NOBILES Days
Jump to navigationFrankly Speaking... Vol.26
実はもう2年近く前からあったんだけど、LXの影響もあって、最近またそのカメラを見直している。
Gakkenflex
(PentaxK-7, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/8sec, F4.5, ISO800)
いわゆるトイカメラだ。しかも、「大人の自由研究」系の付録のようなシロモノである。その名もGakkenflexだ (^_^;。
でも、一応二眼レフの構造をとっていて、フォーカスを合わせることができる。
でもこれがかなりシビアだ。フォーカシングスクリーンの像が小さいから、ばっちり合わせた気でいても結構ずれているし、鏡像なので構図を合わせるには、見た目とは反対に動かないといけない。
どう頑張っても1枚撮るのに膨大な時間が必要だし、露出が事実上固定なので、晴天の屋外でなければまともな写真は撮れない。
でもそれがいいんだよ。
制約があればあるほど、人はどうすれば少しでもいいものが撮れるかを否が応でも考える。考えた結果がハマれば、これほど気持ちいいことはない。
ペラッペラのプラスチックレンズで実際に撮れる写真は、周辺光量落ちまくりだわ、像は流れまくりだわ、ちょっと曇った程度の明るさでもコントラスト足りない「ねむねむ」状態だわと、最新のディジタル一眼レフに慣れている目には、それはもう惨憺たる状態だ。
でもそれがまたいいんだよ。
ディジタルフィルターなんかで再現した「トイカメラ風画像」とは違う、物理特性で発生した「ダメ写真ゆえの温かみ」がこのカメラで撮った写真には漂っている。なんつったって、手間のかかり方が違うんだよ、こちとら。手軽さ、便利さを追求してきた現代文明へのアンチテーゼである、なんて言ったら大げさすぎか。
ともかく、K-7、LX、Gakkenflexと、それぞれに特色があって面白い。それぞれ使い分けて楽しみたい。Gakkenflexで撮った写真はまたおいおい。
さてさて、前職ぶっちゃけ回顧録の続き。
前回はボスのグループに（俺より）長く属した、高倉健の香漂う、寡黙なプログラマー派遣社員、「スギさん」について記した。
残念ながらソフトウェアエンジニアが適職とは言えなかったスギさんは、しばしばボスからお説教を食らっていたが、それはボスの親心でもあったと述べた。
今回は...そのスギさんの少し深層部に入っていこう。少なくとも俺や、同じくボスのグループにいた若手派遣社員Sはちょっと「引いた」内容だ。
前職ぶっちゃけ回顧録
「26.ネット・ゲーマー」
*** Back Number ***
1.野放し
2.OFコンビ（ボンクラ親父達）
3.堕落人
4.砂上の楼閣1
5.砂上の楼閣2
6.火の玉、堕ちた
7.さよなら、ブーちゃん
8.新たなるチャレンジ
9.斜陽
10.ハイテンション・プログラマー
11.ドロンパ、郷里に帰る
12.盟友たち
13.大移動
14.編入
15.最短記録
16.再加入
17.ゆとり世代
18.ゆとり世代2
19.宿命の対決再び
20.追放
21.戦場
22.合宿
23.終戦
24.相談
25.寡黙なる広島人（島根出身）
後述することになるが、スギさんは2009年3月に会社を去った。まあ、その後1年でボスのグルーブ全員が辞めるんだけどさ (^_^;。この話はスギさんが辞めた後、ボスが暴露した話というわけだ。
なぜ暴露することになったのかというと、スギさんが辞めてから僅かに1ヶ月足らずで、島根の郷里へ帰ったスギさんへのメールおよび電話が不通になってしまったことが判明したからだ。
いくら郷里に帰るからといって、全ての連絡手段が途絶えてしまうなど、このご時世では異常事態だ。このことが象徴するように、スギさんはかなり謎なキャラクターであった。その謎に応えるべく、ボスが暴露をはじめたわけである。
一緒に仕事をしていて、ある時からちょくちょくスギさんが休むようになったので気になっていた。ボスは「俺は理由を聞いてるけど、言わないでおく」と言っていた。その段階では俺も、親族に具合が悪い人でもいるのかと思っていた。
スギさんが仕事中にがっつり寝てしまう人だということは前回触れた通りだ。
でもそこまで眠いからには、夜更かしをしているはずだ。ボスの暴露もその辺りから切り込んで行った。
実は、スギさんはゲーマーだったのだという。日によっては明け方と言える時間まで延々とゲームをしてしまうことがあったという。趣味でそんなに夜更かししてしまうなんて、かなり意外だったので、驚いた。
しかし、ボスの暴露が深層へ進むに連れて、驚きはさらに意外な方向へと深化していくことになる。
ボスの暴露は、スギさんがちょくちょく休んでいた理由に踏み込むことになる。
ちょくちょく休み始めた初期、休みたいと申告してきたスギさんに、ボスが「ん？どうしたんだ？珍しいな」と理由を何気なく尋ねた。
「いや、実は知り合いの女性の具合が...」
なんだ、こんな高倉健みたいな朴念仁でも、まあいい年だから彼女くらいいるのかと思って、ボスはそれ以上追求しなかった。
それからしばらくした朝、慌てた様子のスギさんからボスに電話があった。
言うには、その女性が自殺未遂をして入院をしたのだという。いきなり只事ではない。ボスは、仕事のことは気にしなくていいから傍についていてあげるんだぞ、と休むことを許した。
それから数日経って、スギさんは仕事に復帰した。
「ご心配おかけしました」
「おお、どうだ、彼女は落ち着いたか」
「え、あ、いや、彼女というわけでは...」
何やらスギさんの態度がおかしいことにボスが気づいた。
「あ？なんだよ、別に根堀り葉掘り聞くつもりはないけど、なんだ？彼女じゃないってはっきりしないのはなんだ？」
話を聞くと、実は病院にかけつけたものの、結局会えなかったという。
「ああ？？そんでなんだ、すごすご帰って来たのか？」
実は、スギさんがやっているゲームは、いわゆるオンラインゲームというやつだった。自殺未遂をした女性はそこで知り合ったのだという。だから、会ったこともないのだという。
それでも、ゲームの中で人生相談なんかして いて、深い話になってるうちに、こんなことになってしまったのだという。
「じゃあなんだ、まだ相手の顔も知らないってことか」
「あ...はぁ、まぁ、そういうことに...」
「まあそりゃ、親御さんも知らん男をいきなり病室に入れたりしないわな」
「あ...いや...」
病室に入れさせてくれなかったのは、彼女の親御さんではなく、ゲーム仲間の女性たちだったというのだ。
「彼女が自殺未遂をしたのは、アンタのせいだって言われて...。どう責任とるんだと言われて、僕はどうしたらいいもんかと...」
「 (′Д`;...。んなもん無視しろよ、バカか！」
「あ、しかし...」
「別に付き合ってたんじゃねーんだろ？会ったこともないんだろ？だいたいその仲間って何様だよ。そんな面倒なの、とっとと足洗っちまえよ。住所だの会社だの、教えてねーだろうな？」
「あ、はあ...しかし...」
煮え切らないスギさんの態度に、ボスも最後は勝手にすればいい、と放っておくことにした。
「つまりあれだ、女が入院する前にちょくちょく休んでたのも、家にいてネットゲームしてただけってことだな。しかも、面会断られてすごすご帰ってきて、数日間会社にも来ねえってどういうこったよ。」
ボスの暴露を聞いて、部屋には木枯らしのような乾いた空気が漂っていた。意外なスギさんの一面と、自分達とは違う世界の住人たちのすぐには理解できない行動に、俺もSもゲンナリしていた。
まあ、そういう俺も10年ほど前はモータースポーツ好きのメール友達と、初対面で一緒にレースを見に行き、そのまま彼らの家に泊まったりなんかしていた。だが、それは「モータースポーツ好き」が「レースを見に行く」という明確な目的のもとに成立したのだと思う。自己正当化するつもりはないがやっぱり、スギさんの話とは意味が違うと思った。
結局、その女性の話がどうなったのか、ボスも聞いていないという。だが、どうやらネットゲームは続けていたようだ。
とにかく、スギさんは派遣先である俺の前職の会社を辞めてから、島根に戻ると聞いていた。
だが先述の通り、それから1ヶ月足らずの頃に、質問があって電話とメール送付を試みたが、どちらも不通になっていた。永くボスの部屋の住人であったスギさんとのコネクションはあっさり、ぷっつりと途絶えた。
つづく。
Gakkenflex
(PentaxK-7, PentaxFA31mmLimitedF1.8, 1/8sec, F4.5, ISO800)
いわゆるトイカメラだ。しかも、「大人の自由研究」系の付録のようなシロモノである。その名もGakkenflexだ (^_^;。
でも、一応二眼レフの構造をとっていて、フォーカスを合わせることができる。
でもこれがかなりシビアだ。フォーカシングスクリーンの像が小さいから、ばっちり合わせた気でいても結構ずれているし、鏡像なので構図を合わせるには、見た目とは反対に動かないといけない。
どう頑張っても1枚撮るのに膨大な時間が必要だし、露出が事実上固定なので、晴天の屋外でなければまともな写真は撮れない。
でもそれがいいんだよ。
制約があればあるほど、人はどうすれば少しでもいいものが撮れるかを否が応でも考える。考えた結果がハマれば、これほど気持ちいいことはない。
ペラッペラのプラスチックレンズで実際に撮れる写真は、周辺光量落ちまくりだわ、像は流れまくりだわ、ちょっと曇った程度の明るさでもコントラスト足りない「ねむねむ」状態だわと、最新のディジタル一眼レフに慣れている目には、それはもう惨憺たる状態だ。
でもそれがまたいいんだよ。
ディジタルフィルターなんかで再現した「トイカメラ風画像」とは違う、物理特性で発生した「ダメ写真ゆえの温かみ」がこのカメラで撮った写真には漂っている。なんつったって、手間のかかり方が違うんだよ、こちとら。手軽さ、便利さを追求してきた現代文明へのアンチテーゼである、なんて言ったら大げさすぎか。
ともかく、K-7、LX、Gakkenflexと、それぞれに特色があって面白い。それぞれ使い分けて楽しみたい。Gakkenflexで撮った写真はまたおいおい。
さてさて、前職ぶっちゃけ回顧録の続き。
前回はボスのグループに（俺より）長く属した、高倉健の香漂う、寡黙なプログラマー派遣社員、「スギさん」について記した。
残念ながらソフトウェアエンジニアが適職とは言えなかったスギさんは、しばしばボスからお説教を食らっていたが、それはボスの親心でもあったと述べた。
今回は...そのスギさんの少し深層部に入っていこう。少なくとも俺や、同じくボスのグループにいた若手派遣社員Sはちょっと「引いた」内容だ。
前職ぶっちゃけ回顧録
「26.ネット・ゲーマー」
*** Back Number ***
1.野放し
2.OFコンビ（ボンクラ親父達）
3.堕落人
4.砂上の楼閣1
5.砂上の楼閣2
6.火の玉、堕ちた
7.さよなら、ブーちゃん
8.新たなるチャレンジ
9.斜陽
10.ハイテンション・プログラマー
11.ドロンパ、郷里に帰る
12.盟友たち
13.大移動
14.編入
15.最短記録
16.再加入
17.ゆとり世代
18.ゆとり世代2
19.宿命の対決再び
20.追放
21.戦場
22.合宿
23.終戦
24.相談
25.寡黙なる広島人（島根出身）
後述することになるが、スギさんは2009年3月に会社を去った。まあ、その後1年でボスのグルーブ全員が辞めるんだけどさ (^_^;。この話はスギさんが辞めた後、ボスが暴露した話というわけだ。
なぜ暴露することになったのかというと、スギさんが辞めてから僅かに1ヶ月足らずで、島根の郷里へ帰ったスギさんへのメールおよび電話が不通になってしまったことが判明したからだ。
いくら郷里に帰るからといって、全ての連絡手段が途絶えてしまうなど、このご時世では異常事態だ。このことが象徴するように、スギさんはかなり謎なキャラクターであった。その謎に応えるべく、ボスが暴露をはじめたわけである。
一緒に仕事をしていて、ある時からちょくちょくスギさんが休むようになったので気になっていた。ボスは「俺は理由を聞いてるけど、言わないでおく」と言っていた。その段階では俺も、親族に具合が悪い人でもいるのかと思っていた。
スギさんが仕事中にがっつり寝てしまう人だということは前回触れた通りだ。
でもそこまで眠いからには、夜更かしをしているはずだ。ボスの暴露もその辺りから切り込んで行った。
実は、スギさんはゲーマーだったのだという。日によっては明け方と言える時間まで延々とゲームをしてしまうことがあったという。趣味でそんなに夜更かししてしまうなんて、かなり意外だったので、驚いた。
しかし、ボスの暴露が深層へ進むに連れて、驚きはさらに意外な方向へと深化していくことになる。
ボスの暴露は、スギさんがちょくちょく休んでいた理由に踏み込むことになる。
ちょくちょく休み始めた初期、休みたいと申告してきたスギさんに、ボスが「ん？どうしたんだ？珍しいな」と理由を何気なく尋ねた。
「いや、実は知り合いの女性の具合が...」
なんだ、こんな高倉健みたいな朴念仁でも、まあいい年だから彼女くらいいるのかと思って、ボスはそれ以上追求しなかった。
それからしばらくした朝、慌てた様子のスギさんからボスに電話があった。
言うには、その女性が自殺未遂をして入院をしたのだという。いきなり只事ではない。ボスは、仕事のことは気にしなくていいから傍についていてあげるんだぞ、と休むことを許した。
それから数日経って、スギさんは仕事に復帰した。
「ご心配おかけしました」
「おお、どうだ、彼女は落ち着いたか」
「え、あ、いや、彼女というわけでは...」
何やらスギさんの態度がおかしいことにボスが気づいた。
「あ？なんだよ、別に根堀り葉掘り聞くつもりはないけど、なんだ？彼女じゃないってはっきりしないのはなんだ？」
話を聞くと、実は病院にかけつけたものの、結局会えなかったという。
「ああ？？そんでなんだ、すごすご帰って来たのか？」
実は、スギさんがやっているゲームは、いわゆるオンラインゲームというやつだった。自殺未遂をした女性はそこで知り合ったのだという。だから、会ったこともないのだという。
それでも、ゲームの中で人生相談なんかして いて、深い話になってるうちに、こんなことになってしまったのだという。
「じゃあなんだ、まだ相手の顔も知らないってことか」
「あ...はぁ、まぁ、そういうことに...」
「まあそりゃ、親御さんも知らん男をいきなり病室に入れたりしないわな」
「あ...いや...」
病室に入れさせてくれなかったのは、彼女の親御さんではなく、ゲーム仲間の女性たちだったというのだ。
「彼女が自殺未遂をしたのは、アンタのせいだって言われて...。どう責任とるんだと言われて、僕はどうしたらいいもんかと...」
「 (′Д`;...。んなもん無視しろよ、バカか！」
「あ、しかし...」
「別に付き合ってたんじゃねーんだろ？会ったこともないんだろ？だいたいその仲間って何様だよ。そんな面倒なの、とっとと足洗っちまえよ。住所だの会社だの、教えてねーだろうな？」
「あ、はあ...しかし...」
煮え切らないスギさんの態度に、ボスも最後は勝手にすればいい、と放っておくことにした。
「つまりあれだ、女が入院する前にちょくちょく休んでたのも、家にいてネットゲームしてただけってことだな。しかも、面会断られてすごすご帰ってきて、数日間会社にも来ねえってどういうこったよ。」
ボスの暴露を聞いて、部屋には木枯らしのような乾いた空気が漂っていた。意外なスギさんの一面と、自分達とは違う世界の住人たちのすぐには理解できない行動に、俺もSもゲンナリしていた。
まあ、そういう俺も10年ほど前はモータースポーツ好きのメール友達と、初対面で一緒にレースを見に行き、そのまま彼らの家に泊まったりなんかしていた。だが、それは「モータースポーツ好き」が「レースを見に行く」という明確な目的のもとに成立したのだと思う。自己正当化するつもりはないがやっぱり、スギさんの話とは意味が違うと思った。
結局、その女性の話がどうなったのか、ボスも聞いていないという。だが、どうやらネットゲームは続けていたようだ。
とにかく、スギさんは派遣先である俺の前職の会社を辞めてから、島根に戻ると聞いていた。
だが先述の通り、それから1ヶ月足らずの頃に、質問があって電話とメール送付を試みたが、どちらも不通になっていた。永くボスの部屋の住人であったスギさんとのコネクションはあっさり、ぷっつりと途絶えた。
つづく。
nobilesの投稿(23:47:00-2011-10-14) -
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