NOBILES Days
Jump to navigationFrankly Speaking... Vol.31
どこまで書いていいのか、判断に迷う。一度は某ソーシャルネットワークに呟こうとして全文を書いてから思いとどまった。そして、このblogのトビラでも書こうと思って一度お蔵入りさせてるので2度目のトライだ。
やっぱり、全部は書かないでおこう。あまりにも恥ずかしすぎる。
...あのアホのグループリーダーについてだ。
彼は決して悪い人間ではない。むしろ純粋な少年のような心の持ち主とさえ思う。ただ、残念なことに、少年のように「アホ」なのだ。
今回の彼の言動も、パワハラだとか、悪意をもって人を貶めようとか、そういう類のものでは決してない。だがそれは、一歩間違えば会社全体の信頼を破壊し、多くの人の努力を無にしかねないものだった。にもかかわらず、彼にそういった認識が皆無だった。
だから、その場にいた俺と先輩は顔を見合わせて固まった。
「ほんとに、こいつはダメだ」。
そんな奴がいるとこ辞めれば？うん、確かに。
でも、やっと手にした希望職だし、ここに来てからまだ、自分一人の成果なんてないに等しい。まだここでやることがあるから、こんな人のもとでも、もう少しやってみるよ。大体ね、どこ行ったって何かしらいるんだよ、こういう奴が。所詮、会社なんて人の寄り集まりなんだから、全員が素晴らしい職場なんて奇跡だよ、奇跡。問題はそこでどう振る舞い、成果を上げるかだ。
でも、頼むから会社の仕事がごっそり飛んじまうような失敗をしないでくれ、リーダー。
Shine on
(PentaxK-7, TamronA14(118.0mm), 1/25sec, F5.6, ISO800)
前回、派遣社員全員との契約解除が明らかになった話を書いたぶっちゃけ回顧録も、連載開始から11ヶ月で30回を数えた。
そろそろ核心へと迫る必要があるだろう。核心ってほどいいモンでもないか。
前職ぶっちゃけ回顧録
「31.隠れファン」
*** Back Number ***
1.野放し
2.OFコンビ（ボンクラ親父達）
3.堕落人
4.砂上の楼閣1
5.砂上の楼閣2
6.火の玉、堕ちた
7.さよなら、ブーちゃん
8.新たなるチャレンジ
9.斜陽
10.ハイテンション・プログラマー
11.ドロンパ、郷里に帰る
12.盟友たち
13.大移動
14.編入
15.最短記録
16.再加入
17.ゆとり世代
18.ゆとり世代2
19.宿命の対決再び
20.追放
21.戦場
22.合宿
23.終戦
24.相談
25.寡黙なる広島人（島根出身）
26.ネット・ゲーマー
27.少年
28.強奪
29.放置
30.曲がり角
時は、2009年の2月に入った頃であったと思う。ここ数回時間がほとんど動いていない。俺にとって2008年の終わりから2009年にかけては本当に激動以外の何物でもない日々だったのだ。
俺の感慨はどうでもいいとして、話を進めよう。
ひょっとしたら、これから書くことは、会社によってはザラにあることで、何を今さら下らんことを、と思う人もいるかもしれない。
でも少なくとも俺は、自分の所属会社でそういうことがあったことに衝撃を受けたし、「人には陰がある」ということを、真の意味からイヤというほど思い知った。
だから、これから数回で書くことは、人によっては読んでイヤな気持ちになるかもしれないので、あらかじめ断っておく。
繰り返す。
ここから先は潔癖性禁制である。
それはボンクラーズの一角、Fのことだ。
YSさんとKさんのグループから、（建前上リーダーだったはずなのに）追い出されたFは、かつてチームを組んでいた派遣社員「ヤマちゃん」と組むことになった。
ヤマちゃんは、俺の前職において数百と思われる単位で雇われた派遣社員の中でも、最初期のメンバーの1人だった。
俺と年齢がタメで、新卒から間もなくあの会社に派遣されたので、会社での年数もほとんど俺と変わらないくらいだ。確か2〜3年目くらいからあの課に配属されているのを考えれば、課のメンバーとしては俺より全然キャリアが長かったことになる。
実は、Fと組む前はボンクラーズのもう一人、Oと組んでいた。そして、ほとんど仕事をしないOの分を黙々とやっていた。同じ派遣さんでも、ここぞと言うところだけガッツリ集中するKさんと違って、かなりコツコツとコンスタントに仕事をする印象があった。
ヤマちゃんは、そのKさんともウマがあった。別にベッタリというわけでもないのだが、2人セットという印象があった。多分、どちらも建前が嫌いな毒舌タイプで似ていたからだろう。だから、やはり同じタイプのYSさん、Sなんかとも仲が良かった。
しかしながら、この部署にきた最初の頃にFから仕事を教わったこともあって、Fをボロクソに言うYSさんやKさんとは、その点に関しては一線を引いているところがあった。
だが、ヤマちゃんのFに対する評価が、微妙に変化し始める出来事が起きる。
この頃になると、仲の良いSがいることもあって、俺達ボスグループの個室に来ることも多くなっていたKさんが、笑いを堪えきれない様子で転がり込んできた。
「おいー、勘弁してくれよー。ふふひひ。」
見たこともないKさんの狼狽ぶりに、部屋のメンバー全員が振り向く。
「どうしたんスか」いつも通りフラットなテンションでSがKさんに応える。
「ひー。Fだよ、F。すげえよ。ヤツ、何やらかしたと思う？」
「いや、なんスか」
「ふひひひ。ヤツ、あの顔で店長を口説き始めやがったんだよ！」
「はい！！！！？？？？」
どっかーーん。全員の好奇心が炸裂した音が轟いたかのようだった。
「店長」とは、部内の他の課にいた女性の派遣社員だ。まだ20代で...いつもちょっとカッチリした服装をしている、少し背の高い可愛い子だった。
なぜ店長という愛称なのかというと、前の派遣先で喫茶店の店長をやっていたかららしい。なるほど、あのカッチリした服はなんとなく喫茶店店員風と言われればそう見えなくもない。仕草も女性らしい品があった。
Kさんの話によれば、彼女は、業務で使う...平たく言えば試料のようなものの管理をしていたのだが、その「店長」のところに、Fがある試料を求めて訪ねてきたのだという。
彼女は、Fが指定した試料を取りに倉庫へ向かった。普通なら、試料をお願いした側はその場で待つものだ。しかし、Fはなぜか店長の後をヒタヒタとついて歩いてきたのだという。
店長は少しイヤな感じを抱きつつも、倉庫エリアに到着したので、試料を探し始めた。幸いにして倉庫は密室ではないが、高い衝立で仕切られて人目にもつきにくい。後から追いついたFは、完全にそれが計算づくなのだろう。おもむろに店長にこう切り出した。
「あのさ、○○さん（店長）っていつも可愛いね。実は僕、君の隠れファンなんだ。えへへ。」
「キ、キモーーーーーッ！！！」
Kさんの話に一同、声を揃えるように同様の感想を口にした。
そもそも、Fと店長の接点が分からなかった。話したのを見たことなんてなかったし、仕事上も試料の件くらいでしか関わりないはずだし、仕事をろくにしないから、ほとんどそれもない。...だから「隠れ」ファンなのか？
Fは、お世辞にもイケメンとは言えない。むしろ、いかにもアキバ系が成長したオヤジ容姿だった。太っているというほどではなかったが、黒縁メガネに中年ビール腹、いつも白いTシャツとジーパンで、一切オシャレでもなかった。腕をペンギンのようにピョコピョコして歩くのは可愛いキャラのつもりだったのか。なにより、いつでもタンが切れなくて、トイレに行けば必ず「カーーーッ、ペッ！」という、最悪な音を立てているような奴だ。
あ、うそ、違う。自分の席でもやっていたんだ。そして、その度にYSさんが俺に苦虫を潰したような顔を向けてくるんだった。
っていうかそれ以前に、そんなFでも結婚していた。実は俺はこの数年前、会社の部活動に参加した時に、Fが奥さんを連れてきてそれなりに仲良さそうにしていたのを目撃していた。
当時こそまさかこんなに「ダメオヤジ」とは思っていなかったが、本性を知るにつけ「よく結婚したな」と思っていた。そして今、別の15歳は歳の離れた女の子を口説きはじめた。なかなか理解しがたいことだった。そうでなくとも、冴えないFがそんなセリフを、しかも可愛い女の子に吐いたと聞いて、その場にいる全員に虫酸が走ったのは言うまでもない。
「はあー、そういうのって、ああいうダメなヤツがホントにやるんだな。」
しみじみとボスが溜息をつくように言った。
その虫酸口説きトークの後に店長が何を言ったかなどは俺は聞いていないが、当然Yesとは言っていないのは間違いない。多分、試料だけ渡して逃げるように倉庫を後にしたのだと思う。その後ろ姿をFは「テヘ、照れちゃって可愛いなあ〜」とでも思っていたのだろう。
しかし、恐らくここからはFにとって計算外だったものと想像する。
店長は、Fから解放されると、真っ先に他の社員達のところへ行き、一部始終を話したのだ。多分Fは、彼女がそれを誰にも言わずに溜め込む内気なタイプだと見ていたのではないかと思う。
これにより、Fが起こした行動は、瞬く間に部のメンバー達の知るところとなったのである。
まだまだつづく。
やっぱり、全部は書かないでおこう。あまりにも恥ずかしすぎる。
...あのアホのグループリーダーについてだ。
彼は決して悪い人間ではない。むしろ純粋な少年のような心の持ち主とさえ思う。ただ、残念なことに、少年のように「アホ」なのだ。
今回の彼の言動も、パワハラだとか、悪意をもって人を貶めようとか、そういう類のものでは決してない。だがそれは、一歩間違えば会社全体の信頼を破壊し、多くの人の努力を無にしかねないものだった。にもかかわらず、彼にそういった認識が皆無だった。
だから、その場にいた俺と先輩は顔を見合わせて固まった。
「ほんとに、こいつはダメだ」。
そんな奴がいるとこ辞めれば？うん、確かに。
でも、やっと手にした希望職だし、ここに来てからまだ、自分一人の成果なんてないに等しい。まだここでやることがあるから、こんな人のもとでも、もう少しやってみるよ。大体ね、どこ行ったって何かしらいるんだよ、こういう奴が。所詮、会社なんて人の寄り集まりなんだから、全員が素晴らしい職場なんて奇跡だよ、奇跡。問題はそこでどう振る舞い、成果を上げるかだ。
でも、頼むから会社の仕事がごっそり飛んじまうような失敗をしないでくれ、リーダー。
Shine on
(PentaxK-7, TamronA14(118.0mm), 1/25sec, F5.6, ISO800)
前回、派遣社員全員との契約解除が明らかになった話を書いたぶっちゃけ回顧録も、連載開始から11ヶ月で30回を数えた。
そろそろ核心へと迫る必要があるだろう。核心ってほどいいモンでもないか。
前職ぶっちゃけ回顧録
「31.隠れファン」
*** Back Number ***
1.野放し
2.OFコンビ（ボンクラ親父達）
3.堕落人
4.砂上の楼閣1
5.砂上の楼閣2
6.火の玉、堕ちた
7.さよなら、ブーちゃん
8.新たなるチャレンジ
9.斜陽
10.ハイテンション・プログラマー
11.ドロンパ、郷里に帰る
12.盟友たち
13.大移動
14.編入
15.最短記録
16.再加入
17.ゆとり世代
18.ゆとり世代2
19.宿命の対決再び
20.追放
21.戦場
22.合宿
23.終戦
24.相談
25.寡黙なる広島人（島根出身）
26.ネット・ゲーマー
27.少年
28.強奪
29.放置
30.曲がり角
時は、2009年の2月に入った頃であったと思う。ここ数回時間がほとんど動いていない。俺にとって2008年の終わりから2009年にかけては本当に激動以外の何物でもない日々だったのだ。
俺の感慨はどうでもいいとして、話を進めよう。
ひょっとしたら、これから書くことは、会社によってはザラにあることで、何を今さら下らんことを、と思う人もいるかもしれない。
でも少なくとも俺は、自分の所属会社でそういうことがあったことに衝撃を受けたし、「人には陰がある」ということを、真の意味からイヤというほど思い知った。
だから、これから数回で書くことは、人によっては読んでイヤな気持ちになるかもしれないので、あらかじめ断っておく。
繰り返す。
ここから先は潔癖性禁制である。
それはボンクラーズの一角、Fのことだ。
YSさんとKさんのグループから、（建前上リーダーだったはずなのに）追い出されたFは、かつてチームを組んでいた派遣社員「ヤマちゃん」と組むことになった。
ヤマちゃんは、俺の前職において数百と思われる単位で雇われた派遣社員の中でも、最初期のメンバーの1人だった。
俺と年齢がタメで、新卒から間もなくあの会社に派遣されたので、会社での年数もほとんど俺と変わらないくらいだ。確か2〜3年目くらいからあの課に配属されているのを考えれば、課のメンバーとしては俺より全然キャリアが長かったことになる。
実は、Fと組む前はボンクラーズのもう一人、Oと組んでいた。そして、ほとんど仕事をしないOの分を黙々とやっていた。同じ派遣さんでも、ここぞと言うところだけガッツリ集中するKさんと違って、かなりコツコツとコンスタントに仕事をする印象があった。
ヤマちゃんは、そのKさんともウマがあった。別にベッタリというわけでもないのだが、2人セットという印象があった。多分、どちらも建前が嫌いな毒舌タイプで似ていたからだろう。だから、やはり同じタイプのYSさん、Sなんかとも仲が良かった。
しかしながら、この部署にきた最初の頃にFから仕事を教わったこともあって、Fをボロクソに言うYSさんやKさんとは、その点に関しては一線を引いているところがあった。
だが、ヤマちゃんのFに対する評価が、微妙に変化し始める出来事が起きる。
この頃になると、仲の良いSがいることもあって、俺達ボスグループの個室に来ることも多くなっていたKさんが、笑いを堪えきれない様子で転がり込んできた。
「おいー、勘弁してくれよー。ふふひひ。」
見たこともないKさんの狼狽ぶりに、部屋のメンバー全員が振り向く。
「どうしたんスか」いつも通りフラットなテンションでSがKさんに応える。
「ひー。Fだよ、F。すげえよ。ヤツ、何やらかしたと思う？」
「いや、なんスか」
「ふひひひ。ヤツ、あの顔で店長を口説き始めやがったんだよ！」
「はい！！！！？？？？」
どっかーーん。全員の好奇心が炸裂した音が轟いたかのようだった。
「店長」とは、部内の他の課にいた女性の派遣社員だ。まだ20代で...いつもちょっとカッチリした服装をしている、少し背の高い可愛い子だった。
なぜ店長という愛称なのかというと、前の派遣先で喫茶店の店長をやっていたかららしい。なるほど、あのカッチリした服はなんとなく喫茶店店員風と言われればそう見えなくもない。仕草も女性らしい品があった。
Kさんの話によれば、彼女は、業務で使う...平たく言えば試料のようなものの管理をしていたのだが、その「店長」のところに、Fがある試料を求めて訪ねてきたのだという。
彼女は、Fが指定した試料を取りに倉庫へ向かった。普通なら、試料をお願いした側はその場で待つものだ。しかし、Fはなぜか店長の後をヒタヒタとついて歩いてきたのだという。
店長は少しイヤな感じを抱きつつも、倉庫エリアに到着したので、試料を探し始めた。幸いにして倉庫は密室ではないが、高い衝立で仕切られて人目にもつきにくい。後から追いついたFは、完全にそれが計算づくなのだろう。おもむろに店長にこう切り出した。
「あのさ、○○さん（店長）っていつも可愛いね。実は僕、君の隠れファンなんだ。えへへ。」
「キ、キモーーーーーッ！！！」
Kさんの話に一同、声を揃えるように同様の感想を口にした。
そもそも、Fと店長の接点が分からなかった。話したのを見たことなんてなかったし、仕事上も試料の件くらいでしか関わりないはずだし、仕事をろくにしないから、ほとんどそれもない。...だから「隠れ」ファンなのか？
Fは、お世辞にもイケメンとは言えない。むしろ、いかにもアキバ系が成長したオヤジ容姿だった。太っているというほどではなかったが、黒縁メガネに中年ビール腹、いつも白いTシャツとジーパンで、一切オシャレでもなかった。腕をペンギンのようにピョコピョコして歩くのは可愛いキャラのつもりだったのか。なにより、いつでもタンが切れなくて、トイレに行けば必ず「カーーーッ、ペッ！」という、最悪な音を立てているような奴だ。
あ、うそ、違う。自分の席でもやっていたんだ。そして、その度にYSさんが俺に苦虫を潰したような顔を向けてくるんだった。
っていうかそれ以前に、そんなFでも結婚していた。実は俺はこの数年前、会社の部活動に参加した時に、Fが奥さんを連れてきてそれなりに仲良さそうにしていたのを目撃していた。
当時こそまさかこんなに「ダメオヤジ」とは思っていなかったが、本性を知るにつけ「よく結婚したな」と思っていた。そして今、別の15歳は歳の離れた女の子を口説きはじめた。なかなか理解しがたいことだった。そうでなくとも、冴えないFがそんなセリフを、しかも可愛い女の子に吐いたと聞いて、その場にいる全員に虫酸が走ったのは言うまでもない。
「はあー、そういうのって、ああいうダメなヤツがホントにやるんだな。」
しみじみとボスが溜息をつくように言った。
その虫酸口説きトークの後に店長が何を言ったかなどは俺は聞いていないが、当然Yesとは言っていないのは間違いない。多分、試料だけ渡して逃げるように倉庫を後にしたのだと思う。その後ろ姿をFは「テヘ、照れちゃって可愛いなあ〜」とでも思っていたのだろう。
しかし、恐らくここからはFにとって計算外だったものと想像する。
店長は、Fから解放されると、真っ先に他の社員達のところへ行き、一部始終を話したのだ。多分Fは、彼女がそれを誰にも言わずに溜め込む内気なタイプだと見ていたのではないかと思う。
これにより、Fが起こした行動は、瞬く間に部のメンバー達の知るところとなったのである。
まだまだつづく。
nobilesの投稿(23:49:20-2012-02-16) -
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