NOBILES Days
Jump to navigationFrankly Speaking... Vol.27
週末、宇都宮まで行った。前職で同期だった友人宅での恒例のBBQに参加したのだ。いつもはGW前後に行うのだが、今回は震災の影響で延期になっていた。
彼は2007年の前職の事業所移転のタイミングで転職し宇都宮へ移った。動機は仕事の中身だと言っていたと記憶しているが、その後前職が辿った経緯を鑑みるにつけ、大変先見の妙があったと言うべきだろう。
そんなことはどうでも良くて (^_^;、地震の被災見舞金で作った新しいウッドデッキが映える庭は前回よりもますます快適だった。
今回の参加者は8人で、このグループにしては少なめだったが、新たなメンバーも加わったりして、家主が用意した肉と野菜や、皆が持ち寄った酒やツマミで楽しんだ。
それぞれ所属や住所が別れても、こうして集まれる場があることは貴重だと、今だからこそ痛感している。
Don't you sit next to me?
(PentaxK-7, PentaxFA43mmLimitedF1.9, 1/320sec, F2.8, ISO100)
さて、この流れで行くべきか判断に迷うが、前職ぶっちゃけ回顧録だ。ま、基本ここの内容に同期が絡むことはないし、いっか！
前職ぶっちゃけ回顧録
「27. 少年 」
*** Back Number ***
1.野放し
2.OFコンビ（ボンクラ親父達）
3.堕落人
4.砂上の楼閣1
5.砂上の楼閣2
6.火の玉、堕ちた
7.さよなら、ブーちゃん
8.新たなるチャレンジ
9.斜陽
10.ハイテンション・プログラマー
11.ドロンパ、郷里に帰る
12.盟友たち
13.大移動
14.編入
15.最短記録
16.再加入
17.ゆとり世代
18.ゆとり世代2
19.宿命の対決再び
20.追放
21.戦場
22.合宿
23.終戦
24.相談
25.寡黙なる広島人（島根出身）
26.ネット・ゲーマー
前回までで2008年春の、俺たちのグループの「合宿」および「スギさん」の話をしてきた。
時系列逆転しちゃったけど、ボスの天敵であるSSKのグループと課が統合されるのは2008年6月なので、合宿の直後だったことになる。かつてない厳しい仕事が終わるや天敵との再会とは、本当にボスの前職時代はイベント盛り沢山だったんだな (^_^;。
イベントはまだまだ続く。その組織変更から少し経って、夏から秋になろうかという頃、また新たなキャラが加わった。本Blogでも地味に2、3回登場していたが、ろくにその後の顛末を記していなかった。「かの国」の事業所から来た研修生だ。
改めて述べるが、研修生は事業部全体に20名程度、そのうち、俺達の部には4名が送り込まれてくることになった。期間は1年間の予定だった。
それは、会社の中で「かの国」の工場の重要度がますます増していくことが確実な中で、日本からの赴任者に頼らずとも指導的立場を担える人材育成を目的としていたらしい。将来を見据えた、なかなかチャレンジングな試みにも思えた。
部にやって来る4人は、当時の部に存在した4つの課にそれぞれ配属された。俺達の課に来る研修生「J」は、ボスのグルーブ、つまり俺の所属する部屋に入ることになった。確かに将来を考えれば、当時既に課の業務のかなりの割合を担うようになっていたこのチームへの割り当ては理にかなってはいた。しかし、結果的にはそれが破綻を招くことになる。
果たしてそのJだが、その前年にかの国のローカル大学を卒業し、採用されてからまだ1年も経っていないということだった。が、実際会ってみると、大学生どころか、中学生のような風貌だった。背は160cm未満で小柄だったし、ガニ股で身体を左右に揺すって歩くから、少しゴリラっぽくもあった。
研修生達は全員日本語研修を受けていて、かなり喋れるメンバーもいた。だが、Jは最下層の4級だそうで、挨拶がやっとという感じで、日本語による会話は厳しかった。一方で英語はそこそこ喋れた。しかし、運が悪いことに、ボスは英語はほとんどダメだった。だから当初、ボスとJが直接会話する術がなかった。結局多少はTOEICの点をとれる俺が、英語で通訳をすることになった。かなり無理があったけど。
実は研修生の中には通訳もいた。20人くらいのうち、確か3人が通訳の女性だった。部にきた4人に対しては1人がついていた。が、当然ながら4人でシェアになるので、正確に伝えなければならない場面でのみ彼女を呼んで、普段は何らかの言語で直接話してなんとかせざるを得なかった。
Jに対しては、例によって「あの過酷なグループになって可哀想に」的なことは外部の人から言われた。
しかし、再三述べているように、ボスはなにも、部下になった誰に対してもきつく当たっていたわけではない。むしろJは、以前述べたボスの基準でいえば、「育成の対象」であり、間違っても「即戦力」ではなかった。
だから、Jとの会社生活が始まると、ボスはビックリするくらい優しくJに接した。そして、大学卒業したての彼が少しでも製品に興味を持つようにいろいろ考えてプログラムを組んだ。俺という通訳がいなくても、漢字による筆談でなんとかしようと、お子さんのお絵かきマグネットボードまで持参して教え込もうと努力していた。
贔屓目ではなく、俺にはできないことだと思った。ただし、せっかちなボスだけに、ノッて来ると日本語の早口でダーっと話して、Jが分かっているか確認することなく突き進んでしまう傾向は垣間見られた。
しかしその中で、徐々にJのキャラクターも明らかになっていく。風貌に違わず、24という実年齢よりはるかにJは「少年」だった。女性とつきあったことはなかったようだし、ボス（と、俺もか (^_^;）の大好きな下ネタは全然受け付けなかった。
これは「かの国」の人だから、ということではないようだ。Jの同僚の研修生の中には、日本産のそうした類のコンテンツが大好きなヤツも何人かいた。
まあ、下ネタはどうでもいい。日本人にだって下ネタダメで、異性関係がからっきしだろうと、立派に社会人している人はいくらでもいる。
それよりもJは、「働く」ということに対して意識が低かった。自分が、会社による多額の投資によって日本に送り込まれているということ、そしてその先にある会社から望まれる自身の姿を、まったく想像できていない印象を受けた。
だから、いくら教えても
「あー、はぃ。」
という「ゆとり世代」I上的な生返事を繰り返す。どう見ても理解しているようには見えない。
だから実際、Jの育成は遅々として進まなかった。うまくなったのは日本語くらいだった。
何か課題を与えられてもつまらなそうにやっているし、少し褒められると舞い上がってしまい、次の課題を与えようとするボスを尻目に
「おちかれさまでしたー」
と、さっさと荷造りをして帰ってしまう。このユルさはまさにI上に通ずるものがあった。
そして、これはきっと仲間が吹き込んだに違いないと思うのだが、世間話的な場で、彼は俺達に自慢げにこんなことまで言い出した。
「こうして日本企業に入って、日本に研修で行ってましたと言えば、中国でいい転職ができます〜。」
...この会社は腰掛けです。彼は俺達の前ではっきりその意味のことを言ったのだ。
かようにして、彼は全て自分軸で回っていた。何のためにボス以下俺達がJに対し、懇切丁寧に教育をしようとしているのか、彼は何も理解できていなかったのだ。
まあ、この辺の意識について、少なくともその時のJと同じ歳の頃の自分を思い返せば、人のこと言えるかどうか疑わしいけどね。ただ、長年にわたって会社に所属していく俺（辞めたけど）と違い、彼には1年間という制約があった。
それでも、ちょうど製品開発の谷間でもあったので、ボスはJを叱りつけることなく、半年間はJの奮起を待った。しかし、ろくに芽が出ないまま、いたずらに時間ばかりが過ぎて行ったのだった。
つづく。
彼は2007年の前職の事業所移転のタイミングで転職し宇都宮へ移った。動機は仕事の中身だと言っていたと記憶しているが、その後前職が辿った経緯を鑑みるにつけ、大変先見の妙があったと言うべきだろう。
そんなことはどうでも良くて (^_^;、地震の被災見舞金で作った新しいウッドデッキが映える庭は前回よりもますます快適だった。
今回の参加者は8人で、このグループにしては少なめだったが、新たなメンバーも加わったりして、家主が用意した肉と野菜や、皆が持ち寄った酒やツマミで楽しんだ。
それぞれ所属や住所が別れても、こうして集まれる場があることは貴重だと、今だからこそ痛感している。
Don't you sit next to me?
(PentaxK-7, PentaxFA43mmLimitedF1.9, 1/320sec, F2.8, ISO100)
さて、この流れで行くべきか判断に迷うが、前職ぶっちゃけ回顧録だ。ま、基本ここの内容に同期が絡むことはないし、いっか！
前職ぶっちゃけ回顧録
「27. 少年 」
*** Back Number ***
1.野放し
2.OFコンビ（ボンクラ親父達）
3.堕落人
4.砂上の楼閣1
5.砂上の楼閣2
6.火の玉、堕ちた
7.さよなら、ブーちゃん
8.新たなるチャレンジ
9.斜陽
10.ハイテンション・プログラマー
11.ドロンパ、郷里に帰る
12.盟友たち
13.大移動
14.編入
15.最短記録
16.再加入
17.ゆとり世代
18.ゆとり世代2
19.宿命の対決再び
20.追放
21.戦場
22.合宿
23.終戦
24.相談
25.寡黙なる広島人（島根出身）
26.ネット・ゲーマー
前回までで2008年春の、俺たちのグループの「合宿」および「スギさん」の話をしてきた。
時系列逆転しちゃったけど、ボスの天敵であるSSKのグループと課が統合されるのは2008年6月なので、合宿の直後だったことになる。かつてない厳しい仕事が終わるや天敵との再会とは、本当にボスの前職時代はイベント盛り沢山だったんだな (^_^;。
イベントはまだまだ続く。その組織変更から少し経って、夏から秋になろうかという頃、また新たなキャラが加わった。本Blogでも地味に2、3回登場していたが、ろくにその後の顛末を記していなかった。「かの国」の事業所から来た研修生だ。
改めて述べるが、研修生は事業部全体に20名程度、そのうち、俺達の部には4名が送り込まれてくることになった。期間は1年間の予定だった。
それは、会社の中で「かの国」の工場の重要度がますます増していくことが確実な中で、日本からの赴任者に頼らずとも指導的立場を担える人材育成を目的としていたらしい。将来を見据えた、なかなかチャレンジングな試みにも思えた。
部にやって来る4人は、当時の部に存在した4つの課にそれぞれ配属された。俺達の課に来る研修生「J」は、ボスのグルーブ、つまり俺の所属する部屋に入ることになった。確かに将来を考えれば、当時既に課の業務のかなりの割合を担うようになっていたこのチームへの割り当ては理にかなってはいた。しかし、結果的にはそれが破綻を招くことになる。
果たしてそのJだが、その前年にかの国のローカル大学を卒業し、採用されてからまだ1年も経っていないということだった。が、実際会ってみると、大学生どころか、中学生のような風貌だった。背は160cm未満で小柄だったし、ガニ股で身体を左右に揺すって歩くから、少しゴリラっぽくもあった。
研修生達は全員日本語研修を受けていて、かなり喋れるメンバーもいた。だが、Jは最下層の4級だそうで、挨拶がやっとという感じで、日本語による会話は厳しかった。一方で英語はそこそこ喋れた。しかし、運が悪いことに、ボスは英語はほとんどダメだった。だから当初、ボスとJが直接会話する術がなかった。結局多少はTOEICの点をとれる俺が、英語で通訳をすることになった。かなり無理があったけど。
実は研修生の中には通訳もいた。20人くらいのうち、確か3人が通訳の女性だった。部にきた4人に対しては1人がついていた。が、当然ながら4人でシェアになるので、正確に伝えなければならない場面でのみ彼女を呼んで、普段は何らかの言語で直接話してなんとかせざるを得なかった。
Jに対しては、例によって「あの過酷なグループになって可哀想に」的なことは外部の人から言われた。
しかし、再三述べているように、ボスはなにも、部下になった誰に対してもきつく当たっていたわけではない。むしろJは、以前述べたボスの基準でいえば、「育成の対象」であり、間違っても「即戦力」ではなかった。
だから、Jとの会社生活が始まると、ボスはビックリするくらい優しくJに接した。そして、大学卒業したての彼が少しでも製品に興味を持つようにいろいろ考えてプログラムを組んだ。俺という通訳がいなくても、漢字による筆談でなんとかしようと、お子さんのお絵かきマグネットボードまで持参して教え込もうと努力していた。
贔屓目ではなく、俺にはできないことだと思った。ただし、せっかちなボスだけに、ノッて来ると日本語の早口でダーっと話して、Jが分かっているか確認することなく突き進んでしまう傾向は垣間見られた。
しかしその中で、徐々にJのキャラクターも明らかになっていく。風貌に違わず、24という実年齢よりはるかにJは「少年」だった。女性とつきあったことはなかったようだし、ボス（と、俺もか (^_^;）の大好きな下ネタは全然受け付けなかった。
これは「かの国」の人だから、ということではないようだ。Jの同僚の研修生の中には、日本産のそうした類のコンテンツが大好きなヤツも何人かいた。
まあ、下ネタはどうでもいい。日本人にだって下ネタダメで、異性関係がからっきしだろうと、立派に社会人している人はいくらでもいる。
それよりもJは、「働く」ということに対して意識が低かった。自分が、会社による多額の投資によって日本に送り込まれているということ、そしてその先にある会社から望まれる自身の姿を、まったく想像できていない印象を受けた。
だから、いくら教えても
「あー、はぃ。」
という「ゆとり世代」I上的な生返事を繰り返す。どう見ても理解しているようには見えない。
だから実際、Jの育成は遅々として進まなかった。うまくなったのは日本語くらいだった。
何か課題を与えられてもつまらなそうにやっているし、少し褒められると舞い上がってしまい、次の課題を与えようとするボスを尻目に
「おちかれさまでしたー」
と、さっさと荷造りをして帰ってしまう。このユルさはまさにI上に通ずるものがあった。
そして、これはきっと仲間が吹き込んだに違いないと思うのだが、世間話的な場で、彼は俺達に自慢げにこんなことまで言い出した。
「こうして日本企業に入って、日本に研修で行ってましたと言えば、中国でいい転職ができます〜。」
...この会社は腰掛けです。彼は俺達の前ではっきりその意味のことを言ったのだ。
かようにして、彼は全て自分軸で回っていた。何のためにボス以下俺達がJに対し、懇切丁寧に教育をしようとしているのか、彼は何も理解できていなかったのだ。
まあ、この辺の意識について、少なくともその時のJと同じ歳の頃の自分を思い返せば、人のこと言えるかどうか疑わしいけどね。ただ、長年にわたって会社に所属していく俺（辞めたけど）と違い、彼には1年間という制約があった。
それでも、ちょうど製品開発の谷間でもあったので、ボスはJを叱りつけることなく、半年間はJの奮起を待った。しかし、ろくに芽が出ないまま、いたずらに時間ばかりが過ぎて行ったのだった。
つづく。
nobilesの投稿(23:50:14-2011-10-20) -
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