感じで「あれっ？」と思ってしまった。
一方先頭のライコネンだけは別次元で、悠々とファイナルラップをこなし、チェッカーフラッグを受けた。
Winner : Kimi Raikkonen
(Panasonic DMC-FZ10(35.5mm=equiv214mm), 1/1300s, F4.0, ISO100)
と、同時に、港に停泊していた船が一斉に汽笛を鳴らし始めた。そう、グランプリの勝者を祝福するためだ。これは本当に華やかかつ感動的で、テレビ観戦ではなかなか分からない場面だった。
この模様を俺はコンパクトカメラの動画に収めた。
表彰台のシーンをモニターで見ながら、俺たちはゾロゾロと、クルーザーのハシゴを下りてゴムボートに移った。
ゴムボートでクルーザーを離れようとしたら、クルーザー上にいた、BARのユニフォームを来た金髪の女性スタッフたちがニコニコしながら手を振ってくれた。「おっ」と思ってそれを写真に撮ろうと思ったら...さっきの動画が回しっぱなしになっていたばかりか、メモリーフルになっているではないか！うああ！
とっさに動画を止め、それを消してスタッフ達を撮った。が、後から感動の汽笛シーンを消してしまった事実に気づいて愕然とした。マヌケだ。すごく感動的なシーンだったのに。
動画を犠牲にして撮った美人たちの写真
(ContaxU4R(5.8mm=equiv38.0mm), 1/350s, F7.5, ISO100)
つづく。
nobilesの投稿(13:11:20-2016-05-06) -
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